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観潮楼企画「終末のド―ロ」後篇

BL観潮楼秋の企画 テーマ「秋色の風景」「秋の夜長」
参加者様の作品一覧

★版権はUndercooled blogのPioさまにありますので、無断コピー及び無断転載はご遠慮下さいますようお願い致します。
mattari+pio.jpg

☆18禁です

 どこまで行っても境界線は張ってある。切ってもまた繋げられるようだった。
 一夜明けて智己たちは学校の方へ行ってみた。
 窓ガラスは割れて体育館の方では何人か立て籠っているようだった。懐かしい教室に辿り着くと、智己は泣きそうになった。あちこちに倒された机を元の位置に戻す。その様子をそっと泉は見ていた。
 並べ終わって智己が自分の居た席に座ると、一番後ろの席に泉も座った。
「ここから見てたよ、ずっとお前の事」
 泉の言葉に智己は振り返った。
「もう、いつからお前の事好きだったかなんて覚えてない。でも意識したのは高校に入ってこの席に座る頃からだったよ」
 
 もしこれがこんな世界になってなかったらどう受け止めただろうか。智己は驚きやショックが全くない事に、こんな壊れた世界のせいだからかもしれないと思った。
 智己はただ、とても嬉しくて幸せな気分になった。自分を愛する人がいる、そしてそれが泉だった。それが性別や常識を超えてただ嬉しかった。いつ尽きるかもしれない自分の残り時間の中で、この幸せを大切にしたかった。
 智己は席を立つと、泉の傍まできてその首に抱きついた。
「嬉しい……。僕、何だか嬉しいよ、泉っ」
 泉はガタリと椅子から立ち上がり、智己の身体を机の上に押し倒すと唇を塞いだ。
「あっ……んっん…んんっ」
 自分たちもどこかおかしくなってしまったのだろうか。こんな時なのに互いの性器は破裂しそうな程膨張して理性が飛ぶ。
 智己の唾液は甘ったるくて、蕩けそうな舌を泉は味わうように蹂躙した。
「んあっ……いず…みっ」
 力強く自分を押さえ込んで、泉の手は智己の服の中へ入って来た。胸まで伸びた指先はキュッと乳首を摘まむ。
「あっ……あんっ」
 初めて他人に弄られる感覚は智己を異常に解放していく。
「お前、ここ自分で弄ってただろう?」
 服の中に入った泉の両手は両方の立ちあがった乳首をクニクニと潰して刺激を与える。
「ど……して知って」
「何度も一緒に泊まった時に、見た。」
 泉は智己のベルトを乱暴に外して下着の中に手を突っ込んだ。
智己は一番敏感な部分を急に掴まれて意識は完全に性欲に集中した。
 今二人の世界は、目の前に見える互いの淫靡な姿と背徳的なこの教室の空間だけだった。
 泉も自分の勃ち上がったペニスを取り出すと、智己のモノと一緒に合わせて扱きだした。
「あっ…あーっ…気持ちっ…泉、いいっ…すごいっ…んっ」
 智己はゴリゴリと当たるペニス同士の感覚をもっと強く感じたくて、自分から腰を動かした。すると、それに合わせるように泉も二本を握る両手を固定したまま腰を動かしてきた。二つの鈴口から流れ出る液体でぬるついて滑りがよくなってくると、快感は更に強まる。
 智己が二つの鈴口に爪を入れると、泉と同時に身体をビクンッと反応させた。ビリッと伝わる強烈な快感が駆け抜ける。
「ああんっイクっ…泉、イっちゃうっ…イきたいぃぃんっ」
「俺もイクッ」
 同時にビュルリと飛びだした精液は智己の顔や髪まで飛んだ。
「すごい、泉の。こんなに飛んで」
 智己がヌルヌルした白濁の液体を指に絡め取って感触を楽しむ。
「好きだよ、智己」
 泉の告白に急に恥ずかしくなって、智己は顔を赤らめた。
「僕も……。」
 
 水道で身体や頭を洗った二人は寄り添いながら校舎裏へ出た。
「もっと早くこうなれれば良かったな」
 智己がそっと口を開いた。
「僕たち、このまま死んじゃうのかな? せっかくこうなれたのに、嫌だなぁ」
 智己は浮かべた笑顔からポロポロと涙を零した。風が吹く度に校舎に埋められた銀杏の木がざ
わつき、ハラハラと黄色い木の葉を落としていく。
「お前は、裏切った奴らの中で生きていけるか?」
「え?」
 泉の顔は真剣に智己を見据えていた。風になびく泉の漆黒の髪がどこかの王国の騎士の風貌
を思わせた。
「きっとここでどうにかまた住人同士で組織を形成して生活が出来たとしても、奴らに簡単に壊され
るだけだ。俺はお前には絶対に死んで欲しくない。俺と一緒に向こうへ行かないか?」
「え? どうやって?」
 思わぬ泉の提案に智己の憂いを含んだ美しい瞳が大きく見開く。
「守衛だって人間だ。時間をかけて話に応じてくれそうな奴のところで粘ろう。」
「でも、殺されちゃうかもしれないじゃん!」
 智己は泉に抱きついた。泉を失うのは絶対に嫌だった。
「大丈夫。任せろ。」
 泉は智己を抱きしめて落ち着かせ、元来た場所へと足を向け始めた。

 銀杏の並木道を通って行くと、だんだんと境界線が見えてきた。
 智己の心臓は極限にまで加速し、泉に抱かれた肩の震えが止まらない。
 境界線に近づくにつれ、建物からノッタリとふてぶてしそうな守衛が出てきた。智己の緊張はピー
クに達し、泉の顔を見上げる。
「智己、俺と一緒ならどこでも生きていけるか?」
「うん」
 声が震える。
「智己、俺の事、愛してるか?」
「うん」
 涙が出る。
「約束してくれ、智己。死ぬまで俺と共にいるって」
「約束する! 泉を死ぬまで愛してる! 絶対に離れないよ!」
 智己は泉に抱きついた。
 境界線の前に辿り着くと、泉は胸ポケットの中から銀色の小さなバッジを取り出して守衛に見せ
た。すると守衛はサッと顔色を変えて敬礼した。
 そして決して通れなかったビニールテープの境界線は守衛によって簡単に持ち上げられ、普通
にくぐる事ができた。
 智己は何が起こっているのか分からずただ泉を見上げた。
「智己もこれを付けような」
 そう言った泉はもう一つの銀バッジを智己の服に付けた。
「いずみ……?」
「良かった。お前を連れて来られて。さっき約束しただろう? 俺と一緒ならどこでも生きていけるっ
て。騙してて悪かったよ。俺はこっちの人間で、幹部だ。」
「お疲れ様でした!」
 守衛が泉に向かって敬礼している。智己には意味が分からなかった。隣で優しく微笑む泉と、ビ
ニールテープを超えただけでゴミ一つない並木道になった光景。そして後ろを振り向くとあちらこち
らに転がる死体や蹲っている人がいる。
「もう一生離さないよ、智己。さっきの続き、今度は俺の家でしような」
 耳元で囁かれたその言葉に、悪寒が走った。だが同時に下半身に灯った熱も自覚した智己は認
めたくない気持ちでガクガクと膝が震える。
「さぁ。行こう、智己。」
 智己は急に泉に対して恐怖を覚えた。だが、時は既に遅い。心を半分以上既に囚われた智己は
やはりそれでも泉と離れたくない気持ちがある。
 だが、それも今のところは、だ。泉から逃げたいと思ようになる事自体を恐れた。頭の先から血
の気が引いて、地べたを歩いている気がしない。
 言葉の出ない智己は見えない足枷を引きずりながらまっすぐ続く並木道を歩いた。

END(つづく)
 

<<前へ


いつかちょこちょこ続きを書きたいと思ってここでは一旦ENDに。
そして別で続きを書く事にしようかと思ってつづくにしました。
最後までお付き合い下さってありがとうございましたm(_ _)m
明日から新連載です。
そして、3万Hitキリリク只今執筆中ですのでもう少しお待ち下さいませ^^

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00:00 | 終末のド―ロ | comments (21) | trackbacks (0) | edit | page top↑

観潮楼企画「終末のド―ロ」前篇

BL観潮楼秋の企画 テーマ「秋色の風景」「秋の夜長」
参加者様の作品一覧

*物語に出てくる宗教、及び設定はフィクションです。
 又、暴力的な描写を含みますので、苦手な方は閲覧にご注意ください。




 空を見上げると、嘘みたいに真っ青な秋空が銀杏(イチョウ)の木々の間を吹き抜けていた。
 真っ青な空に燦々と輝く太陽の光がキラキラと色づいた葉の間で煌く。涼しい風が頬を撫でて、少し肌寒い感じがとても気持ち良かった。
 足元を見ると、 風に吹かれてカラカラと動く乾いた黄色い銀杏の葉が、所々小さな竜巻に巻き込まれて回っている。

 そして地上を見渡すと、狂気に満ちた人々の走り回る姿があった。

mattari+pio.jpg
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 赤ん坊を胸に抱いて裸足で駆けまわる女性は目が血走り、埃に塗れてかかとからは血を流してバリバリと枯れ葉を踏みながら走っていた。女の不規則な息遣いがやけに耳に纏わりつく。
 その後ろの方で息切れをしながらスーツ姿で棒を振り回しながら叫ぶ中年の男がいる。その横では意味の分からない事を叫ぶ年配の女性が空気に怒りをぶつけている。
 今時のスカート丈を短くして貧相な足を露出した女子高生が目の前で泣き喚きながら通り過ぎる。内股からはタラタラと血が伝ってくるぶしまで流れ落ちている。
 道路の反対側では、諦めてただ歩き続ける人、膝まづいて一身に祈りを捧げる人の姿も見える。

 街はそんな蠢く有象無象の集団の雑音に埋もれていた。
 ただ、銀杏の木だけは、昔も今も変わらずに黄金の葉をひらひらと落して無機質な道路を彩っていた。

「綺麗だね・・空の色と葉っぱの黄色」
 智己(ともみ)は泉(いずみ)に寄りかかった。
 安心するような智己の体重に、泉は自分の肩の重みも智己に少し分けた。
 そして泉はまた鋭い目線で周りの狂った人々を警戒するように見る。
「何だか・・疲れたね。泉・・」
 智己は、このまま眠ればほんの少し前の世界に戻れるような気がして目を瞑る。だが、耳に聞こえてくるのは、空を引き裂くような悲鳴とあちらこちらで割れるガラスの音だった。
 

 いつの間に侵蝕されていたのだろうか。
 カルト教と謳われていたその組織はジワリ、ジワリとその勢力を伸ばし、世界でも新たな勢力の一つとなる力にまでなった。
 突然牙を剥いた世界は、この国を内戦状態にまで堕とした。
 ゆっくりと時間をかけてその新世界に共鳴を示す者とそうでない者を吟味して振り分けて行った。
 智己の家族がいつその宗教組織に反対の意思を示したかなど知らない。そして智己の両親も、ここまでの排斥状態に陥る事など予想だにしなかっただろう。
 結果、智己と泉の家を含むここら一帯に残された人々は外界から遮断された者たちの巣窟となった。
 街一つがアウシュヴィッツの収容所状態だった。
 物資も何もかもストップされた自分たちは、ただ死を待つだけの空間を与えられただけだった。
 そしてパニックで狂った人々は殺人も横行し、治安は最悪の状態となった。

 人の考える世界とはどこからどこまでが“世界”なのだろうか。
 智己にとっての世界は、学校と家と塾。そしてそれらに準ずる人たちが智己にとっての“世界”だった。
 ニュースで他の国の内戦状態を見ても、アクション映画を見ている感覚となんら変わりはしなかった。
 目の前で両親が狂人に撲殺されているのを見た時、頭が痺れたように麻痺して動かなくなった。ただ気絶しそうな程の戦慄と助かりたい一心、そして狂人に対しての恐怖。何よりも、今まで聞いた事のない親の断末魔の低い声が恐ろしくて仕方がなかった。
 あの時、泉が助けに飛び込んで来てくれなかったら、智己はただの肉片となっていただろう。

 二人は共に隠れる様に一週間過ごした。家々を転々としながら残っている食糧を漁り、人を避けて生活をした。
 新世界と収容所とは、ただの白いビニールの紐のみで仕切られていた。
 そこらで帰る安っぽいビニールテープを跨ごうとすれば向こう側の人間に簡単に殺される。
 だが、無法地帯に残された人間はどうしたって向こう側へ渡ろうと試みる。そうして安っぽいテープの境界線は飛び越えられない壁の意味を成して、道路を赤くベタついた血の絨毯に変えて行った。

 智己も泉と一緒に境界線の傍で起こる様子、そして本当に超えられないかをじっと観察していた。
 結果、ゲームの延長感覚で人を楽しそうに殺す若者が境界線を越えようとする人を今か今かと待ち侘びる顔だけが印象的に残った。
 智己たちは夜になると茂みの多い広い公園に移動した。家は大体別の人が占拠していて下手に入れない。
 冷え込んできた身体を抱える様に智己が震えると、泉が肩を抱き寄せた。
 幼馴染だった泉を、智己はいつも憧れていた。口数は少ないが格好良くて強くて優しい。高校生になってからアルバイトでモデルをやっていた。泉の仕事関係者に執拗にモデルに誘われたが、シャイな智己は頑なに断っていた。

――あの頃が懐かしい。

「寒いか?もっとこっち来いよ」
 泉の吐息が耳に掛って不謹慎にもドキリとした。少し遠くで女の叫び声がしてビクッと身体を強張らせた。
 抵抗して泣き叫ぶ女の声はだんだんと途切れ途切れに切ない声へと変わっていった。
 きっと強姦でもされている最中なのだろう。何もかもを諦めた人間は本能のままに動く輩も多く、たった一週間だがこういう事態に嫌な免疫がついた。

「智己、絶対俺から離れるな。いいな?」
 顔を上げると泉の切れ長の瞳が真剣に見つめていた。それが何となく嬉しい気がするのは他にこんな目で見てくれる人がいなくなったからだろうか。
「きっとお前が一人で歩いてたら絶対に犯される」
「え、でも僕男だよ?」
「もう、性別がどうこうなんて常識、壊れてるだろ。可愛い子がいて、ヤりたかったらヤる。そういう世界になったんだよ」
 泉が言うのだから間違いないだろう。泉が言う事はいつも正しいと、智己は思い返してギュッと泉の胸元を掴んだ。



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ああ…またこんな素敵な絵に…何てストーリーを[壁]ωT)スミマセン

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