04/29/2011(Fri)
続・ネクタイの距離 20話
柳は非力で愚かな自分を呪った。
レイプされた相手に病院へ運ばれ、激しいプレイの末だったと強制的に言わされ悔し涙が止まらない。
真実を言おうとしても学に知られる事を考えると、隠し通す方しか選べなかった。
「先生のこの酷い写真、学くんに見せたらもう絶対アンタなんか抱けないだろうね」
そう言って亮太は携帯をチラつかせてきた。見せられた写真は既に記憶のない時のだが、レイプ後の目を覆いたくなるような自分の姿だった。
薄暗い病院の中で、柳は自分の携帯から学に電話をかけた。
「もしもし、先生? もう終わったの?」
昨日まで合っていた筈なのにとても懐かしく感じる学の若々しくて低い声が耳に響いてきて泣きそうになった。今までの何倍も優しい声に聞こえる。
「あぁ……悪いんだけど明日も無理だ」
柳は今自分の声が震えていないか不安だった。上手く素っ気なく聞こえていれば、それでいいと声のトーンを抑える。
「え……何か用事?」
「あぁ。ちょっと仕事が忙しくてね。身体の調子も良くないから無理はしたくないんだ。悪い」
「具合悪いの? 大丈夫? 俺、先生の見舞い行くよ。家どこ?」
「いや、大丈夫だ。来られると仕事が出来ないから……いい」
ブワリと涙が湧きでてきた。今直ぐに会って抱き締めて貰いたい、泣いて縋りつきたい、助けてと叫びたかった。
「あ……そう…か。ごめんなさい……でも…無理しないで。辛くなったら電話して。俺、直ぐ行くからさ! 一瞬でも、顔……見たいし」
「あぁ……じゃ」
(学……助けて……)
柳はおやすみも言わずに電話を切った。それ以上言葉が発せられない程ボタボタと大量の悲痛な涙でひきつけを起こしそうだった。
通話を切ると激しい嗚咽に襲われ、服の袖口で口を抑えて泣いた。
大好きだった人に裏切られ、大好きな人を裏切る事の痛みで発狂しそうになった。柳は、まるで這い上がる気力さえ奪い去るような深く狭い井戸へ落されたような気持ちになった。
柳からの電話を受けて、学は柳の違和感を感じた。柳は何か煮詰まったような喋り方に加え、まるで学を拒否しているような素振りだった。
不安に駆られもう一度柳の携帯にかけたが電源を切っている様で通じない。
電話が通じない状態は次の日も同じだった。どんどん膨らんでいく不安を抱えたまま月曜を迎えた。いつもは遅めに来る学だったが今日は朝一番で校舎の職員用の駐車場スペースに来た。
柳の車を待っていたが、他の教師が来ても柳が来る事はなかった。
ホームルームの時間になったので仕方なく教室へ行った。続いて入って来た教師は別の年配の男性だった。
「えー、柳先生は病欠の為暫く来られないとの連絡がありました」
(病欠?)
「えーっ 先生来ないのォ?!」
「会えないの寂しーィ」
口々に女子たちが騒ぐ。
(どうして? ……どうして教えてくれなかったんだ?)
学の頭の中は疑問で一杯になった。金曜までは確かに良い雰囲気で来ていた筈だった。喧嘩もした覚えは無かったし、嫌われるような事があったとも思えない。
幾ら考えても連絡をされなくなる様な事は思い出せなかった。だとすると理由は土曜にあるとしか考えられなかった。
必死で理由を探っていた学がふと何気なく見渡した教室の先で、不気味に歪む亮太の顔が見えた。
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レイプされた相手に病院へ運ばれ、激しいプレイの末だったと強制的に言わされ悔し涙が止まらない。
真実を言おうとしても学に知られる事を考えると、隠し通す方しか選べなかった。
「先生のこの酷い写真、学くんに見せたらもう絶対アンタなんか抱けないだろうね」
そう言って亮太は携帯をチラつかせてきた。見せられた写真は既に記憶のない時のだが、レイプ後の目を覆いたくなるような自分の姿だった。
薄暗い病院の中で、柳は自分の携帯から学に電話をかけた。
「もしもし、先生? もう終わったの?」
昨日まで合っていた筈なのにとても懐かしく感じる学の若々しくて低い声が耳に響いてきて泣きそうになった。今までの何倍も優しい声に聞こえる。
「あぁ……悪いんだけど明日も無理だ」
柳は今自分の声が震えていないか不安だった。上手く素っ気なく聞こえていれば、それでいいと声のトーンを抑える。
「え……何か用事?」
「あぁ。ちょっと仕事が忙しくてね。身体の調子も良くないから無理はしたくないんだ。悪い」
「具合悪いの? 大丈夫? 俺、先生の見舞い行くよ。家どこ?」
「いや、大丈夫だ。来られると仕事が出来ないから……いい」
ブワリと涙が湧きでてきた。今直ぐに会って抱き締めて貰いたい、泣いて縋りつきたい、助けてと叫びたかった。
「あ……そう…か。ごめんなさい……でも…無理しないで。辛くなったら電話して。俺、直ぐ行くからさ! 一瞬でも、顔……見たいし」
「あぁ……じゃ」
(学……助けて……)
柳はおやすみも言わずに電話を切った。それ以上言葉が発せられない程ボタボタと大量の悲痛な涙でひきつけを起こしそうだった。
通話を切ると激しい嗚咽に襲われ、服の袖口で口を抑えて泣いた。
大好きだった人に裏切られ、大好きな人を裏切る事の痛みで発狂しそうになった。柳は、まるで這い上がる気力さえ奪い去るような深く狭い井戸へ落されたような気持ちになった。
柳からの電話を受けて、学は柳の違和感を感じた。柳は何か煮詰まったような喋り方に加え、まるで学を拒否しているような素振りだった。
不安に駆られもう一度柳の携帯にかけたが電源を切っている様で通じない。
電話が通じない状態は次の日も同じだった。どんどん膨らんでいく不安を抱えたまま月曜を迎えた。いつもは遅めに来る学だったが今日は朝一番で校舎の職員用の駐車場スペースに来た。
柳の車を待っていたが、他の教師が来ても柳が来る事はなかった。
ホームルームの時間になったので仕方なく教室へ行った。続いて入って来た教師は別の年配の男性だった。
「えー、柳先生は病欠の為暫く来られないとの連絡がありました」
(病欠?)
「えーっ 先生来ないのォ?!」
「会えないの寂しーィ」
口々に女子たちが騒ぐ。
(どうして? ……どうして教えてくれなかったんだ?)
学の頭の中は疑問で一杯になった。金曜までは確かに良い雰囲気で来ていた筈だった。喧嘩もした覚えは無かったし、嫌われるような事があったとも思えない。
幾ら考えても連絡をされなくなる様な事は思い出せなかった。だとすると理由は土曜にあるとしか考えられなかった。
必死で理由を探っていた学がふと何気なく見渡した教室の先で、不気味に歪む亮太の顔が見えた。
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拍手秘コメの場合は普通コメント欄にてお返事致します。
お礼画像あり☆6種ランダム
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コメント
エーン(pωq)ヽ(・ω・。)ヨチヨチ
可哀想です…てんてい(涙)
痛苦しい状況に私もオロオロしてます。オロo(;д;o)(o;д;)oオロ
> そして不安な学ちん!
> 一見ただの連絡のような電話だけど、学ちんがすごくすごくすごく大きく大きく感じました><
> でも電話からてんてーの何かに気付いたのはエライ!←なぜ上から目線!?
> 愛の力だ!!
学を大きく感じて頂けて嬉しいです!
上から目線(笑) それはSだからですよ、きっと!(違w
でも愛の力ですよね。色々と気付いたのは!
早く助けて欲しいものです(>ω<)
> そうだ、あのまま分からなかったら、家も知らないままで学ちんが可哀想だったが、彼らには亮太という接点が・・・・・・!
> 桔梗たまのムチとヒールで!! じゃなかった、ドS加減で、馬鹿兄弟を徹底的にオシオキの刑~~~!!!!
そうなんですよね…。教室にいるんですよね…。
悪魔が……|`∀´)Ψヶヶヶ
本当。制裁を与えてやりたいです!!
イケ!学よ!!
ん?私のムチとヒールで!?
では先ず高温ロウソクと棘ムチで……ヾ(ーー )ォィ
コメントどうもありがとうございました★←スミマセン!何か絵文字が出て来ないですっ(´Д`A;)
そして不安な学ちん!
一見ただの連絡のような電話だけど、学ちんがすごくすごくすごく大きく大きく感じました><
でも電話からてんてーの何かに気付いたのはエライ!←なぜ上から目線!?
愛の力だ!!
そうだ、あのまま分からなかったら、家も知らないままで学ちんが可哀想だったが、彼らには亮太という接点が・・・・・・!
桔梗たまのムチとヒールで!! じゃなかった、ドS加減で、馬鹿兄弟を徹底的にオシオキの刑~~~!!!!
> こんばんは。
> 一話ワープしました。怖くてビビりながら来ました(>_<)←ファンタジーとリアルの境がないためこうなる(笑)
> 一応先生が助からなかったのは確認したんですが…高速スクロールで
スミマセン!!でも無理な場合は本当、ワープして下さいね!!
頑張って見てしまい気分悪くされたら大変ですから!!
もう、いつも本当にスミマセン(-ω-;)
> やっぱ言えないよね。
> でも、きっと学ちんならしっかりと受け止めてくれるよ。男らしいもん、意外と。
> 最後にはあの兄弟に制裁を加えて欲しいな~(*´ェ` ) しょっぴいて~
言えないですよね(>ω<)
言ってしまえばいいと思うのですがね…。
学なら受け止めてくれる気もします!
意外と男らしい!嬉しいお言葉ですvありがとうございます!
本当!制裁が下るといいんですよ!!
そんな事する奴らにはッ!!ヽ(`Д´)ノプンプン
コメントどうもありがとうございました
>
> 柳は、もう 不幸&悲惨な状況になってしまってるし~Σ(OωO)ビク
えー!大丈夫ですか!?
PC壊れるとかなり大変ですよね(´Д`A;)
スミマセン、ちょっとのお留守の間にエライ事になってしまい;
> でも 学の✧愛の力✧があれば 大丈夫でしょ!。゚+.(・∀・)゚+.゚ok!
> ・・・って その前に まだ はっきりと気づいてなかったぁーー!(ii▽ii)
愛の力だでどうにか助けて欲しいところです(>ω<)
> PC、完全復活までは・・・...( = =) トオイメ...byebye☆
完全復活出来ますように!!
私から電磁波を送ります!
大変な中わざわざありがとうございました(ノ△・。)
コメントどうもありがとうございました
こんばんは。
一話ワープしました。怖くてビビりながら来ました(>_<)←ファンタジーとリアルの境がないためこうなる(笑)
一応先生が助からなかったのは確認したんですが…高速スクロールで
やっぱ言えないよね。
でも、きっと学ちんならしっかりと受け止めてくれるよ。男らしいもん、意外と。
最後にはあの兄弟に制裁を加えて欲しいな~(*´ェ` ) しょっぴいて~
柳は、もう 不幸&悲惨な状況になってしまってるし~Σ(OωO)ビク
でも 学の✧愛の力✧があれば 大丈夫でしょ!。゚+.(・∀・)゚+.゚ok!
・・・って その前に まだ はっきりと気づいてなかったぁーー!(ii▽ii)
PC、完全復活までは・・・...( = =) トオイメ...byebye☆
その後会社などどうですか?
お忙しい中ありがとうです(*´∇`*)
そうなんですよ…少しの間にエライ事になってしまって(´Д`A;)
確かにここで疑問持つ学に愛を感じますよね(*´∇`*)
次回対決になるかどうか(((=ω=)))ブルブル
楽しみにして下さって嬉しいですv
私も岩陰からそっと奴らの動向を見守りたいと思います!
コメントどうもありがとうございました
□⊂(・ω・`) ナカナイデ...
> 全てを放り出して、学くんの元に行けたらどれだけいいか(´Д`) =3 ハゥー
> でも、こんな状態で行って説明できるわけもないし、まず行かせても貰えないのだろうなぁ。
本当だよね…。縋る事さえできればどれだけいいかだよね(>_<。)
もうこうなったら軽く捕虜だよね…。
> しかし、学くんはなかなか頭が良さそうだ!
> 柳センセの違和感や、怪しい様子にも気づきかけてる。
> だけどその前に亮太が何か行動を起こしそうな予感…。
学、頭いい!?名前負けしてないかい?←
確かに色々と気付いているみたいで見てるこっちが焦る;
そして亮太の不自然な表情が不安を煽る(-ω-;)
怖い状態がまだ続きます;;;
コメントどうもありがとうございました
> 大変だ、大変だっ!
はい(>ω<)
未だ囚われています(涙)
どうにか逃げ出す事が出来ればいいのですが(´Д`)
> 学ちん、フェロモンを捕まえて、吐かせるんだあ~~~(涙)
> 悪いのは柳師匠じゃなくて、フェロモン兄弟なのに・・・自分を責めちゃいけないよ、師匠~(涙)
そうですよね(>△<)!
極悪兄弟が悪いのに自分を責めてはいけない!
学よ、捕まえてくれ…(ノ△・。)
> 愛あるSさまがいいな~やっぱり(*^□^*)
> フェロモンのヤツ、絶対写メをチラつかせるぞ!!
> え~ん゜。(p>∧<q)。゜゜え~ん
私も愛あるSたんがいいです!SMには愛がないとですよね!
亮太、写メで何かしそうで怖いです(>_<)
Σあっちこさんを泣かせてしまった!
エーン(pωq)ヽ(・ω・。)ヨチヨチ
コメントどうもありがとうございました
全てを放り出して、学くんの元に行けたらどれだけいいか(´Д`) =3 ハゥー
でも、こんな状態で行って説明できるわけもないし、まず行かせても貰えないのだろうなぁ。
しかし、学くんはなかなか頭が良さそうだ!
柳センセの違和感や、怪しい様子にも気づきかけてる。
だけどその前に亮太が何か行動を起こしそうな予感…。
大変だ、大変だっ!
学ちん、フェロモンを捕まえて、吐かせるんだあ~~~(涙)
悪いのは柳師匠じゃなくて、フェロモン兄弟なのに・・・自分を責めちゃいけないよ、師匠~(涙)
愛あるSさまがいいな~やっぱり(*^□^*)
フェロモンのヤツ、絶対写メをチラつかせるぞ!!
え~ん゜。(p>∧<q)。゜゜え~ん
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