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悪魔と野犬ノ仔 11話

「何なの、アンタ。アンタの兄貴も。だから童貞は嫌なのよ」
 眠たそうな目をした高山さんは長い髪をかき上げた。
「俺はダメだと思ってたよ」
「は? 何が」
「兄貴は童貞だしね。それに、兄貴はああ見えて普通じゃない。自分じゃ自覚なんてしてないけど」
「なにアンタ弟なのに随分偉そうね。そんなに自分は経験豊富だって言いたい訳?」
 腹を立てていた高山さんは改めてもう一度ゆっくりと、細部まで要を観察してみた。白く肌理の細かい肌はその美しい顔を人形のように見せていて、まるで吸血鬼のようだった。気怠い雰囲気と反対の獣のような鋭い眼光に、無意識に女として身体の奥が疼いた。
「なに、俺に欲情してんの?」
 またもカチンと来たが、ここは年上の女として宥めるように攻めようと気を取り直した。
「ふぅん。要くんってよく見たらすっごく綺麗な顔してるんだね。ね、私も結構良い身体してるんだけど一度どう? 色々教えてあげるよ?」
 要に対しては淑女として落とさず、寧ろ色気を全面に出して攻める方が得策だと考えた高山さんは売女のように安い色気をぶら下げて近づいた。
 要は長い足をスッと上げると、そのまま伸ばして高山さんの太股に突き付けた。
「俺に近づくな」
「痛っ……何すんのよ!」
「クセぇんだよ。帰れ。殺すぞ」
 何をそこまで嫌われる事があるのかと驚く程の暴言に、高山さんは唖然とした。
「兄貴が勃たなかったのはアンタに色気がないから。だからこういう事になるのは分かってたわけ。ま、見てて笑えたけど」
 要は腕組をしながらククっと思い出し笑いをした。
「はぁ?! 盗み見てたの?! アンタ頭おかしいんじゃないの?!」
「悪いがよっぽど俺の方が色気あるわ」
 このまま要と言い合いしているだけで頭がおかしくなりそうだった高山さんは一刻も早くこの記憶を消したくて般若のような表情で出て行った。
 要は玄関に常備してあるモップで高山さんの通った跡を綺麗に掃除をし、空間除菌スプレーをして回った。

「さて。お兄ちゃんの様子をみるか」
 カチャっと拓水の部屋のドアを空けると、拓水は薄暗いままの部屋のベッドで上半身裸のままうつ伏せになっていた。
「拓水」
 要が声を掛けると拓水は驚いたように顔を上げ、服をかき集めた。
「お前ッ、何入って来てんだよッ!」
 要は焦りと恥ずかしさとで声を荒げる拓水を余所に、スッと猫のようにベッドの下に座った。
「拓水……怒らないで」
 水面を揺らす風のような心地よい要の声で、拓水は直ぐに落ち着いた。そしてそのまま再びベッドにうつ伏せに倒れ込んだ。
「どうせ馬鹿にしてんだろ」
「してないよ……ちょっと会話聞こえちゃって……隙間から覗いたんだ。ごめん、拓水」
「え……えッ、おまっ……覗いたのかッ!?」
「うん」
 拓水の顔が恥ずかしさでグシャグシャに歪んだ。
「拓水が勃たなかったのは、仕方ないよ。あの人、全然魅力的じゃなかったし。あんな女拓水には似合わないよ」
「そんな事ない! そんな風に言うなよ! 高山さん、胸だって大きくて柔らかくて、女の子って感じで……俺の事好きだって言ってくれて凄くいい子で……」
 ベッドの上で必死に話す拓水をその下から少し見上げるような要の表情に、拓水の言葉はそのうち止まった。
 薄暗い部屋は外の電灯の青い光を入れて要の表情を白く浮かび上がらせていた。惹き込まれるような黒い切れ長の瞳は、今まで見た事のない甘えるような眼をしていた。
「拓水……俺だって……拓水を好きだよ? 心配してるんだ」
 その妖艶な瞳がゆっくりと拓水の引き締まった背中や胸、そして腹部や腰へと移動していく。まるで黒々とした長い睫毛の先で触れられているようで、拓水の身体はゾワゾワと粟立っていった。
「拓水……本当、良い身体してるね。羨ましいよ」
「そん……な事はない。お前だって結構筋肉付いてるじゃないか」
「ん……でも色だって白いし」
 要はワイシャツのボタンを一つ外して見せる。綺麗な鎖骨がシャツの奥から見えて、そこに拓水の視線が刺さった。
 サラリと黒い絹糸のような長めの髪が要の目元に掛って、要はそれをゆっくりと形の良い耳に掛けた。指先の動き、手首の筋。全てに媚薬を纏っているかのように拓水の脳を甘く痺れさせた。
 要の腕を掴んだのは殆ど無意識だった。本能が暴走をしたという方が正しい。
 力強く要の身体をベッドに引き上げて押し倒していた。
 拓水の全筋肉が要をメチャクチャにしたくて仕方ないと言っているように蠢いていた。
「拓水……」
 アゲハ蝶のような可憐な要の吐息で、拓水の理性は消滅した。
「っ……ハァっ……っ」
 一人、興奮をぶつける様に息を漏らしながら拓水は弟の唇に吸いついた。要の両手首を纏め上げ、もう片方の手で腰を引き上げた。
 要のシャツを左右に引き裂きボタンを飛ばすと、露わになった綺麗な色の乳首に夢中で吸いついた。
 本当はずっと見ていた。兄としての要を見る時、頭のずっと奥に潜む恐ろしい獣のような自分はずっと要の白い肌や乳首を目で追っていた。それを気付かないふりをして過ごしてきた。血の繋がった兄弟でそんな異常な事は許されないと思っていた。気付かないふりが出来ていたのは、拓水が近づかなかったお陰だったからだ。だが一度壁を壊されてしまった拓水は我を忘れて弟の淫靡な身体を味わうように舐め回していた。

「お、に、い、ちゃん!」

 その声に拓水の動きは全て止まった。その声がいつもの冷めきった憎らしい弟の声だったからだ。
「お兄ちゃんー……ほらァ。そんなにチンコパンパンに腫らして……ベットベトに濡らしてさ……ククッ……やっぱあの女には無理だったって事だよ」
 拓水は氷水を頭から被せられたような気がした。無意識にサッと要の上からどいて視線を下に向けたままにした。
「なぁ……拓水も変態なんだって。大っ嫌いな弟に突っ込む欲求なんてなかなかの興奮度だよ。もう俺じゃないとヌケないんじゃない? はははッ」
 拓水は頭を抱えて蹲った。
「悪魔……お前は悪魔だ……頭がおかしくなる」
 拓水の悲痛な声に要は「これでも本当に心配してたんだよ? まぁ、でも俺、突っ込まれる趣味はないからさ」とだけ言って、そして何事も無かったかのように部屋を出て行った。




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00:00 | 悪魔と野犬ノ仔 | comments (2) | trackbacks (1) | edit | page top↑
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コメント

けいったんさま
> 拓水…
> 高山さんの前では ずっとフニャティンだったのに 要には ボッキーしちゃったのね(苦笑)
>
> なのに 要から放たれた冷たい言葉で 身(ティンも含む)も心も折れちゃったよ~!

フニャとカチカチで大忙しです(笑)
身に(ティンも含む)ちょっと吹きました(笑)
間違ってはいない!

> 要は、拓水に こんな事をして どうするつもりなんだろう?
> 悪魔の仔が考えていることが 私には さっぱり分からんわぁ~~
> (゚∀゚ ;)タラー...byebye☆

悪魔たん、まだ未熟ですしね…。
何を考えているのやらちょっと固唾を飲みながら
家のあちこちで見守りたいと思います!

コメントどうもありがとうございました
e-415
桔梗.Dさん | 2013/05/22 00:49 | URL [編集] | page top↑
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さん | 2013/05/21 09:23 | URL [編集] | page top↑

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2013/10/19 (Sat) 18:41 | グッチ 財布