04/04/2011(Mon)
一周年記念 万華鏡-江戸に咲く-「やせ我慢」4話
あと二日――。
美月は言いつけを守りながら学校へ行ったのはいいが、今日は丁度休講が重なっていて午後が空いてしまった。
仕方ないので大学の図書館で自主勉強をするも落ち着かない。シンと静かなところで勉強するよりも、今は喫茶店のようなざわついた場所の方が集中出来るような気がした。
美月は大学を出てそのまま都内の行き付けの喫茶店に入った。
平日だというのに店内は若い人たちで溢れていて満席だった。美月は次の候補の店の事を考えていると、「美月?」と声を掛けられた。
横を向くと、少し高めの位置にはとても懐かしい顔があった。
「貴之……? 貴之か!?」
「やっぱり美月だった。直ぐに分かったよ」
貴之は同じ大学で美月が江戸に行く少し前から付き合っていた男だ。美月が夜を本気で好きになったと自覚した時、ケジメをつけようと正直に別れを告げると、貴之は美月が思っていた以上に自分を深く愛してくれていた事を知った。
「久し振りだな。今暇か?」
「あ、あぁ……丁度休講で」
「そうか! ならBLOONに行かないか? あそこ、穴場だから結構人少ないだろ? 結構皆夜はバーだが昼は喫茶店だって知らないからさ」
美月はお茶をする位なら、と誘いに乗って付いて行った。
「しかし久し振りだよな。その……例の彼氏とはどうなんだ?」
懐かしい元彼の横顔は何だか少し逞しくなったように見えた。
「うん。上手くいってるよ。今一緒に住んでる」
「そっか……」
貴之の少し安心したような切ないような表情が美月の胸を締め付ける。
「お前は? だれかと付き合ってるのか?」
「ん? ん―……まだ!」
明るく笑った貴之は前の大学にいた時に好きになった笑顔のままだった。皆に好かれて、明るくて包容力があって。一瞬懐かしい昔に戻ったような感覚になる。
「正直言って、お前みたいな綺麗なのと付き合っちまったらやっぱなかなか他が……な。ははっ」
照れたように言う貴之が何だか可愛らしい。そしてそんな事を言われて美月も正直に嬉しかった。
「あ……ありがとっ」
美月もどう応えていいか分からなかったが取り敢えず照れながらもお礼を言った。
「しっかしお前……前よりその……何て言うか……エロい感じに拍車が掛ってないか?」
「エロい!?」
「あ、いや、悪い意味じゃなくて! その、すげぇ綺麗で……そう! 色っぽくなっててドキドキするっつーか……あ! 別に気があるとかじゃなくてっ」
必死になっている貴之が何だか可愛く見えてクスリと笑みが零れた。夜を見ているせいもあってか、貴之が妙に子供っぽく初々しく見えてついからかいたくなってしまいそうになる。
(いや、ダメだ。仮にも元彼……。多分今欲求不満だからそう言う事を思ってしまうんだっ)
気を落ち着かせて美月は微笑んで見せる。
「ありがとな、貴之。俺、今スゲー幸せなんだ」
貴之は「あ――……」と言って目に手を当てた。
「やっべ……また好きになりそ……」
「えっ、ちょっ」
さすがに焦った美月だが、「大丈夫だよ」と苦笑して見せた貴之だった。
「そんなに綺麗にしたの、その彼氏だろ? 全く羨ましいぜ。あ、その彼氏今薬科大にいるんだよな? 見せろよ! 前に見せてくれるって言ったじゃん?」
貴之は急に思い出したようにそんな要求を言って来た。最初は戸惑った美月だったが、美月自身も夜に会いたいのと、大学でどんな生活をしているか正直気になっていたところだった。
そんな成り行きで二人は夜の通うS薬科大へと潜り込んだ。
大学は意外にも潜り込みやすい。美月も昔は休講の時など違う大学の友人のところで潜り込んで授業を受けた事もあった。
(ここが夜のいる大学……大学にいる夜……信じられないなぁ)
美月にとってはやはりあの江戸の街で春画の側でダラけた格好で店番をしている夜のイメージがある。
あの時は長髪で、無造作に一本に縛っていた。着流しを軽く着て煙管を咥えて、いつでも人を狙う猛獣のような雰囲気だった夜。
一時、抱月と夜とで二人同時に攻められた事もあった。
そんな事を連鎖的に思い出すだけで身体が火照ってきてしまう。
「夜くんっ」
美月の身体がビクッと反応した。
声の方を見るとやたら女に囲まれている夜の姿が見えた。
「うわ……すげーなあいつ……何だ?」
貴之は夜を見つけてそう漏らした。
<<前へ 次へ>>
覚えてらっしゃるでしょうか…?
貴之さん(笑)初っ端から美月と二本扱きしてた子です(笑)
ブログ立ち上げて初が二本扱きってどうなんでしょう(-ω-;)
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お礼画像あり☆3種
美月は言いつけを守りながら学校へ行ったのはいいが、今日は丁度休講が重なっていて午後が空いてしまった。
仕方ないので大学の図書館で自主勉強をするも落ち着かない。シンと静かなところで勉強するよりも、今は喫茶店のようなざわついた場所の方が集中出来るような気がした。
美月は大学を出てそのまま都内の行き付けの喫茶店に入った。
平日だというのに店内は若い人たちで溢れていて満席だった。美月は次の候補の店の事を考えていると、「美月?」と声を掛けられた。
横を向くと、少し高めの位置にはとても懐かしい顔があった。
「貴之……? 貴之か!?」
「やっぱり美月だった。直ぐに分かったよ」
貴之は同じ大学で美月が江戸に行く少し前から付き合っていた男だ。美月が夜を本気で好きになったと自覚した時、ケジメをつけようと正直に別れを告げると、貴之は美月が思っていた以上に自分を深く愛してくれていた事を知った。
「久し振りだな。今暇か?」
「あ、あぁ……丁度休講で」
「そうか! ならBLOONに行かないか? あそこ、穴場だから結構人少ないだろ? 結構皆夜はバーだが昼は喫茶店だって知らないからさ」
美月はお茶をする位なら、と誘いに乗って付いて行った。
「しかし久し振りだよな。その……例の彼氏とはどうなんだ?」
懐かしい元彼の横顔は何だか少し逞しくなったように見えた。
「うん。上手くいってるよ。今一緒に住んでる」
「そっか……」
貴之の少し安心したような切ないような表情が美月の胸を締め付ける。
「お前は? だれかと付き合ってるのか?」
「ん? ん―……まだ!」
明るく笑った貴之は前の大学にいた時に好きになった笑顔のままだった。皆に好かれて、明るくて包容力があって。一瞬懐かしい昔に戻ったような感覚になる。
「正直言って、お前みたいな綺麗なのと付き合っちまったらやっぱなかなか他が……な。ははっ」
照れたように言う貴之が何だか可愛らしい。そしてそんな事を言われて美月も正直に嬉しかった。
「あ……ありがとっ」
美月もどう応えていいか分からなかったが取り敢えず照れながらもお礼を言った。
「しっかしお前……前よりその……何て言うか……エロい感じに拍車が掛ってないか?」
「エロい!?」
「あ、いや、悪い意味じゃなくて! その、すげぇ綺麗で……そう! 色っぽくなっててドキドキするっつーか……あ! 別に気があるとかじゃなくてっ」
必死になっている貴之が何だか可愛く見えてクスリと笑みが零れた。夜を見ているせいもあってか、貴之が妙に子供っぽく初々しく見えてついからかいたくなってしまいそうになる。
(いや、ダメだ。仮にも元彼……。多分今欲求不満だからそう言う事を思ってしまうんだっ)
気を落ち着かせて美月は微笑んで見せる。
「ありがとな、貴之。俺、今スゲー幸せなんだ」
貴之は「あ――……」と言って目に手を当てた。
「やっべ……また好きになりそ……」
「えっ、ちょっ」
さすがに焦った美月だが、「大丈夫だよ」と苦笑して見せた貴之だった。
「そんなに綺麗にしたの、その彼氏だろ? 全く羨ましいぜ。あ、その彼氏今薬科大にいるんだよな? 見せろよ! 前に見せてくれるって言ったじゃん?」
貴之は急に思い出したようにそんな要求を言って来た。最初は戸惑った美月だったが、美月自身も夜に会いたいのと、大学でどんな生活をしているか正直気になっていたところだった。
そんな成り行きで二人は夜の通うS薬科大へと潜り込んだ。
大学は意外にも潜り込みやすい。美月も昔は休講の時など違う大学の友人のところで潜り込んで授業を受けた事もあった。
(ここが夜のいる大学……大学にいる夜……信じられないなぁ)
美月にとってはやはりあの江戸の街で春画の側でダラけた格好で店番をしている夜のイメージがある。
あの時は長髪で、無造作に一本に縛っていた。着流しを軽く着て煙管を咥えて、いつでも人を狙う猛獣のような雰囲気だった夜。
一時、抱月と夜とで二人同時に攻められた事もあった。
そんな事を連鎖的に思い出すだけで身体が火照ってきてしまう。
「夜くんっ」
美月の身体がビクッと反応した。
声の方を見るとやたら女に囲まれている夜の姿が見えた。
「うわ……すげーなあいつ……何だ?」
貴之は夜を見つけてそう漏らした。
<<前へ 次へ>>
覚えてらっしゃるでしょうか…?
貴之さん(笑)初っ端から美月と二本扱きしてた子です(笑)
ブログ立ち上げて初が二本扱きってどうなんでしょう(-ω-;)
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拍手秘コメの場合は普通コメント欄にてお返事致します。
お礼画像あり☆3種
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コメント
> でも贅沢な一気に2本挿し…じゃなかった(爆)2本読み~♪
澪ちん!?
澪ちんが初っ端から爆裂してる~(笑)
わざわざ忙しい中ありがとうね~(ノД`)・゜・
> おぉ!貴之くん!いたねぇ...( = =) トオイメ ←
> あららw美月ちゃん焦らしプレイのせいもあってフェロモン放出しまくりだwww
覚えてくれていたかい!?ありがとう~(笑)
いたんだよね~そういう人が(笑)
そして美月はフェロモン絶賛だだ漏れ中(笑)
> むむっ!?何やら不穏な気配が[影]ω ̄)ジーーー
> そうだよね、あの夜がモテないハズがない!
> 美月ちゃんどーする!?
> ひっくり返る暇もなく次話へピューッ!≡≡≡ヘ(*゚∇゚)ノ
わーっありがとう!!
そうなの。不穏な気配が…って事で私も追いかけます!!
ダッシュ!≡≡≡ヘ(*--)ノ
コメントどうもありがとうございました
> 元彼の誘惑に乗っちゃいなよ(。-∀-)ニヒ♪
こんばんは^^
元彼登場でどうなってしまうでしょうか…。
でも美月よりも夜がぁぁあっ!
> その方があとあと燃えるよ~!もめるけどね!!
> 夜さんは素で女の子にいやらしいことしてて欲しい(〃ω〃)
> 挨拶だよ!みたいな…
> と、もめさせたいやぴです。だって、桔梗さまならそのあと相当な濃いエロになること間違いなしだしさ(´ε`).。oO(なるね…)
そうなんですよねーっ(>ω<)
もめた分だけ燃える…でもモメ尽きてしまうとアウト;
あはは(≧∀≦)
やぴさまの希望が♪
そしてよく知っていらっしゃる(〃∇〃)私の思考回路(笑)
コメントどうもありがとうございました
でも贅沢な一気に2本挿し…じゃなかった(爆)2本読み~♪
おぉ!貴之くん!いたねぇ...( = =) トオイメ ←
あららw美月ちゃん焦らしプレイのせいもあってフェロモン放出しまくりだwww
むむっ!?何やら不穏な気配が[影]ω ̄)ジーーー
そうだよね、あの夜がモテないハズがない!
美月ちゃんどーする!?
ひっくり返る暇もなく次話へピューッ!≡≡≡ヘ(*゚∇゚)ノ
元彼の誘惑に乗っちゃいなよ(。-∀-)ニヒ♪
その方があとあと燃えるよ~!もめるけどね!!
夜さんは素で女の子にいやらしいことしてて欲しい(〃ω〃)
挨拶だよ!みたいな…
と、もめさせたいやぴです。だって、桔梗さまならそのあと相当な濃いエロになること間違いなしだしさ(´ε`).。oO(なるね…)
> 昼エロかと思ったら昼メロだった(笑)
(ノ∇≦、)ノ彡☆ キャハハ!!バンバンッ!!
うまい!!確かに~~っ(笑)
> 久しぶりに登場の元彼貴之さんですね~忘れてたよ(笑)
> いたいた(≧▼≦)
> あっさりと美月ちゃんを夜に奪われてしまった人だ!
o(*・ω・)ノ ァィ
私も忘れてました(笑)
そうです。あっさりと奪われてしまった結構可哀想な彼です(笑)
> 階段でエロ~いことしていたような・・・?
ぉお!!(゚ロ゚屮)屮よく覚えていらっしゃる!!
そうです!階段でシコシコしてました~(笑)
> 美月ちゃんったら、夜の様子を見に来たのはいいけど、案の定夜は女の子引き連れてたね・・・(;^_^A
> 美月ちゃんは我慢大会中なのに・・・(>_<)
> これから、一波乱の予感(≧ω≦)
案の定です(-ω-;)
ゾロゾロと引きつれて(笑)
何やら波乱の予感です(>ω<)
コメントどうもありがとうございました
昼エロかと思ったら昼メロだった(笑)
久しぶりに登場の元彼貴之さんですね~忘れてたよ(笑)
いたいた(≧▼≦)
あっさりと美月ちゃんを夜に奪われてしまった人だ!
階段でエロ~いことしていたような・・・?
美月ちゃんったら、夜の様子を見に来たのはいいけど、案の定夜は女の子引き連れてたね・・・(;^_^A
美月ちゃんは我慢大会中なのに・・・(>_<)
これから、一波乱の予感(≧ω≦)
コメント