10/21/2010（Thu）
小悪魔な弟 ３０話
「好きですっ、久耶くん！ 私と付き合って欲しいの！」
部活のマネージャーであるアキの大きな胸がぷるんと揺れて頭が下がった。
久耶は放課後、呼びだされた体育館の裏でアキから告白をされていた。
近頃色々とあったせいか、久耶はアキに家でキスをされた事をすっかり忘れていた。
グランドの向こうで、次々と帰宅をする生徒たちの明るい声が聞こえる。
「ごめん。付き合えない」
久耶は下がったアキの後頭部を見下ろしながら、正直に自分の想いを返した。
「他に……好きな人でもいるの？」
目に涙を浮かべたアキが顔を上げる。
「いや……今はそういうの、考えられないんだ。ごめん」
そう断ると、アキは小さな声で「分かった」と言って歪んだ顔を隠すようにその場から走り去った。
肉付きのいい背中の上で走る度にピョンピョンと跳ねる長く黒いアキの髪を見送った。
軽く溜息をついて、久耶は日陰になっている体育館の裏から出ようとすると、角から人が入って来た。
一瞬、潤が来たのかと思いドキリとするが、その人影は東城透だった。
「……」
「聞いてたのか？ って顔が言ってるよ？ うん。聞いちゃった、ごめんね」
久耶は無表情のまま顔を逸らす。
「あーん、怒らないでよ。帰りにアイス奢るからさぁ」
透は甘えた声ですり寄るように近づくと、久耶の腕に絡みついた。
「甘いものは……苦手だ」
「そ？ じゃあコーヒー奢るからさっ。お茶して帰ろうよ！」
何となく断りきれない雰囲気のまま、久耶は透に連れられて学校帰りに喫茶店へ寄った。
こじんまりとした落ち着いた雰囲気の喫茶店は透の気に入った場所らしかった。
所々に置いてある観葉植物が木造りの店内に合った落ち着いた雰囲気を出している。
「もうすぐ大会前の夏合宿だね。ところで久耶は大学受験はするの？」
透がイチゴミルクセーキをストローで美味しそうに飲みながら上目遣いで聞いて来る。
「和光大学のスポーツ科に行こうと思ってる」
「え！ やっぱりそうなんだ！？ じゃあ推薦貰う為にも今度の試合、頑張らないとだね！」
「ああ」
和光大学はプロで活躍しているスポーツ選手も数多く在学している。
「和光大かぁ……僕もそこにしようかなぁ。別の科もあるしっ」
「他に行きたい大学はないのか？」
透の腹の中が見えない久耶は涼しい顔をしてコーヒーカップを持ち上げて飲む。
「久耶のいる大学に行きたい」
透がクリーム色のテーブルの上に頬杖をついて甘ったるい表情で見つめる。
「何だ、それは」
久耶は思わず訳の分からないくすぐったいような胸のざわつきを感じて、一気にコーヒーを飲みほした。
「久耶の手、大きいね」
スラリとした透の手が素早く肉厚の男らしい久耶の手を掴み、スルリと指を絡ませた。
「おい、何をッ」
人前で男同士で指を絡ませている事に慌てた久耶は手を離そうともがくが、絡まった透の指は一向に離れない。
「何？ 恥ずかしいの？ これ位いいじゃない。家で潤くんともっと恥ずかしい事、してるんでしょう？」
透は意地悪な目つきでそう言いながら、綺麗な形の親指の腹で久耶の手の甲を撫でた。
久耶は透に言われた事とされている事で心臓がドクドクと加速していく。
「し、していないッ……いや、協力はした……が、やましい事は……いや、恥ずかしいと言えば恥ずかしい事だったが、とにかく離せっ」
「何をしたの？ 言ってくれたら話してあげるよ？」
通りすがりの客やウェイトレスが興味深げにチラチラ見てくる。常識人の久耶にとっては恥ずかしさの限界点を突破しそうな気分だった。
透は「ねぇ……」と言って絡んだ浅黒い久耶の手を引き寄せ、それに頬ずりしてくる。
「モ、モノを！ 二人のモノを一緒に擦ってやったんだよ！」
咄嗟に小声で久耶は行った行為の内容を伝えると、透の瞳が鋭く挑戦的に光った。
「へぇ……て事はさ、久耶も男、大丈夫なんだね」
「何？」
久耶の抵抗が止まる。
「弟を思ってるつもりなんだろうけど、普通、そこまで出来ないから。でも所詮兄弟。それ以上進めばゲイの世界でも異色になるよ？ 近親相姦って難しいから」
「俺はッ……別にそういうのではない！」
何かカチンと来た久耶は厳しい顔で睨むように透にきつく言葉をぶつける。だが透はまるでゴムのように何のダメージも受けずに飄々と余裕で答える。
「怖いなぁ、もう。じゃあもし潤くんが恋愛感情で久耶を好きだったらどうするのさ？」
「兄弟だぞ？ そんな事ありえな……」
「でも普通の兄弟はそんな頼みごとはしないよ」
透がビシリと久耶の言葉の終わりを待たずに割って入った。久耶は苦しげな顔をして目を逸らす。
（潤が……そんな筈はない）
＜＜前へ 次へ＞＞
★もうすぐ５万Hitでございます！！
ついこの間３万Hitキリリクが終わったところで、この猛スピードに驚いてます！！
いつもご来訪本当にありがとうございます｡ﾟ+.ヽ(´∀｀*)ﾉ ﾟ+.ﾟ
さて、左側中央に設置してあります、クマのぬいぐるみが「５００００」となった時点で
ご覧になっている方がいらっしゃいましたら是非、キリ番リクエストを受け付けますので、
秘コメでもメールフォームからでも拍手秘コメでも構いません。
こんなの見たい、などリクエストがございましたら仰って下さいませｖ
お待ちしております♪
また、この後お知らせ記事を出しますm(_ _)m
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久耶は放課後、呼びだされた体育館の裏でアキから告白をされていた。
近頃色々とあったせいか、久耶はアキに家でキスをされた事をすっかり忘れていた。
グランドの向こうで、次々と帰宅をする生徒たちの明るい声が聞こえる。
「ごめん。付き合えない」
久耶は下がったアキの後頭部を見下ろしながら、正直に自分の想いを返した。
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目に涙を浮かべたアキが顔を上げる。
「いや……今はそういうの、考えられないんだ。ごめん」
そう断ると、アキは小さな声で「分かった」と言って歪んだ顔を隠すようにその場から走り去った。
肉付きのいい背中の上で走る度にピョンピョンと跳ねる長く黒いアキの髪を見送った。
軽く溜息をついて、久耶は日陰になっている体育館の裏から出ようとすると、角から人が入って来た。
一瞬、潤が来たのかと思いドキリとするが、その人影は東城透だった。
「……」
「聞いてたのか？ って顔が言ってるよ？ うん。聞いちゃった、ごめんね」
久耶は無表情のまま顔を逸らす。
「あーん、怒らないでよ。帰りにアイス奢るからさぁ」
透は甘えた声ですり寄るように近づくと、久耶の腕に絡みついた。
「甘いものは……苦手だ」
「そ？ じゃあコーヒー奢るからさっ。お茶して帰ろうよ！」
何となく断りきれない雰囲気のまま、久耶は透に連れられて学校帰りに喫茶店へ寄った。
こじんまりとした落ち着いた雰囲気の喫茶店は透の気に入った場所らしかった。
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「もうすぐ大会前の夏合宿だね。ところで久耶は大学受験はするの？」
透がイチゴミルクセーキをストローで美味しそうに飲みながら上目遣いで聞いて来る。
「和光大学のスポーツ科に行こうと思ってる」
「え！ やっぱりそうなんだ！？ じゃあ推薦貰う為にも今度の試合、頑張らないとだね！」
「ああ」
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透の腹の中が見えない久耶は涼しい顔をしてコーヒーカップを持ち上げて飲む。
「久耶のいる大学に行きたい」
透がクリーム色のテーブルの上に頬杖をついて甘ったるい表情で見つめる。
「何だ、それは」
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「久耶の手、大きいね」
スラリとした透の手が素早く肉厚の男らしい久耶の手を掴み、スルリと指を絡ませた。
「おい、何をッ」
人前で男同士で指を絡ませている事に慌てた久耶は手を離そうともがくが、絡まった透の指は一向に離れない。
「何？ 恥ずかしいの？ これ位いいじゃない。家で潤くんともっと恥ずかしい事、してるんでしょう？」
透は意地悪な目つきでそう言いながら、綺麗な形の親指の腹で久耶の手の甲を撫でた。
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「何？」
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コメント
ご無沙汰しております(>ω<)！！
すみません、ここのところ留守にしてたり忙しくなってしまっていたりで
なかなかお邪魔出来ておりません(ﾉ△･｡)
可愛くて計算高い弟ちゃんですが、兄が好きだと自覚してからは
魔性の才能が開花したようです～♪Ψ(｀∀´)Ψヶヶヶ
ﾊﾞﾝﾊﾞﾝヾ(≧▽≦)ﾉｷﾞｬﾊﾊ☆
そうなんですよ(笑)
義理から何だか離れないんですよ、先生！！(笑)
あ、襲いだしの勘違い先生を手玉に取った潤、素敵ですか！
ありがとうございます(笑)
もう、やりたい放題です(笑)
中学生になった小悪魔ですが大きくなるにつれて発展していく恋の行方が
大人っぽく切なくなって行きます(>ω<)
お互い似ている方へと依存していくのか…。
それは兄弟だからダメだと自覚しているからなのかと色々とまだまだ
発展途上です(>_<)
コメントどうもありがとうございました
> でも、もっと強敵の中悪魔が、兄ちゃんを喫茶店へ拉致ったあ！
巨乳撃沈(笑)
するとすかさず中悪魔（ｗ）が喫茶店に拉致(笑)
ﾎｶｸ( ･_･)*――――――∞C< /― _-)/
最初は和やかに警戒されないようにって魂胆でしょうか！？
> 潤くんの内心が暴露されてしまいましたね！
> 良い方へ転がってくれればいいんですけど、どこへ行ってしまうのでしょう？
潤の内心を暴露するなんて、ゲイの風上にもおけませんね！！ヽ(`Д´)ﾉﾌﾟﾝﾌﾟﾝ
その事で好転してくれればいいのですが…。
何せあの兄貴ですからねぇ∑(；￣□￣A ｱｾｱｾ
> それにしても、透は侮れませんね。
> 甘えっぷりが迫真です。
> 強引に出られると弱いトコロを突いてきますね。
> 悪魔兄弟、恐ろしいです∑(￣□￣;)
はい(((=ω=)))ﾌﾞﾙﾌﾞﾙ
なかなかのツワモノのようです。
やはり中悪魔ともなると実力と経験値が高いのでしょうね！
甘えっぷりが迫真でしたか！？堂々と人前でしてますしね～＾＾；
性格も小悪魔ジュンジュンにちょっと似て強引め；
Y(>ω<、)Y ﾋｪｪｰｰｯ!
> 例のカレは今アメリカでゲイ修行中(＠＠）
> 捕まらない程度に頑張って欲しいですね！
あはは(≧∀≦)
ゲイの修行ではないですが、個人的にはそちらも修行して欲しいですｖ
はい(笑)
捕まらない程度にこそこそ頑張って頂きたいです！！(〃∇〃)
開花した際にはお知らせしますねー！←
コメントどうもありがとうございました
ゆさゆさと揺さぶって参りました～！
ヾ(≧▽≦)ﾉ彡☆ばんばん!!
堂々とゲイ一族！！
私の好きなお話しだわ！！←
確かに何とも堂々としてますものね＾＾；
アキは無事振られて（ｗ）ついに強敵が始動した模様です！
今度の敵は更に手強そうですが(；´Д`A ```
コメントどうもありがとうございました
でも、もっと強敵の中悪魔が、兄ちゃんを喫茶店へ拉致ったあ！
潤くんの内心が暴露されてしまいましたね！
良い方へ転がってくれればいいんですけど、どこへ行ってしまうのでしょう？
それにしても、透は侮れませんね。
甘えっぷりが迫真です。
強引に出られると弱いトコロを突いてきますね。
悪魔兄弟、恐ろしいです∑(￣□￣;)
例のカレは今アメリカでゲイ修行中(＠＠）
捕まらない程度に頑張って欲しいですね！
お早うございます＾＾
> 昨日は勘違いして、・・
> 一度目登録されなかったと思って二度出してしまいました。アレッて思われたでしょう。
あ、やはりそうでしたかー！
でも嬉しかったのでそれぞれに返信してしまいました(*´∀｀*)ゞ
スミマセン(^▽^;)
> 透、ついに久耶にアタックしてきましたね。
> 久耶はこの危機をどう乗り切るんでしょうか?
透、ついに動き出しました！
強烈なアタックに久耶、どう対処するのでしょうか(>ω<)
心配です…潤が傍にいないと余計…(-"-;A ...ｱｾｱｾ
コメントどうもありがとうございました
昨日は勘違いして、・・
一度目登録されなかったと思って二度出してしまいました。アレッて思われたでしょう。
透、ついに久耶にアタックしてきましたね。
久耶はこの危機をどう乗り切るんでしょうか?
> しかも今度のは強敵だぞ！！侍よ、刀一本で闘えるのか！？（爆）
恋には絶えずやって来る波…(；´Д`A ```
ﾊﾞﾝﾊﾞﾝヾ(≧▽≦)ﾉｷﾞｬﾊﾊ☆
刀一本でって、二本あったら怖いっす！澪ちんたまー！！(笑)
って、何の事を言っているのでしょうねぇ。
わたくし、よく分からないわ(*ﾉﾉ)ｷｬ
ｳｫﾗｧo(#▼Д▼)Ｏ)ﾟДﾟ)､;'.
> 第二の小悪魔（笑）透たん積極的だな～ｗ
> 押しまくりだね～(^_^;)
> 侍！そんなに間合いを詰められて大丈夫か！？懐に入られておるぞ！（今、腐所と出たｗ）
高校生の小悪魔は先輩だもんね！強力かつ、積極的！
懐に既に入られて攻められている！
変換、ウケる(笑)
しかも「おるぞ！」って侍言葉が移ってるよ(笑)
ガンバレ侍！ガンバレ澪ちん！←
> 核心突いてきたねぇ～ﾂﾝﾂﾝ(*･д･)σ゛
> 兄が良い意味で意識してくれれば良いんだけど…(￣ー￣； ﾋﾔﾘ
ｳﾝ(*-ω-)(-ω-*)ｳﾝ
良い意味で意識してくれたらいいんだけど、目の前に中悪魔が手綱持って
いるからちょっと心配だね＾＾；
> (;ﾟﾛﾟ)ﾊｯ 潤くんったら喫茶店の窓から覗いてた！？ｗ
あはは(≧∀≦)
実はそこにいたりして？？(笑)
今日は喫茶店から覗かせてみた♪
コメントどうもありがとうございました
> あぅぅ…小悪魔降臨…兄ちゃん、胸のざわつきは何～((;ﾟДﾟ))ｱｳｱｳ
> 兄ちゃんが男らしく見えるのに、それが余計に不安にさせる…あたし、すっかり乙女に(〃ω〃)
こんばんは＾＾
降臨しましたねーっΨ(｀∀´)Ψヶヶヶ
胸にざわつきなんて覚えてしまってこっちも若干不安です（汗）
Σ(･ω･ﾉ)ﾉ！
やぴさまがすっかり乙女に！？
(*´Д`)ﾊｧﾊｧ ←（違；
兄ちゃんも罪な奴だッ ｴｲ!(*`・д・´)ﾉ゛)Д`)ﾍﾟｼｮﾝ
> 桔梗さま、お出掛けで！お気をつけて行ってらっしゃいませ～(´∀｀*)
> そして、性のご指導もなさってるのですか！？すっ、すごいです。あたしも御教授賜りたいです (〃▽〃)ﾎﾟｯ
ありがとうございます！行って来ますヾ(*´∀｀*)ﾉ゛
あ、メッセージボード見て下さったのですね(笑)
いえいえ！指導なんてものではないです！
向こうが何か苛めて欲しいというものですから、色々こうして、ああして、
と言っていたら、いつの間にか将来についての相談に発展してしまったという
オチになりました(笑)
アメリカでゲイの方と知り合いになるといいなーなんて期待をしてます(笑)
ミクシィとは違うんですが、そういうサイトに彼も誘って登録したら、
やっぱりゲイの方からの誘いメールが結構来るようで見込みがあります(笑)
って、関係ない事をスミマセン；
コメントどうもありがとうございました
しかも今度のは強敵だぞ！！侍よ、刀一本で闘えるのか！？（爆）
第二の小悪魔（笑）透たん積極的だな～ｗ
押しまくりだね～(^_^;)
侍！そんなに間合いを詰められて大丈夫か！？懐に入られておるぞ！（今、腐所と出たｗ）
核心突いてきたねぇ～ﾂﾝﾂﾝ(*･д･)σ゛
兄が良い意味で意識してくれれば良いんだけど…(￣ー￣； ﾋﾔﾘ
(;ﾟﾛﾟ)ﾊｯ 潤くんったら喫茶店の窓から覗いてた！？ｗ
あぅぅ…小悪魔降臨…兄ちゃん、胸のざわつきは何～((;ﾟДﾟ))ｱｳｱｳ
兄ちゃんが男らしく見えるのに、それが余計に不安にさせる…あたし、すっかり乙女に(〃ω〃)
桔梗さま、お出掛けで！お気をつけて行ってらっしゃいませ～(´∀｀*)
そして、性のご指導もなさってるのですか！？すっ、すごいです。あたしも御教授賜りたいです (〃▽〃)ﾎﾟｯ
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