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3万Hitキリリク「相部屋のメリットデメリット」6話

 悠馬は目覚めると、腕の中にいた筈の美海がいない事に気付いて上半身を起こした。
 時間を見ると8時を過ぎていた。美海は先に食堂にでも行ってしまったのだろうか。
冷たい奴だ、などと思いながら支度をして食堂へと足を向けた。
 寮には寮生用の食堂がある。
案の定、真と一緒に定食を食べる美海の美目麗しい姿を見付けて悠馬は早速嬉しそうに美海の隣に座った。

「おはよう、ハニ―。冷たいじゃんか、起こしてくれたら良かったのに」
 悠馬の中では既に二人の距離はあと一センチで密着、という所まできていた。
 だが、美海はいつもと何ら変わらぬ冷たい表情でチラリと嫌悪感たっぷりの目線を向けてきた。
「おはよう。悪いんだけど、気持ち悪いからもっとあっちに座ってくんない?」
「え……?」
 予想外の美海のいつもと変わらぬ冷たい対応に固まる。
 昨夜の事が走馬灯のように悠馬の脳内を駆け巡ると、次の瞬間に疑問の渦が押し寄せてきた。
「おいおい! 何が気持ち悪いんだよ!? 昨夜あんな事までした仲じゃねぇか!?」
「あんな……こと?」
 子ヒツジのような真が頬を赤くして小さな声で復唱する。

 美海はピクリと眉を動かした。
「は? 何言ってんのお前? 悪いけど昨日の事とか何も覚えちゃいないんだ。飲み過ぎたらしくてな」
 そう言って美海はズズッと味噌汁を飲んだ。
「おいおい、冗談だろ? 俺たちキスだってしたし、俺はお前の……」
「いい加減にしろよ!! んな事する訳ねーだろ!? 気持ち悪ぃな!」
 ダンッと机を叩いて美海は席を立った。
 美海は食器を持って片付けるとサッサと部屋へ戻る美海を追いかけて悠馬も食堂を出た。
「おい、待てって! いや、覚えてねぇかもしんないけど、俺たち本当にキスしたんだって!」
 悠馬が美海の肩に手を掛けると、美海はクルッと振り返った。
「だから何だよ? 俺は覚えてねぇからしたつもりはねぇ。でもキスしたとして、だから何だって言うんだよ?」
「フェラだってしたぞ!」
「……っ…だから! それが何だよ!?」

 悠馬は考えた。美海と距離を近づけてどうしたいのかを考えた。
「お前、どうせ俺とヤってみてぇだけだろうが?」
 美海が軽蔑するような顔で睨む。
「あぁ。俺はお前としたいから、こうして口説いてるんだよ」

(やっぱり……)

 美海の心はどこか重く沈む。
「変態が……もう俺に近づくな」
 美海の言葉にさすがの悠馬もカチンと来る。
「んだよッ! お前覚えてないかもしんないけどな! お前相当変態な事したんだぞ!」
 美海はその言葉を無視して歩いて行く。
「お前俺の頭押さえつけて喉奥までチンコ突き挿したんだぞ!? お前の方が変態だ!」
「っるせぇ!!」
 廊下で叫び合いながら同じ部屋へと距離を空けながら進むと、そのやり取りに起こされた男子学生たちが興味深げにドアから覗いて来る。
 美海たちはそれを無視して怒鳴り合った。


 教室に入った美海は、一限目の授業が教授の不在につき無くなったのを知ると、サッサと中庭の方へ移動してベンチで自習を始めた。
 広い中庭には鮮やかな黄色い銀杏の木が植えてあり、風が吹くとサラサラと黄色い落ち葉が足元を駆けて行った。
 殆どが授業中の為、人も少なくて美海には居心地がいいはずだった。
 だが、心は昨日の事と先程悠馬のした口喧嘩の事で頭が一杯だった。
 イライラしながら心に巣食うモヤと戦っていると、急に話し掛けられた。
「美海くん、隣、いいかな?」
 その声にふと見上げると、宮古が可愛い笑顔で立っていた。
「あ、あぁ。はい」
 急に話しかけられて、ドギマギしてしまう。

 宮古は何か話したそうにもじもじしている。美海は自分よりも一回り小柄な宮古を可愛いと感じた。
 色も白くて綺麗な顔立ちをしている。化粧をしていない分、普通の女の子よりも素顔の宮古の方が可愛いような気もした。
 悠馬が手を出す気持ちも相手が宮古なら分からなくはない。きっと男ウケするのだろう。
「あの、宮古先輩、悠馬の事好きですよね?」
「えっ……あのっ…」
 急に美海に核心を突かれた宮古は目を丸くして焦った。だが、頬を真っ赤に染めて恥ずかしそうに俯く姿は思わず守ってあげたい程可愛らしかった。
「美海くんは? その、悠馬くんのこと……」
「俺ですか? あり得ませんって!」
「え、でも昨日キスしてたし……」
「あー、それ悠馬にも言われたんスけど俺、昨日の事覚えてないんで」
「そうなんだ……でも悠馬くんは美海くんを狙ってるから、僕の事なんか眼中に無いし…」
 宮古は泣きそうな顔で下を向く。
「大丈夫ですよ! 宮古先輩すげー可愛いし! もっと積極的にいったら絶対アイツ堕ちますって!」

(何言ってんだ、俺……)

 すっかりゲイの会話を繰り広げている自分に呆れながらも、宮古の必死の表情につい流されて励ます自分の調子の良さに溜息をつきそうになった。
「そ、そうかなっ……頑張ってみるっ」
 そう言って席を宮古は席を立った。
 宮古の満面の笑みを見ると、美海はそれはそれで別にいいかとも思えてきた。
「宮古先輩一つ、聞いていいですか?」
「何?」
「あいつの、何がいいんですか?」
 何となく聞いてみたくなってつい、口を滑らせる。
 すると、うっとりとした表情で宮古が答えた。
「すっごく優しいところ!」

(あり得ねぇ)

 手を振りながら遠ざかる宮古を見送りながら苦笑いをする美海だった。



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12:00 | 相部屋のメリットデメリット | comments (5) | trackbacks (0) | edit | page top↑
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コメント

かやさま Re: 強烈な知らん振り!!
バンバンヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
強烈な知らん振りって何だかツボです(笑)


> 廊下で何をがなり合ってんの、このコたちは・・・(呆)
> 昨夜何があったのか、寮中に知れ渡りましたね~。

本当ですよ!
自分たちでバラしていいのか!?(笑)
引っ込みがつかなくなったのかなぁww


> よーく聞いてると、美海ちゃん記憶あるのバレバレじゃないのー?「だから何」って。記憶なかったら、そこ、もっと驚くか嘘付け!って否定するとこじゃないの~(--;)ウソ下手ね~。かわいー♪

そうなんですよね~ヾ(≧▽≦)ノ彡☆ばんばん!!
絶対に分かってるような感じなのに無理に無かった事にしようとしてるのが
また悠馬の感を逆なでするというか…;;
ウソが下手でもウソをつかれた相手もアホだと丁度いいのかも…?(笑)


> 悠馬くんは、悠馬くんで、言葉足りないって言うか、相変わらず間違ってるとゆーか。
> 何で「好き」の告白を飛ばしてるの~?自覚してないの??バカなの???∑( ̄□ ̄;)
> おバカちん、好きよwww

え~、バカです!(笑)
好きかどうか飛ばしてます!身体を狙って近づいているつもりですが、
美海に惹かれているのもまだ自覚できてません!
自覚出来ているのは美海の身体に惹かれているという事でしょうか(笑)
お♪おバカちゃん、好きですか!ありがとうございます!
これで、悠馬も浮かばれます(笑)


> 顔よーし!スタイルよーし!性格おバカ!サイコー(笑)

*:.。(´∀`)。.:*わぁぃ(笑)

> 宮古ちゃんかわいいから応援したくなるよね。
> でも、美海ちゃん、応援しちゃダメよねwww
> このコもおバカちん!!

美海ー!応援するなよー!お前がイケよー!
と、言いたくなります(笑)
でも宮古センパイのひた向きさ、どうも応援したくなりますね^^;


> 桔梗さーん、どうにかしてやって~(;^_^A

♪~( ̄ε ̄;)

コメントどうもありがとうございましたe-415
桔梗.Dさん | 2010/10/01 03:10 | URL [編集] | page top↑
強烈な知らん振り!!
廊下で何をがなり合ってんの、このコたちは・・・(呆)
昨夜何があったのか、寮中に知れ渡りましたね~。
よーく聞いてると、美海ちゃん記憶あるのバレバレじゃないのー?「だから何」って。記憶なかったら、そこ、もっと驚くか嘘付け!って否定するとこじゃないの~(--;)ウソ下手ね~。かわいー♪

悠馬くんは、悠馬くんで、言葉足りないって言うか、相変わらず間違ってるとゆーか。
何で「好き」の告白を飛ばしてるの~?自覚してないの??バカなの???∑( ̄□ ̄;)
おバカちん、好きよwww
顔よーし!スタイルよーし!性格おバカ!サイコー(笑)

宮古ちゃんかわいいから応援したくなるよね。
でも、美海ちゃん、応援しちゃダメよねwww
このコもおバカちん!!

桔梗さーん、どうにかしてやって~(;^_^A
かやさん | 2010/09/30 21:41 | URL [編集] | page top↑
澪さま
> あああ…元の(いや、それ以下か!?)美海くんに逆戻り(v_v)
> 何が何でも認めない作戦(爆)だ!

元に戻った美海にイライラっす!!ヽ(`Д´)ノウガーッ
でも心境は確実に変化してる!!
そして認めてない作戦しても事実は事実!記憶もある!
( ̄  ̄)………( ̄ー ̄)ニヤ


> そのせいで自分達で他の寮生にバラしてるしw

アホです^^;
寮生はドキドキだっただろう(笑)


> そんな不安定な状態の所に宮古先輩キタ━ヽ(゚∀゚)ノ━!!
> んでもって、実海くん応援しちゃったぁ(ノ_-;)ハア…
> でも実海くんも宮古先輩のこと可愛いとは思ってるみたい?

可愛いとは思ったようだけど応援しちゃって…。
全くもう…。
先ずは悠馬と良いお友達にでもなれればいいんだけど…;


> イイヨイイヨー絡まり始めてきたよ~(=v=)ムフフ♪
> 続きも楽しみ!

絡まり始めてきたかい?!
絡まれ~Ψ(`∀´)Ψヶヶヶ
楽しみにしてくれてどうもありがとう♪

コメントどうもありがとうございましたe-415
桔梗.Dさん | 2010/09/30 17:56 | URL [編集] | page top↑
拍手秘コメFC#1Yさま
美海は現実逃避中です^^;
認めたくないんでしょうね~!
自分が既にゲイに片足突っ込んでいる事を!

カプリングでの受け攻めはどう転ぶかですね~(笑)
お楽しみです( ̄ー ̄)ニヤ...

お☆
Yさまも押し寿司作ったんですか!美味しいですよねー!
しかもイクラ入れて!?おー!美味しそうです!
今度私もイクラ入れてみようかな♪
ご飯二合分も食べたんですかっ!?凄い!
でも寿司状にすると食べられちゃいますよね^^;
Yさまは今夜おでん(〃∇〃)いいなーおでん!

今夜、何にしよう…。ケバブでも買って帰ろうかな~
一人だと楽な方へ逃げてしまいがちです(^▽^;)

拍手秘コメントどうもありがとうございましたe-415e-420
桔梗.Dさん | 2010/09/30 17:47 | URL [編集] | page top↑
あああ…元の(いや、それ以下か!?)美海くんに逆戻り(v_v)
何が何でも認めない作戦(爆)だ!
そのせいで自分達で他の寮生にバラしてるしw

そんな不安定な状態の所に宮古先輩キタ━ヽ(゚∀゚)ノ━!!
んでもって、実海くん応援しちゃったぁ(ノ_-;)ハア…
でも実海くんも宮古先輩のこと可愛いとは思ってるみたい?

イイヨイイヨー絡まり始めてきたよ~(=v=)ムフフ♪
続きも楽しみ!
さん | 2010/09/30 15:55 | URL [編集] | page top↑

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