2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--:-- | スポンサー広告 | edit | page top↑

小悪魔なお兄ちゃん 1話

「何、アンタ今日遅くなるの? 何時? 今日お母さんとお父さん三橋さんちに行くのよ」

 今日は土曜日。久耶は大学を見学するついでに、既に大学に入った先輩たちと夕食をしてくる約束があると言うのだ。
 潤は相変わらず白くモチっとした頬を赤く染めて膨れっ面をしていた。

(何だよ。兄ちゃんの奴っ。せっかくお母さんたちがいないチャンスだってのにッ)

 何故潤がいじけた顔をしているかは、久耶にも十分に理解出来ていた。だがせっかくの先輩たちの話を聞くチャンスと、大学の下見をしに行くのを断る訳にはいかない。
 既に第一志望の大学は合格した久耶と潤だったが、時間が出来ても大学の勉強の予習を怠らない日々を過ごしていた。
 潤も漸く終わった受験生活から解放されてか、風邪を引いてしまった。やっと治ったこの日に限って二人きりになれるチャンスは消えてしまった。
 長い禁欲生活で潤の身体は今まで以上に敏感になりつつあった。勉強をしていない間は気が付くと妄想に耽っており、内容もエスカレートしてきている状態が続いていた。
 
「んもうっ。何がそんなに気に食わないの、潤! 母さんたちと三橋さんちに行きたいの? いいのよ? たまには一緒に来たって」
 潤はブンブンと頭を横に振って黙ったままだ。その態度は幼稚園児そのものだ。
「もう、知らない! 後はお兄ちゃんが何とかして! お兄ちゃんの事なら言うこと聞くんだからッ。じゃあ母さんたちもう行くからね!?」
 母親は銀に近い真っ白な長い髪をたなびかせてサッサと玄関を出て行ってしまった。それを追うように、極道の親分のような和服姿の父親が玄関口で立ち止まる。
 父親がチラリとこちらに顔を向けると久耶に向かって何やら玄関の所を指した。
 久耶はその指先を見て「分かった」と一言だけ言うと、父は静かに出ていった。
 どうやら玄関の鍵を指さして“戸締まりを忘れるな”と言いたかったらしい。口数の少なすぎる二人の暗号のような会話は今に始まった事ではない。
「早く帰って来るから……」と宥める久耶に「ふんっ」と潤は反対方向を向いた。
 いじける潤の態度と顔がとても可愛いと思った久耶だったが、そんな事をこのタイミングで言える性格でもない。久耶はいつもと変わらぬ整った真面目な顔で「じゃ、行って来るから。戸締まりを忘れるなよ」とだけ伝えて続けて出ていった。
カチャっと戸の閉まる音がすると、潤の顔はぶーっと脹れっ面をしてソファに身を投げた。
「んも~っ兄ちゃんのばかあーっ」
 色々と溜まっている潤は栗色の柔らかな髪をクシャクシャにかき乱してソファーにあったクリーム色のクッションをぶんぶん振り回した。
 仕方ないのは分かっているが、自分だけ久耶を求めているようで気に食わなかった。

(昔の方が兄ちゃん、僕の事いっぱい触ってくれた)

 “触ってくれた”と言っても潤の方から久耶に向かっていくのが常だ。久耶は相変わらず照れ屋でそう言った行為に慣れないでいる。そんな純情な兄も堪らない萌えを感じる潤だった。

 ぷりぷりと怒りながらも、潤は仕方なく二階に上がって漫画を読みだした。友達と遊びにでも行く気分にはなれず、ベッドの上で足をバタつかせながらお気に入りの漫画をパラパラとめくる。
 潤はそんな事をしているうちに、再び身体の内側から気だるい感覚に襲われてきた。
 ベッドから出ると、襖だけで仕切られた久耶の部屋へと向かった。綺麗に整頓された久耶の部屋は何となく清々しい香りがする。潤のグチャグチャのベッドとは違い、きちんと皺も伸ばされた久耶のベッドが性格まで映し出している。
 潤は早速久耶のベッドに潜り込むと、中でスゥッと息を吸い込んで溜息をついた。

(兄ちゃんのシャンプーの匂いがする……)

 ベッドの中でゴソゴソと服を脱ぐと、それを床へと捨てた。素肌に柔らかな羽毛布団がまとわりついて気持ちがいい。
「兄ちゃん……ハァっ」
 久耶が触るように、潤は自分の身体にゆっくりと掌を滑らせていく。
「あ……んっ……」
 久耶の好きな乳首を爪先で軽くひっかくと、立ち上がった潤の亀頭がピクピク反応する。
 我慢出来なくなった潤は早速自分の部屋から玩具を持ち込み、時間をかけて久耶を想像して自慰に耽った。
 最近、潤の頭の中の久耶は、いつもよりも少し積極的で刺激的だ。現実の久耶はいつも緊張気味に、潤を傷つけまいと慎重に事を進める。それはとても潤を大切にしている事が伝わるから嬉しいのだが、たまにはお構いなしに酷く扱われてみたい、なんてMっ気のある潤は思ってしまう。

 結局、ダラダラとそんな事をして過ごし、夕飯を適当に済ませてテレビを見ているうちに夜の十時を過ぎた。
 急になった電話に驚いて出ると母親からだった。内容は、父親が珍しくお酒を多く飲んで手のつけられない状態になってしまったので今夜は泊まって来る、という連絡だった。
 あまり家では酒を飲まない父だから、あの父親がはっちゃけるなんて想像が出来なかった。想像すると少し可笑しい。

(せっかくお母さんたち、泊まりなのにな……でももしかしたら兄ちゃんも泊まりかもしれないしな……)

 考えていると寂しくなってくるので、潤はシャワーを済ませた。
 シャワーを出て着替えようとした時に、急に思い出したように素っ裸のまま久耶の部屋に向かった。
 潤は久耶の部屋のクローゼットから引っ張り出してきた、大きめな白いスウェットを頭から被ると、丁度ワンピースのようになった。
 全身の肌で久耶のものに包まれたくて、何となくそれ一枚だけを着て下にも何も履かなかった。そのままリビングに下りて行くと、サイダーを用意して再びテレビを見だした。

 いつの間にかウトウトしていた潤は、玄関のガチャガチャという音が聞こえて意識が少し目覚める。

(あれ……お兄ちゃんかな……お母さんかな……)

 眠気が強くて確認したいのに瞼が持ち上がらない。潤は何とか足音で誰かを判断しようとしていた。
 だが、その重い足音は誰のものでもなかった。

(え……?!)

 その瞬間リビングのドアノブが動く音がして、潤は不安と恐怖で目を開けた。

「誰っ!?」
 近づいて来るのは大好きな久耶だった。
「え……あっ、兄ちゃん……帰ったんだ? ……兄ちゃん?」
 下から覗きこむようにして見た久耶の顔は、いつもとは明らかに違う表情と雰囲気だった。いつも無表情だが硬派で真面目一本の侍のような兄だが、目の前にいるのは荒々しく危険の香りのする男のようだった。
 その雄の顔に潤はドキリとする。
「潤……それ、俺のじゃないか」
 少し乾いたような低い声はいつもの通るものではなく、少しハスキーでとても艶を含んでいた。潤は妙に緊張して目を逸らす。



次へ>>


遅くなりましたが、実は以前から多くのリクエストのお声を頂いていたスピンオフですっ☆
積極的なお兄ちゃんが見たい!という事で(実は私も見たかったw)スタート致しました♪
今回の小悪魔は何とお兄ちゃん!!(笑)
短めエロメインですが、甘々でエロエロな兄弟の一コマをどうぞv

★拍手コメントのお返事はボタンを押して頂いた拍手ページ内に致します。
  拍手秘コメの場合は普通コメント欄にてお返事致します。

web拍手 by FC2
お礼画像あり☆6種ランダム
00:00 | 小悪魔な弟 | comments (8) | trackbacks (0) | edit | page top↑
小悪魔なお兄ちゃん 2話 | top | 陸軍シリーズ クロス・セックス

コメント

しろがねさま
> (//▽//){きゃー!!
>
>  侍お兄ちゃんが小悪魔なんですか!?

そうなんですよ~(//∀//)
今回は積極的なお兄ちゃんって事で小悪魔っぷりを
発揮するようです( ´艸`)ムププ


>  潤くんのエロ可愛さもなかなかですが、お兄ちゃんが小悪魔って…??
>
>  ど…、どうなっちゃうんでしょう??続きが気になりますぅ!!

続き気になって下さって嬉しいです!
お兄ちゃんの小悪魔モード、見守って頂けたら嬉しいです☆
潤、きっと大喜びです(笑)

コメントどうもありがとうございましたe-415
桔梗.Dさん | 2011/06/19 23:47 | URL [編集] | page top↑
秘コメSさま
んふふ……。
はい。今回は兄ちゃんの小悪魔編です(〃∇〃)
o(*・ω・)ノ ァィ
既に理性崩壊のオスの香プンプン状態です!!

新境地を楽しみにして頂けてありがとうございます!!
私も兄貴のエロ加減を報告致しますっ

コメントどうもありがとうございましたe-415
桔梗.Dさん | 2011/06/19 23:45 | URL [編集] | page top↑
秘コメMさま
久々の~っ(笑)

ありがとうございます!!
そして相変わらずの面白ツッコミに惚れ惚れ致しますっ
(//∀//)

あぅっっ
陸軍シリーズも読んで頂けてありがとうございます!!
+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
お忙しいのに長かったですよね(>△<)!
いえ!!読んで頂けて幸せですものっ

コメントどうもありがとうございました
e-415
桔梗.Dさん | 2011/06/19 23:43 | URL [編集] | page top↑
澪さま
> タイトル見た瞬間キタ━ヽ(゚∀゚)ノ━!!と叫んだよw
> 小悪魔たんの兄も小悪魔ヾ(*´∀`*)ノ キャッキャッ♪

叫びをありがとう!ヾ(*´∀`*)ノ゛
今回はお兄ちゃんも小悪魔たんです♪


> 潤くんは相変わらずエロくて常に妄想ONモードだね(爆)
> 侍兄のむっつり加減もなかなか( ´艸`)ムププ
> そんな兄と父のやりとりに(・m・ )クスッとしつつw

ヽ(。・ω・。)ノぁぃ♪
潤ってば相変わらず妄想少年で一人遊びもしてます(笑)
兄貴ってば表は侍なのにむっつりみたいで(笑)
そして無言の父と子の暗号的な会話にくすっとしてもらえて嬉しいよ(笑)


> おやぁ~?何やら侍兄の様子がおかしいねぇ( ̄▽ ̄) ニヤニヤ ←
> 積極的!?積極的なのね!!?o(*'ω'*o( *'ω'* )o*'ω'*)o
> エロエロ兄弟を待っておりますです!隊長っ!( ̄^ ̄ゞ ケイレイ!!

( ´艸`)ムププ
今回の見せ場!それは積極的な兄貴どぇす!
隊員よッ!!見届けておくれッ ァィ(。・Д・)ゞ

コメントどうもありがとうございました
e-415
桔梗.Dさん | 2011/06/19 23:40 | URL [編集] | page top↑
(//▽//){きゃー!!

 侍お兄ちゃんが小悪魔なんですか!?

 潤くんのエロ可愛さもなかなかですが、お兄ちゃんが小悪魔って…??

 ど…、どうなっちゃうんでしょう??続きが気になりますぅ!!
しろがねさん | 2011/06/19 14:16 | URL [編集] | page top↑
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
さん | 2011/06/19 08:51 | URL [編集] | page top↑
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
さん | 2011/06/19 03:30 | URL [編集] | page top↑
タイトル見た瞬間キタ━ヽ(゚∀゚)ノ━!!と叫んだよw
小悪魔たんの兄も小悪魔ヾ(*´∀`*)ノ キャッキャッ♪

潤くんは相変わらずエロくて常に妄想ONモードだね(爆)
侍兄のむっつり加減もなかなか( ´艸`)ムププ
そんな兄と父のやりとりに(・m・ )クスッとしつつw

おやぁ~?何やら侍兄の様子がおかしいねぇ( ̄▽ ̄) ニヤニヤ ←
積極的!?積極的なのね!!?o(*'ω'*o( *'ω'* )o*'ω'*)o
エロエロ兄弟を待っておりますです!隊長っ!( ̄^ ̄ゞ ケイレイ!!
さん | 2011/06/19 03:27 | URL [編集] | page top↑

コメント

管理者にだけ表示を許可する

trackbacks

この記事のトラックバックURL:
http://kikyo318d.blog.2nt.com/tb.php/509-20efa3c9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)