07/24/2011(Sun)
妄想列車 14話
「要するに、集団心理みたいな?」
「まぁ、そうだね。でもさ、一言では言えない心理が働いているような気がする。人間の性っていうか、本質っていうか……人間が増え過ぎると自然にそうなるようなさ」
リツカが不思議そうな目で俺をじっと見た。
「上手くバランスを取るように人間のDNAに組み込まれてる気がするんだ。人間の数を減らすのは、人間自身でも出来る事みたいにさ」
「お前、面白い事言うな」
「その村長さんの例え話は……何か国同士の成り立ちに聞こえる」
リツカの纏った空気が少しピリッとした気がした。表情は変わらないのに、リツカの空気はまるで身体の一部のように敏感に貼りめぐらせられている。俺はそれを感じるのがとても上手なようだ。
「お前は……どう思う。そういう国の……利己的な機密を暴露する運動を」
どうしたのかな。リツカが緊張しているように感じる。
お互いに横に寝た状態で向き合っていた。リツカの綺麗な形の目が真剣に俺を見ている。
こんな表情もするんだ。というか、こういう表情をする人が現にいるんだ、と思った。
映画でよく見る表情だ。戦地に赴く、何か使命でも持っている様な勇ましい男のキリリとした顔。
俺は不謹慎にもその表情にとろけた。
「彼らには……彼らの正義があると思う。悪戯な理由ではない事は分かるし、その行動に至るまでの考えには理解出来るよ」
俺がそう言うと、リツカは「そうか」と言ってとびきり優しい笑顔になって俺を抱き寄せた。
どんな答えが出るか緊張した。どんな答えが出てもどうでもいいと思って来たのに、シンに対してはアイツの答えが、考え方が気になった。
シンの考え方は、とても嬉しかった。理解してくれている、一般論やメディアに左右されずに自分の気持ちを言ってくれた事が伝わった。
それ以外にもシンの考え方に共感出来た自分に驚いた。上手くは言えないが、何だかとても物事を大きく見ている気がした。
それにしてもまさか健といる所を見られるとはな。シンのヤキモチを見られたのは良かったが、まさかアイツがあの厄介な組織の関係者とは思わなかった。
きっと俺の部屋にあるPCを見て驚いただろうな。まぁ、ただのマニアックだとでも思っているだろうが。
それにしても日に日に色っぽくなっていくシンに、俺は自分でも意外なくらい執着している。
スイッチを押せば、いつでも俺の命令を待つように潤んだ瞳を向けてくる。首を絞めても乳首を勃たせて尻を突き出す。
今回抱いた時も俺はあっさりと快楽に飲まれて果ててしまった。
あの吸いつくようにしっとりとした尻に腰を叩きつけてほんのりと赤く染まっていく様を思い出すと直ぐに下半身は硬く大きくなってきた。
「リツカっ。もう、何この間の!? アイツ、シンってのと付き合ってる訳!?」
真面目な顔をして仕事をしながら卑猥な事を思い出していた俺に、健が突然突っかかって来た。
「お前には関係ないだろう……て言うか、お前あの先輩ってのと上手くやったのか?」
「何? 気になってるワケ?」
健は嬉しそうに下から俺を覗き込んできた。
いや、可愛いんだけどね。何かシンと違うんだよな。
こう、もっと目が離せない様な色気っていうか……。
健はどうしたってこれからも俺に固執し、シンに嫉妬をするだろう。何か健に俺との繋がりを感じて貰えれば少しは大人しくしてくれるだろうか。
そう考えて俺は一つ試しに言ってみた。
「健。俺がこういう性格なのは分かってるな?」
「うん」
「俺は自分でも思うが、性欲が強いし欲望も強い。可愛い子には手を出したくなるし、縛られたくない」
「だから俺と付き合っても俺が一番だったら他の子を抱いてもいいってば」
「お前は俺が好きなのか?」
そうハッキリ聞いた時、健はサッと顔を赤くしてわざと強気な表情を作って見せた。
「そっ、そうだけど!? 悪い!?」
何だよ。コイツ、こういう素の方が全然可愛いじゃんか。
「ありがとうな。俺だってお前が好きだ」
「本当っ!?」
「当たり前だろう? だって俺達は皆“同志”って絆があるんだ。命を互いに預けて最後の時までの時間を共有している。命を掛けてまで持つ目的が同じって、物凄い事だろ?」
「うっ、うんっ!」
「だから嫌いとか好きとか、そういうレベルの問題じゃないんだ。分かるか?」
俺は声を低くして健の頭を撫でてやる。こうやって少しずつ洗脳していくんだ。
「じゃあさ、俺との絆はあのシンって子よりも強いの?」
「……そうだな」
健はとても嬉しそうに笑った。健はこの中で一番若い。俺達くらいになると、一通り経験をしてきてるから踏ん切りも付けられるし、のめり込んだ所で色々と不自由も出てくる事は分かっている。だから上手く遊んで人生を楽しんで、本業に全身全霊を尽くす事が出来る。
だが健はきっとまだ本気の恋もしてない。この年だと感情が上手くコントロールも出来ないんじゃないかと不安になる。
子守は面倒だな。俺は溜息をつきながら、シンにメールを打った。
『今週末、少し遠出しないか?』
今はシンと時間を共有したい。あとどれくらいここに留まれるか分からない。今直ぐにと命令されたら俺はどうしたい?
アイツは、“同志”になってくれるだろうか……。
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「まぁ、そうだね。でもさ、一言では言えない心理が働いているような気がする。人間の性っていうか、本質っていうか……人間が増え過ぎると自然にそうなるようなさ」
リツカが不思議そうな目で俺をじっと見た。
「上手くバランスを取るように人間のDNAに組み込まれてる気がするんだ。人間の数を減らすのは、人間自身でも出来る事みたいにさ」
「お前、面白い事言うな」
「その村長さんの例え話は……何か国同士の成り立ちに聞こえる」
リツカの纏った空気が少しピリッとした気がした。表情は変わらないのに、リツカの空気はまるで身体の一部のように敏感に貼りめぐらせられている。俺はそれを感じるのがとても上手なようだ。
「お前は……どう思う。そういう国の……利己的な機密を暴露する運動を」
どうしたのかな。リツカが緊張しているように感じる。
お互いに横に寝た状態で向き合っていた。リツカの綺麗な形の目が真剣に俺を見ている。
こんな表情もするんだ。というか、こういう表情をする人が現にいるんだ、と思った。
映画でよく見る表情だ。戦地に赴く、何か使命でも持っている様な勇ましい男のキリリとした顔。
俺は不謹慎にもその表情にとろけた。
「彼らには……彼らの正義があると思う。悪戯な理由ではない事は分かるし、その行動に至るまでの考えには理解出来るよ」
俺がそう言うと、リツカは「そうか」と言ってとびきり優しい笑顔になって俺を抱き寄せた。
どんな答えが出るか緊張した。どんな答えが出てもどうでもいいと思って来たのに、シンに対してはアイツの答えが、考え方が気になった。
シンの考え方は、とても嬉しかった。理解してくれている、一般論やメディアに左右されずに自分の気持ちを言ってくれた事が伝わった。
それ以外にもシンの考え方に共感出来た自分に驚いた。上手くは言えないが、何だかとても物事を大きく見ている気がした。
それにしてもまさか健といる所を見られるとはな。シンのヤキモチを見られたのは良かったが、まさかアイツがあの厄介な組織の関係者とは思わなかった。
きっと俺の部屋にあるPCを見て驚いただろうな。まぁ、ただのマニアックだとでも思っているだろうが。
それにしても日に日に色っぽくなっていくシンに、俺は自分でも意外なくらい執着している。
スイッチを押せば、いつでも俺の命令を待つように潤んだ瞳を向けてくる。首を絞めても乳首を勃たせて尻を突き出す。
今回抱いた時も俺はあっさりと快楽に飲まれて果ててしまった。
あの吸いつくようにしっとりとした尻に腰を叩きつけてほんのりと赤く染まっていく様を思い出すと直ぐに下半身は硬く大きくなってきた。
「リツカっ。もう、何この間の!? アイツ、シンってのと付き合ってる訳!?」
真面目な顔をして仕事をしながら卑猥な事を思い出していた俺に、健が突然突っかかって来た。
「お前には関係ないだろう……て言うか、お前あの先輩ってのと上手くやったのか?」
「何? 気になってるワケ?」
健は嬉しそうに下から俺を覗き込んできた。
いや、可愛いんだけどね。何かシンと違うんだよな。
こう、もっと目が離せない様な色気っていうか……。
健はどうしたってこれからも俺に固執し、シンに嫉妬をするだろう。何か健に俺との繋がりを感じて貰えれば少しは大人しくしてくれるだろうか。
そう考えて俺は一つ試しに言ってみた。
「健。俺がこういう性格なのは分かってるな?」
「うん」
「俺は自分でも思うが、性欲が強いし欲望も強い。可愛い子には手を出したくなるし、縛られたくない」
「だから俺と付き合っても俺が一番だったら他の子を抱いてもいいってば」
「お前は俺が好きなのか?」
そうハッキリ聞いた時、健はサッと顔を赤くしてわざと強気な表情を作って見せた。
「そっ、そうだけど!? 悪い!?」
何だよ。コイツ、こういう素の方が全然可愛いじゃんか。
「ありがとうな。俺だってお前が好きだ」
「本当っ!?」
「当たり前だろう? だって俺達は皆“同志”って絆があるんだ。命を互いに預けて最後の時までの時間を共有している。命を掛けてまで持つ目的が同じって、物凄い事だろ?」
「うっ、うんっ!」
「だから嫌いとか好きとか、そういうレベルの問題じゃないんだ。分かるか?」
俺は声を低くして健の頭を撫でてやる。こうやって少しずつ洗脳していくんだ。
「じゃあさ、俺との絆はあのシンって子よりも強いの?」
「……そうだな」
健はとても嬉しそうに笑った。健はこの中で一番若い。俺達くらいになると、一通り経験をしてきてるから踏ん切りも付けられるし、のめり込んだ所で色々と不自由も出てくる事は分かっている。だから上手く遊んで人生を楽しんで、本業に全身全霊を尽くす事が出来る。
だが健はきっとまだ本気の恋もしてない。この年だと感情が上手くコントロールも出来ないんじゃないかと不安になる。
子守は面倒だな。俺は溜息をつきながら、シンにメールを打った。
『今週末、少し遠出しないか?』
今はシンと時間を共有したい。あとどれくらいここに留まれるか分からない。今直ぐにと命令されたら俺はどうしたい?
アイツは、“同志”になってくれるだろうか……。
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コメント
((((((ノ゚⊿゚)ノヌオォォォ
連コメありがとうございます!
嬉しいですっ(//∀//)
何か、頑張って毎日更新してたら結構進んでいたようです(笑)
ハッカーって響き格好いいですよね!
私もその位の技術が欲しいです!ヾ(・ω・o) ォィォィ
ハッカーってPCに強い人って意味でしたっけ??
別に悪い事を挿す…いや、指すものでもないって聞いた事あります(*´∇`*)
あとで調べよぅ....((φ(д・。)ホォホォ…
リツカ格好いいって言って頂けて嬉しいですーっ
リアルに居て欲しいですか!?
なかなかのワルですぜ?( ̄ー ̄)ニヤ...
でも悪い笑みを浮かべられる人はリアルに欲しいですね!!
コメントどうもありがとうございました
> そのうえヘッドハンティング~!?しかも、敵対組織に~(≧ω≦)
> リツカったら、いや~ん(//∀//)いつでも臨戦態勢~(//∀//)エヘッ
> どうしましょう、シンちゃん( ̄□ ̄;)!!
首輪だのリードだの、
リツカ、楽しんでいる模様です(笑)
シンちゃんも楽しんでいるようですが~(笑)
そしてまさかのヘッドハンティング!?
まだどうなるかは分かりませんが陰から見守りたいと思います!
いつでお臨戦態勢のリツカ。草むらで獲物を狙う豹のごとし (-ω-)
すみません、ちょっと最近時間無くて更新出来ずにいます(-ω-;)
うぅ…(ノ△・。)
コメントどうもありがとうございました
だね~ウン(*-ω-)(-ω-*)ウン
> ((((((ノ゚⊿゚)ノヌオォォォ シンを仲間に!?
> でもこの二人、根本的な考え方は似てそうだから、所属する組織・守るべき相手が同じであれば凄く強固で信頼出来るパートナーにでもなれそう!
> それだけ逆に敵同士となれば…。
> うーん、この後どうなるんだろう(´・д・`)ゞワカンニャイ
そうなんだよね(〃´・ω・`)=3 フゥ
目的が同じなら絶対良いパートナーになれると思うんだけど…。
敵対しちゃうとどうなるのか(;´Д`A ```
ワカンニャイ?
(´・д・`)ヽ(・ω・*)ヨチヨチ
今ちょっと目を離している時なので澪ちん、
替わりに頼んだ(・ω・)/ ←えw
コメントどうもありがとうございました
そのうえヘッドハンティング~!?しかも、敵対組織に~(≧ω≦)
リツカったら、いや~ん(//∀//)いつでも臨戦態勢~(//∀//)エヘッ
どうしましょう、シンちゃん( ̄□ ̄;)!!
((((((ノ゚⊿゚)ノヌオォォォ シンを仲間に!?
でもこの二人、根本的な考え方は似てそうだから、所属する組織・守るべき相手が同じであれば凄く強固で信頼出来るパートナーにでもなれそう!
それだけ逆に敵同士となれば…。
うーん、この後どうなるんだろう(´・д・`)ゞワカンニャイ
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