01/04/2012(Wed)
貴方の狂気が、欲しい 4話
弘夢たちの姿を確認した時枝が向かった先は新宿だった。
沢山のある大きなビルの一つに向かって、時枝はそのビルの地下にある駐車場に入って行った。
ここへ来るのは久し振り――というよりは、由朗に会う事が久し振りだった。
ほんの少しだけ、胸が落ち着かない居心地の悪さを感じながらエレベーターで三十階まで上がる。
目的の階に着いた事を知らせる品の良いチャイムがポン、と短く時枝の頭上で鳴った。
クリームベージュの絨毯が敷き詰められている廊下に出て直ぐ左に、落ち着いた木製の扉が見える。
そのドアを軽くノックすると、中から聞き慣れた低い声が「どうぞ」と、時枝が来る事を予め知っていたように響いた。
「失礼致します」
少し重い扉を開けると、曇りの日だというのに眩しい位の光が時枝の包み込んで思わず目を細めた。部屋の壁がほぼガラスに囲まれているせいだ。
「久し振りだね、香。……最近全く顔を見せないから寂しかったよ」
木戸に似た声だが、もっと柔らかくて優しい。逆光で影だけの由朗が席を立ち、時枝の方に向かって歩いて来た。
「色々とバタバタしておりましたので……。それに電話では欠かさずに報告しておりますから」
「つれないな。私よりも息子の側に居たいと?」
時枝の前に由朗が立って漸く表情が見えた。
木戸と似た顔立ちだが、由朗の方が優しげな表情と雰囲気がある。だが、その優しさと隣り合わせに潜む冷徹さは時折木戸よりも鋭く感じる事がある。
「仰る通りです……私は、慶介様をお慕いしております」
「良い事じゃないか」
時枝よりも頭一つ大きい由朗は、その大きな手で時枝の腰を引き寄せた。
「っ……! 由朗様……お止め下さっ……んっ」
時枝の言葉など端から聞いていない由朗は欲望のままに時枝の艶やかな唇を塞いだ。
懐かしい由朗の味が時枝の口内を満たしていく。
時枝が生まれて初めて触れた唇の相手は由朗だ。あの時から殆ど変わらぬ由朗の容姿に若干の違和感さえ感じる。
今でも由朗の前ではふと幼少期の自分になってしまう時がある。
「ハァっ……ん……んっ」
毒入りの媚薬のような由朗の味が時枝の脳を痺れさせ、条件反射に力が抜けていく。時枝は体重をそのまま由朗に預けた。
「お前の舌を吸うのは久し振りだ。やはり最高だよ……香」
由朗に求められると拒めない。由朗の舌が上顎をねっとりと這い、歯列を味わうように動いていく。
不意に伸ばされた手が時枝の柔らかな頬に触れた途端、昔と変わらないコロンの香りがして胸の奥がズクンと疼いた。
「慶介にはもう抱かれたのか?」
絡まる舌の合間に話しかけられて、時枝の頬が紅色に染まってくる。
「ま……だ……誰にもっ……ん……ふ」
「そうか……客には俺がきつく繋がる事を禁じているからな。何もされてはいないだろう?」
「は……ぃ……挿入は……ですが」
時枝を一目見て気に入る取引相手は五万といた。だがそういう際には譲歩して監視を付け、挿入以外を許す事にしている。
それでも客にとっては人形のような冷たく美しい時枝を縛り、なぶるだけで興奮の絶頂に立つものが殆どだった。
中には時枝の乳首を舐めているだけで達してしまう変わり者もいる。
時枝の表情が歪むのを見たものは、必ずと言っていい程に中毒化し、幾度も彼を求めるようになっていく。
由郎の手が時枝の腰を強く引き寄せた。そのやり方がやはり木戸に似ている。
時枝を引き寄せた由朗の手が起用に時枝の黒い皮のベルトを緩めて中へと強引に侵入してきた。
「っ……!」
時枝は身体を強ばらせたまま由朗のされるがままに身を委ねた。
ズボンの中で掴まれた時枝の下半身は緩やかに上下に扱かれ、その度に自分の吐息が甘く熱くなっていく気がした。
自分よりも目線が上にあった由朗の頭がゆっくりと腰の位置まで下がった。
直ぐに、至福としか言えない気持ちよさが下半身を包むと、時枝の唇の隙間から少し高めの吐息が漏れた。
由朗が余裕を含んだ笑みを浮かべながら、時枝のものを加えたまま目線だけを上げてくる。
「っ……ぁっ……っ」
「その、声の上げ方の分からないお前の喘ぎが、私は堪らないよ」
由朗が舌先を起用に尖らせ、巻き付かせ、激しく上下に動いて時枝を攻めたてる。
由朗はよく知っていた。初めて時枝を味わった時も直ぐに彼のイイ所を的確に覚えた。
「ぁっ……っ……よ……しろうさまっ」
あと少しというところで、由朗の口が時枝の高ぶりを離した。
何とも言えない焦りと苦しさが時枝の下半身を包み、時枝は思わず床に膝を着きそうになるのを必死で持ち堪えた。
「我慢出来て良い子だ。香。そのまま自分で扱いて射精してみせなさい」
「……。……はい」
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お礼画像あり☆6種ランダム
沢山のある大きなビルの一つに向かって、時枝はそのビルの地下にある駐車場に入って行った。
ここへ来るのは久し振り――というよりは、由朗に会う事が久し振りだった。
ほんの少しだけ、胸が落ち着かない居心地の悪さを感じながらエレベーターで三十階まで上がる。
目的の階に着いた事を知らせる品の良いチャイムがポン、と短く時枝の頭上で鳴った。
クリームベージュの絨毯が敷き詰められている廊下に出て直ぐ左に、落ち着いた木製の扉が見える。
そのドアを軽くノックすると、中から聞き慣れた低い声が「どうぞ」と、時枝が来る事を予め知っていたように響いた。
「失礼致します」
少し重い扉を開けると、曇りの日だというのに眩しい位の光が時枝の包み込んで思わず目を細めた。部屋の壁がほぼガラスに囲まれているせいだ。
「久し振りだね、香。……最近全く顔を見せないから寂しかったよ」
木戸に似た声だが、もっと柔らかくて優しい。逆光で影だけの由朗が席を立ち、時枝の方に向かって歩いて来た。
「色々とバタバタしておりましたので……。それに電話では欠かさずに報告しておりますから」
「つれないな。私よりも息子の側に居たいと?」
時枝の前に由朗が立って漸く表情が見えた。
木戸と似た顔立ちだが、由朗の方が優しげな表情と雰囲気がある。だが、その優しさと隣り合わせに潜む冷徹さは時折木戸よりも鋭く感じる事がある。
「仰る通りです……私は、慶介様をお慕いしております」
「良い事じゃないか」
時枝よりも頭一つ大きい由朗は、その大きな手で時枝の腰を引き寄せた。
「っ……! 由朗様……お止め下さっ……んっ」
時枝の言葉など端から聞いていない由朗は欲望のままに時枝の艶やかな唇を塞いだ。
懐かしい由朗の味が時枝の口内を満たしていく。
時枝が生まれて初めて触れた唇の相手は由朗だ。あの時から殆ど変わらぬ由朗の容姿に若干の違和感さえ感じる。
今でも由朗の前ではふと幼少期の自分になってしまう時がある。
「ハァっ……ん……んっ」
毒入りの媚薬のような由朗の味が時枝の脳を痺れさせ、条件反射に力が抜けていく。時枝は体重をそのまま由朗に預けた。
「お前の舌を吸うのは久し振りだ。やはり最高だよ……香」
由朗に求められると拒めない。由朗の舌が上顎をねっとりと這い、歯列を味わうように動いていく。
不意に伸ばされた手が時枝の柔らかな頬に触れた途端、昔と変わらないコロンの香りがして胸の奥がズクンと疼いた。
「慶介にはもう抱かれたのか?」
絡まる舌の合間に話しかけられて、時枝の頬が紅色に染まってくる。
「ま……だ……誰にもっ……ん……ふ」
「そうか……客には俺がきつく繋がる事を禁じているからな。何もされてはいないだろう?」
「は……ぃ……挿入は……ですが」
時枝を一目見て気に入る取引相手は五万といた。だがそういう際には譲歩して監視を付け、挿入以外を許す事にしている。
それでも客にとっては人形のような冷たく美しい時枝を縛り、なぶるだけで興奮の絶頂に立つものが殆どだった。
中には時枝の乳首を舐めているだけで達してしまう変わり者もいる。
時枝の表情が歪むのを見たものは、必ずと言っていい程に中毒化し、幾度も彼を求めるようになっていく。
由郎の手が時枝の腰を強く引き寄せた。そのやり方がやはり木戸に似ている。
時枝を引き寄せた由朗の手が起用に時枝の黒い皮のベルトを緩めて中へと強引に侵入してきた。
「っ……!」
時枝は身体を強ばらせたまま由朗のされるがままに身を委ねた。
ズボンの中で掴まれた時枝の下半身は緩やかに上下に扱かれ、その度に自分の吐息が甘く熱くなっていく気がした。
自分よりも目線が上にあった由朗の頭がゆっくりと腰の位置まで下がった。
直ぐに、至福としか言えない気持ちよさが下半身を包むと、時枝の唇の隙間から少し高めの吐息が漏れた。
由朗が余裕を含んだ笑みを浮かべながら、時枝のものを加えたまま目線だけを上げてくる。
「っ……ぁっ……っ」
「その、声の上げ方の分からないお前の喘ぎが、私は堪らないよ」
由朗が舌先を起用に尖らせ、巻き付かせ、激しく上下に動いて時枝を攻めたてる。
由朗はよく知っていた。初めて時枝を味わった時も直ぐに彼のイイ所を的確に覚えた。
「ぁっ……っ……よ……しろうさまっ」
あと少しというところで、由朗の口が時枝の高ぶりを離した。
何とも言えない焦りと苦しさが時枝の下半身を包み、時枝は思わず床に膝を着きそうになるのを必死で持ち堪えた。
「我慢出来て良い子だ。香。そのまま自分で扱いて射精してみせなさい」
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コメント
明けましておめでとうございます!
今年も宜しくお願いしますヾ(*´∀`*)ノ゛
ご無沙汰してますー!
えへっ(//∀//)
新年早々色々やらかしてくそうです、時枝ちゃん(笑)
> もうっ!久しぶりにPC開いてこりゃびっくり!というわけで、今から1話から読みに行って来ますだ!←えっ!読んでなかったの!ちこさん!はははっ!
(*ノノ)キャ
そんなわざわざ読みに行って下さるなんて!
ありがとうございます(´∀`*)
いやいや!突如UPしたのできっと久々にふらっと遊びに来られた方とか
はれっ!?何かやりだしてる;と思われると思います(笑)
> 木戸さま~健在かと思いきやパパ登場だった!この木戸パパって本編に出てましたっけ?!記憶があやふやですみませんです!
>
> では!また!ご挨拶まで!
あい(〃∇〃)
今回はぱぱりんでしたv
パパは本編出ておりません♪初登場です♪
いやいや!もう一年以上前なんじゃないでしょうか?本編!!
あれ、もうすぐ2年前とか!?(驚
自分も覚えていないという(笑)
ご挨拶ありがとうございます☆
また遊びにいらして下さいね~v
コメントどうもありがとうございました
もうっ!久しぶりにPC開いてこりゃびっくり!というわけで、今から1話から読みに行って来ますだ!←えっ!読んでなかったの!ちこさん!はははっ!
木戸さま~健在かと思いきやパパ登場だった!この木戸パパって本編に出てましたっけ?!記憶があやふやですみませんです!
では!また!ご挨拶まで!
( ̄∀ ̄*)イヒッ
エロ激しいですか?!
そ、そうですかっ?!
ではこれからもう少しエスカレートさせて行きましょう(//∀//)
用意はいいですか? ←何の
つれない時枝のふにゃんふにゃん姿にドキドキして頂けて嬉しいです
ヾ(*´∀`*)ノキャッキャ
いえいえ!全然失礼ぢゃあないですよ!
|壁|_-) ←Σ(ロ゚ ノ)ノビクッ!
時枝が見ていた……(-”-;A ...アセアセ
あぶねェ、刺されるところだった…。
ぱぱりん、テクニシャンですね~(笑)
あはは(≧∀≦)
血って怖いですね(笑)
ぱぱりんのお口で骨抜き状態の時枝くん。
そのままどうする…ー ̄) ニヤッ ←
コメントどうもありがとうございました
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