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万華鏡-江戸に咲く-34

 俺はこんな奴だったか・・?
 抱月は頭を抱える。
 美月が相手だとコントロールが上手く効かない。こんなに人を愛したのは初めてだ。あまり愛しているとその人が本当に幸せに笑ってくれる、それが一番の自分の望みになってしまうものなのだな。
 美月が夜を好きでも仕方がない。ただ、傷ついて欲しくない。美月はきっとまだ知らないのだろう。夜が雪之丞を好きだという事を。夜は・・アイツは選べるのだろうか。
 夜も美月に惹かれている事は分かる。だがアイツは自分で雪に責任を感じている。自分が無力で雪を助けられなかったという責任を。
だから昔俺に男の身体の仕組みを教えてくれと言われ、どうすれば痛みから快感に変えてやれるか教えてくれと頼まれ、可笑しな奴だと思いながらも色々と仕込んでやった。それで未だに茶屋の子供たちを少しでも楽にしてやろうと通っているんだからな。

美月・・。お前がどんなに傷ついても、例え俺の事を夜の次にしか愛して貰えなくても、いつでもお前を受け入れてやる。この腕の中はお前の為だけにある。

 抱月はかよに結婚は出来ないと告げる覚悟をしていた。美月と出逢う前の抱月ならば、他にいい子が出来ても結婚はしつつ、他の子と内通するくらい訳なかったが今の抱月には美月さえ居れば良かった。想いが叶わぬなら、美月さえ心から幸せになって笑ってくれればそれも良いとさえ感じていた。
 かよと別れる覚悟は、抱月のかよへの想いも手伝った。かよ程気立ての良い女は居なかったし、生涯を共にする相手に一度は選んだ相手だ。かよならば、他にいくらでも嫁に欲しがる相手は見つかるだろう。

 すまない、かよ。お前に心が無い状態で一緒に居られる程、お前も、美月も軽い相手ではないようだ。

* * *

「かよ、アンタ最近抱月先生ん所泊まって来ないねェ?喧嘩でもしたのかい?」
 かよはふいに親戚のおばさんに指摘されてドキリとした。
「え・・ええ。今お弟子さんがいらしていて、なかなか。抱月さんもお忙しいでしょうし。」
「そうかい。でもま、もう直ぐ結婚だし心配も無いやね!」
「そうですね・・。」
 笑顔を見せたかよだったが心中暗い影が差し込んでいた。最近抱月の所へ尋ねて行っても以前のように触れてこなくなったばかりか、直ぐにやんわりと帰させられてしまうのだ。
 抱月の心には何か別のものがいっぱいに詰まっている感じがする。以前にも増して人を惹く男の色気が増して幾度、顔を見に行く度にその深い胸に飛び込みたい、抱きとめられたいと思ったことか知れない。

 (最近の抱月さん、やっぱり何かおかしいわ・・。いくら結婚するといっても、これでは・・)

 かよは意を決して問いただそうと密かに決意した。


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かよさん・・おっつ
    ↑ヒドイ・・

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