12/16/2010(Thu)
ユメ芝居 6最終話
年上だった三国の妻は三国よりも先に床に伏せ始めた。
結婚した娘がちょくちょくと面倒を見ていたが、結局病院で過ごす事となり、三国は一人で家にいるようになった。
昌弘はそんな三国を案じて身の回りの世話をした。
「何だか…やっと三国さんと結婚できたみたいな錯覚になる…なんて言ったら罰があたるかな」
昌弘は手慣れた様子でご飯を作りながら言った。
「いや……俺も、ちょっとそう思ってしまって…妻に悪いとは思うんだが。こうしてお前と家で過ごせるのが嬉しい」
三国も悪戯をした後のような笑みを浮かべて二人で目を合わせた。
「やっぱり、貴方はいくつになっても素敵です、三国さん」
「ありがとう。何より嬉しい言葉だ。お前も他にイイ人がいるだろうに……」
「そんな人、いませんよ」
何年経っても変わらぬこの会話は逆に二人を安心させるような気さえしてきた。
あっという間に先に逝った妻のあと、心配する娘夫婦を説得して昌弘と三国は一緒に住む事が叶った。
「僕が面倒を見ますから」
頑なにそう言い張るいい年をした昌弘に少し違和感を感じた娘だったが、昔からの付き合いで絶対的な信頼を置いていたのも事実だった。
娘は快く安心して三国を昌弘にまかせてくれた。
今となっては昔のように身体を繋げる激しさはないが、一緒にお茶を飲んでテレビを見るだけでもその時と同じように幸せな気持ちになれた。
いつの間にか白髪になって階段が苦手になった三国でも、昌弘にとってはたった一人の生涯連れ添う人だった。
「幸せです。三国さん」
「お前もシワが増えたな……昌弘。明日、どこかへ行こうか」
「三国さん。無理はいけません」
「だがたまにはデートがしたいじゃないか」
既におじいさんと呼ばれる年でその言葉を発した三国は、昌弘の目にはやはり激しく愛し合った頃の三国にしか見えなかった。
少しシワシワになった三国の頬にキスをすると、嬉しそうに可愛い眼で笑った。
「分かりました。じゃあ行きましょうか。花が丘公園」
三国は嬉しそうな顔で昌弘の手を握った。
「今になって、やっと今までのお前の言葉が信じられるようになった」
昌弘は黙ってその言葉を聞いた。
「今まで、全部お芝居だったんじゃないかって、思う時が常だったんだ」
「三国さん……それは俺も同じです」
三国は昌弘の方へ顔をゆっくりと向けて瞳を細めた。
「夢のようなお芝居に酔わせてくれているのだと、怖くて思っていたのかもしれない」
「うん……」
昌弘は話を続ける三国の手を軽く親指で撫でる。
「昌弘、俺が先に逝っても、まだ遅くない。第二の人生があるんだからな」
三国は自分のせいで昌弘を縛ってしまったのではという不安もずっと抱えていた。だが手放したくなくて言葉にした事はなかった。
「三国さん、俺の幸せは貴方と共にあります。貴方は一人では逝きませんよ」
「昌弘、それは……」
昌弘は穏やかに笑った。
「お芝居だって言ってくれ」
三国はポロポロと涙を零した。そんなのはダメだと言いたくても昌弘の言葉が嬉しく仕方が無かった。
「ずっと、一緒です」
昌弘は優しくベッドで横になっている三国を抱き締めた。
次の日、花が丘公園に向かった二人は親子とも違う、夫婦とも違う、まるで若い恋人同士のような雰囲気でゆっくりと散歩をした。
不器用で臆病だった二人が漸く時間を掛けて恋人になれた午後だった。
END
<<前へ
何というか…ほのぼの老ロマンス?
老ロマンス、大丈夫でしたでしょうか(汗)
二日間に分けて一気UPしました。
毎日一話ずつの方が良かったのかなと迷いましたが、
一気にイきましたー!
また激しいのを進めます♪
最後までお付き合いありがとうございました(*--)--*)ギュッ
結婚した娘がちょくちょくと面倒を見ていたが、結局病院で過ごす事となり、三国は一人で家にいるようになった。
昌弘はそんな三国を案じて身の回りの世話をした。
「何だか…やっと三国さんと結婚できたみたいな錯覚になる…なんて言ったら罰があたるかな」
昌弘は手慣れた様子でご飯を作りながら言った。
「いや……俺も、ちょっとそう思ってしまって…妻に悪いとは思うんだが。こうしてお前と家で過ごせるのが嬉しい」
三国も悪戯をした後のような笑みを浮かべて二人で目を合わせた。
「やっぱり、貴方はいくつになっても素敵です、三国さん」
「ありがとう。何より嬉しい言葉だ。お前も他にイイ人がいるだろうに……」
「そんな人、いませんよ」
何年経っても変わらぬこの会話は逆に二人を安心させるような気さえしてきた。
あっという間に先に逝った妻のあと、心配する娘夫婦を説得して昌弘と三国は一緒に住む事が叶った。
「僕が面倒を見ますから」
頑なにそう言い張るいい年をした昌弘に少し違和感を感じた娘だったが、昔からの付き合いで絶対的な信頼を置いていたのも事実だった。
娘は快く安心して三国を昌弘にまかせてくれた。
今となっては昔のように身体を繋げる激しさはないが、一緒にお茶を飲んでテレビを見るだけでもその時と同じように幸せな気持ちになれた。
いつの間にか白髪になって階段が苦手になった三国でも、昌弘にとってはたった一人の生涯連れ添う人だった。
「幸せです。三国さん」
「お前もシワが増えたな……昌弘。明日、どこかへ行こうか」
「三国さん。無理はいけません」
「だがたまにはデートがしたいじゃないか」
既におじいさんと呼ばれる年でその言葉を発した三国は、昌弘の目にはやはり激しく愛し合った頃の三国にしか見えなかった。
少しシワシワになった三国の頬にキスをすると、嬉しそうに可愛い眼で笑った。
「分かりました。じゃあ行きましょうか。花が丘公園」
三国は嬉しそうな顔で昌弘の手を握った。
「今になって、やっと今までのお前の言葉が信じられるようになった」
昌弘は黙ってその言葉を聞いた。
「今まで、全部お芝居だったんじゃないかって、思う時が常だったんだ」
「三国さん……それは俺も同じです」
三国は昌弘の方へ顔をゆっくりと向けて瞳を細めた。
「夢のようなお芝居に酔わせてくれているのだと、怖くて思っていたのかもしれない」
「うん……」
昌弘は話を続ける三国の手を軽く親指で撫でる。
「昌弘、俺が先に逝っても、まだ遅くない。第二の人生があるんだからな」
三国は自分のせいで昌弘を縛ってしまったのではという不安もずっと抱えていた。だが手放したくなくて言葉にした事はなかった。
「三国さん、俺の幸せは貴方と共にあります。貴方は一人では逝きませんよ」
「昌弘、それは……」
昌弘は穏やかに笑った。
「お芝居だって言ってくれ」
三国はポロポロと涙を零した。そんなのはダメだと言いたくても昌弘の言葉が嬉しく仕方が無かった。
「ずっと、一緒です」
昌弘は優しくベッドで横になっている三国を抱き締めた。
次の日、花が丘公園に向かった二人は親子とも違う、夫婦とも違う、まるで若い恋人同士のような雰囲気でゆっくりと散歩をした。
不器用で臆病だった二人が漸く時間を掛けて恋人になれた午後だった。
END
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何というか…ほのぼの老ロマンス?
老ロマンス、大丈夫でしたでしょうか(汗)
二日間に分けて一気UPしました。
毎日一話ずつの方が良かったのかなと迷いましたが、
一気にイきましたー!
また激しいのを進めます♪
最後までお付き合いありがとうございました(*--)--*)ギュッ
12/16/2010(Thu)
ユメ芝居 5話
昌弘は自分でも虚しい夫婦ごっこだと分かっていた。
自分だけが必死で、こんなママゴトに付き合ってくれる三国を思うと、何か危機感のようなものが芽生えた。
このまま行くと本当に監禁でもしてしまいたくなりそうだった。
昌弘は少しだけ逃げ道を作ろうと思った。
そしてそういう関係が変わらず続いた。愚かな芝居のようなセリフは、時が経つにつれその一つ一つが本物だという事を裏付けるように、二人の関係はずっと続いた。
昌弘が社会人として一人前になった時、三国も四十過ぎのいい年になっていた。年をとっても相変わらず若く艶っぽい容姿は衰えず、深みすら増したように見えた。
子供は一人しか作らず、奥さんとは早いうちからセックスレスとなっていたようだった。
それと反比例して三国から昌弘を求める事がだんだんと多くなっていった。
「昌弘、恋人……いるだろう」
「ん? いないよ」
昌弘は大人っぽい宥めるような笑みを口元に浮かべ、三国の頬を撫でると三国は昌弘の色香にクラリとした。
「嘘だ。こんな格好いい人が……恋人いないわけない。俺みたいなオジサンを本気な訳ないよ」
三国は寂しそうな顔で昌弘の逞しい腕の中にすっぽりと埋まった。
「何言ってるの? 三国さん、初めて会った時とあんまり変わらないよ?」
「初めて会った時……って、俺が中学生の時じゃないか」
「うん……いつ会っても綺麗で、魅力的で……あの時感じたままだよ」
三国はそっと恥ずかしそうに目を伏せて昌弘の胸元に唇を付けた。
「でも……ごめん。恋人はいないけど……色々あって……関係を持った事はあるんだ」
三国はハッと顔を上げた。自分は普通の結婚をして家庭があって、何一つ不利な事はない立場でいる。
三国は初めてそれが一番重たい鎖のように感じた。
込み上げる嫉妬を押し殺すように、グッと我慢をする。
「良かった?」
「え……」
だがつい口から出た言葉はあまりに幼稚な言葉だった。
「あ……ごめっ」
「三国さん……妬いてるの?」
「だって……相手の子、若いと思うし……絶対そっちの方がいいに決まってるのに……」
昌弘は三国の顔を手でそっと上に向けた。
「俺、おかしいんだ……年々、頭がおかしくなりそうなくらい、お前の事を好きになって……お前が他の奴を抱いても、浮気だなんて言えない立場だし、でも独り占めしたいと思った時には年取ってしまって……あの頃に……今戻りたいよ」
その三国の言葉に、初めて昌弘の胸の中に安心感が生まれた。
「俺、何だか嬉しいかも……いつも俺ばかり追いかけて、不安で……もしかしたらこれでようやく対等になれたのかな」
昌弘はそっと三国の顎を上に上げてキスをした。
「俺はどんどん不安になるよ、昌弘。お前が信じられない程どんどんイイ男になっていくから……。俺はただ老いていくだけだし」
三国は薄らと瞳を潤わせて半分諦めるような笑みを浮かべた。
「老いてないし、老いても別にいいよ。ただ、俺を一番に思ってくれたらいい。死ぬ間際まで、俺の事を思ってくれれば、それでいい。本当は一時も離れたくないんだけど」
「昌弘は、結婚、しないの?」
「ん? “出来ない”よ」
三国にとって、その“出来ない”の意味は、昌弘がゲイだからと捉えられた。だが、昌弘の中での意味は“三国しか愛せないから”という意味だった。
そして言葉通り、昌弘が結婚適齢期になって三国がだんだんと老けてきても、昌弘が一向に結婚する気配は無かった。
いつの間にか他に身体を繋げる逃げ場も作らず、昌弘はひたすら地道に毎日働き、そして週末や会社帰り、時には三国の家族の中で一緒に時を過ごした。
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自分だけが必死で、こんなママゴトに付き合ってくれる三国を思うと、何か危機感のようなものが芽生えた。
このまま行くと本当に監禁でもしてしまいたくなりそうだった。
昌弘は少しだけ逃げ道を作ろうと思った。
そしてそういう関係が変わらず続いた。愚かな芝居のようなセリフは、時が経つにつれその一つ一つが本物だという事を裏付けるように、二人の関係はずっと続いた。
昌弘が社会人として一人前になった時、三国も四十過ぎのいい年になっていた。年をとっても相変わらず若く艶っぽい容姿は衰えず、深みすら増したように見えた。
子供は一人しか作らず、奥さんとは早いうちからセックスレスとなっていたようだった。
それと反比例して三国から昌弘を求める事がだんだんと多くなっていった。
「昌弘、恋人……いるだろう」
「ん? いないよ」
昌弘は大人っぽい宥めるような笑みを口元に浮かべ、三国の頬を撫でると三国は昌弘の色香にクラリとした。
「嘘だ。こんな格好いい人が……恋人いないわけない。俺みたいなオジサンを本気な訳ないよ」
三国は寂しそうな顔で昌弘の逞しい腕の中にすっぽりと埋まった。
「何言ってるの? 三国さん、初めて会った時とあんまり変わらないよ?」
「初めて会った時……って、俺が中学生の時じゃないか」
「うん……いつ会っても綺麗で、魅力的で……あの時感じたままだよ」
三国はそっと恥ずかしそうに目を伏せて昌弘の胸元に唇を付けた。
「でも……ごめん。恋人はいないけど……色々あって……関係を持った事はあるんだ」
三国はハッと顔を上げた。自分は普通の結婚をして家庭があって、何一つ不利な事はない立場でいる。
三国は初めてそれが一番重たい鎖のように感じた。
込み上げる嫉妬を押し殺すように、グッと我慢をする。
「良かった?」
「え……」
だがつい口から出た言葉はあまりに幼稚な言葉だった。
「あ……ごめっ」
「三国さん……妬いてるの?」
「だって……相手の子、若いと思うし……絶対そっちの方がいいに決まってるのに……」
昌弘は三国の顔を手でそっと上に向けた。
「俺、おかしいんだ……年々、頭がおかしくなりそうなくらい、お前の事を好きになって……お前が他の奴を抱いても、浮気だなんて言えない立場だし、でも独り占めしたいと思った時には年取ってしまって……あの頃に……今戻りたいよ」
その三国の言葉に、初めて昌弘の胸の中に安心感が生まれた。
「俺、何だか嬉しいかも……いつも俺ばかり追いかけて、不安で……もしかしたらこれでようやく対等になれたのかな」
昌弘はそっと三国の顎を上に上げてキスをした。
「俺はどんどん不安になるよ、昌弘。お前が信じられない程どんどんイイ男になっていくから……。俺はただ老いていくだけだし」
三国は薄らと瞳を潤わせて半分諦めるような笑みを浮かべた。
「老いてないし、老いても別にいいよ。ただ、俺を一番に思ってくれたらいい。死ぬ間際まで、俺の事を思ってくれれば、それでいい。本当は一時も離れたくないんだけど」
「昌弘は、結婚、しないの?」
「ん? “出来ない”よ」
三国にとって、その“出来ない”の意味は、昌弘がゲイだからと捉えられた。だが、昌弘の中での意味は“三国しか愛せないから”という意味だった。
そして言葉通り、昌弘が結婚適齢期になって三国がだんだんと老けてきても、昌弘が一向に結婚する気配は無かった。
いつの間にか他に身体を繋げる逃げ場も作らず、昌弘はひたすら地道に毎日働き、そして週末や会社帰り、時には三国の家族の中で一緒に時を過ごした。
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12/16/2010(Thu)
ユメ芝居 4話
☆18禁です
「三国さん……例えば俺に彼氏が出来てもいい?」
その言葉に三国はふと悲しそうな顔をしたが、すぐにいつもの穏やかな表情になった。
「俺、捨てられちゃうのかな?」
昌弘は三国を抱き上げるとベッドに押し倒した。
「嘘。ごめん、嘘だから。ちょっと妬かせたくて、つい」
「でも、昌弘はまだ若いんだし、モテるから俺なんかに固執してたら勿体ないよ」
「三国さんより素敵な人なんていないよ。こうしてたまに会ってくれるだけで……いい……最初の時と変わらない。月に何回か見られるだけで満足していた頃と同じだから」
昌弘の切なく懸命なその表情が、いつの日だったか幼い頃に見せたその表情と変わらないものに見えて三国の胸も苦しくなった。
「お前に昔からそんな顔をさせて、本当ごめん」
三国は昌弘の胸の中に蹲るようにして抱き付いた。
昌弘の事を知っている三国の妻と子供は、たまに近所ですれ違うと、何の疑いもなく笑顔で近寄って来た。
昌弘は三国の妻よりもその可愛らしい子供の方に緊張した。
「あ!まさ兄ちゃんっ」
昌弘は膝を折って目線を合わせると優しい笑みを浮かべて小さな頭を撫でた。
――君の父親を、僕は抱いているんだよ……。
何度心の中でそう呟いただろう。スッキリとした二重瞼に惹きつけられるような雰囲気が見事に受け継がれた紛れもない三国の子供。
その子の遺伝子が自分のものでないのが悔しかった。もちろん、可愛くて仕方がないのも事実だ。だがその半面、三国の一部が剥がれてしまったようで、三国の全てを欲する昌弘は複雑な想いだった。
「俺も子供、欲しいよ。三国さんっ……貴方との子供が欲しいっ」
「んっ…あっ! すごっいぃっ! あっ…すごっ……昌弘っ今日激しっ」
昌弘は自分のネクタイで三国の腕を後ろに縛り、仰向けに寝る自分の上に座らせた形で下から激しく突いた。
「あああんっ、奥までっ、すごいよぉっ」
「まだだッ……今日は子供が出来るまでするッ」
昌弘はスラリと均整の取れた三国の足を持ち上げると、水平に広げた。
「ああっ! 崩れっ」
手を縛られている三国はバランスを崩して倒れそうになると、昌弘が膝を立てて寄り掛からせた。
昌弘が下から三国の足を水平に広げてメチャクチャに突くと、その勢いで三国の身体が宙に浮いた。
パシッ、パシッと鋭い音がその強い突きの衝撃を物語る。
三国はあまりの気持ち良さと激しさに口端からタラタラと唾液を零してブルブルと太股を痙攣させていた。
「いやらしいなぁ、三国さん。すごくいやらしい顔しているよ。その顔で孕んでよ、俺の子……ねぇ!!」
昌弘は三国を一時突き離し、不安気に薄目を開けて振り返った三国を今度は後ろから犯そうとしていた。
緋色に染まった後ろの蕾はその口をぽっかりと開けて昌弘の猛々しい肉棒を待っていた。
「中にたっぷり出すからね、三国さん。ちゃんと妊娠するんだよ」
昌弘はズルリと中に入れ込んだ。
「はっぁあんっ!」
昌弘は腰をそのふっくらとした三国の臀部に擦り付けるように動かした。
「ああっ! 気持ちぃよ、三国さんの中! やばっ……イっちゃいそ……っ」
「ひっ、ひぁっ……も……イっちゃ……中でっ……あっ……あッ!」
突然三国の中が奥の方からうねる様に巻き付いてきたかと思うと、入り口がぎゅうぅっと閉じた。
「うっ……あッ……イクッ! 三国さん、出すよッ……出すよッ!?」
昌弘は急に来た強い刺激に射精を促され、三国の肩を掴んだ。
「あっ……あっ……イって……るっ…最中なのにっ…またイっちゃうぅっ」
波のように後から後からドライオルガズムが来る。
「愛してるって言って……三国さんッ」
「昌弘、愛して……る……」
意識が朦朧とする三国は呪文のようにそっと答えた。
一度目は中で、それでも足りない昌弘はそのまま続けて今度は三国の全身に精液を掛け、飲ませ、自分の精液で塗れさせた。
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「三国さん……例えば俺に彼氏が出来てもいい?」
その言葉に三国はふと悲しそうな顔をしたが、すぐにいつもの穏やかな表情になった。
「俺、捨てられちゃうのかな?」
昌弘は三国を抱き上げるとベッドに押し倒した。
「嘘。ごめん、嘘だから。ちょっと妬かせたくて、つい」
「でも、昌弘はまだ若いんだし、モテるから俺なんかに固執してたら勿体ないよ」
「三国さんより素敵な人なんていないよ。こうしてたまに会ってくれるだけで……いい……最初の時と変わらない。月に何回か見られるだけで満足していた頃と同じだから」
昌弘の切なく懸命なその表情が、いつの日だったか幼い頃に見せたその表情と変わらないものに見えて三国の胸も苦しくなった。
「お前に昔からそんな顔をさせて、本当ごめん」
三国は昌弘の胸の中に蹲るようにして抱き付いた。
昌弘の事を知っている三国の妻と子供は、たまに近所ですれ違うと、何の疑いもなく笑顔で近寄って来た。
昌弘は三国の妻よりもその可愛らしい子供の方に緊張した。
「あ!まさ兄ちゃんっ」
昌弘は膝を折って目線を合わせると優しい笑みを浮かべて小さな頭を撫でた。
――君の父親を、僕は抱いているんだよ……。
何度心の中でそう呟いただろう。スッキリとした二重瞼に惹きつけられるような雰囲気が見事に受け継がれた紛れもない三国の子供。
その子の遺伝子が自分のものでないのが悔しかった。もちろん、可愛くて仕方がないのも事実だ。だがその半面、三国の一部が剥がれてしまったようで、三国の全てを欲する昌弘は複雑な想いだった。
「俺も子供、欲しいよ。三国さんっ……貴方との子供が欲しいっ」
「んっ…あっ! すごっいぃっ! あっ…すごっ……昌弘っ今日激しっ」
昌弘は自分のネクタイで三国の腕を後ろに縛り、仰向けに寝る自分の上に座らせた形で下から激しく突いた。
「あああんっ、奥までっ、すごいよぉっ」
「まだだッ……今日は子供が出来るまでするッ」
昌弘はスラリと均整の取れた三国の足を持ち上げると、水平に広げた。
「ああっ! 崩れっ」
手を縛られている三国はバランスを崩して倒れそうになると、昌弘が膝を立てて寄り掛からせた。
昌弘が下から三国の足を水平に広げてメチャクチャに突くと、その勢いで三国の身体が宙に浮いた。
パシッ、パシッと鋭い音がその強い突きの衝撃を物語る。
三国はあまりの気持ち良さと激しさに口端からタラタラと唾液を零してブルブルと太股を痙攣させていた。
「いやらしいなぁ、三国さん。すごくいやらしい顔しているよ。その顔で孕んでよ、俺の子……ねぇ!!」
昌弘は三国を一時突き離し、不安気に薄目を開けて振り返った三国を今度は後ろから犯そうとしていた。
緋色に染まった後ろの蕾はその口をぽっかりと開けて昌弘の猛々しい肉棒を待っていた。
「中にたっぷり出すからね、三国さん。ちゃんと妊娠するんだよ」
昌弘はズルリと中に入れ込んだ。
「はっぁあんっ!」
昌弘は腰をそのふっくらとした三国の臀部に擦り付けるように動かした。
「ああっ! 気持ちぃよ、三国さんの中! やばっ……イっちゃいそ……っ」
「ひっ、ひぁっ……も……イっちゃ……中でっ……あっ……あッ!」
突然三国の中が奥の方からうねる様に巻き付いてきたかと思うと、入り口がぎゅうぅっと閉じた。
「うっ……あッ……イクッ! 三国さん、出すよッ……出すよッ!?」
昌弘は急に来た強い刺激に射精を促され、三国の肩を掴んだ。
「あっ……あっ……イって……るっ…最中なのにっ…またイっちゃうぅっ」
波のように後から後からドライオルガズムが来る。
「愛してるって言って……三国さんッ」
「昌弘、愛して……る……」
意識が朦朧とする三国は呪文のようにそっと答えた。
一度目は中で、それでも足りない昌弘はそのまま続けて今度は三国の全身に精液を掛け、飲ませ、自分の精液で塗れさせた。
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12/15/2010(Wed)
ユメ芝居 3話
18禁リバありです。苦手な方の閲覧はご注意下さい。
「はっ……!」
息を飲んだ昌弘は緊張のあまりに身が震えた。
抱き締められたまま、昌弘の後ろの髪に三国の柔らかな唇が付けられた。嘘のような出来事に昌弘はガチガチに固まっていた。
三国の柔らかな唇は容赦ななくゆっくりと降りていき、昌弘の首筋に触れた。
「あっ」
そして優しく項を食まれた昌弘は緊張が脳内でドーパミンを大量に出したのか、ボーっとハイな気分になっていった。
いつの間にか震えは止まり、瞳を閉じて三国の唇の感触を味わっていた。
「こっち、向いて。昌弘」
昌弘は言われた通りにゆっくりと振り向いた。
「うん。やっぱその辺の子よりずっと綺麗だよ、昌弘は。キス、してもいいかな」
レジの後ろの窓には叩き付けるような雨が降り注いでいた。
ザァザァという雨のBGMが余計に現実を夢のように演出しているように思えた。
その時、昌弘は自分がどう返事したのか覚えていなかった。ただ、三国がゆっくりと昌弘の頬に手を添えて唇を付けてきたのは鮮明に脳裏に焼き付いていた。
「俺、あの時中学生だったのに、大人の三国さんに翻弄されて弄ばれたんですね」
「お前が可愛かったから、つい。でも、お前も嬉しかったんだろう?」
今はそんな思い出話をしながら昌弘はホテルのベッドの中で三国と裸で抱き合っていた。
外は嵐で、そんな状況が二人に思い出を語らせたのかもしれない。
「俺、三国さんにこんな身体にされて……もう戻れませんよ」
昌弘は三国の鎖骨を甘噛みした。
「んん……それはお互いさまだろう? 俺だって男の身体を知っちゃったんだ。お前のせいだよ」
昌弘は大学生になっていた。
三国が予想していたように、昌弘は洋風の美しさの三国と正反対の、和風な美しさで人を惹き付けるような青年に成長した。
三国は既に三十を超え、男の色香も濃くなっていた。
「三国さん……三国さんっ」
「あっ……昌弘っ……んっ」
最初は三国が色々と教え、二人で手探りで身体を開発していった。三国がタチだったのは数回で、そっちの方ではどうも昌弘の方がタチの性質だったようだ。
途中から見事に成長した昌弘が三国を喜ばす形になっていった。
「愛してます……三国さん……愛してるって言って……」
「んあっ……愛してるよ、昌弘……あっ、ゆっくり入れて……あ、強いっ、ああ!」
あの憧れて止まない三国を抱ける日が来るとは夢にも思っていなかった。
自分の性器で突けば、三国は悩ましい顔で気持ちいいと射精までする。殆ど中毒と化していた。
「ここがいいの? 三国さんっ……ここでしょう?」
「あっ、あっ! そこっ……そこぉっ……ああんっ」
昌弘は三国のスラリとした両足を持ち上げ、仰向けで悶える三国に強くペニスを突き入れていた。
「イっちゃうっ……そんなにしたら! ああ! イっちゃうよ昌弘ぉ」
「三国さんっ……愛してるって言って! そしたら中に出してあげるッ」
昌弘は三国の真っ赤なったペニスを強く上下に扱くと、狂ったように涙を浮かべて三国が下からしがみついてきた。
「あっあっ、いやっ、愛してるっ昌弘! ちょうだいっ…中にっ…愛してるからぁ」
「いいよぉ、三国さん……俺の一杯奥に出してあげるよッ」
「あああんっ昌弘ぉぉ」
「イクッ……あっイクッ」
二人は同時に絶頂を迎えて波打つ互いの身体にしがみ付き合った。しがみついていないと快楽の波に流されそうな程の絶頂は長い間、その甘ったるい余韻を残した。
そのまま少し眠りについて、朝方になるとシャワーから出てきた三国の音で昌弘は目が覚めた。
「もう、帰るんですか?」
「ん……今日は娘と遊ぶって約束しちゃったから……ごめんね」
昌弘の胸はギュッと鉄条網で縛られたような痛みを感じた。
三国は結婚して既に一児の父親だった。
抱き合う度に求める「愛している」という言葉は気分を盛り上げる為の芝居ではない事くらい二人は知っていた。
これを浮気と呼ぶべきものなのかは分からない。だが普通の生活を突然選んだ三国の判断に、昌弘は承諾した。そしてそれでもいいから関係は続けて欲しいと懇願した結果がこれだ。
「ねぇ、三国さん。奥さんにするのと、俺にされるの、どっちが気持ちいい?」
まだ若い昌弘は平気でこんな子供じみた質問をする。
ゆっくりとベッドに腰を掛けた三国は色っぽい笑顔でキスをしてきた。
「もちろん、お前にされる方がずっと気持ちがいいよ。だってたまに意識すら飛ぶからね」
「うそだ」
気を引きたくて少しいじける振りもしてみる。
「うそじゃないよ。お前のこの大きいの」
「あっ……」
三国は昌弘の勃っていなくても見事な大きさのものをやんわりと握った。
「大好きだもん。すごい動きするんだよ、俺の中で……知ってる?」
三国はゆっくりと昌弘のペニスを口に含んだ。
「あっ……ダメ……ですって、また勃っちゃう……あっ」
三国はジュクジュクといやらしい音を立てながら舌を使ってしゃぶった。まだ濡れている三国のネコっ毛に昌弘は指を入れ込んで上下に動かした。
「んっ、んっ、んんっ」
「ああっ……好きです、三国さん……気持ちいいよ……またイきそうだよ」
「出して。飲ませて、昌弘」
「いいよ……じゃあもっときつくしゃぶって」
昌弘はグッと三国の頭を抑えてペニスを突き上げた。
「んんっ……あむっ……んんっっ!」
「あああっ……いいっ……もっと歯を立ててッ……そこッ、ああーッ」
昌弘は三国の喉奥に向かって思い切り射精した。三国はそれをコクコクと恍惚とした表情で美味そうに飲み干すと、昌弘はその様子を愛おしげに見つめた。
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トントン、とUPすみません;
「はっ……!」
息を飲んだ昌弘は緊張のあまりに身が震えた。
抱き締められたまま、昌弘の後ろの髪に三国の柔らかな唇が付けられた。嘘のような出来事に昌弘はガチガチに固まっていた。
三国の柔らかな唇は容赦ななくゆっくりと降りていき、昌弘の首筋に触れた。
「あっ」
そして優しく項を食まれた昌弘は緊張が脳内でドーパミンを大量に出したのか、ボーっとハイな気分になっていった。
いつの間にか震えは止まり、瞳を閉じて三国の唇の感触を味わっていた。
「こっち、向いて。昌弘」
昌弘は言われた通りにゆっくりと振り向いた。
「うん。やっぱその辺の子よりずっと綺麗だよ、昌弘は。キス、してもいいかな」
レジの後ろの窓には叩き付けるような雨が降り注いでいた。
ザァザァという雨のBGMが余計に現実を夢のように演出しているように思えた。
その時、昌弘は自分がどう返事したのか覚えていなかった。ただ、三国がゆっくりと昌弘の頬に手を添えて唇を付けてきたのは鮮明に脳裏に焼き付いていた。
「俺、あの時中学生だったのに、大人の三国さんに翻弄されて弄ばれたんですね」
「お前が可愛かったから、つい。でも、お前も嬉しかったんだろう?」
今はそんな思い出話をしながら昌弘はホテルのベッドの中で三国と裸で抱き合っていた。
外は嵐で、そんな状況が二人に思い出を語らせたのかもしれない。
「俺、三国さんにこんな身体にされて……もう戻れませんよ」
昌弘は三国の鎖骨を甘噛みした。
「んん……それはお互いさまだろう? 俺だって男の身体を知っちゃったんだ。お前のせいだよ」
昌弘は大学生になっていた。
三国が予想していたように、昌弘は洋風の美しさの三国と正反対の、和風な美しさで人を惹き付けるような青年に成長した。
三国は既に三十を超え、男の色香も濃くなっていた。
「三国さん……三国さんっ」
「あっ……昌弘っ……んっ」
最初は三国が色々と教え、二人で手探りで身体を開発していった。三国がタチだったのは数回で、そっちの方ではどうも昌弘の方がタチの性質だったようだ。
途中から見事に成長した昌弘が三国を喜ばす形になっていった。
「愛してます……三国さん……愛してるって言って……」
「んあっ……愛してるよ、昌弘……あっ、ゆっくり入れて……あ、強いっ、ああ!」
あの憧れて止まない三国を抱ける日が来るとは夢にも思っていなかった。
自分の性器で突けば、三国は悩ましい顔で気持ちいいと射精までする。殆ど中毒と化していた。
「ここがいいの? 三国さんっ……ここでしょう?」
「あっ、あっ! そこっ……そこぉっ……ああんっ」
昌弘は三国のスラリとした両足を持ち上げ、仰向けで悶える三国に強くペニスを突き入れていた。
「イっちゃうっ……そんなにしたら! ああ! イっちゃうよ昌弘ぉ」
「三国さんっ……愛してるって言って! そしたら中に出してあげるッ」
昌弘は三国の真っ赤なったペニスを強く上下に扱くと、狂ったように涙を浮かべて三国が下からしがみついてきた。
「あっあっ、いやっ、愛してるっ昌弘! ちょうだいっ…中にっ…愛してるからぁ」
「いいよぉ、三国さん……俺の一杯奥に出してあげるよッ」
「あああんっ昌弘ぉぉ」
「イクッ……あっイクッ」
二人は同時に絶頂を迎えて波打つ互いの身体にしがみ付き合った。しがみついていないと快楽の波に流されそうな程の絶頂は長い間、その甘ったるい余韻を残した。
そのまま少し眠りについて、朝方になるとシャワーから出てきた三国の音で昌弘は目が覚めた。
「もう、帰るんですか?」
「ん……今日は娘と遊ぶって約束しちゃったから……ごめんね」
昌弘の胸はギュッと鉄条網で縛られたような痛みを感じた。
三国は結婚して既に一児の父親だった。
抱き合う度に求める「愛している」という言葉は気分を盛り上げる為の芝居ではない事くらい二人は知っていた。
これを浮気と呼ぶべきものなのかは分からない。だが普通の生活を突然選んだ三国の判断に、昌弘は承諾した。そしてそれでもいいから関係は続けて欲しいと懇願した結果がこれだ。
「ねぇ、三国さん。奥さんにするのと、俺にされるの、どっちが気持ちいい?」
まだ若い昌弘は平気でこんな子供じみた質問をする。
ゆっくりとベッドに腰を掛けた三国は色っぽい笑顔でキスをしてきた。
「もちろん、お前にされる方がずっと気持ちがいいよ。だってたまに意識すら飛ぶからね」
「うそだ」
気を引きたくて少しいじける振りもしてみる。
「うそじゃないよ。お前のこの大きいの」
「あっ……」
三国は昌弘の勃っていなくても見事な大きさのものをやんわりと握った。
「大好きだもん。すごい動きするんだよ、俺の中で……知ってる?」
三国はゆっくりと昌弘のペニスを口に含んだ。
「あっ……ダメ……ですって、また勃っちゃう……あっ」
三国はジュクジュクといやらしい音を立てながら舌を使ってしゃぶった。まだ濡れている三国のネコっ毛に昌弘は指を入れ込んで上下に動かした。
「んっ、んっ、んんっ」
「ああっ……好きです、三国さん……気持ちいいよ……またイきそうだよ」
「出して。飲ませて、昌弘」
「いいよ……じゃあもっときつくしゃぶって」
昌弘はグッと三国の頭を抑えてペニスを突き上げた。
「んんっ……あむっ……んんっっ!」
「あああっ……いいっ……もっと歯を立ててッ……そこッ、ああーッ」
昌弘は三国の喉奥に向かって思い切り射精した。三国はそれをコクコクと恍惚とした表情で美味そうに飲み干すと、昌弘はその様子を愛おしげに見つめた。
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トントン、とUPすみません;
12/15/2010(Wed)
ユメ芝居 2話
「可愛いって……俺、全然可愛くなんかないですよ。みっちゃんさんの方が綺麗です……」
「みっちゃん、さん?」
「あっ! すみません、店のおばさんが斎藤さんを“みっちゃん”って呼んでいたので……つい」
「ああ。三国でいいよ?」
可笑しそうに笑うその声に、何だかグッと距離が縮んだ気がした。
「俺、綺麗か? 昌弘くんの方が、キリッとした男前の綺麗な顔しているじゃない? 将来が楽しみだよ」
「いいえ!! 三国さんは、凄く綺麗です! 昔から憧れていました!」
昌弘の必死の言葉に少し驚いたような恥ずかしそうな顔をした三国はほんの少し頬を染めた。
それが妙に色っぽくて昌弘は下半身が暴れ出しそうになるのを必死で押さえるのが大変だった。
「あ、ありがとう。何だかそう言われるのは初めてで、結構恥ずかしいもんだな」
それから三国は信じられない提案をしてきた。
昌弘の事を可愛い弟のように思ったのか、自分の店でバイトをしないかと勧めてきたのだ。
もちろん、二つ返事で毎日アルバイトをさせて貰える事になった昌弘は毎日が夢のようだった。
あれから店の中で話す事も多くなり、益々仲良くなれた気がした。
いつも夕方六時半までのバイトで中学生なのに働かせて貰えていいお小遣い稼ぎにもなった。
そしてたまに三国に勉強まで見て貰える時は、嬉しさと緊張で汗だくになる程だった。
大学生だった三国は忙しく中々会うのも難しかったが、本当に気さくに弟のように接してくれる三国をいつの間にか自分が恋をしている事にちゃんと自覚するようになっていた。
一週間、一か月のうちのたった数秒だけ会えただけでも嬉しくて嬉しくて毎日が楽しかった。
だがそんな毎日の中で、ある日綺麗な彼女を紹介された事があった。
昌弘の浮かれた心を現実という重力が暗く冷たい地面に押し付けるように、昌弘の表情も曇っていった。
だが、別に何を期待していた訳でもなかった。もちろん、三国がゲイであれば一番良かったが、そんな事は一度も考えた事も無かったのが唯一救いだったかもしれない。
(まぁ……そうだよな)
分かり切っていた事だった。だから彼女が遊びに来る日はやっぱり見るのは辛いし、その彼女がとても羨ましかったが、そんな中でも三国が向けてくれる笑顔がとても嬉しかった。
優しくて綺麗な三国は定期的に違う彼女を連れてきた。
その日はあまりお客さんも来なくて暇な午後だった。
朝から天気が崩れて雷雨が激しかったというのも理由だろう。
家にはおばさんも居なくて鍵が閉まっていた。
店を閉める時間になってウトウトしていた昌弘は少し遅めに寝ぼけ眼でレジを閉めていた。
「お、まだやっていたのか昌弘。あぁ……びっしょりだよ」
「あ! 三国しゃん……」
つい眠過ぎて呂律が回らず変な発音になる昌弘に、三国はきゅんとするような表情を見せて近寄って来た。
「う……今のもう一回その顔で言って」
「え……み、三国……しゃん」
「うぅっ……可愛いぃぃっ」
「え? え!? あぅっ」
三国は狭いレジの席の中に入り込み、昌弘を自分の懐に入れ込むようにして抱き抱えた。
服の上からでも分かる三国の意外にもある筋肉の感触に息が止まりそうになった。
「お前、結構抱き心地いいのな」
「……」
耳元で言われるそんな言葉に昌弘は心臓が破裂しそうになって思わずギュッと目を瞑った。
雨で湿った三国のネコっ毛から、シャンプーの良い香りがした。
「三国……さん」
「ん?」
「す、好きです」
その時、深い事も、彼女がいるという事も、三国が男がダメかもしれないという事も、何もかも考えずに気持ちが口から出た。
相手の事や先にどう転ぶか考える余裕もない若さ故の行動だった。
三国はゆっくりと身を離すと、意外にも興味深々のような表情をしていた。
「へぇ……それはさ、恋愛感情でって事?」
「え! あ、はい……多分……いや、そうです。すみません」
「何で謝るの?」
「え……だって、イヤだと思うし……男からだなんて……」
「別にイヤじゃないよ」
「え?」
三国はゆっくりと身をずらすと、段になっているレジの席の後ろへ回って座った。
丁度昌弘の身体を自分の足の間に入れ込む形になって、昌弘の緊張はピークへ達した。
「あのっ……三国さんは、ゲイ……何ですか?」
「いや、多分違う……けど、昌弘くんは別にイヤじゃないかも……試してみても……いい?」
そう言って三国は後ろから抱き締めてきた。
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「みっちゃん、さん?」
「あっ! すみません、店のおばさんが斎藤さんを“みっちゃん”って呼んでいたので……つい」
「ああ。三国でいいよ?」
可笑しそうに笑うその声に、何だかグッと距離が縮んだ気がした。
「俺、綺麗か? 昌弘くんの方が、キリッとした男前の綺麗な顔しているじゃない? 将来が楽しみだよ」
「いいえ!! 三国さんは、凄く綺麗です! 昔から憧れていました!」
昌弘の必死の言葉に少し驚いたような恥ずかしそうな顔をした三国はほんの少し頬を染めた。
それが妙に色っぽくて昌弘は下半身が暴れ出しそうになるのを必死で押さえるのが大変だった。
「あ、ありがとう。何だかそう言われるのは初めてで、結構恥ずかしいもんだな」
それから三国は信じられない提案をしてきた。
昌弘の事を可愛い弟のように思ったのか、自分の店でバイトをしないかと勧めてきたのだ。
もちろん、二つ返事で毎日アルバイトをさせて貰える事になった昌弘は毎日が夢のようだった。
あれから店の中で話す事も多くなり、益々仲良くなれた気がした。
いつも夕方六時半までのバイトで中学生なのに働かせて貰えていいお小遣い稼ぎにもなった。
そしてたまに三国に勉強まで見て貰える時は、嬉しさと緊張で汗だくになる程だった。
大学生だった三国は忙しく中々会うのも難しかったが、本当に気さくに弟のように接してくれる三国をいつの間にか自分が恋をしている事にちゃんと自覚するようになっていた。
一週間、一か月のうちのたった数秒だけ会えただけでも嬉しくて嬉しくて毎日が楽しかった。
だがそんな毎日の中で、ある日綺麗な彼女を紹介された事があった。
昌弘の浮かれた心を現実という重力が暗く冷たい地面に押し付けるように、昌弘の表情も曇っていった。
だが、別に何を期待していた訳でもなかった。もちろん、三国がゲイであれば一番良かったが、そんな事は一度も考えた事も無かったのが唯一救いだったかもしれない。
(まぁ……そうだよな)
分かり切っていた事だった。だから彼女が遊びに来る日はやっぱり見るのは辛いし、その彼女がとても羨ましかったが、そんな中でも三国が向けてくれる笑顔がとても嬉しかった。
優しくて綺麗な三国は定期的に違う彼女を連れてきた。
その日はあまりお客さんも来なくて暇な午後だった。
朝から天気が崩れて雷雨が激しかったというのも理由だろう。
家にはおばさんも居なくて鍵が閉まっていた。
店を閉める時間になってウトウトしていた昌弘は少し遅めに寝ぼけ眼でレジを閉めていた。
「お、まだやっていたのか昌弘。あぁ……びっしょりだよ」
「あ! 三国しゃん……」
つい眠過ぎて呂律が回らず変な発音になる昌弘に、三国はきゅんとするような表情を見せて近寄って来た。
「う……今のもう一回その顔で言って」
「え……み、三国……しゃん」
「うぅっ……可愛いぃぃっ」
「え? え!? あぅっ」
三国は狭いレジの席の中に入り込み、昌弘を自分の懐に入れ込むようにして抱き抱えた。
服の上からでも分かる三国の意外にもある筋肉の感触に息が止まりそうになった。
「お前、結構抱き心地いいのな」
「……」
耳元で言われるそんな言葉に昌弘は心臓が破裂しそうになって思わずギュッと目を瞑った。
雨で湿った三国のネコっ毛から、シャンプーの良い香りがした。
「三国……さん」
「ん?」
「す、好きです」
その時、深い事も、彼女がいるという事も、三国が男がダメかもしれないという事も、何もかも考えずに気持ちが口から出た。
相手の事や先にどう転ぶか考える余裕もない若さ故の行動だった。
三国はゆっくりと身を離すと、意外にも興味深々のような表情をしていた。
「へぇ……それはさ、恋愛感情でって事?」
「え! あ、はい……多分……いや、そうです。すみません」
「何で謝るの?」
「え……だって、イヤだと思うし……男からだなんて……」
「別にイヤじゃないよ」
「え?」
三国はゆっくりと身をずらすと、段になっているレジの席の後ろへ回って座った。
丁度昌弘の身体を自分の足の間に入れ込む形になって、昌弘の緊張はピークへ達した。
「あのっ……三国さんは、ゲイ……何ですか?」
「いや、多分違う……けど、昌弘くんは別にイヤじゃないかも……試してみても……いい?」
そう言って三国は後ろから抱き締めてきた。
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12/15/2010(Wed)
ユメ芝居 1話
昌弘(マサヒロ)はいつも近所にある駄菓子屋へ行くのが日課だった。
それは小学生の時から続いて中学に上がった今も通う毎日だった。
昌弘が大の駄菓子好き、という理由だけで通っている訳ではない。目当ては駄菓子と、そこに昔からちょこちょこ働くお兄さんに会う為だった。
会う、というのは少し違った。“見る”という方が近い。
今まで別段話した事もなく、毎日通う中で「あ、今日もまたいる」と思ったのが、その人を認識した初めての時だった。
昌弘が小学生の時、手伝いに来ていたそのお兄さんは高校生くらいだった。
きっとその家のバイトのような感じだったのだろう。雑誌や教科書を読みながら適当にレジをやっていた。
昌弘は子供ながらにそのお兄さんがとても美しい顔立ちをしている男前だという事が分かった。
(格好いいお兄さんだなぁ)
その時は憧れが強かった。いつもレジに持って行く時に少し緊張する。
間近で顔が見たいと思っていても、目が合うのが何だかイヤでいつも俯いて後悔していた。
だが、ある時「あ、君、おつり」と言われて振り向いた昌弘は初めて間近で目を合わせた。
男子高校生にしては珍しく愛想の良い人だったのだろう。優しくニコッと笑いかけてくれた。
だが昌弘の小さな心臓はびっくりして飛び跳ねたのだ。
震えながらそっとおつりを貰おうと手を出すと、小銭と一緒にお兄さんの温かい手が少し触れた。
昌弘はその感触を今でもよく覚えていた。
そしてその話をすると、彼は変わらぬ優しく美しい笑顔を向けてくれた。
だんだんとお兄さんは店先に出る事も少なくなったが、毎日通っていると週に一、二回は会えた。
店と繋がって奥には普通の家になっていた。お兄さんの母親らしき人が、お兄さんの事を「みっちゃん」と呼んでいた事があった。
(みっちゃん……さん)
昌弘は勝手に自分の中でそう呼んでいた。
昌弘が中学生になると、本当に月に何回かしか会えなくなった。
それも殆ど無くなってきていたある日、店を通って外へ出ようとしていた「みっちゃんさん」とはち合わせた。
そしてその時が初めてその「みっちゃんさん」が話かけてくれた日でもあった。
「あ、こんにちは」
「!!」
「いつも来てくれている子、だよね?」
昌弘は驚きと焦りで取り敢えずブンブンと首を縦に振っていた。
「ふふっ……ありがとうね」
そう言って以前見た優しい笑顔で通り過ぎようとした時、昌弘はついその人の腕の裾を掴んでいた。
その人は驚いたように振り向くと、サラサラとした髪が美しく頬を追った。
「何?」
「え……え……あの……もうお店には出ないんですかッ」
咄嗟に出た言葉は普段から思っていた想いだった。
するとその人は、今度は可愛い笑顔を見せて言った。
「今時間、ある? そこの公園でコーヒー飲まない? あ、ココアの方がいいかな?」
昌弘は信じられなかった。
あんなに憧れていた人と、今自分が隣でココアを飲んでいる。
緊張でカチカチになっていると、その人が口を開いた。
「俺、別のバイトもしているから、家の手伝いがなかなか出来ないんだよね」
横目でチラチラと缶コーヒーに付けられる少し濡れたピンクの唇を見て、昌弘はドキドキしていた。
「君、名前は?」
「あっ、昌弘と言います。竹中昌弘です!」
「昌弘くんか。俺は斎藤三国(ミクニ)。よろしくな……って、何だか昔から顔なじみなのに何だか今更って感じだするな」
昌弘にとって昔から顔馴染みという言葉が心底嬉しかった。昔から自分を知っていてくれた気がしたからだ。
(三国さん……だから“みっちゃん”だったんだ)
「いつも可愛い子が来るなって思ってたんだ」
そう言って大人っぽい微笑みを向けられて、昌弘は顔が真っ赤になった。
次へ>>
小悪魔な弟やアネモネのその後も「それから」のクリスマスバージョンも
進行中ですv
ですが、ちょっと暗いかな~と思ってお蔵入りしようか迷っていたものを
UPしてしまってスミマセン;;
それは小学生の時から続いて中学に上がった今も通う毎日だった。
昌弘が大の駄菓子好き、という理由だけで通っている訳ではない。目当ては駄菓子と、そこに昔からちょこちょこ働くお兄さんに会う為だった。
会う、というのは少し違った。“見る”という方が近い。
今まで別段話した事もなく、毎日通う中で「あ、今日もまたいる」と思ったのが、その人を認識した初めての時だった。
昌弘が小学生の時、手伝いに来ていたそのお兄さんは高校生くらいだった。
きっとその家のバイトのような感じだったのだろう。雑誌や教科書を読みながら適当にレジをやっていた。
昌弘は子供ながらにそのお兄さんがとても美しい顔立ちをしている男前だという事が分かった。
(格好いいお兄さんだなぁ)
その時は憧れが強かった。いつもレジに持って行く時に少し緊張する。
間近で顔が見たいと思っていても、目が合うのが何だかイヤでいつも俯いて後悔していた。
だが、ある時「あ、君、おつり」と言われて振り向いた昌弘は初めて間近で目を合わせた。
男子高校生にしては珍しく愛想の良い人だったのだろう。優しくニコッと笑いかけてくれた。
だが昌弘の小さな心臓はびっくりして飛び跳ねたのだ。
震えながらそっとおつりを貰おうと手を出すと、小銭と一緒にお兄さんの温かい手が少し触れた。
昌弘はその感触を今でもよく覚えていた。
そしてその話をすると、彼は変わらぬ優しく美しい笑顔を向けてくれた。
だんだんとお兄さんは店先に出る事も少なくなったが、毎日通っていると週に一、二回は会えた。
店と繋がって奥には普通の家になっていた。お兄さんの母親らしき人が、お兄さんの事を「みっちゃん」と呼んでいた事があった。
(みっちゃん……さん)
昌弘は勝手に自分の中でそう呼んでいた。
昌弘が中学生になると、本当に月に何回かしか会えなくなった。
それも殆ど無くなってきていたある日、店を通って外へ出ようとしていた「みっちゃんさん」とはち合わせた。
そしてその時が初めてその「みっちゃんさん」が話かけてくれた日でもあった。
「あ、こんにちは」
「!!」
「いつも来てくれている子、だよね?」
昌弘は驚きと焦りで取り敢えずブンブンと首を縦に振っていた。
「ふふっ……ありがとうね」
そう言って以前見た優しい笑顔で通り過ぎようとした時、昌弘はついその人の腕の裾を掴んでいた。
その人は驚いたように振り向くと、サラサラとした髪が美しく頬を追った。
「何?」
「え……え……あの……もうお店には出ないんですかッ」
咄嗟に出た言葉は普段から思っていた想いだった。
するとその人は、今度は可愛い笑顔を見せて言った。
「今時間、ある? そこの公園でコーヒー飲まない? あ、ココアの方がいいかな?」
昌弘は信じられなかった。
あんなに憧れていた人と、今自分が隣でココアを飲んでいる。
緊張でカチカチになっていると、その人が口を開いた。
「俺、別のバイトもしているから、家の手伝いがなかなか出来ないんだよね」
横目でチラチラと缶コーヒーに付けられる少し濡れたピンクの唇を見て、昌弘はドキドキしていた。
「君、名前は?」
「あっ、昌弘と言います。竹中昌弘です!」
「昌弘くんか。俺は斎藤三国(ミクニ)。よろしくな……って、何だか昔から顔なじみなのに何だか今更って感じだするな」
昌弘にとって昔から顔馴染みという言葉が心底嬉しかった。昔から自分を知っていてくれた気がしたからだ。
(三国さん……だから“みっちゃん”だったんだ)
「いつも可愛い子が来るなって思ってたんだ」
そう言って大人っぽい微笑みを向けられて、昌弘は顔が真っ赤になった。
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小悪魔な弟やアネモネのその後も「それから」のクリスマスバージョンも
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ですが、ちょっと暗いかな~と思ってお蔵入りしようか迷っていたものを
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