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万華鏡-江戸に咲く-22

「そうだ。お前にもう一つ。好きそうだったから持ってきたんだ。ほらよ」
 美月はそう言って酒を渡す。
「おっ。酒じゃねーか!いいのかこんなに?」
 早速美味しそうに飲む。
「良かった。ま、お前が未成年だったら持って来なかったんだけどさ」
「・・・そうか。でも俺ぁ、十七だぞ。」
 そう言ってクイッと酒を煽る。
「・・・はいいいいぃぃ?!おま・・お前、まだ17なのか!?俺より3つも下なのか!?」

(まさか高校生だったなんて・・ああ・・だから性欲が異常に盛んなのね・・)

「何ッ!美月は俺の三つも年上だったのか!?俺ぁてっきり年下かと・・」
「悪かったなッ。ちびで童顔で!!お前が老けてるんだよ!酒返せッこの未成年のガキが!」
 美月が酒を取り上げようとすると、夜は「おっと」と言って瓶を後ろへ隠す。美月はムキになって瓶を取ろうと夜の足を跨いで腕を夜の後ろへ伸ばすと身体に抱きつく形になった。
 
 夜は待ってましたとばかりに瓶を後ろへ置いたまま、両手を美月の腰に回す。
「捕まえた」
 耳元で低く囁かれると全身に鳥肌が立った。
「はっ・・はなせッ」
 身体が密着している為、夜の肩を引き離そうとすると力が入らず、肩にしがみついてしまっているように見える。
「暴れるな。お礼がしたいだけだ。静にしないと足腰立たなくさせる事するが、どっちがいい?」
 ゆっくり身体が引き離されるが、腰に回った夜の手はしっかりと指を絡ませてロックしている。やんわりと「どうする?」という顔の割には瞳で「お礼を断れば犯すけど?」と言っていた。
 仕方がないのでお礼を受ける事にした。

「で、お礼って?」
 夜はニカッと笑う。
「よし。んじゃあ、明日見せたいものがあるから夜に迎えに行く。どこに行きゃあいい?」
 てっきりセクハラを受けるのだと思っていた美月は内心、少し意外で驚いた。だが、未だロックに掛かっている状態でしかも夜の太ももの上に跨って座っている状態なのが落ち着かない。
「抱月先生の所にいると思うから、そこに来てくれれば・・。」
「わかった。」
 そう言って再びゆっくりと美月の腰を引き寄せるので慌てる。
「おいっ・・何をっ・・」
「これは弁当のお礼だ。心配するな。口付けはしない。」
 夜はそっと頬に唇を付けた。ゆっくりと時間をかけて唇を頬に付けている。唇が頬から離れると瞼の上に、おでこに、耳元に、首筋にだんだんと唇のみで吸い付くように食んでいった。
 
 舌を使っている訳でもない。なのにこの唇の艶かしい動きが気持ちよ過ぎてクラクラする。
 瞬きが自然とスローダウンしてくる。目を瞑ると夜の唇の感触が一層敏感に感じることができる。
 夜は唇を美月の口角の真横に付ける。少しズラせばキスが出来るのに、唇には一切触れて来ない。ただ美月の唇の周りをそっとなぞり、口角を食むだけだ。
 
(・・この焦らし・・キツイかも・・)

 美月はもう唇に触れられたくて仕方がない欲求が沸々と沸き起こり、いっそ自分から顔をズラしてキスをしてしまおうかと思ってしまう。だが、それと同時に何とも言えない幸福感が全身を包み、脳を甘く痺れさせていて、いつまでもこの余韻に浸っていたいと感じる。
 
 臀部に硬いものが当たった。夜の性欲が形になって首をもたげ出したのだ。その熱は美月の双丘に伝わり、だんだんと前の部位にも伝染してくる。
 その時店先の方から熊が帰宅した声が聞こえてきた。
「ただいまよーぃ」
 美月はびっくりして夜から離れ、急いで帰ろうとする美月の手を夜が掴むと「明日、迎えに行くから!」と言われたので途端に関連の無いことを言ってしまった。
「それ、熊さんの分だからッ」
 美月は勢いよく熊を横切り店を出て走って帰って行く。

「あれぇ?夜、今の・・この間の綺麗な子じゃねぇか。さっすが夜だなぁ。もうモノにしちまうなんて。今回顔に手形ねぇしな、はは。」
「いや、まだだよ。お前に邪魔された」
「え・・そうなのかぃ?すまねぇな。」
「まぁいい。それよりコレ、美月からの差し入れだ。俺へのお礼なんだがお前にも作ってくれたそうだよ。すげぇ美味いから有難く食え」
 案の定、熊は涙が滲むほど美味しいと感動しながら完食した。熊は夜と違ってソーセージにも差して抵抗せず食べて感激に打ち震えていた。

 2人は裏の縁側の扉を全開にし、眼下に流れる川の音を聞きながら美月から貰った酒で月見酒をやった。
「いい子・・だな。」
 熊がボソッと呟く。
「ああ。いい子だ。」
 夜は暗い夜の空に浮かぶ美しい月を見上げた。



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熊さ~ん・・邪魔ッ

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