07/21/2011(Thu)
妄想列車 11話
リツカに色々聞かないと胸が苦しくて破裂しそうだ。
リツカの隣にいる可愛らしい男がさっきしようとしていた事は、疑いもなくキスだろう。
要するに二股……って事か。いや、そもそも俺は好きだとは言ったがリツカには言われた事はない。
二人は付き合っているのだろうか。
チラリと目線をやるとリツカの隣の男がわざとらしくリツカにぴったりとくっついた。
「おい、もうちょっとそっちに行け、健」
「え~っ。いいじゃん別にっ」
「あ、コイツは俺と同僚の篠原健って言います」
リツカが自己紹介も兼ねて健という男の紹介をした。清水先輩は愛想のいい受け答えをする。
「初めまして。すみません、何だか飛び入り参加しちゃって! 俺は清水で、コイツはシンです……って言ってもお知り合いなんですよね? どちらの会社にお勤めなんですか?」
「あぁ、俺達はLTPデータに勤めています」
リツカの言葉に俺は顔を上げた。そういえば会社なんて初めて聞いた。俺はリツカの何に興味を持っていたのだろうか。
ふとリツカと目が合ってしまった。リツカはとても優しい顔をして微笑んできたので、俺の不機嫌はサラサラと風にでも吹かれて飛んでいきそうになった。
そういう顔、どうせ隣の奴にだって見せてるくせに。
「おまたせ致しましたぁ」
運ばれてきたビールやつまみに少しだけ雰囲気を和まされ、俺達は他愛のない話を続けた。
「ねぇ、シンさんってリツカとどこで知り合ったの?」
まだ学生のような顔をした健が俺に聞いて来た。俺は途端に箸が止まり、サッと顔が赤らんだ。
「……へぇ。普通の出会いじゃなかったって事……」
健がリツカを不貞腐れた顔で睨んだ。
俺は健が睨んだって事事態に気分が一気に落ち込んだ。だって、既にそういう関係じゃないとしない行動だからだ。
「まぁ、いいやっ。そういえば清水さんたち、会社どこでしたっけ?」
「あぁ。俺達はSTSの子会社のFPテックって所で働いてるんだ」
清水先輩は如何にも本当の事をごく当たり前に言っているような顔をしていたが、立派に嘘をついていた。厳密には、社外秘だから仕方のない事だ。
一番機密情報に関わっている俺達は、働いている部署や内容すら言えない事になっている。
「へぇ。じゃあ結構機械強いんだ? しかもSTSって言ったら今世界でもトップクラスのテクノロジー技術持ってるよね? あれ凄いんでしょ?」
「健……。しゃべり過ぎ」
急に楽しそうにペラペラ話し出す健にリツカが一喝入れると、健は言う事を聞いて少し大人しくなった。よく調教されているもんだ。
何だか身体が熱くなってきた。ほろ酔い程度だといつもこうだ。隣のリツカに触れたくてウズウズする。
マズイな……。トイレにでも行って顔洗って来よう。そしたら、もう帰ろう。
俺は席をたってふらつきながらトイレに入った。取り敢えず顔を洗ってブルーのハンカチで顔を拭いていると、リツカが入って来た。
「リツカっ」
今は二人きりは気まずい。どうにか上手い会話でもしてサラッと出て行って、リツカのいない隙に先に帰ってしまおう。
俺が頭をフル回転にさせながら苦笑いをした時だった。
リツカはドアをバタン、と乱暴に閉めると、俺の方に勢いよく近づいてきた。そしてそれに驚いている間に、リツカは俺の腕を強く引いて一番奥の個室へ連れ込んだ。
「ちょっ……何をっ……あっ…んんっ」
リツカは乱暴に俺の顔を掴むと息も出来ない程に口内を犯してきた。
「やめっ……んっ……止めろよッ」
我慢の限界にきた俺はリツカを突き飛ばした。
「俺っ、見てたんだからっ。お前に電話したのに、お前、違う電話取って違う奴と話してた……あいつ、恋人なんだろ!?」
くそ……。何で涙なんかが出てくるんだ。
「そうか。悪かった。俺、会社用と私用と幾つか持ってるからさ。気付かなくてごめん。そんで、健は恋人じゃないよ」
リツカの長い指が俺の涙に触れる。でも俺はふいっと顔を横に向けて拒否した。
「でも……関係はあったんでしょ」
「……うん。あったよ」
じわっと涙が溢れてスルリと滑らかな頬に落ちた。
「シン。今すぐ抱きたい」
「はァ?」
突拍子もない言葉に素っ頓狂な声が出た。
「嫉妬した泣き顔が可愛くて仕方がないんだ」
「嫉妬なんてっ……してねーよっっ」
「もっと怒れよ。俺と健が何回くらい寝たか聞きたい?」
「聞きたい訳ないだろッ……もういいッ! 帰るッ」
想像しただけで息が出来ないかと思う程苦しくなった。それなのになんでそんな酷い事を言うんだ。
出て行こうとする俺を、リツカは後ろから強く抱きしめてきた。
「ごめん、シン。……お前が相手だと、俺、おかしいんだ。すごく意地悪したくなる。こんなに可愛いって思ってるのに。でも同じ位お前の泣く顔が最高に可愛いからかな」
リツカはずるい。そういう甘い声で、優し過ぎる声を俺の脳にすり込ませて俺の身体を痺れさせるんだ。
「俺と……あいつ、どっちが……」
「お前だよ」
俺の子供っぽい質問が終わる前に、リツカはそう答えて優しく俺の唇を塞いだ。
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リツカの隣にいる可愛らしい男がさっきしようとしていた事は、疑いもなくキスだろう。
要するに二股……って事か。いや、そもそも俺は好きだとは言ったがリツカには言われた事はない。
二人は付き合っているのだろうか。
チラリと目線をやるとリツカの隣の男がわざとらしくリツカにぴったりとくっついた。
「おい、もうちょっとそっちに行け、健」
「え~っ。いいじゃん別にっ」
「あ、コイツは俺と同僚の篠原健って言います」
リツカが自己紹介も兼ねて健という男の紹介をした。清水先輩は愛想のいい受け答えをする。
「初めまして。すみません、何だか飛び入り参加しちゃって! 俺は清水で、コイツはシンです……って言ってもお知り合いなんですよね? どちらの会社にお勤めなんですか?」
「あぁ、俺達はLTPデータに勤めています」
リツカの言葉に俺は顔を上げた。そういえば会社なんて初めて聞いた。俺はリツカの何に興味を持っていたのだろうか。
ふとリツカと目が合ってしまった。リツカはとても優しい顔をして微笑んできたので、俺の不機嫌はサラサラと風にでも吹かれて飛んでいきそうになった。
そういう顔、どうせ隣の奴にだって見せてるくせに。
「おまたせ致しましたぁ」
運ばれてきたビールやつまみに少しだけ雰囲気を和まされ、俺達は他愛のない話を続けた。
「ねぇ、シンさんってリツカとどこで知り合ったの?」
まだ学生のような顔をした健が俺に聞いて来た。俺は途端に箸が止まり、サッと顔が赤らんだ。
「……へぇ。普通の出会いじゃなかったって事……」
健がリツカを不貞腐れた顔で睨んだ。
俺は健が睨んだって事事態に気分が一気に落ち込んだ。だって、既にそういう関係じゃないとしない行動だからだ。
「まぁ、いいやっ。そういえば清水さんたち、会社どこでしたっけ?」
「あぁ。俺達はSTSの子会社のFPテックって所で働いてるんだ」
清水先輩は如何にも本当の事をごく当たり前に言っているような顔をしていたが、立派に嘘をついていた。厳密には、社外秘だから仕方のない事だ。
一番機密情報に関わっている俺達は、働いている部署や内容すら言えない事になっている。
「へぇ。じゃあ結構機械強いんだ? しかもSTSって言ったら今世界でもトップクラスのテクノロジー技術持ってるよね? あれ凄いんでしょ?」
「健……。しゃべり過ぎ」
急に楽しそうにペラペラ話し出す健にリツカが一喝入れると、健は言う事を聞いて少し大人しくなった。よく調教されているもんだ。
何だか身体が熱くなってきた。ほろ酔い程度だといつもこうだ。隣のリツカに触れたくてウズウズする。
マズイな……。トイレにでも行って顔洗って来よう。そしたら、もう帰ろう。
俺は席をたってふらつきながらトイレに入った。取り敢えず顔を洗ってブルーのハンカチで顔を拭いていると、リツカが入って来た。
「リツカっ」
今は二人きりは気まずい。どうにか上手い会話でもしてサラッと出て行って、リツカのいない隙に先に帰ってしまおう。
俺が頭をフル回転にさせながら苦笑いをした時だった。
リツカはドアをバタン、と乱暴に閉めると、俺の方に勢いよく近づいてきた。そしてそれに驚いている間に、リツカは俺の腕を強く引いて一番奥の個室へ連れ込んだ。
「ちょっ……何をっ……あっ…んんっ」
リツカは乱暴に俺の顔を掴むと息も出来ない程に口内を犯してきた。
「やめっ……んっ……止めろよッ」
我慢の限界にきた俺はリツカを突き飛ばした。
「俺っ、見てたんだからっ。お前に電話したのに、お前、違う電話取って違う奴と話してた……あいつ、恋人なんだろ!?」
くそ……。何で涙なんかが出てくるんだ。
「そうか。悪かった。俺、会社用と私用と幾つか持ってるからさ。気付かなくてごめん。そんで、健は恋人じゃないよ」
リツカの長い指が俺の涙に触れる。でも俺はふいっと顔を横に向けて拒否した。
「でも……関係はあったんでしょ」
「……うん。あったよ」
じわっと涙が溢れてスルリと滑らかな頬に落ちた。
「シン。今すぐ抱きたい」
「はァ?」
突拍子もない言葉に素っ頓狂な声が出た。
「嫉妬した泣き顔が可愛くて仕方がないんだ」
「嫉妬なんてっ……してねーよっっ」
「もっと怒れよ。俺と健が何回くらい寝たか聞きたい?」
「聞きたい訳ないだろッ……もういいッ! 帰るッ」
想像しただけで息が出来ないかと思う程苦しくなった。それなのになんでそんな酷い事を言うんだ。
出て行こうとする俺を、リツカは後ろから強く抱きしめてきた。
「ごめん、シン。……お前が相手だと、俺、おかしいんだ。すごく意地悪したくなる。こんなに可愛いって思ってるのに。でも同じ位お前の泣く顔が最高に可愛いからかな」
リツカはずるい。そういう甘い声で、優し過ぎる声を俺の脳にすり込ませて俺の身体を痺れさせるんだ。
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「お前だよ」
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コメント
そりゃあ~っ!(//∀//)
個室があれば入る男ですよっ! ←ナニソレ (-ω-)
> きっぱりとシンちゃんがいいと言い切るリツカ、男前ですな~でも、誰が来るかわかんないのに~それに、一回で済むの~!?←心配はそこですか・・・(≧▼≦)
むふふ~無理なんじゃないでしょうかね!!(笑)
でもシンちゃんの方がいいと言った…はいいですが、
遠回しな言い方が気に入りません(。-д-)ウー
> 皆さん、ご観覧なので後ろから(・_・|コソコソ
ちこさん!そんな後ろからでは見えませんよ!!
ささ!ずいっと前へ!!
グイグイ(〃 ̄▽ ̄〃)ω・) サァサァ!
コメントどうもありがとうございました
> 澪ちんも期待してることだし、これはっ!!
> わしも覗かせてもらいまふ☆ ||・-・) ジーッ
澪ちん、うちに来ると壊れるものね(笑)
ゴメンよ、澪ちん(笑)
でも嬉しいよ(〃∇〃)
はっ!そうこうしているうちに夕華さんも覗きに行った模様!
満員になってしまう!
ダッシュ!≡≡≡ヘ(*--)ノ ←
コメントどうもありがとうございました
> ↑シンちゃんの今の気持ちを代弁してみました(えw
あぅっ☆
大便…じゃなかった(笑)代弁ありがとう♪♪
きゅーんが可愛い(*´∇`*)
> ナチュラルに嘘を混ぜながら会話をする男たち。
> 清水先輩以外は腹の中も探り合い中?w
何かのテーマ曲とか流れてそうだよね(笑)
嘘を織り交ぜて話す男たちって何か響きがいいね!!
(*´Д`)ハァハァ ←Σどうした
> トイレに入ったらやっぱ個室へGOされちゃうでしょ(¬w¬*)ウププ
> 盛り上がってきた2人、誰が来るか分からないスリルの中で始めちゃいますか?ワクo( ̄▽ ̄o)(o ̄▽ ̄)oワク ←
でしょ~( ̄ー ̄)ニヤ...
ゴングが聞こえます!!
ささっ!急いで上から覗くのだっ!!
|∀・)ジーッ ←
コメントどうもありがとうございました
きっぱりとシンちゃんがいいと言い切るリツカ、男前ですな~でも、誰が来るかわかんないのに~それに、一回で済むの~!?←心配はそこですか・・・(≧▼≦)
皆さん、ご観覧なので後ろから(・_・|コソコソ
澪ちんも期待してることだし、これはっ!!
わしも覗かせてもらいまふ☆ ||・-・) ジーッ
↑シンちゃんの今の気持ちを代弁してみました(えw
ナチュラルに嘘を混ぜながら会話をする男たち。
清水先輩以外は腹の中も探り合い中?w
トイレに入ったらやっぱ個室へGOされちゃうでしょ(¬w¬*)ウププ
盛り上がってきた2人、誰が来るか分からないスリルの中で始めちゃいますか?ワクo( ̄▽ ̄o)(o ̄▽ ̄)oワク ←
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