04/02/2010(Fri)
万華鏡-江戸に咲く-3
問いかけつつそんな事を思っていたら唇に柔らかい感触を感じた。万華鏡の瞳は美月の瞳を一切逸らさず見つめたまま、唇の感触を楽しむように啄ばんでいる。
(あ・・きもち・・目線・・逸らせないや。)
美月は自分の瞳がすでにトロンと溶けているのも気付かずに夢中で唇を貪った。
「君のキス気持ちいいからこのまましながら、話続けるよ。」
チュッ チュッっと音を立ててキスをしながら合間に器用に話し、そのまま唇をゆっくり擦り付けながら再び話し出した。
「この説明が終わるまで少しキスを堪能させてもらったら渡すからね。君に渡すのは昔からこういう風に人から人へ手渡し・・じゃないか。マウストゥーマウスで渡されて来たものなんだって。その能力と機能を使い果たした人は次の貰うべく人を見つけて渡さなければいけないんだ。」
「んんっ・・ん・・はぁ・・」
急に男の舌が口内にスルリと入って美月の舌を絡め取ってしまった。美月の焦りとは裏腹に自由に動くその舌に感じてしまい声まで出る始末だ。
「君・・声も可愛いね。ごめん、ちょっと入れたくなっちゃって。」
(この人・・キスうまい・・てか俺なに知らない奴とキスなんかしてんだ・・)
必死に欲望を押しのけ理性で男を引き離そうと試みるが、外見とは違い意外と力のある男はビクともせず、逆に腕を取られて動けなくされてしまった。
「んん。ダメだよ。このキスは余興だけどキス自体は必要なんだから。どうせやるなら楽しもうよ。僕らはもう二度と会えないんだし、今だけだから。ね?ほら、舌出してごらん。気持ちよくしてあげる。」
恐る恐る言われるがままに舌を差し出すと、いい子だとでも言うように目を細めて美月の舌を吸い取る。舌の裏や上蓋や歯茎の裏まで巧みに犯されていく。
今まで人にされた事のないような濃厚なキスに頭の中がとろける。
「んぁ・・あぁ・・はぁ・・」
(どうしよ・・こんなトコ誰かに見られたら・・)
会ったばかりの男と外でこんな事をしていておかしいと分かっていても、今の美月には興奮の材料にさえなっていた。
(俺ってこんなに押しに弱かったなんて・・)
「そんな目をされちゃあ、僕の理性が持たないよ。フフ。じゃあ、そろそろ渡すから僕の目を見てて。いいね?」
そう言うと男は深呼吸をして目と閉じると、「今までありがとう」と呟いた。誰に対して言ったのか全く分からないが、目を開けた時の男の顔があまりにも充実していたのでなんだか羨ましく思えた。
何かを決心した時の男の顔は綺麗というより格好良く見えた。美月の顔を正面に向け、両手で頬を包み込むと視線を掴む。
「契約を、譲渡する」
男は静かにそう言うと瞳の中の万華鏡が一層激しくキラキラと形を変えるように動くのが見える。
(な・・に?この人の目・・万華鏡が動いてる・・!?)
「俺の目をよく見て。目を逸らさないで。そう・・そのまま」
ゆっくりと近づき口付けをされる。
万華鏡の瞳がぼやけて見える程近いはずなのに、その形がはっきり見える。瞳の奥にあった宝石たちは美月の頭の中にイメージとなってどんどんと飛び込んで来た。
流れ込んでくる。どんどんと。次から次へと。
こんなに沢山の宝石が頭の中に入ってきたらいっぱいに埋め尽くされてしまうのではないか。
目の前には男がいるはずで、唇はその男と重なっているはずなのにそれが見えない。
それを感じない。
見えているのは頭の中のイメージのものだけだ。
―音が聞こえてくる。何の音だろう。
聞いた事のない音だったが、美月は自然と分かるような気がした。
(ああ、星の音だ。遠くで風鈴の音も鳴っている・・)
「星の音の最後に別の音が聞こえたかい?聞こえたら、もう譲渡は終わったよ。こっち、見てごらん」
ゆっくりと視界に現実の景色が広がる。男は満足したように微笑んでいる。男の瞳にはもう万華鏡は宿ってはいなかったがほんの少しだけ、ガラス球の中にその残像が残っているだけだった。
「あの・・あなたのきらきら・・」
何がなんだか分からないまま幼子のように疑問を投げかける。
「ああ。万華鏡は今君の瞳の中にあるよ。やっぱりソレ、綺麗だ。君に良く似合ってる。」
(俺の目の中に・・?)
「君は時間と時空を操れる能力を手にした。時間が刻まれているものならなんでもいい。そいつの時間を設定して命令をすればそこに飛ばされる。ただ、最初の時だけは自動的に飛ばされる。何故そこに、どうしてかは言えないが必然だから。まぁ、あとは自然と分かると思うから。力が宿ると分かるものなんだ。じゃあ、いい人生をね。君に逢えて良かったよ。」
そう言うとチュッと軽くキスをして、その美しい男は去って行ってしまった。
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(あ・・きもち・・目線・・逸らせないや。)
美月は自分の瞳がすでにトロンと溶けているのも気付かずに夢中で唇を貪った。
「君のキス気持ちいいからこのまましながら、話続けるよ。」
チュッ チュッっと音を立ててキスをしながら合間に器用に話し、そのまま唇をゆっくり擦り付けながら再び話し出した。
「この説明が終わるまで少しキスを堪能させてもらったら渡すからね。君に渡すのは昔からこういう風に人から人へ手渡し・・じゃないか。マウストゥーマウスで渡されて来たものなんだって。その能力と機能を使い果たした人は次の貰うべく人を見つけて渡さなければいけないんだ。」
「んんっ・・ん・・はぁ・・」
急に男の舌が口内にスルリと入って美月の舌を絡め取ってしまった。美月の焦りとは裏腹に自由に動くその舌に感じてしまい声まで出る始末だ。
「君・・声も可愛いね。ごめん、ちょっと入れたくなっちゃって。」
(この人・・キスうまい・・てか俺なに知らない奴とキスなんかしてんだ・・)
必死に欲望を押しのけ理性で男を引き離そうと試みるが、外見とは違い意外と力のある男はビクともせず、逆に腕を取られて動けなくされてしまった。
「んん。ダメだよ。このキスは余興だけどキス自体は必要なんだから。どうせやるなら楽しもうよ。僕らはもう二度と会えないんだし、今だけだから。ね?ほら、舌出してごらん。気持ちよくしてあげる。」
恐る恐る言われるがままに舌を差し出すと、いい子だとでも言うように目を細めて美月の舌を吸い取る。舌の裏や上蓋や歯茎の裏まで巧みに犯されていく。
今まで人にされた事のないような濃厚なキスに頭の中がとろける。
「んぁ・・あぁ・・はぁ・・」
(どうしよ・・こんなトコ誰かに見られたら・・)
会ったばかりの男と外でこんな事をしていておかしいと分かっていても、今の美月には興奮の材料にさえなっていた。
(俺ってこんなに押しに弱かったなんて・・)
「そんな目をされちゃあ、僕の理性が持たないよ。フフ。じゃあ、そろそろ渡すから僕の目を見てて。いいね?」
そう言うと男は深呼吸をして目と閉じると、「今までありがとう」と呟いた。誰に対して言ったのか全く分からないが、目を開けた時の男の顔があまりにも充実していたのでなんだか羨ましく思えた。
何かを決心した時の男の顔は綺麗というより格好良く見えた。美月の顔を正面に向け、両手で頬を包み込むと視線を掴む。
「契約を、譲渡する」
男は静かにそう言うと瞳の中の万華鏡が一層激しくキラキラと形を変えるように動くのが見える。
(な・・に?この人の目・・万華鏡が動いてる・・!?)
「俺の目をよく見て。目を逸らさないで。そう・・そのまま」
ゆっくりと近づき口付けをされる。
万華鏡の瞳がぼやけて見える程近いはずなのに、その形がはっきり見える。瞳の奥にあった宝石たちは美月の頭の中にイメージとなってどんどんと飛び込んで来た。
流れ込んでくる。どんどんと。次から次へと。
こんなに沢山の宝石が頭の中に入ってきたらいっぱいに埋め尽くされてしまうのではないか。
目の前には男がいるはずで、唇はその男と重なっているはずなのにそれが見えない。
それを感じない。
見えているのは頭の中のイメージのものだけだ。
―音が聞こえてくる。何の音だろう。
聞いた事のない音だったが、美月は自然と分かるような気がした。
(ああ、星の音だ。遠くで風鈴の音も鳴っている・・)
「星の音の最後に別の音が聞こえたかい?聞こえたら、もう譲渡は終わったよ。こっち、見てごらん」
ゆっくりと視界に現実の景色が広がる。男は満足したように微笑んでいる。男の瞳にはもう万華鏡は宿ってはいなかったがほんの少しだけ、ガラス球の中にその残像が残っているだけだった。
「あの・・あなたのきらきら・・」
何がなんだか分からないまま幼子のように疑問を投げかける。
「ああ。万華鏡は今君の瞳の中にあるよ。やっぱりソレ、綺麗だ。君に良く似合ってる。」
(俺の目の中に・・?)
「君は時間と時空を操れる能力を手にした。時間が刻まれているものならなんでもいい。そいつの時間を設定して命令をすればそこに飛ばされる。ただ、最初の時だけは自動的に飛ばされる。何故そこに、どうしてかは言えないが必然だから。まぁ、あとは自然と分かると思うから。力が宿ると分かるものなんだ。じゃあ、いい人生をね。君に逢えて良かったよ。」
そう言うとチュッと軽くキスをして、その美しい男は去って行ってしまった。
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コメント
> いきなりこんなところに、現れてみました。
こんにちは!
(〃д〃)キャ~♪
こんな場所でありがとうございます!!
実は今少しずつ修正かけているんです(*ノωノ)ポッ
2話まで終わってます(笑)
> 友達と話をしていたら、ふと読みたくなって読み返しています。
わああっ
嬉しいです!!ありがとうございます!!
+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
> そう言えば、美月への能力の受け渡しってこんなんだったなぁと思い出しました。
> このお兄さんは誰なんでしょう…?
ですよねぇ(〃∇〃)
私もかなり久し振りに読み返して一人で赤面してました(笑)
このお兄さん……私も知りません(笑)
美月の前にドラマがあったのでしょうね(*´∇`*)
でもいつかこのお兄さんの話でも番外編とかで書けたら面白そうです!
> 物語の結末を知っていると、美月の性格というか、中身が変わってるなと…。
> これから、幸せになってくれ!!
そうなんですよね!
段々と時代を超えて色んな人に出会う事で
中身が変わっていくのも書けて楽しかったです!
それにしても大分変わったものですよね~(笑)
前はもっと( -з) フンって感じだったような気が(笑)
幸せを願って下さってありがとうございますv
> また、たまに現れます。
ヽ(。・ω・。)ノぁぃ♪
お待ちしてますvvv
コメントどうもありがとうございました
いきなりこんなところに、現れてみました。
友達と話をしていたら、ふと読みたくなって読み返しています。
そう言えば、美月への能力の受け渡しってこんなんだったなぁと思い出しました。
このお兄さんは誰なんでしょう…?
物語の結末を知っていると、美月の性格というか、中身が変わってるなと…。
これから、幸せになってくれ!!
また、たまに現れます。
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