11/06/2010（Sat）
小悪魔番外編「アネモネ」１話
「じっとしていてごらん」そう言われて透は雅人が近づいて来るのをじっと見ていた。
次に、ふわりと唇に当たった柔らかい感触に感動した。
「どうだった？」
「すごく、柔らかくて、気持ちが良かった」
「もう一度してみる？」
「うん」
そして雅人にキスの美味しさを教えて貰った。
今にして思うと、透はこの時から雅人を意識するようになっていたような気がした。
雅人のように格好良くモテて男にも女にも満足できる、そんな人になりたいなんて憧れをずっと抱いて真似ばかりしていた。
父子家庭だった透の家は、その父も漁師の仕事をしていた為に、一度漁に出てしまうと何カ月も帰宅しない事が多々あった。
雅人はしっかりしていて、透に家事を教え込み、二人で器用に暮らしていた。
物心ついた頃には、透の中で既に雅人と二人暮らしが普通の状態となっていた。たまに父が帰宅して来る方が気を使ってしまう程に雅人との暮らしは居心地が良かった。
だが、雅人の元来の性に開放的な性格はこの家庭環境を嬉々として利用していった。
透も元々好きな方だったのか、少しずつ雅人のしている事を理解していき、そして興味を膨らませていった。
好奇心旺盛な透は、コッソリと雅人がセックスする所を盗み見たりもしていた。
雅人は昔から変な色気があって男女に事欠かいた事がなかった。
思春期の男子には可笑しな敬慕の念があるものだ。透はいつも羨望の眼差しを雅人に注いでいた。
男子の中でもズバ抜けてそういった知識を身につけ始めた透は学校でも一目置かれる存在になった。
まだ経験のない幼い男子たちはそういった事に敏感で、いつの日か自分が雅人に向けるような眼差しと感情を向けられる事に快感を得ていった。
そんな雅人に触れられる度に、透はどこか兄を独り占め出来ているような気になって心が浮き立つようになっていった。
雅人は兄弟だからなのか、指や玩具で透を満足させる事はあっても、決して身体は繋げようとはしなかった。
それは透にとっても暗黙の了解のようで、自分からは求める事はしなかった。
そもそも八歳も年が離れている事もあって、身体を繋げる事が透の中でまだ現実味が持てなかったというのもあった。
雅人が高校最後の年になる頃、変化は訪れた。
雅人がパッタリと色んな人を家に連れこむ事が無くなったのだ。
ある日の夜、透が雅人の膝の上に乗り向かい合わせで乳首を弄って貰っている時に何気なく聞いてみた。
「ねぇ、兄ちゃん、最近人をうちに呼ばなくなったね。どうして？……あんっ」
雅人はふと見た事のない嬉しそうな顔をして信じられない言葉を言った。
「好きな人が出来たからね」
透には意味が分からなかった。
透は、今まで連れこんでセックスをしていた相手を、全て雅人の“好きな人”だと思い込んでいたからだ。
動悸が激しくなり、弄られている部分が快感を失ってただくすぐったく不快に感じてきた。
「やだっ……！」
ドンッと雅人の胸を跳ね退けて床に転げ落ちた。驚いた雅人が心配そうに近づくと、透は急いで這って逃げた。
透は兄の今までの行動を変える程の“好きな人”の脅威に怯えた。
思っていたよりもずっと独り占めしていたという気持ちが強かったようだ。
数秒前まであまりに当たり前に近く感じていた雅人が、心配そうな顔で近づくにつれて遠く離れていくような感覚に陥った。
雅人にとっての“好きな人”とは一体何なのだろうと、幾つもの眠れぬ夜を過ごした。
そして暫くぶりに家に一人の青年が雅人に連れて来られた。
青年は線の柔らかな美しい男の子だった。同級生の武（タケル）だと紹介された。
その時の少しどこか気恥ずかしげな雅人の顔と、キリッとした聡明な眼差しの青年が見せた、あまりに柔らかな真綿のような笑顔が印象的だった。
それから頻繁に何度も武を連れてくる雅人に、透は危機感のようなものが芽生え始めた。
部屋で一体何をしているのか想像出来ても、見て確かめるのが怖かった。今まで見てきたものと同じ筈なのに、全く違う何かを見てしまいそうで恐ろしかった。
次へ＞＞
もっと早くUPするはずがあー！
スミマセン（汗）こちらはお昼UPにしていこうかと思います。
そんなに長くはならない予定です！
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次に、ふわりと唇に当たった柔らかい感触に感動した。
「どうだった？」
「すごく、柔らかくて、気持ちが良かった」
「もう一度してみる？」
「うん」
そして雅人にキスの美味しさを教えて貰った。
今にして思うと、透はこの時から雅人を意識するようになっていたような気がした。
雅人のように格好良くモテて男にも女にも満足できる、そんな人になりたいなんて憧れをずっと抱いて真似ばかりしていた。
父子家庭だった透の家は、その父も漁師の仕事をしていた為に、一度漁に出てしまうと何カ月も帰宅しない事が多々あった。
雅人はしっかりしていて、透に家事を教え込み、二人で器用に暮らしていた。
物心ついた頃には、透の中で既に雅人と二人暮らしが普通の状態となっていた。たまに父が帰宅して来る方が気を使ってしまう程に雅人との暮らしは居心地が良かった。
だが、雅人の元来の性に開放的な性格はこの家庭環境を嬉々として利用していった。
透も元々好きな方だったのか、少しずつ雅人のしている事を理解していき、そして興味を膨らませていった。
好奇心旺盛な透は、コッソリと雅人がセックスする所を盗み見たりもしていた。
雅人は昔から変な色気があって男女に事欠かいた事がなかった。
思春期の男子には可笑しな敬慕の念があるものだ。透はいつも羨望の眼差しを雅人に注いでいた。
男子の中でもズバ抜けてそういった知識を身につけ始めた透は学校でも一目置かれる存在になった。
まだ経験のない幼い男子たちはそういった事に敏感で、いつの日か自分が雅人に向けるような眼差しと感情を向けられる事に快感を得ていった。
そんな雅人に触れられる度に、透はどこか兄を独り占め出来ているような気になって心が浮き立つようになっていった。
雅人は兄弟だからなのか、指や玩具で透を満足させる事はあっても、決して身体は繋げようとはしなかった。
それは透にとっても暗黙の了解のようで、自分からは求める事はしなかった。
そもそも八歳も年が離れている事もあって、身体を繋げる事が透の中でまだ現実味が持てなかったというのもあった。
雅人が高校最後の年になる頃、変化は訪れた。
雅人がパッタリと色んな人を家に連れこむ事が無くなったのだ。
ある日の夜、透が雅人の膝の上に乗り向かい合わせで乳首を弄って貰っている時に何気なく聞いてみた。
「ねぇ、兄ちゃん、最近人をうちに呼ばなくなったね。どうして？……あんっ」
雅人はふと見た事のない嬉しそうな顔をして信じられない言葉を言った。
「好きな人が出来たからね」
透には意味が分からなかった。
透は、今まで連れこんでセックスをしていた相手を、全て雅人の“好きな人”だと思い込んでいたからだ。
動悸が激しくなり、弄られている部分が快感を失ってただくすぐったく不快に感じてきた。
「やだっ……！」
ドンッと雅人の胸を跳ね退けて床に転げ落ちた。驚いた雅人が心配そうに近づくと、透は急いで這って逃げた。
透は兄の今までの行動を変える程の“好きな人”の脅威に怯えた。
思っていたよりもずっと独り占めしていたという気持ちが強かったようだ。
数秒前まであまりに当たり前に近く感じていた雅人が、心配そうな顔で近づくにつれて遠く離れていくような感覚に陥った。
雅人にとっての“好きな人”とは一体何なのだろうと、幾つもの眠れぬ夜を過ごした。
そして暫くぶりに家に一人の青年が雅人に連れて来られた。
青年は線の柔らかな美しい男の子だった。同級生の武（タケル）だと紹介された。
その時の少しどこか気恥ずかしげな雅人の顔と、キリッとした聡明な眼差しの青年が見せた、あまりに柔らかな真綿のような笑顔が印象的だった。
それから頻繁に何度も武を連れてくる雅人に、透は危機感のようなものが芽生え始めた。
部屋で一体何をしているのか想像出来ても、見て確かめるのが怖かった。今まで見てきたものと同じ筈なのに、全く違う何かを見てしまいそうで恐ろしかった。
次へ＞＞
もっと早くUPするはずがあー！
スミマセン（汗）こちらはお昼UPにしていこうかと思います。
そんなに長くはならない予定です！
＊BL小説ランキング､1ｸﾘｯｸ１０Ptの投票です。(１日１回有効)
投票して下さるととっても嬉しいです。
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コメント
> 透、小さいときから雅人に遊ばれていたんですね。
> でもそれがだんだん恋心に変わって行った。
そうですね(>ω<)
小さい時はそれでも満足できていたのでしょうけど、
だんだん無意識に恋心になっていってしまった……。
> それなのに雅人には恋人ができた。
はい(ﾉ△･｡)
雅人に初めての恋人というものが出来てしまった。
> 透、可哀想。
> 次回はどんな展開になるのかナ？
透、辛い恋を長きに渡って抱えていました。
次回の展開は……(ノД`)･゜･←予告？
少し短めで申し訳ないのですが本日お昼１２時にUP予定です！
コメントどうもありがとうございました
でもそれがだんだん恋心に変わって行った。
それなのに雅人には恋人ができた。
透、可哀想。
次回はどんな展開になるのかナ？
久々シリアスです～(〃∇〃)
> セフレとは 違い 雅人の恋人の武くんが 登場で 透の独占欲が はっきり 表れ 強くなったのね。
そうですね(>ω<)
やっぱり、今まで見て来たセフレへの態度は無意識に安心できる軽さが
あったのだと思います。
自分以外で愛おしむ姿を見て危機感が自覚出来たのだと思います。
> この恋人たちに 何が 起こったのか！！
> わぁ～期待してますから（^o^）ゞbyebye☆
恋人たちに何が起こったのか。過去を遡ってお送り致します(>ω<)！
あうぅ…期待して下さってありがとうございます(ノД`)･゜･
コメントどうもありがとうございました
嬉しいです！ありがとうございます｡.:*･ﾟｷｬ(*ﾉω〃)ﾉｷｬﾟ･*:.｡
(つД`)･ﾟ･｡･ﾟﾟ･*:.｡
待望の念願の東城ｓストーリーだなんて…。
そんな風にまで思って下さって嬉しいです（涙）
あぅあぅ…ありがとうございます、だなんてこちらこそです！！
読んで頂いてありがとうございます！！！
早々に透の痛みが伝わりましたか(>_<)！
陰ながら見守って下さって嬉しいですっ
そんなぁああ！！
寝巻のお袖で鼻水共々拭くなんて！！私が拭きに参ります！！
ﾀﾞｯｼｭ!≡≡≡ﾍ(*--)ﾉ
しかし……Moさまはお寝巻を着て寝ていらっしゃる…と。....((φ(д･｡)ﾎｫﾎｫ…
って、どこに喰いついているのやらです(笑)
私は寝巻を着ないので（Tシャツとスポーツウェアのようなジャージのようなズボンで寝ます；）
寝巻に萌えるんです(〃∇〃)
お気遣いありがとうございます＾＾
大丈夫ですよ！！そんな「ちーん」となさらないで下さいっっ(笑)
コメントどうもありがとうございました
セフレとは 違い 雅人の恋人の武くんが 登場で 透の独占欲が はっきり 表れ 強くなったのね。
この恋人たちに 何が 起こったのか！！
わぁ～期待してますから（^o^）ゞbyebye☆
>
> アネモネって寂しい響きなんだ・・・
> 私にとってのアネモネは
> 「カスクードっ！」・・・いえ、何でもありません（笑）
Σ(ﾛﾟ ﾉ)ﾉﾋﾞｸｯ! ←(笑)
カスクードって食べ物でしたっけ？？
何故！？(笑)
> 最近、澪さんのストーキングをしている夕華です。
> （いや、冗談ですよ？）
ﾊﾞﾝﾊﾞﾝヾ(≧▽≦)ﾉｷﾞｬﾊﾊ☆
澪ちんが夕華さんにストーキングされている！(笑)
(･_･；)_･)ｿｫｰｯ... ←
何か私の中でツボですっ(笑)
えー、冗談なんですか(´・д・｀)ｿﾝﾅｰ ←
コメント＆ストーキング報告どうもありがとうございました
> あぁ、出ちゃったよ…。
> 雅人センセの唯一の特別で今も忘れられないであろう本命(;>_<;)
> 彼らに何が起こっていくんだろう。
中悪魔もかつては大悪魔に色々と仕込まれていたようだよ＾＾；
んで、出ちゃったよ…ｱｯ!(*=▽=)o♂⌒ﾟ･*｡←違
雅人の本命登場。
この時点で |||||( _ _)||||| な感じだよね…。
> うわ～、すっごい切ない話になる予感(ﾉДT)ｱｩｩ
> また一日に2本も桔梗ちんの話が読めるのは嬉しいけどね♪
うわーん(>□<）
そう言って頂けて嬉しいッ（ノД`）･゜･
少し短めだけどお付き合い頂けると嬉しいす＾＾
> アネモネって言葉の響き、何故か以前から凄い私の中で寂しい音を持ってるんだよね。
> それをタイトルに持ってこられて、それだけで既にハンカチ用意！って感じです(^_^;)
アネモネは澪ちんの中で寂しい音を持っていた…....((φ(д･｡)ﾎｫﾎｫ…
分かるー…。綺麗なお花なんだけどね(>ω<)
おお！タイトルの音でハンカチを用意だなんて、ハンカチ無駄になってしまうかも…。
切ないけど描写力で伝わり方が左右されるからハードルが…（汗）
チキショーっ(o>Д<)o（叫
頑張ります(笑)
コメントどうもありがとうございました
> 楽しみに踊ってたのに～じゃなくて待ってたのに～
いや～色々と事情もありまして数話程度にしようかと思いまして(>ω<)
楽しみにして下さっていて本当嬉しいです！！スミマセン！！
数話と言っても思ったより長くはなるかもです！
私、お話し短くするの不得意な上にエロが入ると超絶しつこく長くなりますし(笑)
ｳ･･･━━(｡･ω･)ｳﾜ━(｡-ω-)ｧｧ━･ﾟ･(｡>ω<)･ﾟ･━━ﾝ!!!
うちのサブカプ話好きって言って頂けて嬉しいです！！
抱月や時枝好きってのも物凄い嬉しいです！！
あはは(≧∀≦)
凶器や久兄も好いて頂けて光栄です！！
凶器に様が付いたのがツボでした(笑)
あぅぅ…キャラが魅力的なんて勿体無いお言葉(>□<）！！
ありがとうございます（涙）
> 先日のエチ大好きな受け君の話、分かる～
> 純情そうな受けだと話が進み難いんだよね～受けがバリバリ誘ってくれないと！！
そうなんですよ！！（笑）
嫌がってるとこっちが焦らされて無理矢理縛る……いや、押し倒したくなります！！
誘ってくれないといつまでもヤれない、話が進まない（笑）
あ、そういう時こそ実力行使か♪
いい事閃きました～！ありがとうございます（笑）
あはは！バイブで下準備！自分でしてくれるなんてイイコですね（笑）
お♪また新たなエチ好きな誘いウケたんが作られるので！？
楽しみです～♪
コメントどうもありがとうございました
> びっくりしたっ！お昼にも更新されてた！(ﾟﾛﾟ屮)屮
こんにちは＾＾
ビックリされましたか(笑)
予約投稿して寝落ちました(笑)
昨日は極限忙しかったです！！そしたらナチュラルハイになっちゃって(笑)
> なんだかもうすでに胸がチクチクして…これからが怖いくらいです(>_<)
> 切ないの好きなくせに、へたれです…
分かります！
私も好きなのに怖いしビビってしまいます(-ω-;)
数話程度になりそうですがお付き合い頂けると幸いです♪
コメントどうもありがとうございました
アネモネって寂しい響きなんだ・・・
私にとってのアネモネは
「カスクードっ！」・・・いえ、何でもありません（笑）
最近、澪さんのストーキングをしている夕華です。
（いや、冗談ですよ？）
あぁ、出ちゃったよ…。
雅人センセの唯一の特別で今も忘れられないであろう本命(;>_<;)
彼らに何が起こっていくんだろう。
うわ～、すっごい切ない話になる予感(ﾉДT)ｱｩｩ
また一日に2本も桔梗ちんの話が読めるのは嬉しいけどね♪
アネモネって言葉の響き、何故か以前から凄い私の中で寂しい音を持ってるんだよね。
それをタイトルに持ってこられて、それだけで既にハンカチ用意！って感じです(^_^;)
びっくりしたっ！お昼にも更新されてた！(ﾟﾛﾟ屮)屮
なんだかもうすでに胸がチクチクして…これからが怖いくらいです(>_<)
切ないの好きなくせに、へたれです…
コメント