07/19/2011(Tue)
妄想列車 9話
今朝も俺はシンと電車の中で他愛のないゲームをしてきた。
俺達は互いに電車の中では他人のふりをする。きっとその方が燃えるからだ。俺もそういうのは好きな方だが、シンの奴もかなり好きみたいだ。まさかここまで俺に懐いてくれるとは思ってなかった。俺としてはその方が勿論嬉しい。
最初は久し振りのラッシュを数日連続して味わっていて、いい加減ウンザリしてきた頃だった。
窓の方で押しつぶされそうになっていたアイツを見てすぐに近づいた。
理由はパッと見が可愛かったからだ。
間近で見上げてきたアイツの顔を見て正直ドキッとした。
確かに男ウケのする綺麗な顔立ちの奴だが、理由はそれだけじゃなかった。数え切れない程色んな奴らと遊んできた俺だが、鳥肌が立ったのはアイツが初めてだった。
普通に小奇麗な奴なら五万といる。だがアイツ程、俺の身体のコントロールが効かなくなる程の色気を持った奴はそういない。
俺はあの濡れたような垂れ気味の目に惹き込まれた。あの黒目がちな瞳から涙が出るところはさぞかし興奮するのだろう――なんてエロい妄想をしながら助けていた。
あろうことか、シンは俺をじっと熱っぽい目で見て、そして頬を赤らめてきた。そして間近でふっくらと薄く色づく唇を見てたら我慢なんて出来る筈も無かった。
だから俺は押されたのをいい事にキスをした。
俺がキスをしても逃げなかったものだからつい調子に乗って唇を動かしてみた。するとシンも同じように動かして、挙句吸いついて来た。あの時はその場で犯してやろうかと思った程可愛かった。
電車の中で十分楽しんだ俺は、駅に着くと心の中で可愛いアイツにお別れを言って仕事に向かった。
新宿の都庁の近くにある、杉本ビルの地下五階。その日はそこで仕事だった。
オフィスというには薄暗い中で煌々と蛍光灯が灯る青白い部屋に、健が可愛い笑顔を向けてきた。
「リツカっ。おはよ」
「おはよう、健」
健は朝の挨拶と言って俺に軽くキスをする。
健は昔日本で仕事をしに戻って来た時に知り合った奴だった。
「新しく仲間になった川野健くん。十八歳」
そうボスに紹介された。
「は? 十八歳? 十五、六にしか見えないんだけど……本当に大丈夫か?」
俺が正直な感想を言うと、童顔で小動物のような健は途端に色っぽい笑みを浮かべて俺の指先を掴んできた。
「俺、見た目は童顔だけど夜はスゴイよ」
健が俺を堂々と誘うとボスは呆れた顔をして話を続けた。
「まぁ、健くんは若いけどいわゆる天才ハッカーだ。と言っても俺達の組織は天才の集まりなんだがな」
もちろん俺は健と寝た。健は積極的に奉仕してくれたが、結局俺の攻めにあっけなく昇天した。
それから俺は健には気に入られてしまい、付き合ってくれと言われ続けてるが俺はのらりくらりと流している。
どうせ一か所に留まる事はない。いつ掴まってもおかしくない中で生きていくのに、一人と幸せにめでたく暮らして死ぬなんて有り得ないんだ。
健は恐らくそういうのも分かっていて、追いかける楽しみを知った青い青年というところだろう。きっと刺激を求めているのだ。別に悪い気はしない。可愛くて甘えん坊で、そして同じ目的を持っている同志だ。
俺が2年前に日本支社からスイスに行った時も、健は「また会ったらセックスしようね」とサラリと別れた。そして今回日本に戻って来ると、一足先に健が帰国していた。
他にもアンネやマイケルなど関係を何度か持った面々が揃っている。確かに中にはノーマルの奴も真面目な奴もいる。だが、いつどんな事が起こるか分からない毎日で、異常なまでの緊張と興奮で性的興奮が増すのはきっと本能なのだろう。
戦争の時に自分の子孫を残そうと子供が増える現象と似ている。だから組織メンバーはそういう事に関して自由になったらしい。
俺達の組織――それは十年前に一斉に死刑になったワールドリークスの後継者たちだ。彼らの暴露した機密情報は、中国南部を混乱に陥れた。中国だけではない。内戦や宗教紛争の絶えない地域でもその公開された情報で一時期国民の動きが止まった。
戦争をしている事事態が、国同士の“都合の良いビジネス”による演出であるとする、まさにアル・ゴアの示唆していた“不都合な真実”だった。
俺達は悪戯に人々を混乱させたいが為に情報公開をしている訳ではない。先人たちは公開の仕方を間違えただけだ。もう少し国民たちを上手く誘導する事を行っていれば、国民をただただ刃を向ける獣にさせる事にはならなかったかもしれない。
矛先の向きを変えるだけで、攻撃をするしか能のない“国民”という生き物にはしたくない。人間として進化したならば、知性を使って解決していきたいと願っているだけだ。
国のトップを次々と襲う事件は各国で起こり、国自体の崩壊が予察された時、世界は提携してワールドリークスを、悪戯にでたらめを露呈して新たな戦争の火種を引き起こし、果ては自分たちに都合の悪い首相を国民に暗殺させた世界的犯罪者集団、情報操作テロリストとして祭り上げた。
メディアは国に命令されるままに、“悪”と診断されたワールドリークスを連日特集し、国民を再び洗脳して鎮めていった。
極めつけだったのは、国民の暴動によって暗殺された幾つかの国の政府役人や市長たちの事件に対して名目上刑は何年か課せたが、そのどれもが数年で出て来られる年数のみという始末だった。この事が、国民を上手い事信用させるに成功する事となった。
<<前へ 次へ>>
*この物語はフィクションであり、実在する人物、団体、国、事件には一切関係ありません。
今回はリツカ視点でした(´Д`A;)
何とリツカは天才ハッカーの一員だった!
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拍手秘コメの場合は普通コメント欄にてお返事致します。
お礼画像あり☆6種ランダム
俺達は互いに電車の中では他人のふりをする。きっとその方が燃えるからだ。俺もそういうのは好きな方だが、シンの奴もかなり好きみたいだ。まさかここまで俺に懐いてくれるとは思ってなかった。俺としてはその方が勿論嬉しい。
最初は久し振りのラッシュを数日連続して味わっていて、いい加減ウンザリしてきた頃だった。
窓の方で押しつぶされそうになっていたアイツを見てすぐに近づいた。
理由はパッと見が可愛かったからだ。
間近で見上げてきたアイツの顔を見て正直ドキッとした。
確かに男ウケのする綺麗な顔立ちの奴だが、理由はそれだけじゃなかった。数え切れない程色んな奴らと遊んできた俺だが、鳥肌が立ったのはアイツが初めてだった。
普通に小奇麗な奴なら五万といる。だがアイツ程、俺の身体のコントロールが効かなくなる程の色気を持った奴はそういない。
俺はあの濡れたような垂れ気味の目に惹き込まれた。あの黒目がちな瞳から涙が出るところはさぞかし興奮するのだろう――なんてエロい妄想をしながら助けていた。
あろうことか、シンは俺をじっと熱っぽい目で見て、そして頬を赤らめてきた。そして間近でふっくらと薄く色づく唇を見てたら我慢なんて出来る筈も無かった。
だから俺は押されたのをいい事にキスをした。
俺がキスをしても逃げなかったものだからつい調子に乗って唇を動かしてみた。するとシンも同じように動かして、挙句吸いついて来た。あの時はその場で犯してやろうかと思った程可愛かった。
電車の中で十分楽しんだ俺は、駅に着くと心の中で可愛いアイツにお別れを言って仕事に向かった。
新宿の都庁の近くにある、杉本ビルの地下五階。その日はそこで仕事だった。
オフィスというには薄暗い中で煌々と蛍光灯が灯る青白い部屋に、健が可愛い笑顔を向けてきた。
「リツカっ。おはよ」
「おはよう、健」
健は朝の挨拶と言って俺に軽くキスをする。
健は昔日本で仕事をしに戻って来た時に知り合った奴だった。
「新しく仲間になった川野健くん。十八歳」
そうボスに紹介された。
「は? 十八歳? 十五、六にしか見えないんだけど……本当に大丈夫か?」
俺が正直な感想を言うと、童顔で小動物のような健は途端に色っぽい笑みを浮かべて俺の指先を掴んできた。
「俺、見た目は童顔だけど夜はスゴイよ」
健が俺を堂々と誘うとボスは呆れた顔をして話を続けた。
「まぁ、健くんは若いけどいわゆる天才ハッカーだ。と言っても俺達の組織は天才の集まりなんだがな」
もちろん俺は健と寝た。健は積極的に奉仕してくれたが、結局俺の攻めにあっけなく昇天した。
それから俺は健には気に入られてしまい、付き合ってくれと言われ続けてるが俺はのらりくらりと流している。
どうせ一か所に留まる事はない。いつ掴まってもおかしくない中で生きていくのに、一人と幸せにめでたく暮らして死ぬなんて有り得ないんだ。
健は恐らくそういうのも分かっていて、追いかける楽しみを知った青い青年というところだろう。きっと刺激を求めているのだ。別に悪い気はしない。可愛くて甘えん坊で、そして同じ目的を持っている同志だ。
俺が2年前に日本支社からスイスに行った時も、健は「また会ったらセックスしようね」とサラリと別れた。そして今回日本に戻って来ると、一足先に健が帰国していた。
他にもアンネやマイケルなど関係を何度か持った面々が揃っている。確かに中にはノーマルの奴も真面目な奴もいる。だが、いつどんな事が起こるか分からない毎日で、異常なまでの緊張と興奮で性的興奮が増すのはきっと本能なのだろう。
戦争の時に自分の子孫を残そうと子供が増える現象と似ている。だから組織メンバーはそういう事に関して自由になったらしい。
俺達の組織――それは十年前に一斉に死刑になったワールドリークスの後継者たちだ。彼らの暴露した機密情報は、中国南部を混乱に陥れた。中国だけではない。内戦や宗教紛争の絶えない地域でもその公開された情報で一時期国民の動きが止まった。
戦争をしている事事態が、国同士の“都合の良いビジネス”による演出であるとする、まさにアル・ゴアの示唆していた“不都合な真実”だった。
俺達は悪戯に人々を混乱させたいが為に情報公開をしている訳ではない。先人たちは公開の仕方を間違えただけだ。もう少し国民たちを上手く誘導する事を行っていれば、国民をただただ刃を向ける獣にさせる事にはならなかったかもしれない。
矛先の向きを変えるだけで、攻撃をするしか能のない“国民”という生き物にはしたくない。人間として進化したならば、知性を使って解決していきたいと願っているだけだ。
国のトップを次々と襲う事件は各国で起こり、国自体の崩壊が予察された時、世界は提携してワールドリークスを、悪戯にでたらめを露呈して新たな戦争の火種を引き起こし、果ては自分たちに都合の悪い首相を国民に暗殺させた世界的犯罪者集団、情報操作テロリストとして祭り上げた。
メディアは国に命令されるままに、“悪”と診断されたワールドリークスを連日特集し、国民を再び洗脳して鎮めていった。
極めつけだったのは、国民の暴動によって暗殺された幾つかの国の政府役人や市長たちの事件に対して名目上刑は何年か課せたが、そのどれもが数年で出て来られる年数のみという始末だった。この事が、国民を上手い事信用させるに成功する事となった。
<<前へ 次へ>>
*この物語はフィクションであり、実在する人物、団体、国、事件には一切関係ありません。
今回はリツカ視点でした(´Д`A;)
何とリツカは天才ハッカーの一員だった!
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コメント
> お互い、それぞれの立ち位地知ったらどうなっちゃうんだろ?
まさかの敵同士(;´Д`A ```
気付いた時とか…考えたくないですね(>_<)
> あのハッキングはリツカさん達がやってたみたいだしー!
そうなんですよね…。
非情に怪しいのですよね…。
どうにもならないこの立ち位置。
知らない方が幸せって事もありますよね(ノ△・。)
> でも、愛があれば全てオッケーにならないかなぁ。あ、ダメですね。たぶん。桔梗さんの手にかかるとそんなに簡単に行かないような気がしてきました!
>
> がんばって幸せになるんだよー!
そうですよね(>_<)
愛があれば……ってあれ?(笑)
私が関わっている事で希望が絶たれた!?
(il`・ω・´;)
それでもの応援、ありがとうございます!!(>ω<)
|`∀´)Ψヶヶヶ ←あっ
コメントどうもありがとうございました
> ただ一つ!!
> 妄想中の天才ハッカーに電車の中でハートをハッキングされてドッキングしちゃいましたぁ(//∀//)って、ことねっ(笑)←いや、みんなわかってる
確かにハッキングされてしまいましたね、
シンちゃん(笑)
ドッキングまで(笑)上手い(笑)
> リツカの視線になると「エロいサラリーマンにエロく誘われました」と、なるわけだ(≧▼≦)
> なるほど~では、続き待ってます(m'□'m)
そのようですな~( ̄  ̄)………( ̄ー ̄)ニヤ
さて、敵同士だった訳ですがいつ気付くのか…。
(`・д´・ ;)ゴクリ
続き待って下さってありがとうございますv
コメントどうもありがとうございました
>
> 森さんとリツカさんは、対極に位置する人たちだったんですね?
>
> 機密情報を守る人と、天才ハッカー…、まさに運命の出逢いだったと…。
そうなんですよ~(´Д`)
まだ知らぬは本人たちだけ…。
ふふふ。我々は知っている…。ふふふ。
でも皮肉な出会いです(>ω<)
> _φ(〇□〇)
>
> こんなに美味しいシチュは、頭の中にメモっておかなくてはっ!!
はっ!∑(°ロ°*)
しろがねさまがしろめでメモを取っていらっしゃる!!
私もこうしてはいられない!!
私だってしろめでっ!!←何故しろめにこだわるかは、しろめが好きだからです。
φ(○Д○ )カキカキ… ←
> (A ̄◇ ̄){はふー
>
> これから、森さんがリツカさん側に落ちていくのか、はたまた、リツカさんが森さん側になるのかが、とっても気になります。
そうですね~本当。分かりません(;´Д`A ```
どうにかして…どうにかなりませんかね(笑)ヾ(・ω・o) ォィォィ
> キャー!!
>
> 今日も更新時間が待ちきれないですぅ!!(≧▽≦)
うおぉっ!!
嬉しいです!!ありがとうございます!!
更新時間ギリギリに書き上げてUP致しております!(笑)
> 萌えを満喫するために、真面目に働いて来まーす!!
>
> ┌(≧▽≦)┘≡З
わーっ頑張って下さいね!!
私もなるべく両立出来るように頑張ります!
そして働いて金貯めて……ふふふ。
べっ、別にエロいものを買うとかではないですよっ
♪~( ̄ε ̄;)
では嵐も来てますが、お気を付けてお互いに
頑張りましょうねヾ(*´∀`*)ノ゛
コメントどうもありがとうございました
> ふぉぉぉおっ!?w|;゚ロ゚|w ヌォオオオオ!!
> リツカは天才ハッカーグループの一員だってー!?Σ(゚□゚(゚□゚*)ナニーッ!!
> ってことは・・・もしかしなくてもシンたんとは敵同士アワワワ((((゚ □ ゚ ) ゚ □ ゚))))アワワワ
何やら不穏な空気になってきたよ(´Д`)
敵対するべき相手のようだね…。
でもまだお互いに気付いてない。
気付いたのは我々かっ!?
> 片や世界レベルのハッカー、片や国家機密を守るエージェント!?
> リツカの所属する組織の歴史…β(□-□ ) フムフム・・・((_ロ(´・ω・` )゛ケシケシ ___φ(。_。*)カキカキ
> なかなか厄介な感じですな!
あ、何か一生懸命書いては消して、また書いている(笑)
厄介な恋だね(>_<)
> ん?あ、大事な部分を忘れるトコだった!
> 健くんではリツカには物足りない…と((φ( ̄Д ̄ )ホォホォ ←
そこ、大事なんだね!?(笑)
ウン(*-ω-)(-ω-*)ウン
大事だよね(笑)
健ではちょっと物足りなかったようだよ~(//∀//)
全く。エロ助だよね(・∀・)ニヤニヤ ←
コメントどうもありがとうございました
お互い、それぞれの立ち位地知ったらどうなっちゃうんだろ?
あのハッキングはリツカさん達がやってたみたいだしー!
でも、愛があれば全てオッケーにならないかなぁ。あ、ダメですね。たぶん。桔梗さんの手にかかるとそんなに簡単に行かないような気がしてきました!
がんばって幸せになるんだよー!
ただ一つ!!
妄想中の天才ハッカーに電車の中でハートをハッキングされてドッキングしちゃいましたぁ(//∀//)って、ことねっ(笑)←いや、みんなわかってる
リツカの視線になると「エロいサラリーマンにエロく誘われました」と、なるわけだ(≧▼≦)
なるほど~では、続き待ってます(m'□'m)
森さんとリツカさんは、対極に位置する人たちだったんですね?
機密情報を守る人と、天才ハッカー…、まさに運命の出逢いだったと…。
_φ(〇□〇)
こんなに美味しいシチュは、頭の中にメモっておかなくてはっ!!
(A ̄◇ ̄){はふー
これから、森さんがリツカさん側に落ちていくのか、はたまた、リツカさんが森さん側になるのかが、とっても気になります。
キャー!!
今日も更新時間が待ちきれないですぅ!!(≧▽≦)
萌えを満喫するために、真面目に働いて来まーす!!
┌(≧▽≦)┘≡З
ふぉぉぉおっ!?w|;゚ロ゚|w ヌォオオオオ!!
リツカは天才ハッカーグループの一員だってー!?Σ(゚□゚(゚□゚*)ナニーッ!!
ってことは・・・もしかしなくてもシンたんとは敵同士アワワワ((((゚ □ ゚ ) ゚ □ ゚))))アワワワ
片や世界レベルのハッカー、片や国家機密を守るエージェント!?
リツカの所属する組織の歴史…β(□-□ ) フムフム・・・((_ロ(´・ω・` )゛ケシケシ ___φ(。_。*)カキカキ
なかなか厄介な感じですな!
ん?あ、大事な部分を忘れるトコだった!
健くんではリツカには物足りない…と((φ( ̄Д ̄ )ホォホォ ←
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