02/29/2012(Wed)
貴方の狂気が、欲しい 40話
木戸は時枝に近づき、自分の上着をかけてその力の抜けた上半身を抱き上げた。
「ん……」
時枝が意識を戻し、木戸の顔を見た。
「時枝……ッ」
気持ちの溢れ出した木戸は力一杯時枝を抱き締めた。
「ごめんな……ごめん……。帰ろうな。もう離さないから……帰ろう」
「うーん。多分無駄だと思うけど」
杉下がそう言った時だった。腕の中で急に時枝が暴れ出した。
「う……アアッ……ッ」
「おいっ、時枝、どうしたんだ!?」
ドンッと身体を押されて木戸がよろけた瞬間、時枝は畳を這いつくばって壁の隅へと逃げて行った。
時枝は隅で小さくなり、震えながら耳を塞いでいた。
「ほらね? 記憶が無いには無いんだけど、それ以前に精神状態が不安定だったから俺の都合のいいようには記憶も入って無い。だから俺の事だって怖がる。だけど香は淫乱なんだよねぇ。身体が……。へへ。これってきっと母親の血なんじゃね? 薬あげてちょっと触ってあげるとあんなに怯えているのに段々自分から求めてくるんだぜ!? あははは!」
木戸はスッと銃口を杉下に向けた。
「いやだからさァ、」
パンッと鋭く乾いた音が鼓膜に響いた。
「え……」
杉下は自分の太股辺りに視線を落とした。ジワジワと赤い染みが着物に広がっていくのを見ると、漸く激痛が襲ってきた。
「う……ギャアアアア」
「お前、五月蠅い」
もう一発パンッと撃つ。
畳の上で悶絶する杉下の腕に、足首に、掌に。
木戸は上から無表情に蟻でも殺す様な顔をして立て続けに撃った。
面白い程簡単に穴が開き、そこから真っ赤な液体がドバドバ漏れてくる。
杉下は味わった事のない恐怖心と激痛で尿を垂れ流し木戸に懇願した。
「もう止めて」と頼む杉下に、木戸は「分かった」と色々用意してきた道具の中からガムテープを持ってきた。そして穴の空いた個所に無造作に貼り付けた。
その度に痛みで喉が切れんばかりの叫び声が上がる。
「止血……良かったなぁ。命が長引いたぜ?」
木戸の口元に歪んだ笑みを見て、杉下はゾッとした。
杉下は生まれて初めて心底震え上がった。無意識に身体が雪の中に放り出された時のようにガタガタと揺れる。
自分を撃った一発目は黙らせる為、二発目は恐らく恨み、三発目からの目は楽しんでいる目だった。
杉下は明らかに木戸という男の中に潜む、自分と似通った狂気を垣間見た。
杉下は、それまで自分だけの世界での王様だった。それ以外を知らないその過剰な自信と、相手の心理を巧みに操る術を持っていただけに、余裕で楽しもうと考えていた。
それが全く通用しない大誤算に、少しだけ感動した。
「イヒヒヒっ、イヒっ」
真っ赤になった杉下の気味の悪い笑い声が部屋に響く。
「時枝……帰ろう」
今の一連の騒ぎで一層怯えてしまった時枝を抱き上げると、恐怖に引きつった顔で抵抗した。
「うぅっ……っ……ヤ……っ」
木戸は子供のように暴れる時枝を抱えてそこを出た。
<<前へ 次へ>>
まずは時枝が手に入った!(ノД`)・゜・
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お礼画像あり☆6種ランダム
「ん……」
時枝が意識を戻し、木戸の顔を見た。
「時枝……ッ」
気持ちの溢れ出した木戸は力一杯時枝を抱き締めた。
「ごめんな……ごめん……。帰ろうな。もう離さないから……帰ろう」
「うーん。多分無駄だと思うけど」
杉下がそう言った時だった。腕の中で急に時枝が暴れ出した。
「う……アアッ……ッ」
「おいっ、時枝、どうしたんだ!?」
ドンッと身体を押されて木戸がよろけた瞬間、時枝は畳を這いつくばって壁の隅へと逃げて行った。
時枝は隅で小さくなり、震えながら耳を塞いでいた。
「ほらね? 記憶が無いには無いんだけど、それ以前に精神状態が不安定だったから俺の都合のいいようには記憶も入って無い。だから俺の事だって怖がる。だけど香は淫乱なんだよねぇ。身体が……。へへ。これってきっと母親の血なんじゃね? 薬あげてちょっと触ってあげるとあんなに怯えているのに段々自分から求めてくるんだぜ!? あははは!」
木戸はスッと銃口を杉下に向けた。
「いやだからさァ、」
パンッと鋭く乾いた音が鼓膜に響いた。
「え……」
杉下は自分の太股辺りに視線を落とした。ジワジワと赤い染みが着物に広がっていくのを見ると、漸く激痛が襲ってきた。
「う……ギャアアアア」
「お前、五月蠅い」
もう一発パンッと撃つ。
畳の上で悶絶する杉下の腕に、足首に、掌に。
木戸は上から無表情に蟻でも殺す様な顔をして立て続けに撃った。
面白い程簡単に穴が開き、そこから真っ赤な液体がドバドバ漏れてくる。
杉下は味わった事のない恐怖心と激痛で尿を垂れ流し木戸に懇願した。
「もう止めて」と頼む杉下に、木戸は「分かった」と色々用意してきた道具の中からガムテープを持ってきた。そして穴の空いた個所に無造作に貼り付けた。
その度に痛みで喉が切れんばかりの叫び声が上がる。
「止血……良かったなぁ。命が長引いたぜ?」
木戸の口元に歪んだ笑みを見て、杉下はゾッとした。
杉下は生まれて初めて心底震え上がった。無意識に身体が雪の中に放り出された時のようにガタガタと揺れる。
自分を撃った一発目は黙らせる為、二発目は恐らく恨み、三発目からの目は楽しんでいる目だった。
杉下は明らかに木戸という男の中に潜む、自分と似通った狂気を垣間見た。
杉下は、それまで自分だけの世界での王様だった。それ以外を知らないその過剰な自信と、相手の心理を巧みに操る術を持っていただけに、余裕で楽しもうと考えていた。
それが全く通用しない大誤算に、少しだけ感動した。
「イヒヒヒっ、イヒっ」
真っ赤になった杉下の気味の悪い笑い声が部屋に響く。
「時枝……帰ろう」
今の一連の騒ぎで一層怯えてしまった時枝を抱き上げると、恐怖に引きつった顔で抵抗した。
「うぅっ……っ……ヤ……っ」
木戸は子供のように暴れる時枝を抱えてそこを出た。
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まずは時枝が手に入った!(ノД`)・゜・
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拍手秘コメの場合は普通コメント欄にてお返事致します。
お礼画像あり☆6種ランダム
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コメント
木戸の所へ帰れた事を喜んで下さってありがとうございます!
+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
しかも木戸格好いいとか!
ありがとうございます!
時枝に聞かせてやりたいです(涙
∑('◇'*)エェッ!?
私の書く攻めをそのように思って頂けたらもう、
本当に嬉しくて( ̄TT ̄)鼻血ぶー
でございます!!!
個人的に容赦がないのが好きデス(*ノノ)キャ
いつか思い切り容赦のないものを書いてみたいです(笑)
でもそうするとサスペンスだのホラーだのになりそうですよね(笑)
ぐぁああっ
こちらこそ本当に本当にいつもありがとうございます!!
+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
寒さが治まってきたかな?と思った矢先に雪などまだまだ
油断出来ない気候が続いております。
どうかお身体ご自愛下さいませ(*´д`*)
コメントどうもありがとうございました
> でも 記憶は失いし 人を怖がるし 前途多難です。。。(悲)
*:.。(´∀`)。.:*わぁぃ
ゲット致しました!!
ちょっと問題抱えてますが取り敢えずは奪還完了です!
ァィ(。・Д・)ゞ
> 杉下を穴だらけにしたのは スカッとしたけど 最後のとどめをしなかったのは心残りだな
>
> アイツって 死んでも死なない(?)ゾンビの様な奴の気がして...
> 〓■●ポテッ ~。o 0~ κ( ` ▽´)κケケケ...byebye☆
†ヽ(゚ロ゚;)キェーッ! ←
確かに不気味ですよね…生きてるというだけで;
しかしながら、木戸が止めを刺さなかったのには理由があるかもです。
(。-`ω´-)y-・~~ウーン
コメントどうもありがとうございました
でも 記憶は失いし 人を怖がるし 前途多難です。。。(悲)
杉下を穴だらけにしたのは スカッとしたけど 最後のとどめをしなかったのは心残りだな
アイツって 死んでも死なない(?)ゾンビの様な奴の気がして...
〓■●ポテッ ~。o 0~ κ( ` ▽´)κケケケ...byebye☆
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