08/20/2010(Fri)
それから51話
「弘夢・・弘夢か?本当に?」
「どうして・・淳平がこんな場所に・・」
淳平も弘夢も幻でも見ているかのように互いをじっと見つめ合った。そして確かめるように一つ一つのパーツにゆっくりと視線を移動させていく。
その時角から別の店員の近づく気配がした。淳平は咄嗟に弘夢の掴んだ手首を引いてその先にある洗面所へ入った。
洗面所と言っても広い部屋に寛ぎ場のようなスペースがあり奥に各豪華な個室タイプのトイレが備わっていた。 清潔なその場所は塵一つ落ちておらず、爽やかな桃の香りが仄かに香っていた。
淳平と弘夢はなだれ込むように入ると、淳平がその重いドアを閉め、鍵を掛けた。
淳平は弘夢を壁に追い込み、震える指先でそっと弘夢の頬に触れた。すると弘夢はふっと困惑した顔で顔を横に逸らした。
出来る事なら今すぐにでも抱きしめて唇を塞ぎたかった。だが、もう自分になどとっくに興味を失せている弘夢に対してそんな事は出来ない気持ちと、渡の笑顔が淳平の本能を押さえこんだ。
弘夢も今直ぐにでもその淳平の胸の中に飛び込み、めちゃくちゃに唇を貪って欲しかった。だが、自分の淳平を守る為とは言え言い放った辛辣な言葉と、時枝から聞かされた事が弘夢を押さえ込む。
無言の二人は目線を逸らしながらも投げかける言葉を探せずに、ただそのもどかしい距離に耐えていた。
弘夢がちらりと横を向いた辛そうな淳平を盗み見た。胸が熱くなった。やっぱり好きだと再認識する。すると、その視線に気付いたように淳平も弘夢を見る。
少し見ない間に更に妖しい色香を増した美しさの弘夢が頬を染めていた。燃えるような熱が淳平を動かす。
ゆっくりと臆病な獣に触れるように、そして逆らえない引力に引き寄せられるように顔を近づける。近づく淳平に対して逸らさなくてはならない弘夢の顔は一向に動けないでいた。身体が淳平を求めていた。
唇があと数センチで触れる所で止まる。二人の心臓は大きく早く高鳴ってシンクロする。
熱い吐息が互いの唇を刺激する。
そっと触れた鼻先同士と額に幸せを感じて弘夢が目を薄めた。そして視線を合わせると、今この瞬間に、一体何の壁があるのかが分からなくなった。
淳平が指先の甲で弘夢の頬を撫でると弘夢はそれに頬を擦り寄せた。
淳平がほんの少し顔を傾けて弘夢を覗きこむような形をとると、それに答えるように弘夢は顔を上に上げた。
そしてそっと唇が触れあった。
泣きたくなる程柔らかくて気持ちがいい唇だった。そっと触れただけのキスは2,3秒で離れた。してしまった悪い事にどうしようと困るような弘夢の顔が淳平を煽る。してはいけないと分かっていても、もう一度、もう一度と止められない気持ちの乾きが潤いを求めていた。
逸らそうとする弘夢の顔をクイッと持ち上げると、今度は少し強めに唇を付けた。すると、ハッと息を飲んだ弘夢は次の瞬間には蕩けるような熱い瞳を見せた。それを見た淳平はゆっくりと手探りするように弘夢の唇を啄ばんだ。
一回、二回、三回と啄ばみ、抵抗されない事を確かめると、そっと弘夢の唇を舐めた。
ピクンッと反応する弘夢は小さく鼻から「ふっ」と可愛い声を出す。そしてゆっくりと淳平が舌を弘夢の口内に挿し込むと、気持ちの抵抗と比例して素直に口を開けてその舌を侵入させた。
熱い淳平の舌は弘夢の甘く蕩けるような舌を絡め取り、痺れるようなキスをした。一度味わってしまうと麻薬の様に止めどない欲求が湧きでてくる。
いつの間にか弘夢は淳平の首に腕を巻き付け、淳平は弘夢の頭を抱えるようにして深く唾液を貪り合った。
「あ・・っ・・んっ・・んっんっ・・ハァ」
互いに生き返るような気持ちだった。悪夢から覚めるような安堵の気持ちで互いの感触を確かめ合った。
淳平は弘夢のワイシャツのボタンを外し出すと、弘夢はハッと気付いて抵抗した。
「あっ・・ダメっ」
淳平は弘夢の両手首を頭上で纏めて壁に押し付け、再びボタンに手を掛けた。
「ダメ!淳平、止めて!ダメなのっ・・ねぇ!」
このままでは木戸に施された痴態を見られてしまう、その恐怖で弘夢は涙を浮かべて懇願したが、淳平は落ち着いた表情で弘夢の頬にキスをしながらワイシャツを開けた。
淳平は弘夢の首に付けられたブラックオニキスとその鍵を一瞥し、無視するようにベルトを外してズボンを下ろした。
「あ・・あ・・止めて・・お願い、見ないで・・」
完全に立ち上がっている弘夢のペニスをビキニの上から撫でるとペニスに付着している妙な感触に淳平が止まった。そして泣きながら首を振る弘夢に目を合わせながらビキニを下ろすと、弘夢のペニスは木戸の付けた貞操具にがんじがらめになっていた。
「や・・見・・ないで・・淳平・・」
あまりの痴態に穢れを見せているような感覚に襲われ弘夢はポロポロと涙を流した。
「弘夢、イケないのか?」
目元を赤くした弘夢は力なく頷いた。
「センパーイッ・・」
ドアの外から淳平を探す渡の声が微かに聞こえた。その声で現実に引き戻された二人はそっと元の距離に戻った。弘夢は静に乱れた服を整えていると、やけに虚しさが二人を襲った。
「先輩!・・どこに行っちゃったのかなぁ」
渡の気配が遠のく。
「淳平の今付き合ってる後輩・・でしょ?」
弘夢がそう聞くと、淳平は少し間を置いて頷いた。
「ああ・・。」
弘夢涙が噴き上がりそうになるのを唇を強く噛み締めて我慢した。
<<前へ 次へ>>
*ご一読頂きまして有難うございます。
唯今、16~20日まで留守にしております。
お話は予約投稿してありますので通常通り0時にUPされると思います。
もしコメント頂けたら、お返事は帰宅後に書かせて頂きます!
★「それから」は「すれ違った後に(全10話)」の続編です。
*BL小説ランキング、1クリック10Ptの投票です。
投票して下さると喜びます。
こやつ↑↑がクリック対象ブツです。
携帯からはこちら⇒BL小説ブログランキング
★拍手コメントはボタンを押して頂いた拍手ページ内にお返事致します。
「どうして・・淳平がこんな場所に・・」
淳平も弘夢も幻でも見ているかのように互いをじっと見つめ合った。そして確かめるように一つ一つのパーツにゆっくりと視線を移動させていく。
その時角から別の店員の近づく気配がした。淳平は咄嗟に弘夢の掴んだ手首を引いてその先にある洗面所へ入った。
洗面所と言っても広い部屋に寛ぎ場のようなスペースがあり奥に各豪華な個室タイプのトイレが備わっていた。 清潔なその場所は塵一つ落ちておらず、爽やかな桃の香りが仄かに香っていた。
淳平と弘夢はなだれ込むように入ると、淳平がその重いドアを閉め、鍵を掛けた。
淳平は弘夢を壁に追い込み、震える指先でそっと弘夢の頬に触れた。すると弘夢はふっと困惑した顔で顔を横に逸らした。
出来る事なら今すぐにでも抱きしめて唇を塞ぎたかった。だが、もう自分になどとっくに興味を失せている弘夢に対してそんな事は出来ない気持ちと、渡の笑顔が淳平の本能を押さえこんだ。
弘夢も今直ぐにでもその淳平の胸の中に飛び込み、めちゃくちゃに唇を貪って欲しかった。だが、自分の淳平を守る為とは言え言い放った辛辣な言葉と、時枝から聞かされた事が弘夢を押さえ込む。
無言の二人は目線を逸らしながらも投げかける言葉を探せずに、ただそのもどかしい距離に耐えていた。
弘夢がちらりと横を向いた辛そうな淳平を盗み見た。胸が熱くなった。やっぱり好きだと再認識する。すると、その視線に気付いたように淳平も弘夢を見る。
少し見ない間に更に妖しい色香を増した美しさの弘夢が頬を染めていた。燃えるような熱が淳平を動かす。
ゆっくりと臆病な獣に触れるように、そして逆らえない引力に引き寄せられるように顔を近づける。近づく淳平に対して逸らさなくてはならない弘夢の顔は一向に動けないでいた。身体が淳平を求めていた。
唇があと数センチで触れる所で止まる。二人の心臓は大きく早く高鳴ってシンクロする。
熱い吐息が互いの唇を刺激する。
そっと触れた鼻先同士と額に幸せを感じて弘夢が目を薄めた。そして視線を合わせると、今この瞬間に、一体何の壁があるのかが分からなくなった。
淳平が指先の甲で弘夢の頬を撫でると弘夢はそれに頬を擦り寄せた。
淳平がほんの少し顔を傾けて弘夢を覗きこむような形をとると、それに答えるように弘夢は顔を上に上げた。
そしてそっと唇が触れあった。
泣きたくなる程柔らかくて気持ちがいい唇だった。そっと触れただけのキスは2,3秒で離れた。してしまった悪い事にどうしようと困るような弘夢の顔が淳平を煽る。してはいけないと分かっていても、もう一度、もう一度と止められない気持ちの乾きが潤いを求めていた。
逸らそうとする弘夢の顔をクイッと持ち上げると、今度は少し強めに唇を付けた。すると、ハッと息を飲んだ弘夢は次の瞬間には蕩けるような熱い瞳を見せた。それを見た淳平はゆっくりと手探りするように弘夢の唇を啄ばんだ。
一回、二回、三回と啄ばみ、抵抗されない事を確かめると、そっと弘夢の唇を舐めた。
ピクンッと反応する弘夢は小さく鼻から「ふっ」と可愛い声を出す。そしてゆっくりと淳平が舌を弘夢の口内に挿し込むと、気持ちの抵抗と比例して素直に口を開けてその舌を侵入させた。
熱い淳平の舌は弘夢の甘く蕩けるような舌を絡め取り、痺れるようなキスをした。一度味わってしまうと麻薬の様に止めどない欲求が湧きでてくる。
いつの間にか弘夢は淳平の首に腕を巻き付け、淳平は弘夢の頭を抱えるようにして深く唾液を貪り合った。
「あ・・っ・・んっ・・んっんっ・・ハァ」
互いに生き返るような気持ちだった。悪夢から覚めるような安堵の気持ちで互いの感触を確かめ合った。
淳平は弘夢のワイシャツのボタンを外し出すと、弘夢はハッと気付いて抵抗した。
「あっ・・ダメっ」
淳平は弘夢の両手首を頭上で纏めて壁に押し付け、再びボタンに手を掛けた。
「ダメ!淳平、止めて!ダメなのっ・・ねぇ!」
このままでは木戸に施された痴態を見られてしまう、その恐怖で弘夢は涙を浮かべて懇願したが、淳平は落ち着いた表情で弘夢の頬にキスをしながらワイシャツを開けた。
淳平は弘夢の首に付けられたブラックオニキスとその鍵を一瞥し、無視するようにベルトを外してズボンを下ろした。
「あ・・あ・・止めて・・お願い、見ないで・・」
完全に立ち上がっている弘夢のペニスをビキニの上から撫でるとペニスに付着している妙な感触に淳平が止まった。そして泣きながら首を振る弘夢に目を合わせながらビキニを下ろすと、弘夢のペニスは木戸の付けた貞操具にがんじがらめになっていた。
「や・・見・・ないで・・淳平・・」
あまりの痴態に穢れを見せているような感覚に襲われ弘夢はポロポロと涙を流した。
「弘夢、イケないのか?」
目元を赤くした弘夢は力なく頷いた。
「センパーイッ・・」
ドアの外から淳平を探す渡の声が微かに聞こえた。その声で現実に引き戻された二人はそっと元の距離に戻った。弘夢は静に乱れた服を整えていると、やけに虚しさが二人を襲った。
「先輩!・・どこに行っちゃったのかなぁ」
渡の気配が遠のく。
「淳平の今付き合ってる後輩・・でしょ?」
弘夢がそう聞くと、淳平は少し間を置いて頷いた。
「ああ・・。」
弘夢涙が噴き上がりそうになるのを唇を強く噛み締めて我慢した。
<<前へ 次へ>>
*ご一読頂きまして有難うございます。
唯今、16~20日まで留守にしております。
お話は予約投稿してありますので通常通り0時にUPされると思います。
もしコメント頂けたら、お返事は帰宅後に書かせて頂きます!
★「それから」は「すれ違った後に(全10話)」の続編です。
*BL小説ランキング、1クリック10Ptの投票です。
投票して下さると喜びます。
こやつ↑↑がクリック対象ブツです。
携帯からはこちら⇒BL小説ブログランキング
★拍手コメントはボタンを押して頂いた拍手ページ内にお返事致します。
| ホーム |
コメント
癒しだなんて・・滅相もないです(>_<)
ここは鬼畜の館でございます故・・←;
でも嬉しいです^^ありがとうございます!
はい(>_<)!キスしちゃいましたー!
そして先輩を呼ぶ声に反応する二人。
確かに凄い背徳感ですね^^;
淳平のこれからの行動はどう出るのか・・。
あはは、無理やりですか?どうだろうか・・。
今回は渡の存在も結構大きくなってるみたいですし(>_<)
コメントどうもありがとうございました
私も爆笑しました~(笑)
> どこまで行くのか、木戸、弘夢、淳平、わたる、時枝!
終結は見えましたよ、リンクさん!!
とうとう最終シーンまでのプロットが完成しました!!。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚
> それぞれに奥深いはなしがあるからね。搾り取られます(笑)
搾り取られますか!バンバンヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
何だか嬉しいです!!(笑)
> 話しは変わりますが、がんじからめの貞操帯のお手入れが気になります!木戸さん毎日きれいにしてあげてんのかな?(爆)
バンバンヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
リンクさん!!リアルです!!
さすが、エロタワーに行くだけありますねww
え~・・お手入れは・・他の執事がしてくれるそうです(爆)
コメントどうもありがとうございました
> 貞操帯ミター!!
> キモチはお互いにあるのに、現実が二人を引き離す!
> これは一体どうなって行くのでしょう?
> 教えて~~桔梗さーん!!
> カムバー―――っく!!
キスもして貞操帯も見て・・なのに離れて行く二人です(>_<)
ねじれ国会もびっくりのねじれっぷりですね!(違
はい!今戻りました!!
次をポメラに収めて戻りましたー!!
そして、プロットで最終回まで作って戻って参りましたー!!
コメントどうもありがとうございました
嬉しいーーッ(>_<)!!!
お祝いの言葉をありがとう!!!!
これからも面白いものが作っていけるように頑張るね!!
ありがとうでしたぁ☆
さて・・では御礼の一品の用意をせねば!
カメレオン・・出そうかな?(ぼそっ)
コメントどうもありがとうございました
> その後でキスをしてしまっても、渡たんの存在に身を離す二人。
意外や意外。ヤる勢いかと思ったが止まった。
そして渡の気配に身を離したーヽ(゚Д゚;)ノ!!
> 淳平くんは基本が紳士…というか、いい加減な気持ちで想いを乗り換えたり出来ないタイプだと感じていたけど、思ったよりも彼の中で渡たんの存在は大きくなってたりするのかな…。
確かに手は早い所はあるけど(おいw)いい加減な気持ちでは乗り換えないと思う(>_<)
うん。自分で思ってたよりもずっと渡の存在が大きくなってたみたいだね。
じゃないと弘夢から身を離せないもんね・・。
> あぁ、ホントどうなるんだろう。
> 続きが気になる(>_<)
気になってくれてありがとう!!(ノД`)・゜・
コメントどうもありがとうございました
> どっちももどかしい~!
> 一気読みしたら、何かが搾り取られて・・・枯れてます(パタリ)
汗が!?ふ、拭かせて下さいっ!!(*´Д`)ハァハァ←何かがおかしい
もどかしいですね・・^^;すみませんw
一気読みありがとうございます(>_<)!!!
え!何かが搾り取られて!?
たた、大変ですね!補給しなければ・・アレを!!
コメントどうもありがとうございました
どこまで行くのか、木戸、弘夢、淳平、わたる、時枝!
それぞれに奥深いはなしがあるからね。搾り取られます(笑)
話しは変わりますが、がんじからめの貞操帯のお手入れが気になります!木戸さん毎日きれいにしてあげてんのかな?(爆)
貞操帯ミター!!
キモチはお互いにあるのに、現実が二人を引き離す!
これは一体どうなって行くのでしょう?
教えて~~桔梗さーん!!
カムバー―――っく!!
その後でキスをしてしまっても、渡たんの存在に身を離す二人。
淳平くんは基本が紳士…というか、いい加減な気持ちで想いを乗り換えたり出来ないタイプだと感じていたけど、思ったよりも彼の中で渡たんの存在は大きくなってたりするのかな…。
あぁ、ホントどうなるんだろう。
続きが気になる(>_<)
どっちももどかしい~!
一気読みしたら、何かが搾り取られて・・・枯れてます(パタリ)
コメント