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悪魔と野犬ノ仔 41話

*グロ、残酷なシーンの苦手な方は閲覧をご遠慮願いますようお願い致します。一気に駆け抜ける為少々長いシーンとなっております。




 要は自分の内側に巣食うドロドロとしたものが穴という穴から出て身体を覆っていくような感覚に襲われていた。

 床が硬くて冷たい。

 要が目を開けるとモノクロの映像が見えた。
 身体中が痛いのはどこかにぶつけたからなのか、横たわる自分の身体をくの字に曲げると小さな膝が見えた。どう見ても二十一歳の膝ではない。精々五、六歳位だ。
 混沌とした記憶の中はとても生々しい悪夢のようで、現実と夢との区別がつかない。

 要は病院先で点滴を受けていたが目は覚めていなかった。
 心配そうに駆けつけた両親と精神的に限界のきていた水無月も一緒に病院で治療を受けている状態だった。
 要の倒れた後、周りで騒ぎを目撃していた人が警察に電話を掛けていた為すぐに駆けつけた警察によって事態は収拾がついたが、母犬と蹴られた子犬は既に死亡しており、怪我を負った女性も救急車で一緒に運ばれた。そして女性に怪我をさせた親犬は保健所に連れて行かれ、母犬と蹴られた子犬は廃棄処分された。
 この騒ぎがきっかけで周りにいる野犬は危険だという事で一掃するという話しになった。
 暴れていた男は薬物を使用しており、元々正気ではなかったようだった。興奮状態の男は訳が分からなかったのか、駆けつけた警察にも鉄の棒を振り回し大分警察と揉み合ったようだったが、そのまま逮捕されたとの事だった。その間、警察官の話しによると水無月は、母犬の肉片やら残骸を懸命に集め、要の所へ戻ると全てを守るように抱き締めてジッとしていたという事だった。
 今は鎮静剤を打ち、要の隣のベッドでよく眠っている水無月だったが、瞑られた瞳からは時折涙が流れていた。



――手が自由に動かない。

 モノクロの世界に未だ囚われたままの要は自分が縛られている事に気付いた。
 冷たいと感じていた床は荒れた木だった。冷たく感じるのは恐らく冬だったからだろう。小さな窓と、木で出来た椅子と机。そして机の上には注射器やら何やら色々とぞんざいに置かれていた。
 要がもがきながら辺りを伺っていると、ガチャガチャと鍵の明く音がした。
 途端に悍しい恐怖感と焦燥感で冷や汗が噴き出た。

――早く逃げなきゃ。

 中に入って来た男は四十代前半位の草臥れた感じの男だった。不健康に頬や手足は痩せていたが、内臓脂肪がギッシリ詰まっているような腹だけは不自然に出ていた。
 男はギシギシと木の床を踏みしめながら近づいて来ると要の前にしゃがみ込み、真顔だった顔の男は瞬時に笑顔に変わった。
 ぞっとする笑みだった。
 弱者が一切逆らえないのを知っていてこれから力を行使する事を思って自然と出る類の笑みだ。
 真っ赤な目の中に真っ黒な瞳は弓なりに曲がり、笑った口の中も井戸の底の様に真っ暗だった。
「本当にかわいいねぇ……かわいいよぉ」
 男はそういうと茶色い舌をヌルリと出して要の顔中を舐め回した。
 地中から出て来た虫が顔中を這いずり回る様な感触に、要は吐き気を催したが口がガムテープで塞がれていた為にグッと堪えるしか出来なかった。嫌がって顔を背けていると、男の舌が要の眼球に入ってきた。
 思わず顔を背けると、途端に頭部にブチブチッと音がなって激痛が走った。要は声にならない叫び声を鼻から漏らして顔を上げると、男の口からは要の黒い髪の毛が大量に垂れ下がっていた。
 男はそれをクチャクチャと咀嚼すると、「おいしいぃぃぃなぁあぁアァ」と素っ頓狂な声を上げて飲み込んだ。
 要は本能で、自分が殺されるよりも恐ろしい事が起こるのを察知すると、目の前が照明を落としたようにどんどんと暗くなってきた。ブラックアウト寸前だった。
 そんな要の前で男はガチャガチャとベルトを外し、そんなに大きくもない汚らしく滑った性器を取り出した。
 当時は恐らくこれから何が起こるのか分からない恐怖だっただろうが、過去を辿っている要には容易に想像が出来た。

――嫌だ……嫌だ……!!

 声を出したくてもうまく出ない。
 覚めたいのに覚める事の出来ない夢の中の苦しみは想像以上で、奥歯がガチガチと震えで鳴った。それと同時に、その恐怖の中で要は異常なまでの男に対する殺意を抱いていた。

――コイツをこの世から抹殺しないとイケナイ。

「そんな怖い顔してもかわいいよぉ……ハァハァ……あれ……お前、入って来たのか?」
 気付くと要の足下に大きな野良犬がいた。開いていたドアから勝手に入って来てしまったようだった。
「コイツねぇ、たまたま餌やったらここに来るようになっちゃったんだよねぇ」

――力を……コイツを殺る力を貸してくれ……。

 犬に頼んだ所で通じない事は百も承知だったが、要は必死に心の中で叫んだ。
 勿論当の野良犬はただクンクンと要の足の匂いを嗅いでウロウロしているだけだった。

 だが、悪夢はそこから始まった。

「アアア……僕ちゃん……そのかわいいオメメで見ててよお」

――……。

 男は汚い性器を出したまま歩くとドアをパタリと閉めた。そして「おいでおいでぇ」と犬を優しく呼び寄せると、尻尾を振って近づく犬を捕まえ、机にあった紙性のガムテープで犬の口を開かないように巻き付け、身体をそのまま押さえつけた。
 男は暴れる犬を後ろから抑えつけながら、性器をギンギンに勃起させていた。
 そして目の前で起こった事は、無意識に今も要の心奥深くに傷を負わせるものだった。

 声にならない奇声を発しながら要は手首を傷付けながらも思い切り手を縛っていたものを引き千切った。丁度紙性で出来たガムテープだったのが幸いして千切る事が出来た為、手が自由になった。
 自由になった要に驚いたのと、男が射精寸前にきていたタイミングが重なって、男の身動きが取れない一瞬を狙い要は椅子を持ち上げた。

「アアアアアアアアアアアアアアーッ」

 要は持ち上げた椅子を迷いなく、寧ろ使命感を持って男に振り下ろした。膝をついて低い姿勢で犬を犯していた男は丁度頭に椅子が直撃し、叫び声を上げて倒れた。
 要の切れ長の瞳はまん丸く鷹の様に見開き、細い腕は眠ってた全ての筋肉が稼働しているのか軽々と椅子を片手で持ち上げる事が出来た。
「やめっ……やめてっ……もうしない……もうしないからぁ」
 脳ミソを揺らされた男は嘔吐しながら命乞いをしていたが、要は男を足で仰向けにひっくり返し股間目掛けて椅子を振り下ろした。
 断末魔のような叫び声を上げた男は飛び出すのではないかという程眼球を見開き悶絶した。
 そして気絶している犬をそのまま、これ以上意識が戻って苦しまないように、抱き締めながら要自ら犬の命を経った。

――ごめん……ごめん……。


――ボクがお前の苦しみを持っていくから……。


 要は立ち上がると机の上に置いてあった何本かの注射を手に取った。中にはまだ液体が入っている。
「それはっ……うぅ……やめッ」
 要はゆっくりとその注射をゆっくりと全て男に打った。




――どうか、死にたい程の苦しみを……永遠に。






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なんか、最早BLはどこへ(笑)
皆さま大丈夫でしたでしょうか。。
これ書いてる最中、反動で次は絶対明るい萌え中心のラブコメ書いてやる!!って精神状態がバランスを保とうとなりました(笑)
最初もっとグロシーンが事細かく描写されてたんですが、読み返したらただのホラーじゃん!
ジャンル間違えた!(>□<)と、割愛した結果がこうなりました(笑)
しかも執筆中気分を刷り込ませる為に、昔フランスだったかな?で発売されたけど余りに暗くて聞いた人たちの自殺が後を絶たなくて絶版になったという曲を聞きながら書いてたもんだから暫く
|||||( _ _)||||| ←こんな感じでした(笑)

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真夜中のユートピア 悪魔と野犬ノ仔 41話
2013/10/19 (Sat) 18:41 | gucci 財布