09/03/2010(Fri)
それから65話
☆一部18禁です。
時枝という男と会おうとする渡の後をつけて行ったらそこに弘夢もいた。
「あっ・・あっ!ああんっセンパイっ・・あああんっ」
話の内容からするとあの木戸という男の部下が時枝で、木戸が自分を完全に弘夢から引き離す為に送り込んだのがこの渡だ。
「いやっ・・ああっ・・イクっ・・やぁあんっ」
渡はグンッと仰向けに仰け反るとビクンとペニスを跳ねさせて精液を自分の胸元に飛ばした。
渡は自分を本当に好きになったと言ってくれた。今まで一緒に住んで来てそれは疑う余地は無いと分かっていた。だからこそ、あそこで弘夢を敢えて見ないようにするべきだと思った。
「くっ・・・」
淳平も渡の中に自分のドロリとした液体を勢いよく飛ばして肩で荒い息をした。
正直辛かった。だがこれが自分のけじめだと思った。
弘夢は何か言いかけていた。せめて一目見たかったなどと思ってはいけないのだろう。
理性では分かっていても脳裏には視界の端に映るぼやけた弘夢の足元や細い手首、引き締まった腰が浮かんでくる。
汗だくで倒れ込むようにして気を飛ばしている渡に優しくキスを髪に落とすと、軽く布団を掛けてベッドから降りた。
寝巻の下だけ履くと、ベッドに座り両腕を膝に凭れさせる。
そして視線を暗い部屋の中に薄く見える渡の本棚へと向けた。
暗い部屋は今までの激しい情事で熱気が籠り、外気との温度差が大きく開いて窓に翠滴が雨粒のように流れ落ちている。
ギシリと立ち上がり、花の図鑑を開くと一枚の写真を手にした。
この間自分のあげた本をもう一度渡と一緒に見ようと漁っていると、ずっと前に渡に没収され、もう既に捨てられたと思っていたあの写真を見付けたのだ。
すれ違いの始まりの日の写真だと言っても過言ではないだろう。
中学の修学旅行で撮った時の写真だ。互いに相手が寝てる時にそれぞれキスをして秘めた想いを抱えてずっと来た。
そっとリビングにウィスキーを用意してソファに寝ながらタバコに火を点ける。
写真の中の自分はただただ嬉しそうに弘夢の隣で嬉しそうな笑顔を向けていた。弘夢ははにかんだ様な笑顔で映っている。それは年よりもずっと大人びていて色っぽくて綺麗だった。
タバコの先から流れる紫煙はゆらゆらと激しく幼い二人を包んだ。
淳平は、タバコ独特の香りと肺にズンとくる重みをその思い出と共に吸いこみ体内に一旦吸収すると、少しずつ吐き出して薄い色の煙に変えた。
そして写真をビリッと破いた。
渡は淳平が写真の中の人物を自分に向けるのとはまた違った優しい瞳をして見つめているのを部屋の隙間から見ていた。
今まで無理矢理押さえこんできた弘夢との想い出を隈なく思い出し、居ない筈の弘夢と語り合っている様な表情だった。
そして写真を破いた時の表情は、淳平の心の一部破いているかのような苦悶の表情だった。
掌の上に収まった細かく破かれたその写真に、淳平はそっとキスをして灰皿に乗せると火を点けた。
その火に新たなタバコを一本取るとそこから火を点けて再び紫煙を吐き出し始めた。淳平はソファに寝ると腕を眼の上に乗せたままの体勢で静かにタバコを吸っていた。
まるで弔いのようなその光景に渡の中で何かが弾けた。
<<前へ 次へ>>
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時枝という男と会おうとする渡の後をつけて行ったらそこに弘夢もいた。
「あっ・・あっ!ああんっセンパイっ・・あああんっ」
話の内容からするとあの木戸という男の部下が時枝で、木戸が自分を完全に弘夢から引き離す為に送り込んだのがこの渡だ。
「いやっ・・ああっ・・イクっ・・やぁあんっ」
渡はグンッと仰向けに仰け反るとビクンとペニスを跳ねさせて精液を自分の胸元に飛ばした。
渡は自分を本当に好きになったと言ってくれた。今まで一緒に住んで来てそれは疑う余地は無いと分かっていた。だからこそ、あそこで弘夢を敢えて見ないようにするべきだと思った。
「くっ・・・」
淳平も渡の中に自分のドロリとした液体を勢いよく飛ばして肩で荒い息をした。
正直辛かった。だがこれが自分のけじめだと思った。
弘夢は何か言いかけていた。せめて一目見たかったなどと思ってはいけないのだろう。
理性では分かっていても脳裏には視界の端に映るぼやけた弘夢の足元や細い手首、引き締まった腰が浮かんでくる。
汗だくで倒れ込むようにして気を飛ばしている渡に優しくキスを髪に落とすと、軽く布団を掛けてベッドから降りた。
寝巻の下だけ履くと、ベッドに座り両腕を膝に凭れさせる。
そして視線を暗い部屋の中に薄く見える渡の本棚へと向けた。
暗い部屋は今までの激しい情事で熱気が籠り、外気との温度差が大きく開いて窓に翠滴が雨粒のように流れ落ちている。
ギシリと立ち上がり、花の図鑑を開くと一枚の写真を手にした。
この間自分のあげた本をもう一度渡と一緒に見ようと漁っていると、ずっと前に渡に没収され、もう既に捨てられたと思っていたあの写真を見付けたのだ。
すれ違いの始まりの日の写真だと言っても過言ではないだろう。
中学の修学旅行で撮った時の写真だ。互いに相手が寝てる時にそれぞれキスをして秘めた想いを抱えてずっと来た。
そっとリビングにウィスキーを用意してソファに寝ながらタバコに火を点ける。
写真の中の自分はただただ嬉しそうに弘夢の隣で嬉しそうな笑顔を向けていた。弘夢ははにかんだ様な笑顔で映っている。それは年よりもずっと大人びていて色っぽくて綺麗だった。
タバコの先から流れる紫煙はゆらゆらと激しく幼い二人を包んだ。
淳平は、タバコ独特の香りと肺にズンとくる重みをその思い出と共に吸いこみ体内に一旦吸収すると、少しずつ吐き出して薄い色の煙に変えた。
そして写真をビリッと破いた。
渡は淳平が写真の中の人物を自分に向けるのとはまた違った優しい瞳をして見つめているのを部屋の隙間から見ていた。
今まで無理矢理押さえこんできた弘夢との想い出を隈なく思い出し、居ない筈の弘夢と語り合っている様な表情だった。
そして写真を破いた時の表情は、淳平の心の一部破いているかのような苦悶の表情だった。
掌の上に収まった細かく破かれたその写真に、淳平はそっとキスをして灰皿に乗せると火を点けた。
その火に新たなタバコを一本取るとそこから火を点けて再び紫煙を吐き出し始めた。淳平はソファに寝ると腕を眼の上に乗せたままの体勢で静かにタバコを吸っていた。
まるで弔いのようなその光景に渡の中で何かが弾けた。
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