06/17/2013(Mon)
悪魔と野犬ノ仔 28話
東京に戻ってからあの生々しい現象は現れなかったが、それは時折夢に出てくるようになった。
それはノイズ掛っており、丁度昔の映らないテレビチャンネルの白黒画像のような映像が淡々と流れていた。その中に、あの時見えていた映像が不気味なノイズに混じって見え隠れする。早く目覚めたいのに、まるでテレビの中から出られなくなってしまったかのように身動きが取れない。金縛りにあっている状態に近いのか、自分が寝ている状態もちゃんと把握出来ているが動けない。尚哉が部屋を動く気配も分かるし、話声も聞こえてくる。だが瞑ったままの瞼の裏に映し出される映像をどうしたって視界から隠す事が出来ないでいた。疲れ果てて起きると、身体中に冷たい汗がじっとりと纏わりついている。
映像は日によって見た事のない背景を映し出す事あった。
知らない部屋の隅、知らない犬。知らない椅子の足――。
「要……大丈夫? 最近、寝苦しそうだよ?」
睡眠不足で顔が白くなっている要の顔を心配そうに覗き込んできたのは尚哉だった。
「あ、ああ……いや……うん……正直ちょっと参ってる」
要が弱音を吐くのは初めてだった。それには尚哉も驚いたが、それよりもこの尋常ではない要の状態に本気で心配をした。
「ねぇ、何かあったの? 病院行く?」
「病院……」
何の考えもせずにただ尚哉から聞こえてきた単語を口先で繰り返した様な返事をした。
「要さ、こんな時にアレなんだけど、大学とかさ、どうするの?」
「……別に……どこでもいい」
要に将来の夢はなかった。何をしたいのか、何の為に生きているのか、ずっと分からないまま生きてきた。そういう気力を自分の中の何かがずっと吸いとっているような感覚に苛まれてきた気がする。
「そう……。俺、大学に行かないで働こうと思ってるんだけどさ……良かったら俺と一緒に住まない?」
尚哉はそっと要の長くなった髪に指を入れた。サラサラと黒い絹糸のような髪からシャンプーと混じった媚薬のような香りがして、尚哉は思わずそこに鼻先を埋めた。
「要は俺が好きだって言ってもきっと信じないよね」
要は動かずにじっとしていた。
「要に固執した好きっていうのはないけど……結構気に入ってるんだ。何か放っておけないし。別に何でもいいならさ、一緒に住もう。ね? 俺、要の顔好きだし」
「……何でもいいよ」
「本当?……嬉しいっ」
尚哉はギュッと要の背中を抱きしめ、そして黒い髪をかき分けて首筋にキスをした。
尚哉の唇は段々と移動し、要の前に移動すると足の間に入り込んだ。
「ねぇ……舐めていい?」
「……」
要は何も考えていないような眼で、ただ尚哉のする事を見ていた。尚哉はそんな空虚な要に興奮し、その空っぽな要の目を見つめながらジーンズのチャックを下ろした。
「要のコレ……好き」
尚哉は要の肉棒を頬張ると、クチュクチュと卑猥な音を立てながらそれを硬く大きく育てた。
「はぁっ……大きくて熱い……」
尚哉は自分の肉棒も取り出し、要の味に興奮しながら自分でも扱いた。そのうち我慢出来ずに勝手に放ってしまった尚哉は、射精しない要の肉棒を暫く頬張って遊んでいた。
「腹減った」
「え?」
要は突然ガタリと立ち上がると、そのまま服を脱ぎシャワーを浴びるとサッサと食道へ行ってしまった。
そんな自分を眼中にも入れない要に、尚哉の心臓は少し早いテンポで音を立てていた。
親を安心させる為と、今の社会で一応有利な立場に立っておくのに越した事は無いと判断した要は取り敢えず大学へと進んだ。
成績の良かった要は受験も淡々とこなし、有名な大学の理工系へと進んだ。というのも、取り敢えずは人関わる仕事には向いていない事を考慮して、IT系のSEなら自分でも出来る仕事なんじゃないかと考えたからだ。
大学へ通いながら、帰る家は都内の割と大きなアパートだ。羽振りのいいバイトをやっているらしい尚哉と、情報系の技術を使った要のバイトの金額で余裕のある暮らしは出来ていた。
あれからたまに悪夢は見るものの、これといった奇怪な現象は起きず普通の暮らしに支障は出ていなかった。
水無月は未だ、東京に出て要の側に行きたいが為に頑張ると言って勉強を続けているようだった。
最後にあった日からまた随分と会っていない。
何度か電話で話す度に、水無月の東京に出てくる意志を変えようとはするが、頑なに頑張ろうとする思いに戸惑いと困惑は募っていた。
「ただいま……」
深夜に帰って来た尚哉は精魂尽きた様な顔でフラフラとベッドへ辿り着き、そのまま横たわった。いつもならそのまま無視している要だったが、ふと見た尚哉の首が赤く腫れあがっているのが見えた。
「お前、それどうしたんだ」
その言葉に驚いた尚哉が「え?」と首だけ要の方を向いた。
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それはノイズ掛っており、丁度昔の映らないテレビチャンネルの白黒画像のような映像が淡々と流れていた。その中に、あの時見えていた映像が不気味なノイズに混じって見え隠れする。早く目覚めたいのに、まるでテレビの中から出られなくなってしまったかのように身動きが取れない。金縛りにあっている状態に近いのか、自分が寝ている状態もちゃんと把握出来ているが動けない。尚哉が部屋を動く気配も分かるし、話声も聞こえてくる。だが瞑ったままの瞼の裏に映し出される映像をどうしたって視界から隠す事が出来ないでいた。疲れ果てて起きると、身体中に冷たい汗がじっとりと纏わりついている。
映像は日によって見た事のない背景を映し出す事あった。
知らない部屋の隅、知らない犬。知らない椅子の足――。
「要……大丈夫? 最近、寝苦しそうだよ?」
睡眠不足で顔が白くなっている要の顔を心配そうに覗き込んできたのは尚哉だった。
「あ、ああ……いや……うん……正直ちょっと参ってる」
要が弱音を吐くのは初めてだった。それには尚哉も驚いたが、それよりもこの尋常ではない要の状態に本気で心配をした。
「ねぇ、何かあったの? 病院行く?」
「病院……」
何の考えもせずにただ尚哉から聞こえてきた単語を口先で繰り返した様な返事をした。
「要さ、こんな時にアレなんだけど、大学とかさ、どうするの?」
「……別に……どこでもいい」
要に将来の夢はなかった。何をしたいのか、何の為に生きているのか、ずっと分からないまま生きてきた。そういう気力を自分の中の何かがずっと吸いとっているような感覚に苛まれてきた気がする。
「そう……。俺、大学に行かないで働こうと思ってるんだけどさ……良かったら俺と一緒に住まない?」
尚哉はそっと要の長くなった髪に指を入れた。サラサラと黒い絹糸のような髪からシャンプーと混じった媚薬のような香りがして、尚哉は思わずそこに鼻先を埋めた。
「要は俺が好きだって言ってもきっと信じないよね」
要は動かずにじっとしていた。
「要に固執した好きっていうのはないけど……結構気に入ってるんだ。何か放っておけないし。別に何でもいいならさ、一緒に住もう。ね? 俺、要の顔好きだし」
「……何でもいいよ」
「本当?……嬉しいっ」
尚哉はギュッと要の背中を抱きしめ、そして黒い髪をかき分けて首筋にキスをした。
尚哉の唇は段々と移動し、要の前に移動すると足の間に入り込んだ。
「ねぇ……舐めていい?」
「……」
要は何も考えていないような眼で、ただ尚哉のする事を見ていた。尚哉はそんな空虚な要に興奮し、その空っぽな要の目を見つめながらジーンズのチャックを下ろした。
「要のコレ……好き」
尚哉は要の肉棒を頬張ると、クチュクチュと卑猥な音を立てながらそれを硬く大きく育てた。
「はぁっ……大きくて熱い……」
尚哉は自分の肉棒も取り出し、要の味に興奮しながら自分でも扱いた。そのうち我慢出来ずに勝手に放ってしまった尚哉は、射精しない要の肉棒を暫く頬張って遊んでいた。
「腹減った」
「え?」
要は突然ガタリと立ち上がると、そのまま服を脱ぎシャワーを浴びるとサッサと食道へ行ってしまった。
そんな自分を眼中にも入れない要に、尚哉の心臓は少し早いテンポで音を立てていた。
親を安心させる為と、今の社会で一応有利な立場に立っておくのに越した事は無いと判断した要は取り敢えず大学へと進んだ。
成績の良かった要は受験も淡々とこなし、有名な大学の理工系へと進んだ。というのも、取り敢えずは人関わる仕事には向いていない事を考慮して、IT系のSEなら自分でも出来る仕事なんじゃないかと考えたからだ。
大学へ通いながら、帰る家は都内の割と大きなアパートだ。羽振りのいいバイトをやっているらしい尚哉と、情報系の技術を使った要のバイトの金額で余裕のある暮らしは出来ていた。
あれからたまに悪夢は見るものの、これといった奇怪な現象は起きず普通の暮らしに支障は出ていなかった。
水無月は未だ、東京に出て要の側に行きたいが為に頑張ると言って勉強を続けているようだった。
最後にあった日からまた随分と会っていない。
何度か電話で話す度に、水無月の東京に出てくる意志を変えようとはするが、頑なに頑張ろうとする思いに戸惑いと困惑は募っていた。
「ただいま……」
深夜に帰って来た尚哉は精魂尽きた様な顔でフラフラとベッドへ辿り着き、そのまま横たわった。いつもならそのまま無視している要だったが、ふと見た尚哉の首が赤く腫れあがっているのが見えた。
「お前、それどうしたんだ」
その言葉に驚いた尚哉が「え?」と首だけ要の方を向いた。
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