10/16/2010(Sat)
小悪魔な弟 25話
次の日、久耶は思いつめた表情で廊下に出ると丁度潤が出て来てバッタリ出くわした。
いつもなら屈託のない天使のような笑顔で挨拶をする潤が、この日はスッと寂しげな表情で俯いて通り過ぎて行った。
久耶は心に凍てつくような痛みが走った。今まで潤が自分に対してこんな態度を取った事はなかった。
いつもお兄ちゃん、お兄ちゃんと甘えて来て喧嘩さえまともにして来なかった。
久耶は、潤も悩んでいるのだとグッと拳を握りしめて朝食を取りに一階へと降りた。
わざと時間をずらすように早々と出て行く潤を目で追いながら、久耶は自分も高校へと向かった。
学校へ着き、久耶はいつものように過ごして授業が終わると少し早めに部活へ顔を出した。
そしていつも早めに来る友人の姿を探す。
まだグランドに姿が見えないのを確認すると、ロッカー室へと向かった。
久耶がロッカー室へ入ると、そこにはスラリとしたスレンダーな上半身を露わにした青年が着替えていた。
白い肌と野球部員にしては少し長めの髪がどこか色っぽい。
その青年は人が入って来た気配を感じて振り向くと、天使のように可愛らしい笑顔を久耶に向けた。
「久耶っ」
「おう……」
その青年の作る笑顔が潤の顔と少しダブって安堵する。今朝は見られなかったものがここで見られたような錯覚がした。
「どうしたの? 今日は早いね?」
着替える青年のピンクの乳首がチラリと視界に入って、久耶はふと目を逸らした。相手は男なのに失礼な気がしてしまった。
「あ、あぁ。ちょっと相談があって」
「何? 珍しいね」
着替え終わった青年はロッカールームに置いてある長椅子に座ると、久耶もその隣に座って並んだ。
「言いにくいんだが、その、ホモとは……治るものか?」
神妙な面持ちで突拍子もない事を言った久耶に対して、その青年は目を大きく見開いた。
そして少し可笑しそうにクスクス笑いながら頬を赤く染めた。
「久耶、可笑しいっ」
肩を揺らして笑う度にサラサラと揺れる青年の髪から少しシャンプーの香りがした。
「笑いごとじゃない。真剣に悩んでいるんだ」
その言葉にピタリと青年の笑いが止まり、クリっとした魅力的な目を流してきた。
「久耶、ゲイなの?」
「いや、俺じゃなくて、弟がそうらしいんだ。どこの病院に行けばいい?」
久耶は完全に病気だと勘違いしている。
「弟? あのこの間部活の練習試合見に来た可愛い子が?」
「ああ」
「そうなんだ!? あんな可愛いんだから男の人だって放っておかないだろうね」
青年はどこか嬉しそうに反応する。
「え? え? 男が? 何でだ!?」
久耶は完全に未知との遭遇をしているようで、無表情が珍しく焦った顔になっていた。
「あのさ、ゲイは別に病気じゃないから。病院に行ったところで治せないし、治すものでもないんだよ」
青年は呆れたように腕組をして溜息をついた。
「なら俺はどうしたらいいんだ。弟は、きっと悩んでいるんだ。だから俺にその事を告白したに違いない」
額に手を当てて悩む久耶を呆れた目で見ながら青年は口を開いた。
「久耶ってさ、見た目が俺の兄貴に似てるんだけど、中身が正反対なんだよな」
久耶はふと顔を上げた。
自分を呆れながらも優しく見て笑いかけるその青年の雰囲気や外見がどこか潤に似ている。
だからこそ、初めて会った時から話しやすかったというのもあった。
「俺の兄ちゃんさ、医者だしそういうの詳しいから一度話聞きに来るか?」
久耶はその言葉に心が少し軽くなるのを感じた。
そんなに重く考えなくて大丈夫だよ、と久耶の肩をポンと叩いて青年は部屋を出て行こうとドアを開けた。
「東城!」
その後ろ姿に久耶は声を掛けて呼びとめた。
「ん?」
「ありがとうな」
久耶はそっと口元に笑みを作った。初めて久耶の笑みを見た青年はハッとして久耶の顔に魅入られ、そして嬉しそうに頬を染めて返事をした。
「うんっ」
出て行った青年の華奢な背中を見送りながら、久耶は内心少しほっとした。未知のものは理解することで導き出される答えもあると、前向きに考える事が出来た。
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いつもなら屈託のない天使のような笑顔で挨拶をする潤が、この日はスッと寂しげな表情で俯いて通り過ぎて行った。
久耶は心に凍てつくような痛みが走った。今まで潤が自分に対してこんな態度を取った事はなかった。
いつもお兄ちゃん、お兄ちゃんと甘えて来て喧嘩さえまともにして来なかった。
久耶は、潤も悩んでいるのだとグッと拳を握りしめて朝食を取りに一階へと降りた。
わざと時間をずらすように早々と出て行く潤を目で追いながら、久耶は自分も高校へと向かった。
学校へ着き、久耶はいつものように過ごして授業が終わると少し早めに部活へ顔を出した。
そしていつも早めに来る友人の姿を探す。
まだグランドに姿が見えないのを確認すると、ロッカー室へと向かった。
久耶がロッカー室へ入ると、そこにはスラリとしたスレンダーな上半身を露わにした青年が着替えていた。
白い肌と野球部員にしては少し長めの髪がどこか色っぽい。
その青年は人が入って来た気配を感じて振り向くと、天使のように可愛らしい笑顔を久耶に向けた。
「久耶っ」
「おう……」
その青年の作る笑顔が潤の顔と少しダブって安堵する。今朝は見られなかったものがここで見られたような錯覚がした。
「どうしたの? 今日は早いね?」
着替える青年のピンクの乳首がチラリと視界に入って、久耶はふと目を逸らした。相手は男なのに失礼な気がしてしまった。
「あ、あぁ。ちょっと相談があって」
「何? 珍しいね」
着替え終わった青年はロッカールームに置いてある長椅子に座ると、久耶もその隣に座って並んだ。
「言いにくいんだが、その、ホモとは……治るものか?」
神妙な面持ちで突拍子もない事を言った久耶に対して、その青年は目を大きく見開いた。
そして少し可笑しそうにクスクス笑いながら頬を赤く染めた。
「久耶、可笑しいっ」
肩を揺らして笑う度にサラサラと揺れる青年の髪から少しシャンプーの香りがした。
「笑いごとじゃない。真剣に悩んでいるんだ」
その言葉にピタリと青年の笑いが止まり、クリっとした魅力的な目を流してきた。
「久耶、ゲイなの?」
「いや、俺じゃなくて、弟がそうらしいんだ。どこの病院に行けばいい?」
久耶は完全に病気だと勘違いしている。
「弟? あのこの間部活の練習試合見に来た可愛い子が?」
「ああ」
「そうなんだ!? あんな可愛いんだから男の人だって放っておかないだろうね」
青年はどこか嬉しそうに反応する。
「え? え? 男が? 何でだ!?」
久耶は完全に未知との遭遇をしているようで、無表情が珍しく焦った顔になっていた。
「あのさ、ゲイは別に病気じゃないから。病院に行ったところで治せないし、治すものでもないんだよ」
青年は呆れたように腕組をして溜息をついた。
「なら俺はどうしたらいいんだ。弟は、きっと悩んでいるんだ。だから俺にその事を告白したに違いない」
額に手を当てて悩む久耶を呆れた目で見ながら青年は口を開いた。
「久耶ってさ、見た目が俺の兄貴に似てるんだけど、中身が正反対なんだよな」
久耶はふと顔を上げた。
自分を呆れながらも優しく見て笑いかけるその青年の雰囲気や外見がどこか潤に似ている。
だからこそ、初めて会った時から話しやすかったというのもあった。
「俺の兄ちゃんさ、医者だしそういうの詳しいから一度話聞きに来るか?」
久耶はその言葉に心が少し軽くなるのを感じた。
そんなに重く考えなくて大丈夫だよ、と久耶の肩をポンと叩いて青年は部屋を出て行こうとドアを開けた。
「東城!」
その後ろ姿に久耶は声を掛けて呼びとめた。
「ん?」
「ありがとうな」
久耶はそっと口元に笑みを作った。初めて久耶の笑みを見た青年はハッとして久耶の顔に魅入られ、そして嬉しそうに頬を染めて返事をした。
「うんっ」
出て行った青年の華奢な背中を見送りながら、久耶は内心少しほっとした。未知のものは理解することで導き出される答えもあると、前向きに考える事が出来た。
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コメント
(ノ゚Д゚)ノオォオォ
嬉しいです!そう言って頂けて☆
正に小悪魔と言って頂けた!!
ワ─―。*.゚+:ヾ(*・ω・)シ:+゚.*。──ィ
一見可愛い子なのに腹黒い、でもピュアなところもあって攻められると弱いとか好きです!
潤も嫉妬深いですしね~(笑)
読み応えがあると仰って頂けて嬉しいです!!
ありがとうございますヽ(*≧ω≦)ノ
拍手秘コメントどうもありがとうございました
> そりゃ、いくら検索したって、治療法なんか出てこないよね~(笑)
> でも、兄ちゃん、かなり真剣だ。
兄ちゃんの勘違いも酷いものです~(^▽^;)
そんな治療法、見つかる訳ありませんよねっ
だって唯一の治療薬は、兄ちゃん自身なのですから(〃∇〃)
> 艶かしい美青年登場か!?ええ!東城弟!!
> なんと、あの席にもいたんですね。
> 巨乳よりも強敵がいたなんて、潤くん、不覚!!
そうなんですよね~実は東城弟が影をひそめていたという^^;
実は巨乳なんぞよりもよっぽどの強敵がいた!
潤不覚です!
> って、頬を染めた~☆
> ライバルですか!?大変!
> 東城兄、何をどこまで~。潤くん、ヤバイよっ∑( ̄□ ̄;)
> まだ中学編なのに、早くも大嵐ですか、桔梗さま!!
ライバルが増えてしまったー!
あはは^^;
中学編ですが兄が高校生なので波乱が巻き起こってしまいますね;
嵐の予感です(>ω<)!
高校編になったらサイクロンが来るか!?(笑)
戸締りをして挑みたいと思います!!
コメントどうもありがとうございました
おはようございます^^
あ、スミマセン。もう夜でしたね∑(; ̄□ ̄A アセアセ
こんばんは^^;
> ぬぬっ、病気とな!?兄ちゃんそれは違うぞ!と、突っ込み入れたくなります。
お兄ちゃん、おかしな思い違いをしてますが、
潤は確かに一つ病を患ってはいますね!
『恋煩い』という…(〃∇〃)…ヾ(・ω・o) ォィォィ
> ああ~美少年出てきちゃった・:*:・(●´Д`●)・:*:・ ピンクの突起見たい~。
美少年が登場です~♪
って、やぴさま、ピンクの突起が見たいだななんて(*ノノ)キャ
わ、私もですが~~っ(笑)
> とっ、東城!!ってあれですよね…あれ…あ~もう4人が交わったら楽しそう (〃▽〃)ゞ 朝ごはんよりも先に妄想スタートです。
はい!東城はあの方ですっ
4pですか!?あっちの兄弟とこっちの兄弟と…( ̄ii ̄;)ダラー
いいですね!!(笑)
何と!朝ごはん前にこんなものをお見せしてスミマセン;
コメントどうもありがとうございました
そりゃ、いくら検索したって、治療法なんか出てこないよね~(笑)
でも、兄ちゃん、かなり真剣だ。
艶かしい美青年登場か!?ええ!東城弟!!
なんと、あの席にもいたんですね。
巨乳よりも強敵がいたなんて、潤くん、不覚!!
って、頬を染めた~☆
ライバルですか!?大変!
東城兄、何をどこまで~。潤くん、ヤバイよっ∑( ̄□ ̄;)
まだ中学編なのに、早くも大嵐ですか、桔梗さま!!
ぬぬっ、病気とな!?兄ちゃんそれは違うぞ!と、突っ込み入れたくなります。
ああ~美少年出てきちゃった・:*:・(●´Д`●)・:*:・ ピンクの突起見たい~。
とっ、東城!!ってあれですよね…あれ…あ~もう4人が交わったら楽しそう (〃▽〃)ゞ 朝ごはんよりも先に妄想スタートです。
> 久弥、東条クンに何か感じちゃいました。
久耶、やはり潤にちょっぴり似ているようで何かを
感じているような素振りでしたね~(〃∇〃)
> これが久弥の開眼ですかね。
> 久弥が目覚めたら、潤とうまくいくかな?
どうなる事やらです(^▽^;)
開眼してくれれば潤にも少しは希望が生まれてくるような
気配も見えますが、何せ久耶の友人はあの保健の先生!
怪しい雰囲気です~(笑)
> でもその前に東条クンが、
あら??コメント欄で不具合でもありましたでしょうか!?
せっかく書いて頂いた文章が途中で切れてしまっていますね(ノ△・。)
続きのコメントが気になりますが、また気が向きましたら
カキコしてやって下さいませね(´∀`*)ウフフ
お待ちしております♪
コメントどうもありがとうございました
これが久弥の開眼ですかね。
久弥が目覚めたら、潤とうまくいくかな?
でもその前に東条クンが、
> ヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆ 未知との遭遇www
そうなの(^▽^;)
そんな事では、もし潤が今まで学校でしてきた事を知ったら卒倒するだろうね;
まさに未知との遭遇状態(笑)
> お友達、何だかちょっと雰囲気が妖艶Σ(゚д゚;) と思いつつ読み進めたら…
> >久耶ってさ、見た目が俺の兄貴に似てるんだけど
> (☆Д☆)キラリーン♪・・・(;゚ロ゚)ハッ ・・・(・×・)お口ミッフィーw
> って、すぐネタバレあった(笑)
やん♪ミッフィー可愛い!!ヽ(*≧ω≦)ノ
あ、気遣ってくれたのにネタバレ速攻でごめんよ^^;
さすがに直ぐ分かったようだね??( ̄ー ̄)ニヤ...
> ((((((ノ゚⊿゚)ノヌオォォォ 東城センセの弟ーーー!!しかも初対面しちゃう!?
> 何かややこしい事になってきた~~ルン♪ (≧▽≦) ルン♪ ←あw
そうなのーっ(≧∀≦)
アニキが似てるだけあって弟の方もほんのり似ていたようだね♪
初対面なるか!だんだんとややこしくなってきた~(^▽^;)
あ、その顔は喜んでくれているのかな!?
ありがとうv
> そして今日はラストに侍登場( ´艸`)ムププ
今日は侍兄がポチ上に登場です♪
コメントどうもありがとうございました
ヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆ 未知との遭遇www
お友達、何だかちょっと雰囲気が妖艶Σ(゚д゚;) と思いつつ読み進めたら…
>久耶ってさ、見た目が俺の兄貴に似てるんだけど
(☆Д☆)キラリーン♪・・・(;゚ロ゚)ハッ ・・・(・×・)お口ミッフィーw
って、すぐネタバレあった(笑)
((((((ノ゚⊿゚)ノヌオォォォ 東城センセの弟ーーー!!しかも初対面しちゃう!?
何かややこしい事になってきた~~ルン♪ (≧▽≦) ルン♪ ←あw
そして今日はラストに侍登場( ´艸`)ムププ
コメント