03/18/2012(Sun)
貴方の狂気が、欲しい 49話
「……え」
ハッキリとした話し声は聞いた事のある透明感のあるものだった。
「健太……くん?」
「え……あ…あ、はい」
健太は急に名前を呼ばれてどもった。
「初めまして……じゃないけど、一応初めまして」
健太は自分が誰と喋っているのかいまいち実感出来ずにいた。
(あれ……何で時枝さん、普通に話せてるんだ……? 病気が治った?!)
「あのっ……俺の事分かるんですか!? え、ちょっと待ってッ……今までの事って覚えてるんですかッ!? いや、ちょっ……待っ……そもそも病気だったのが治ったって事ですかッ!?」
漸くパニックになり出した健太を見て時枝は薄く笑った。
「ひっ……!」
初めて見た時枝の笑みに健太は息が止まりそうになった。
「そう……ですね……。覚えていますよ。さっきまで靄が掛ったみたいでしたが、今は霧が晴れたように分かります。色々とよくして頂いてありがとう。そして恋人にはなれないのは、すみません」
時枝は少し困ったような表情で口角を上げた。
「あ……はぃ……それも聞こえてたんですね……」
健太は一気に冷静になった。
時枝によると、いつもは言葉は音としてしか認識が出来ず、寧ろ行動の方が何となく分かるようだった。
分かると言っても繰り返す事で真似出来る程度か、言葉の種類によって自分が起こす行動を決められる犬の躾のようなものだ。思考はあまり働かず欲求を求める本能だけ研ぎ澄まされていると言う。
「あの……何で急に話せるようになったんですか?」
「よく……分かりません。でもここ最近忘れていた事をたまに思い出す事があります。でもはっきりとではなくて……昔運転していた事……とか……そういう風景とか、あと誰かといつも一緒にいて……」
「それって木戸さんじゃないの?」
「キドさん――」
途端に時枝は浴衣の袷を掻き毟るようにして表情を苦痛そうに歪めた。
「ぅぅ……っ」
「え!? どうしたの!? 大丈夫!?」
慌てて健太が側に寄りただ焦る。
「胸が……苦しくて……頭も……痛い」
「と、とにかく横になった方がいいよッ。木戸さんに連絡……あぁ! 連絡先聞いてねェ! じゃあ、取り敢えず木戸さんが帰って来るまで安静にしてよう!」
急いで居間に布団を敷く健太に、頭を押さえながら時枝が聞いた。
「キド……さんというのは……いつもここにいる人……?」
「え、そうだよ? 木戸さんの事、覚えてないの?」
「全部を思い出したわけじゃ……胸が……苦しい」
「あぁっ、とにかく横になって!」
健太に支えられるようにして時枝は布団の上にうつ伏せになった。
健太は急いで冷たい水を用意して時枝に勧める。
時枝の白い肌が艶々と光っている。冷や汗をかいているようだった。
暫くそうしていると大分落ち着いて来たようで、時枝は瞼を重たそうに開けた。
「健太……」
「な、何?」
健太は弱々しい時枝の声を一つも聞き洩らさない様に耳を近づけた。
「キドさん……には……言わないで……」
「え、もしかして話せた事とかを?!」
時枝が小さく頷く。
「どうして!? だって木戸さん、すげぇ時枝さんの面倒とか見てッ、こ、恋人だって言ってたしッ!」
「分からないけど……こわい……んだ……」
時枝は重力に耐えきれないように瞼を閉じて静かな寝息を立て始めた。
目覚めた時、先程のように意思疎通が再び出来るとは限らない。
健太は訳が分からず納得が出来ないまま唇を噛み締め、時枝の額に浮かぶ汗を拭った。
<<前へ 次へ>>
(T△T=T△T)oジタバタ
そして本日私めの誕生日!!+゜*。..+゜ ウ ェ ━ヽ(*´Д`*)ノ━ イ ゜+..。*゜+
318でサイヤ人の日と申しております。
この日に頑張れば(なにを)スーパーサイヤ人になれるのだと信じて止みません。
((((((ノ゚⊿゚)ノヌオォォォ ←
いくつになったの?という質問に|||||( _ _)|||||←このような感じになる年になりました(笑)
ここまで沢山のお話を書き続けられているのも皆さまの暖かい応援があったからです!
本当にありがとうございます(ノД`)・゜・
これからも楽しんで頂けるものを書いていきたいと思います(*´∀`*)
私事でスミマセンでした(;´Д`A ```
さて時枝くん……頑張って思い出して!
木戸と話せるようになってくれるますように(>ω<)!
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お礼画像あり☆6種ランダム
ハッキリとした話し声は聞いた事のある透明感のあるものだった。
「健太……くん?」
「え……あ…あ、はい」
健太は急に名前を呼ばれてどもった。
「初めまして……じゃないけど、一応初めまして」
健太は自分が誰と喋っているのかいまいち実感出来ずにいた。
(あれ……何で時枝さん、普通に話せてるんだ……? 病気が治った?!)
「あのっ……俺の事分かるんですか!? え、ちょっと待ってッ……今までの事って覚えてるんですかッ!? いや、ちょっ……待っ……そもそも病気だったのが治ったって事ですかッ!?」
漸くパニックになり出した健太を見て時枝は薄く笑った。
「ひっ……!」
初めて見た時枝の笑みに健太は息が止まりそうになった。
「そう……ですね……。覚えていますよ。さっきまで靄が掛ったみたいでしたが、今は霧が晴れたように分かります。色々とよくして頂いてありがとう。そして恋人にはなれないのは、すみません」
時枝は少し困ったような表情で口角を上げた。
「あ……はぃ……それも聞こえてたんですね……」
健太は一気に冷静になった。
時枝によると、いつもは言葉は音としてしか認識が出来ず、寧ろ行動の方が何となく分かるようだった。
分かると言っても繰り返す事で真似出来る程度か、言葉の種類によって自分が起こす行動を決められる犬の躾のようなものだ。思考はあまり働かず欲求を求める本能だけ研ぎ澄まされていると言う。
「あの……何で急に話せるようになったんですか?」
「よく……分かりません。でもここ最近忘れていた事をたまに思い出す事があります。でもはっきりとではなくて……昔運転していた事……とか……そういう風景とか、あと誰かといつも一緒にいて……」
「それって木戸さんじゃないの?」
「キドさん――」
途端に時枝は浴衣の袷を掻き毟るようにして表情を苦痛そうに歪めた。
「ぅぅ……っ」
「え!? どうしたの!? 大丈夫!?」
慌てて健太が側に寄りただ焦る。
「胸が……苦しくて……頭も……痛い」
「と、とにかく横になった方がいいよッ。木戸さんに連絡……あぁ! 連絡先聞いてねェ! じゃあ、取り敢えず木戸さんが帰って来るまで安静にしてよう!」
急いで居間に布団を敷く健太に、頭を押さえながら時枝が聞いた。
「キド……さんというのは……いつもここにいる人……?」
「え、そうだよ? 木戸さんの事、覚えてないの?」
「全部を思い出したわけじゃ……胸が……苦しい」
「あぁっ、とにかく横になって!」
健太に支えられるようにして時枝は布団の上にうつ伏せになった。
健太は急いで冷たい水を用意して時枝に勧める。
時枝の白い肌が艶々と光っている。冷や汗をかいているようだった。
暫くそうしていると大分落ち着いて来たようで、時枝は瞼を重たそうに開けた。
「健太……」
「な、何?」
健太は弱々しい時枝の声を一つも聞き洩らさない様に耳を近づけた。
「キドさん……には……言わないで……」
「え、もしかして話せた事とかを?!」
時枝が小さく頷く。
「どうして!? だって木戸さん、すげぇ時枝さんの面倒とか見てッ、こ、恋人だって言ってたしッ!」
「分からないけど……こわい……んだ……」
時枝は重力に耐えきれないように瞼を閉じて静かな寝息を立て始めた。
目覚めた時、先程のように意思疎通が再び出来るとは限らない。
健太は訳が分からず納得が出来ないまま唇を噛み締め、時枝の額に浮かぶ汗を拭った。
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そして本日私めの誕生日!!+゜*。..+゜ ウ ェ ━ヽ(*´Д`*)ノ━ イ ゜+..。*゜+
318でサイヤ人の日と申しております。
この日に頑張れば(なにを)スーパーサイヤ人になれるのだと信じて止みません。
((((((ノ゚⊿゚)ノヌオォォォ ←
いくつになったの?という質問に|||||( _ _)|||||←このような感じになる年になりました(笑)
ここまで沢山のお話を書き続けられているのも皆さまの暖かい応援があったからです!
本当にありがとうございます(ノД`)・゜・
これからも楽しんで頂けるものを書いていきたいと思います(*´∀`*)
私事でスミマセンでした(;´Д`A ```
さて時枝くん……頑張って思い出して!
木戸と話せるようになってくれるますように(>ω<)!
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コメント
+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
いつも更新楽しみにして頂いてありがとうございます!
ちょっと辛い展開が続いていたのにも関わらず見守って下さって感無量です。
少しずつですが、お互いの愛がまた絆を紡いでくれるんじゃないかと思わずにはいられません。
きっと心が通じ合った時には甘やかしてくれると思います(*´∀`*)
はっ!∑(°ロ°*)
確かに…。
基本は……狂気(笑)
何かが怖い(笑)
( ̄  ̄)………( ̄ー ̄)ニヤ ←
拍手秘コメントどうもありがとうございました
いつも読んで頂いてありがとうございます!!
+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
うわ~誕生日のお祝いまでありがとうございます!!
はい!
素敵な一年になるように色々また挑戦もしていきたいと思います(*´∀`*)
この作品に期待までして頂けて本当に嬉しいです!
ありがとうございます!
二人が色々と乗り越えてくれる事を祈っております(>_<)
一緒に暖かく見守って頂けると幸いです(*´∀`*)
拍手秘コメントどうもありがとうございました
え~そろそろ結婚をちゃんと考えねばという年でございます(笑)
あ、お祝いの言葉をありがとうございます!!
ワ─―。*.゚+:ヾ(*・ω・)シ:+゚.*。──ィ
今夜はパーティはなかったですね~(笑)
明後日の予定です♪
> (*^ー^)/□ はいっ!
わー!プレゼント!
ありがとうございます!!(≧∀≦)
> プレゼントのバイブ一年分と、ゴムとローションです
って、そのセット!!(笑)
バイブってそんな使い捨てでしたっけ!?
バンバンヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
> ご自分で使うもよし、研究用にするもよし(ぐへへw)
ありがたき幸せ(-ω☆)キラリ
いえ、相変わらず面白いです(笑)
ってYさまは時枝に使用希望!!
相談してみます(笑)
結構長いお話になりました(-"-;A ...アセアゼ
クライマックスの方向へ進んでおりますがきっと
まだまだです(笑)
当初の筋書きと見事に違う方向へ行っていますが
とにかく二人が幸せになれたらいいなって願っています(>_<)
いつも暖かく見守って下さって本当にありがとうございます!!
頑張ります(*´∀`*)
コメントどうもありがとうございました
時枝、全てを思い出した訳ではないようですが、
これは大きな前進ですよね!
ウン(*-ω-)(-ω-*)ウン
健太に口止めしてしまいましたね;
木戸になんとか気付いて貰いたい気もしますが
時枝の気持ちも…(ノд`ι)ウーン・・・
でもそんな事言っていられませんよね(>_<)!
早く気づくといいです!
お祝いの言葉をありがとうございます!
はい!今年もまた新たな挑戦をしたいと思います☆
コメントどうもありがとうございました
> 木戸が居なくなった途端に 時枝の記憶が、戻った!?
> あれだけ献身的に尽くしてる木戸が、時枝の”災いの素”だなんて~
> 泣いていいのか、如何していいのか...やっぱ 笑う!?(((壊TωT)))ァヒャヒャヒャヒャヒャヒャ
何かの隙にふと戻ったのでしょうね(´Д`)
心が緩んだというかタイミングがあったというか。
やはり無意識に木戸に対して緊張してたのかもしれませんね。
あ、笑ってしまいます!?(笑)
あ、しかしよく見たらけいったんさまがちょっと壊れている!
∑(°ロ°*)
> 木戸には辛い事実だけど、時枝は 弘夢との事を誤解したままだから
> それを 何とかしないとねぇ(´ヘ`;)ゞゥ~ン
ですね~(´-ω-`)ウーン・・・
どうにか乗り越えて貰いたいものです(>ω<)
> 桔梗さまの年齢は・・・llll(_ _)llll・・・な年齢なの!
> 大丈夫だよ~
> それを超えれば・・・ォーホッホー♪<0( ̄^ ̄)0>ォーホッホー♪・・・な年齢になるからぁ~(私の体験ッス)
あはは(≧∀≦)
きっとどんどんテンション上がる気がします(笑)
年をとる度に楽しい事に挑戦していけたらいいなって思います☆
> 年を重ねて行く内に 目尻の皺と 心臓の毛が増えてく現実...
> 今なら5秒で泣ける(´ノA・`。)・゚・byebye☆
エーン(pωq)ヽ(・ω・。)ヨチヨチ
その悲しみ、分かります。
頑張りましょう!!
我々には強い味方、ナイトクリームがあります!!
(あまり味方にもなってくれませんが orz)
あれ、目の前が歪む……(ノ△・。)
コメントどうもありがとうございました
あれだけ献身的に尽くしてる木戸が、時枝の”災いの素”だなんて~
泣いていいのか、如何していいのか...やっぱ 笑う!?(((壊TωT)))ァヒャヒャヒャヒャヒャヒャ
木戸には辛い事実だけど、時枝は 弘夢との事を誤解したままだから
それを 何とかしないとねぇ(´ヘ`;)ゞゥ~ン
桔梗さまの年齢は・・・llll(_ _)llll・・・な年齢なの!
大丈夫だよ~
それを超えれば・・・ォーホッホー♪<0( ̄^ ̄)0>ォーホッホー♪・・・な年齢になるからぁ~(私の体験ッス)
年を重ねて行く内に 目尻の皺と 心臓の毛が増えてく現実...
今なら5秒で泣ける(´ノA・`。)・゚・byebye☆
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