07/28/2011(Thu)
妄想列車 15話
リツカから初めてデートの誘いが来たというのに、仕事では相も変わらず不可解なトラブルに苦戦していた。
他会社からも原因不明の気になる事が相次いで出ているという。
(何だか皆どこもかしこもピリピリしてて嫌だな。一体何なんだろう)
俺は早く週末にならないかだけを思って毎日を過ごした。
やっと週末になった時、俺は遠足前の園児のように興奮でよく眠れなかった。その話をリツカにすると、「何? もう誘ってんの?」とからかわれた。
忙しくて平日に会えなかった分、久し振りに見るリツカは本当に惚れ惚れする。スーツ姿も勿論格好いいけど、何気なく着こなされたブランドの服を、嫌みなく普段着のように着こなしてしまう辺りは同じ男としても憧れる。
今まで気になるのは女性の胸元だったり足首の細さだったりしたのが、今ではリツカの筋肉のついた腕だったり、引き締まった腰のラインだ。
そんな事を思いながら、俺達は新宿で待ち合わせて中央線に向かった。
「ねぇ、どこに行くの?」
そう言えばどこに行くか聞いていなかった。
「奥多摩」
(奥多摩?)
「奥多摩行って何するの?」
「別に……。お前とゆっくり電車の旅でもいいかなって思ってさ……ほら。俺達の出会いも電車だっただろ?」
確かに、衝撃的な出会いではあった。今でもあの時の事を思い出すと胸がキュッとする。あれを思い出して何度一人でしたか分からない。
休みの駅は普段あまり見かけない親子連れの姿が沢山いる。
だが幾つか乗換を繰り返して行くと、段々と人が少なくなっていったのに気付いた。
青梅線に乗ると更に少なくなっていった。車両の中には俺達の他に何人かしかいなかった。
一時間近く経つと、景色もガラリと変わり人の姿もグッと減った。
リツカは同じ車両にいる人たちが眠った事を確認すると、俺の顔を覗きこむようにして唇を押しつけてきた。
ヤバい。人がいるのにこんな甘いキス、身体が反応しそうだ。
俺はリツカのTシャツの上に羽織られた黒いシャツを掴んだ。
ゆっくりと互いに舌を外に出して絡め合う。目の前で動くリツカの舌の動きがあまりにいやらしくて声が出そうになった。
そんな事をしながらゆっくりと鈍行で電車に乗っていた。
ふと気が付くと景色は既に旅行先のような森や林が続いて、時折木々の間から見える湖がまだ東京内である事が信じられないと思わせる。
「人、少ないね」
「あぁ。だからこの線は好きだ。ゆっくりと景色が見られるし、この閑散とした駅のホームがいかにも昔の昭和って感じがして好きなんだ」
確かに小さな駅のホームには駅員もいなければ白線すら引かれていない黒っぽいコンクリートがホームの役割をしているだけだ。
「そろそろ降りようか」
リツカが席を立ったので、俺も後をついて電車を降りた。
駅のホームから約五メートル程先にある踏切は、あまり踏切らしいとは言えない。電車の幅程しかない線路は何歩か歩けば渡れる距離だ。
ホームから線路への段差は階段一つ分くらいで誰でも簡単に線路に降りられる。
とは言っても降りる人自体が殆どいない。
俺達はそっと手を繋いだ。
ホームの外へ出てすぐ山の中に出た。
「うわぁっ、ここ本当に東京!? 旅行先に来たみたいっ」
森の広がるその場所に、俺は深く息を吸い込んだ。久々に味わう木々の匂いだ。
鳥の囀りと、風に吹かれる葉の音しか聞こえない。
そして左手に感じるリツカの大きくて暖かい手の感触。
俺達は適当に森を散歩し、川へ降りては少年に戻ったように石や枝で遊んだ。
腹が減って、どうにか探し出した蕎麦屋はどうみても一般家庭なんじゃないかと思えるような場所だったり、そんな他愛のない事で俺達はよく笑った。
「食べたら昼寝っていう贅沢がしたい」というご主人さまの言葉で、俺達は川縁の日陰で寝転がった。
リツカは徐に俺の脚に頭を乗せてきた。
「えぇっ!? ひ、膝枕っ!」
「何だ……悪いか?」
「いや、いいけどさ……こんなんするの初めてで……恥ずかしいっていうか、俺の太股とか別に柔らかくないだろ」
「柔らかいよ」
リツカの手がいやらしくゆっくりと俺の太股を撫で上げた。
「……っ。くすぐったい……よぅ」
木漏れ日がキラキラとリツカの綺麗な顔を照らす。
それだけで俺はドキドキした。
<<前へ 次へ>>
★拍手コメントのお返事はボタンを押して頂いた拍手ページ内に致します。
拍手秘コメの場合は普通コメント欄にてお返事致します。
お礼画像あり☆6種ランダム
他会社からも原因不明の気になる事が相次いで出ているという。
(何だか皆どこもかしこもピリピリしてて嫌だな。一体何なんだろう)
俺は早く週末にならないかだけを思って毎日を過ごした。
やっと週末になった時、俺は遠足前の園児のように興奮でよく眠れなかった。その話をリツカにすると、「何? もう誘ってんの?」とからかわれた。
忙しくて平日に会えなかった分、久し振りに見るリツカは本当に惚れ惚れする。スーツ姿も勿論格好いいけど、何気なく着こなされたブランドの服を、嫌みなく普段着のように着こなしてしまう辺りは同じ男としても憧れる。
今まで気になるのは女性の胸元だったり足首の細さだったりしたのが、今ではリツカの筋肉のついた腕だったり、引き締まった腰のラインだ。
そんな事を思いながら、俺達は新宿で待ち合わせて中央線に向かった。
「ねぇ、どこに行くの?」
そう言えばどこに行くか聞いていなかった。
「奥多摩」
(奥多摩?)
「奥多摩行って何するの?」
「別に……。お前とゆっくり電車の旅でもいいかなって思ってさ……ほら。俺達の出会いも電車だっただろ?」
確かに、衝撃的な出会いではあった。今でもあの時の事を思い出すと胸がキュッとする。あれを思い出して何度一人でしたか分からない。
休みの駅は普段あまり見かけない親子連れの姿が沢山いる。
だが幾つか乗換を繰り返して行くと、段々と人が少なくなっていったのに気付いた。
青梅線に乗ると更に少なくなっていった。車両の中には俺達の他に何人かしかいなかった。
一時間近く経つと、景色もガラリと変わり人の姿もグッと減った。
リツカは同じ車両にいる人たちが眠った事を確認すると、俺の顔を覗きこむようにして唇を押しつけてきた。
ヤバい。人がいるのにこんな甘いキス、身体が反応しそうだ。
俺はリツカのTシャツの上に羽織られた黒いシャツを掴んだ。
ゆっくりと互いに舌を外に出して絡め合う。目の前で動くリツカの舌の動きがあまりにいやらしくて声が出そうになった。
そんな事をしながらゆっくりと鈍行で電車に乗っていた。
ふと気が付くと景色は既に旅行先のような森や林が続いて、時折木々の間から見える湖がまだ東京内である事が信じられないと思わせる。
「人、少ないね」
「あぁ。だからこの線は好きだ。ゆっくりと景色が見られるし、この閑散とした駅のホームがいかにも昔の昭和って感じがして好きなんだ」
確かに小さな駅のホームには駅員もいなければ白線すら引かれていない黒っぽいコンクリートがホームの役割をしているだけだ。
「そろそろ降りようか」
リツカが席を立ったので、俺も後をついて電車を降りた。
駅のホームから約五メートル程先にある踏切は、あまり踏切らしいとは言えない。電車の幅程しかない線路は何歩か歩けば渡れる距離だ。
ホームから線路への段差は階段一つ分くらいで誰でも簡単に線路に降りられる。
とは言っても降りる人自体が殆どいない。
俺達はそっと手を繋いだ。
ホームの外へ出てすぐ山の中に出た。
「うわぁっ、ここ本当に東京!? 旅行先に来たみたいっ」
森の広がるその場所に、俺は深く息を吸い込んだ。久々に味わう木々の匂いだ。
鳥の囀りと、風に吹かれる葉の音しか聞こえない。
そして左手に感じるリツカの大きくて暖かい手の感触。
俺達は適当に森を散歩し、川へ降りては少年に戻ったように石や枝で遊んだ。
腹が減って、どうにか探し出した蕎麦屋はどうみても一般家庭なんじゃないかと思えるような場所だったり、そんな他愛のない事で俺達はよく笑った。
「食べたら昼寝っていう贅沢がしたい」というご主人さまの言葉で、俺達は川縁の日陰で寝転がった。
リツカは徐に俺の脚に頭を乗せてきた。
「えぇっ!? ひ、膝枕っ!」
「何だ……悪いか?」
「いや、いいけどさ……こんなんするの初めてで……恥ずかしいっていうか、俺の太股とか別に柔らかくないだろ」
「柔らかいよ」
リツカの手がいやらしくゆっくりと俺の太股を撫で上げた。
「……っ。くすぐったい……よぅ」
木漏れ日がキラキラとリツカの綺麗な顔を照らす。
それだけで俺はドキドキした。
<<前へ 次へ>>
★拍手コメントのお返事はボタンを押して頂いた拍手ページ内に致します。
拍手秘コメの場合は普通コメント欄にてお返事致します。
お礼画像あり☆6種ランダム
| ホーム |
コメント
とんでもないです!
その後調子は如何ですか??
本当、時間のある時で全くもって構いませんー!!
私もなかなか行けずすみません;
> 健くんの存在にチョロリとドキドキなったけど、そこも甘甘くスルーww♪
>
> なにやら職業的に不穏な気配もするけれど、ふたりとも嵌りまくり~~でエロ♪♪
健の奴、モグラ叩きのモグラみたいにちょこちょこ
出て来ては不安を煽っていました(-ω-;)
まだ互いに本性を言ってはいないのが心配ですが、
相性は良いようです☆身体とか~(//∀//)
> シンくん視点でのR・・・ってそいえば、1人称だったんだね!!!
> すんごい良かったデス~~~ッ
そうなんですよーっ!
一人称難しいけど感情を書きやすいのが利点ですね!
良かったですか!?
(〃д〃)キャ~♪嬉しいです!
今回、このストーリーは一人称で通して頑張ります!
> 桔梗たんも忙しそうだね><
> 先月6ミリだったチビチビが先日4.6センチになってました!
> 生命の神秘;
> 毎日あっついけど、体大事にね!!
可愛い…(*´∇`*)
少しずつ育っていくのが何だかとっても嬉しい気分です。
自分の事ではないんですが、素直にそう思います。
ここの所天気も崩れてきてますので無理なさらないようにして下さいね!
コメントどうもありがとうございました
> 甘いわ~お砂糖大増量キャンペーンだわ~~キャッ(/д\*))((*/Д\)キャッ
> 二人っきりで誰の目も届かない場所でデート♪
> こっそりちゅぅに膝枕まで・・・桔梗ちんどうしたの!?(爆)
バンバンヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
結構色んなお宅で見かける膝枕だけどうちでは初モノかも!?
そりゃあ澪ちんにどうしたのと言われるね(笑)
リツカ、ちゃっかりシンちゃんの太股お触りはしてるけど(笑)
ちょっと普通に甘々デートしてみた!!どうだっ!←甘々の女王に対してえばる
> あぁ、でも今日リツカはアレを言っちゃうつもりなのかな(゚゚;)(。。;))((;゚゚)(;。。) ハラハラソワソワ
> 二人から目が離せませんっ!┬|ョ゚д゚*)カンサツ
はっ!∑(°ロ°*)
澪ちんも物影から見ている!
実は私も……[壁]д・)チラッ
さて、言うのか……
> 忙しい中、更新ありがと♪
> 無理しないで桔梗ちんのペースで進めてね☆
は~ん(ノД`)・゜・
ありがとー(涙)
うん、時間見つけて少しずつ書き進めているよ(>_<)
頑張ります!!
コメントどうもありがとうございました
健くんの存在にチョロリとドキドキなったけど、そこも甘甘くスルーww♪
なにやら職業的に不穏な気配もするけれど、ふたりとも嵌りまくり~~でエロ♪♪
シンくん視点でのR・・・ってそいえば、1人称だったんだね!!!
すんごい良かったデス~~~ッ
桔梗たんも忙しそうだね><
先月6ミリだったチビチビが先日4.6センチになってました!
生命の神秘;
毎日あっついけど、体大事にね!!
甘いわ~お砂糖大増量キャンペーンだわ~~キャッ(/д\*))((*/Д\)キャッ
二人っきりで誰の目も届かない場所でデート♪
こっそりちゅぅに膝枕まで・・・桔梗ちんどうしたの!?(爆)
あぁ、でも今日リツカはアレを言っちゃうつもりなのかな(゚゚;)(。。;))((;゚゚)(;。。) ハラハラソワソワ
二人から目が離せませんっ!┬|ョ゚д゚*)カンサツ
忙しい中、更新ありがと♪
無理しないで桔梗ちんのペースで進めてね☆
コメント