04/18/2010(Sun)
「すれ違った後で」第1話-弘夢
今隣で一緒に授業を受けているこいつは、岩波淳平(いわなみ・じゅんぺい)。
俺はこいつの隣に座ってるだけで全神経がこいつに集中しちまう。カリカリと授業の内容をメモする音や何気なくつく溜息に耳をそばだてる。
ノートを見ているフリをして視界を少し右側に向けて、淳平のペンを持つ血管の浮き出る手を見る。
―お前は知らない。俺が昔、お前が寝てる時にそっとキスをした事を。
中学2年の時の修学旅行で、夜中まで騒ぎ疲れた俺達の周りはあっという間に寝入ってしまった。そんな中、俺とお前は隣同士の布団で夜遅くまでヒソヒソと話してたけど、お前はそのうち寝ちまった。
そっと身体を揺すっても起きなかったから、指先でお前の唇を触ってみたんだ。あんまり柔らかいからびっくりして・・。そしてドキドキしながらキスをした。
中学の時からずっと親友で高校も、大学まで一緒の場所を選んできた。
いつも大らかで明るくて、俺を一番理解してくれて・・。
すごく気が合って男らしくて、野球部に入っていた高校の時はその日焼けした肌にキラキラと流れる汗を見てドキドキした。
―なぁ、淳平。俺がどれほどお前の事を好きか・・分からないんだろうなぁ。
「なぁ、弘夢。消しゴム貸してくんね?」
スッと上半身を近づけてコッソリと話しかけられる。
「あ、ああ。ほらよ。」
「さんきゅー。」
―俺自身にはコントロール出来ない心臓を、お前はたった一言で早くしたり遅くしたりも出来るんだ。全く・・。
弘夢が初めて淳平に出会ったのは中学1年の時だ。
初めて同じクラスになって、初めて話をするとすぐに気が合った。
思えば中学時代が一番幸せだった。お互いくんず解れず常に一緒に居ても、誰にも干渉されず、女といるよりも男同士でバカやってる方がずっと楽しいというスタイルが通じていた。
だが高校に入ると皆女に対して異常に興味を持ち、我先にと彼女を作り出した。
もちろん、ガタイも良く優しく、そして男前の淳平はモテていた。
俺は淳平が告白を受ける度に、その後の結果を受験の合格発表の時よりも緊張して聞いていた。
淳平は告白をいつになっても断っていた。俺は内心とても嬉しかったし、安堵していたんだ。
淳平がどうして彼女を作らないかなんて、理由は聞かなかった。そんなのは別にどうでも良かったんだ。面倒くさい、とぽつりと呟いたその言葉を信じていたかったかもしれない。
でも、ある時周りの奴らが茶化してきたんだ。お前らいつも二人で居て、彼女もいないしデキてんじゃねーかって。
俺は正直嬉しかった。そう言われて、そう見られて一瞬淳平と恋人同士の雰囲気を味わったようで少し恥ずかしくてドキッとした。
そんな一瞬の些細な擬似恋愛を感じた俺はバカだったんだ。本当は怒れば良かったんだ。
そっと淳平の顔を見上げると、顔を赤くして今までに見たことのない様な怒ったような困ったような顔をしてそいつらを睨みつけていた。
―そうだよな。普通は喜ぶんじゃなくて怒るところ・・だよな。
俺は目が潤んできた。
涙は俺の意思とは関係なく流れ落ちてきた。周りの奴らが焦って謝ってきたので涙の訳をそいつらのせいにした。
それからしばらく経って、淳平はモデルのような綺麗な子と付き合いだした。
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俺はこいつの隣に座ってるだけで全神経がこいつに集中しちまう。カリカリと授業の内容をメモする音や何気なくつく溜息に耳をそばだてる。
ノートを見ているフリをして視界を少し右側に向けて、淳平のペンを持つ血管の浮き出る手を見る。
―お前は知らない。俺が昔、お前が寝てる時にそっとキスをした事を。
中学2年の時の修学旅行で、夜中まで騒ぎ疲れた俺達の周りはあっという間に寝入ってしまった。そんな中、俺とお前は隣同士の布団で夜遅くまでヒソヒソと話してたけど、お前はそのうち寝ちまった。
そっと身体を揺すっても起きなかったから、指先でお前の唇を触ってみたんだ。あんまり柔らかいからびっくりして・・。そしてドキドキしながらキスをした。
中学の時からずっと親友で高校も、大学まで一緒の場所を選んできた。
いつも大らかで明るくて、俺を一番理解してくれて・・。
すごく気が合って男らしくて、野球部に入っていた高校の時はその日焼けした肌にキラキラと流れる汗を見てドキドキした。
―なぁ、淳平。俺がどれほどお前の事を好きか・・分からないんだろうなぁ。
「なぁ、弘夢。消しゴム貸してくんね?」
スッと上半身を近づけてコッソリと話しかけられる。
「あ、ああ。ほらよ。」
「さんきゅー。」
―俺自身にはコントロール出来ない心臓を、お前はたった一言で早くしたり遅くしたりも出来るんだ。全く・・。
弘夢が初めて淳平に出会ったのは中学1年の時だ。
初めて同じクラスになって、初めて話をするとすぐに気が合った。
思えば中学時代が一番幸せだった。お互いくんず解れず常に一緒に居ても、誰にも干渉されず、女といるよりも男同士でバカやってる方がずっと楽しいというスタイルが通じていた。
だが高校に入ると皆女に対して異常に興味を持ち、我先にと彼女を作り出した。
もちろん、ガタイも良く優しく、そして男前の淳平はモテていた。
俺は淳平が告白を受ける度に、その後の結果を受験の合格発表の時よりも緊張して聞いていた。
淳平は告白をいつになっても断っていた。俺は内心とても嬉しかったし、安堵していたんだ。
淳平がどうして彼女を作らないかなんて、理由は聞かなかった。そんなのは別にどうでも良かったんだ。面倒くさい、とぽつりと呟いたその言葉を信じていたかったかもしれない。
でも、ある時周りの奴らが茶化してきたんだ。お前らいつも二人で居て、彼女もいないしデキてんじゃねーかって。
俺は正直嬉しかった。そう言われて、そう見られて一瞬淳平と恋人同士の雰囲気を味わったようで少し恥ずかしくてドキッとした。
そんな一瞬の些細な擬似恋愛を感じた俺はバカだったんだ。本当は怒れば良かったんだ。
そっと淳平の顔を見上げると、顔を赤くして今までに見たことのない様な怒ったような困ったような顔をしてそいつらを睨みつけていた。
―そうだよな。普通は喜ぶんじゃなくて怒るところ・・だよな。
俺は目が潤んできた。
涙は俺の意思とは関係なく流れ落ちてきた。周りの奴らが焦って謝ってきたので涙の訳をそいつらのせいにした。
それからしばらく経って、淳平はモデルのような綺麗な子と付き合いだした。
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コメント
誤字のご指摘わざわざありがとうございました(>_<)!
何分、ド素人なものですから誤字脱字多いと思います(-"-;A ...アセアセ
急いで訂正致しました(>_<)
ご丁寧にありがとうございました☆
拍手コメント&ご指摘どうもありがとうございました
> うちはR描写とか、とても少なくて非常に地味なんですけど、
これからも頑張りますんで、よろしくお願いしますね。
そそそ、そんなうちなど殆ど喘ぎ声しか書いてないような変態ブログ
です。申し訳ありません
こちらこそどうぞ宜しくお願い致します(o^∇^o)
> それとリンクさせてもらってもいいですか? ぜひお願いします。
よよよ、宜しいのですか!!?(さっきからドモリ過ぎヾ(- -;) )
是非是非貼らせて頂きます!!わーいやったー♪
ご来訪ありがとうございましたO(≧▽≦)O
うちはR描写とか、とても少なくて非常に地味なんですけど、これからも頑張りますんで、よろしくお願いしますね。
それとリンクさせてもらってもいいですか? ぜひお願いします。
> せ・・・切ない・涙
WLたまに涙を頂けてあたしゃ今生に悔いナシ!!
> 私の書けない純恋愛だ・愛
∑('◇'*)そう言われて初めて気付いた・・ォォーこれが純愛
> >―俺自身にはコントロール出来ない心臓を、お前はたった一言で早くしたり遅くしたりも出来るんだ
>
> ↑
> ここ好き~~~~(≧_≦)
(/▽*\)~♪ イヤァン
文章で好きな部分があると言って頂けるのって嬉しいです☆
コメありがとうございました!!O(≧▽≦)O
> こんにちは、はじめまして。
は・・は・・はじめまして!!
さとうかずみさまではないですか!!実は私の中では既に有名人でつ(〃 ̄ω ̄〃ゞ エヘヘ
闇夜、今読み専でお邪魔させております♪
そんなさとうさまにいらして頂けるなんて・・o(TヘTo) クゥ
> なんだか切なそうな雰囲気ですね。相手の知らないキスのエピソード、それだけでも素敵な構図です。
> この先、楽しみにストーリーを追いかけますね。
さとうさまに追いかけられる・・
マテマテー♪ (*゚▽゚)/~~~~~~~~((( *^-^) Σヽ(゚∀゚;)チガウカラ!
失礼しました。つい興奮して・・。
素敵な構図だなんて言って頂けて激嬉しいです。FC2小説では完結しているんですが
ブログに順次UPさせていきます☆
コメントありがとうございましたO(≧▽≦)O
私の書けない純恋愛だ・愛
超続き楽しみです!!!
>―俺自身にはコントロール出来ない心臓を、お前はたった一言で早くしたり遅くしたりも出来るんだ
↑
ここ好き~~~~(≧_≦)
なんだか切なそうな雰囲気ですね。相手の知らないキスのエピソード、それだけでも素敵な構図です。
この先、楽しみにストーリーを追いかけますね。
コメント