01/16/2012（Mon）
貴方の狂気が、欲しい １３話
(木戸様が妙に話かけて下さる……)
時枝が風邪から回復した後、再び仕事をしていてふと思った。
木戸が前よりも話かけてくる回数が多いのだ。
時枝としては、あの呪いの一種のような黒いサイコロを出してしまい、すっかり嫌われてしまったのではないかと気に病んでいたところだった。
「おい、時枝。お前普段どこで飯を食ってんだ？」
「時枝。お前は仕事以外では何をしているんだ？」
「料理学校に通わないのか？」
こんなに木戸に自分の事について質問をされた事は一度たりともなかった。
時枝は無表情だったが、明らかに内心動揺していた。
だがそれをおくびにも出さず、丁寧に答えていく。
「普段私は木戸様の会社系列のお店に入る様にしておりますが、とても食事を取る暇がない場合に限り、人に教えて頂いたマクドナルドという店にドライブスルーで立ち寄る事もあります」
「人って、誰にだ」
「この間木戸様もお会いになった学君です」
「ほぅ。なら後で行ってみよう」
「そして仕事以外では私は……特に何もしておりませんが大体お屋敷の方へ帰っております」
それを聞いた木戸の表情が固まった。
屋敷には殆ど木戸の家の者はいないが、強いて言うならば由朗が帰っているだけの場所だった。
幼少期は皆で屋敷に住んでいたが、大学位からは今と変わらぬ生活をしていた。
「意外だな。お前が家に帰るって事をしていたなんて……親父と過ごしたりするのか？」
その質問に時枝の空気が不安定に揺れた。
「えぇ……まぁ……」
木戸の表情が若干険しくなる。
木戸の今まで楽しかった気分が何故か急に冷えていった。今までだったら全く興味すら湧かない時枝の事だが、今は自分の知らないところで由朗とプライベートな空間を共にしていると考えたら気分が良くなかった。
時枝は自分専属で、時枝も自分の事が好きだと言い、従事するべき男なのに何故空いた時間を由朗といるのかが理解出来なかった。
そんな子供のような感情で不機嫌になっていっている木戸の事など知らない時枝は、続けて気まずそうに答えていく。
「料理学校へは通いません……時間がないので……」
「家に帰っている時間があるじゃねぇか」
今までの自分に明らかに興味を示していた表情だった木戸が打って変って鋭く噛みつくような表情になっていたのにドキリとした。
時枝はほんの少し長いまつ毛の生えた瞳を見開いた。
「……はい……そうですね。ですが由朗様とお話する時間も必要ですし」
木戸は自分の腹の中の熱が一気に頭に登った気がした。
「何だそれは？ 俺に毒の塊みたいなもん食わせるお前にきちんとしろと命令してるのに、親父と話す時間だ？ んな事言って親父のチンコでもしゃぶってんじゃねぇのか」
時枝は木戸の言葉を聞いて、ゆっくりと泥沼の中に埋もれていくような感覚に襲われた。
（嘘を……ついていいものか。……していないと）
時枝の白いおでこにじわりと汗が滲み出た。
「……本当にしてるんだな」
「え……」
時枝は心臓が止まったかと思う程に驚いて木戸の顔を見上げた。
(何故分かって……)
「何か……ほんの少しだけだが、お前の表情が読みとれるようになった。いっつも昔から何も表情の変わらねぇ人形だと思ってたんだがな」
「も……申し訳ありません」
「何謝ってんだよ。別にいいじゃねぇか。お前、仕事で他の奴らのもしゃぶって回ってんだろ？」
(やっぱり私は、慶介様にそう思われていたんですね)
時枝は俯き、自分の靴と木戸の靴を見ながらそれが滲みそうなのを我慢した。
「あいつは……弘夢は……どこまでも一筋で、穢れていなくて、綺麗だったな」
時枝は、目を閉じた。
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時枝が風邪から回復した後、再び仕事をしていてふと思った。
木戸が前よりも話かけてくる回数が多いのだ。
時枝としては、あの呪いの一種のような黒いサイコロを出してしまい、すっかり嫌われてしまったのではないかと気に病んでいたところだった。
「おい、時枝。お前普段どこで飯を食ってんだ？」
「時枝。お前は仕事以外では何をしているんだ？」
「料理学校に通わないのか？」
こんなに木戸に自分の事について質問をされた事は一度たりともなかった。
時枝は無表情だったが、明らかに内心動揺していた。
だがそれをおくびにも出さず、丁寧に答えていく。
「普段私は木戸様の会社系列のお店に入る様にしておりますが、とても食事を取る暇がない場合に限り、人に教えて頂いたマクドナルドという店にドライブスルーで立ち寄る事もあります」
「人って、誰にだ」
「この間木戸様もお会いになった学君です」
「ほぅ。なら後で行ってみよう」
「そして仕事以外では私は……特に何もしておりませんが大体お屋敷の方へ帰っております」
それを聞いた木戸の表情が固まった。
屋敷には殆ど木戸の家の者はいないが、強いて言うならば由朗が帰っているだけの場所だった。
幼少期は皆で屋敷に住んでいたが、大学位からは今と変わらぬ生活をしていた。
「意外だな。お前が家に帰るって事をしていたなんて……親父と過ごしたりするのか？」
その質問に時枝の空気が不安定に揺れた。
「えぇ……まぁ……」
木戸の表情が若干険しくなる。
木戸の今まで楽しかった気分が何故か急に冷えていった。今までだったら全く興味すら湧かない時枝の事だが、今は自分の知らないところで由朗とプライベートな空間を共にしていると考えたら気分が良くなかった。
時枝は自分専属で、時枝も自分の事が好きだと言い、従事するべき男なのに何故空いた時間を由朗といるのかが理解出来なかった。
そんな子供のような感情で不機嫌になっていっている木戸の事など知らない時枝は、続けて気まずそうに答えていく。
「料理学校へは通いません……時間がないので……」
「家に帰っている時間があるじゃねぇか」
今までの自分に明らかに興味を示していた表情だった木戸が打って変って鋭く噛みつくような表情になっていたのにドキリとした。
時枝はほんの少し長いまつ毛の生えた瞳を見開いた。
「……はい……そうですね。ですが由朗様とお話する時間も必要ですし」
木戸は自分の腹の中の熱が一気に頭に登った気がした。
「何だそれは？ 俺に毒の塊みたいなもん食わせるお前にきちんとしろと命令してるのに、親父と話す時間だ？ んな事言って親父のチンコでもしゃぶってんじゃねぇのか」
時枝は木戸の言葉を聞いて、ゆっくりと泥沼の中に埋もれていくような感覚に襲われた。
（嘘を……ついていいものか。……していないと）
時枝の白いおでこにじわりと汗が滲み出た。
「……本当にしてるんだな」
「え……」
時枝は心臓が止まったかと思う程に驚いて木戸の顔を見上げた。
(何故分かって……)
「何か……ほんの少しだけだが、お前の表情が読みとれるようになった。いっつも昔から何も表情の変わらねぇ人形だと思ってたんだがな」
「も……申し訳ありません」
「何謝ってんだよ。別にいいじゃねぇか。お前、仕事で他の奴らのもしゃぶって回ってんだろ？」
(やっぱり私は、慶介様にそう思われていたんですね)
時枝は俯き、自分の靴と木戸の靴を見ながらそれが滲みそうなのを我慢した。
「あいつは……弘夢は……どこまでも一筋で、穢れていなくて、綺麗だったな」
時枝は、目を閉じた。
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コメント
ｵﾛo(；д；o)(o；д；)oｵﾛ
ちょっと胸が痛みますよね。
見守って頂けたらと思います(ﾉ△･｡)
コメントどうもありがとうございました
私の身体まで心配して下さってありがとうございます（涙）
お陰さまで本日気合いで仕事へ行かれました！
お腹を壊すなど何年振りだったので怖かったです（>ω<）
Hさまもお身体冷やさないようにお気をつけ下さいね！！
(ﾉﾟДﾟ)ﾉオォオォ
話が相変わらず面白いって……
言って頂け……た‥…(o_ _)o パタッ！ ←
注：感動し過ぎて倒れた
うぉーっありがとうございます(ノД`)･゜･
確かに二人とも初めての感情と成り行きに勝手が分からず
傷付けあったり(主に木戸が一方的に) ←
ヤキモチを妬いたり(木戸が激しく) ←
あ、木戸も可愛いですか？(笑)
確かに小さい子みたいな感じではありますよね！
(実際はデッカイ俺様なんでタチは悪いですが(笑))
そうですね～時枝も思ってる事を
素直に言ってしまえばいいのですが(´Д｀A;)
その辺、変に自分で抑え込んだり不器用に感じます；
ｳﾝ(*-ω-)(-ω-*)ｳﾝ
鈍感な木戸にはハッキリと言わないとですよね！！
(´д⊂)‥ﾊｩ
はい！ご心配お掛けしました！
ありがとうございます！
引き続き頑張ります(*´∇｀*)
拍手秘コメントどうもありがとうございました
す、すみません！
木戸の野郎が非道な野郎でッ！全くけしからん野郎です！！
(#ﾟдﾟ)=○)ﾟД)・ﾟ､;' → ﾀﾞｯｼｭ!≡≡≡ﾍ(*--)ﾉ
殴って……そして逃げる（笑）
比較する事ないですよね(>ω<)
何て奴だっっ
時枝贔屓して下さって嬉しいです～ｖ
ありがとうございます(*´∇｀*)
全くヤキモチ妬きで困りますよね？！
しかも自覚ないっていうのが＾＾；
が、頑張って時枝くん(>△<)
そうですね！
私も彼を早く幸せになるよう応援をしたいと思います！
上手くいくといいのですが…(-"-;A ...ｱｾｱｾ
(´･ω｀･)ｴｯ?
でもいじめられる時枝もちょっと好きですって？
コノコノォ( >ω<)っ))ﾟ3ﾟ*)
お好きですねぇ～
とっても分かります！(キッパリ)←
早く意思疎通が出来るといいです(>_<)
コメントどうもありがとうございました
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