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万華鏡-江戸に咲く-25

 視界の外側を無数の光が大きく揺れているのが見えた。きっと美月の大きな心臓の音はホタルを驚かせているに違いない。
 夜の指がそっと、でも大胆に美月の指を感じるように艶かしく絡み付いてくるように動く。まるで愛撫するような動きに美月は感じてしまう。時折爪を立てて軽くスーッと掻かれると思わず声が出てしまいそうになる。

(手を触られてるだけなのに・・感じるなんて・・)

 どうしていいかわからず暗闇で見える筈のない夜に助けを求めるような目で訴えかけ、俯いていた顔を上げると美月の唇に夜の吐息を感じた。
 恐らく数ミリの距離なのだろう。触れていないのに唇に熱を感じる。ふっと美月の唇に掛かる吐息と夜の白檀が混じるような体臭が脳を痺れさせた。

(キス・・したい・・俺が少し動くだけで、触れられる・・)

 夜は動かない。ただ、愛おしそうに指を絡め親指で美月の手の甲を撫でている。ドキドキと心臓が早くなる。夜の唇にも美月と同じ吐息と温もりが伝わっている筈だ。何故夜動かないのだろうか。いつもの夜ならとっくに襲い掛かってるはずなのに。
 初めて激しく唇を奪われた時の事が鮮明に蘇った。すると身体が熱く火照り、もう一度あんな風にされたいという欲求に駆られる。夜は待っているのだろうか。

(キスしたい・・我慢・・できない・・かも)

 誘うような夜の吐息と指の動きに美月は数ミリ、唇を上に上げた。すると上唇にふわりと暖かくて柔らかい感触があった。そこから更にまたほんの少し上に上げると下唇にも感じる。
 そして美月はそっと夜に自分から口付けをしていた。

 今までうるさかった心臓の音はピアニッシモに、だがその速さだけは持続させていた。そっと触れたままの口付けはほんの5,6秒だった筈なのに、長い長い時間が流れているかのように感じた。
 激しいキスを望んでいたのに、美月にはそっと唇を重ねる事しかできなかった。だが夜は美月の気持ちを受け取ったように、そのうち夜の唇が少しずつ動き、美月の唇を啄ばみ始めた。美月も夜の唇を何度も角度を変えて啄ばむ。摩擦で唇が熱くなる程キスを繰り返すと、夜の上半身がゆっくり美月に覆いかぶさり美月を仰向けに押し倒した。そして夜は美月の両手に指を絡めると畳に縫い付けたまま、キスをした。
 
 夜の熱を帯びた舌が美月の唇をなぞる。まるで出て来いよ、と誘っているような動きだ。
 美月は自分から舌を絡ませた。だが夜の舌は敢えてゆっくりと動くだけで思うようには動いてくれない。美月はもっと夜に激しく自分を吸いたてて欲しくて夜の舌を貪った。夜の舌から伝わる甘い唾液を口から零しながらも飲み込む。それに媚薬効果があったかのように身体が火照り出し、美月を淫らにさせていった。

 美月はぴちゃぴちゃとわざと音を立てながら、指を強く絡ませ、夜の舌を自分の口内へ引き込む。
「ふ・・ぅん・・んんっ・・んんっ」
 誘うような切ない吐息交じりの声が鼻から抜けると、夜が全身で覆いかぶさってきた。そして望んでいた以上の激しいキスで口内を犯された。絡められた両手はそのままグイと頭上に持ち上げられ、そこから腕を交差された。頭上で自分の肘を掴むような形になる。夜は美月の顔を抱えるようにして舌を絡みつかせてくる。
「は・・あ・・んん・・ふっ・・んんっ」

(すごい感じる・・)

「すげぇ・・気持ちい・・」
 そう言われて夜も同じ位感じてるのが分かり、体が粟立った。
 夜の舌が喉奥の方へ侵入してくる。初めて奥まで犯された美月はあまりの気持ちよさに夜の口内へ高い声を流し込んだ。
「ふっ・・んんぅ・・んむっ・・んんぅーッ」
 息もできない程激しく自分でも知らない性感帯を嬲られると、美月の下半身は完全に起立し夜の腹部で刺激されて思わず腰を浮かして擦り付けてしまいたい衝動にかられる。

 スッと唇が離れると、美月の下半身に大きな熱い塊が当てられた。それは見なくとも分かる夜の肉棒だった。夜がどれだけ興奮しているか、その熱の熱さでよく分かりドキリとする。
「美月、戸を開けてもいいか?お前が見たい。」
 耳に唇を付けて、直接声を鼓膜に届けるようにして囁かれると、それだけで脳が犯される。
 なんて甘く低く、艶のある声なのだろうか。
「あ・・ん・・でもホタル、逃げちゃうよ?」
「平気だ。蚊帳を吊ってあるから。蚊帳の使い方は色々あるんだよ」
 そう言って美月から離れて蚊帳から出た夜はスッと障子と戸を開けると光が入り、そこに美しい獣の姿が浮かび上がった。



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真っ暗闇プレー(しかもオンリーちゅー)。
駆け引きっぽく展開してみました
結局夜が見せたのは、エロ道具ではなく蛍でした!
夜ったら意外とロマンチスト


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01:42 | 万華鏡-江戸に咲く- | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑
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