05/01/2010(Sat)
恋のぼり2話
(ここも・・掃除しなきゃ・・)
大きな蔵の中は埃っぽく暗かった。唯一小窓から入る光が中を薄明るくさせてはいるが、入ってしばらくしないと目が慣れない。大量の物が乱雑に保管されている蔵は一人で整頓するのに一苦労だった。棚に沿って見慣れない物たちに目を奪われていると、足元の物に引っ掛かって床に転んでしまった。
「うわッ!!」
さっき俊平に突き飛ばされて擦り剥いた顎に再度石の床がぶつかり、泣き面に蜂状態だ。
「イッツ!・・?」
床を見ると大きな鱗模様の布が敷いてあるのが見えた。不思議に思い、立ち上がって布を広げると、それは毎年5月に揚げられる鯉のぼりだった。
(あっ・・これ・・)
それは僕にとって憧れだった。裕福な家庭でしかこのような立派な鯉のぼりが揚げられないこの時代で、僕が唯一初めて間近で見た本物の鯉のぼりだった。色鮮やかな矢車の下には黒く大きく立派な真鯉。風に揺られて大きく空を泳ぐその姿は大変立派で、両親の子を思う気持ちが鯉を元気よく泳がせているように見えた。
(うわぁ・・鯉だぁ。)
雨音はキラキラと目を輝かせてちらりと周りに人の気配がいないのを確認すると、その滑々した布を手に取りパタパタと鯉を泳がせてみた。
その時一瞬にして雨音の身体に布が被さり、大きな鯉の口に飲み込まれてしまった。
「うわあ!!」
「あっはは、驚いたか?雨音」
急いで鯉の口から顔を出すと、目の前には大好きな龍ノ助が悪戯な顔で笑っていた。
「もっ・・もうっ!驚かせないで下さい、龍ノ助さまぁ。」
「だって全然気付かないからさ。つい悪戯したくなっちゃって。」
そう言うと鯉の口を雨音と自分に被せてきた。急に間近に迫った龍ノ助の顔にドキンと心臓が大きく跳ねると、その瞬間から鼓動の時速が上がった。
「ほら、二人とも食べられちゃった」
「あ・・・」
僕はそれどころではない。蔵という密室だけでも心臓が張り裂けそうなのに、こんな布を二人で被って更に空間を狭められたら気を失いそうになる。
それどころか、龍ノ助に何故か近くでジッと口元を見つめられる。
龍ノ助の顔をこんなに間近で長時間見たのは初めてだった。長く密集したまつ毛が切れ長の瞳を更に艶っぽく見せ、スッとした顎のラインに肉付きのいい唇が更に雨音の欲を掻き立てる。
まだ十五歳である龍ノ助は、整った顔立ちに加え、元々落ち着いているので大人っぽくは見えるがやはり、ほんの少し幼さが見え隠れする。大人になったらきっとすれ違う人が振り向くような容姿になるに違いない。
龍ノ助の手が雨音の顎に触れた。途端に頭が真っ白になる。日の光を浴びればきっと顔が売れたトマトのように真っ赤になっているに違いない。
ゆっくりと近づく龍ノ助に耐え切れずギュッと目を瞑る。
「お前、ここどうしたんだ?擦り剥いてるじゃないか」
「え・・え・・?」
龍ノ助はさっき負った傷を見ていたのだ。一瞬で心臓が湖の底に沈殿していく。
「あ・・ああ。それですか。さっき転んだ所をまたぶつけてしまって。」
「可哀想に。血が出ている。」
「いえ、大した事はないので。」
グイと顎を上に向けられると、傷口をぺロリと龍ノ助に舐められた。
一瞬何をされたのか理解できなかった。見開いた目でジッと龍ノ助を見ていると、再びゆっくりと傷口に舌を這わされた。
「ッ!龍・・ノ助さまッ!何を・・!」
龍ノ助は黙ったまま舌をゆっくりと耳元へ、そして首筋から鎖骨の方へと移動させた。
「あっ・・おやめくださ・・い・・龍ノ・・助さまっ・・あっ」
いけないと分かっているのに身体は素直に反応してしまう。ゾクゾクと気持ちのいい昂ぶりが身体の表面を駆け抜ける。思わず龍ノ助の肩をギュっと掴んでしまった。
すると龍ノ助の舌先はゆっくりと顎へ移動し、雨音に視線を合わせるとそのまま唇を舐めた。舌はそのままヌルリと雨音の口内へ侵入し怯える雨音の舌に絡ませると巧みに唾液を流し込んでくる。
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大きな蔵の中は埃っぽく暗かった。唯一小窓から入る光が中を薄明るくさせてはいるが、入ってしばらくしないと目が慣れない。大量の物が乱雑に保管されている蔵は一人で整頓するのに一苦労だった。棚に沿って見慣れない物たちに目を奪われていると、足元の物に引っ掛かって床に転んでしまった。
「うわッ!!」
さっき俊平に突き飛ばされて擦り剥いた顎に再度石の床がぶつかり、泣き面に蜂状態だ。
「イッツ!・・?」
床を見ると大きな鱗模様の布が敷いてあるのが見えた。不思議に思い、立ち上がって布を広げると、それは毎年5月に揚げられる鯉のぼりだった。
(あっ・・これ・・)
それは僕にとって憧れだった。裕福な家庭でしかこのような立派な鯉のぼりが揚げられないこの時代で、僕が唯一初めて間近で見た本物の鯉のぼりだった。色鮮やかな矢車の下には黒く大きく立派な真鯉。風に揺られて大きく空を泳ぐその姿は大変立派で、両親の子を思う気持ちが鯉を元気よく泳がせているように見えた。
(うわぁ・・鯉だぁ。)
雨音はキラキラと目を輝かせてちらりと周りに人の気配がいないのを確認すると、その滑々した布を手に取りパタパタと鯉を泳がせてみた。
その時一瞬にして雨音の身体に布が被さり、大きな鯉の口に飲み込まれてしまった。
「うわあ!!」
「あっはは、驚いたか?雨音」
急いで鯉の口から顔を出すと、目の前には大好きな龍ノ助が悪戯な顔で笑っていた。
「もっ・・もうっ!驚かせないで下さい、龍ノ助さまぁ。」
「だって全然気付かないからさ。つい悪戯したくなっちゃって。」
そう言うと鯉の口を雨音と自分に被せてきた。急に間近に迫った龍ノ助の顔にドキンと心臓が大きく跳ねると、その瞬間から鼓動の時速が上がった。
「ほら、二人とも食べられちゃった」
「あ・・・」
僕はそれどころではない。蔵という密室だけでも心臓が張り裂けそうなのに、こんな布を二人で被って更に空間を狭められたら気を失いそうになる。
それどころか、龍ノ助に何故か近くでジッと口元を見つめられる。
龍ノ助の顔をこんなに間近で長時間見たのは初めてだった。長く密集したまつ毛が切れ長の瞳を更に艶っぽく見せ、スッとした顎のラインに肉付きのいい唇が更に雨音の欲を掻き立てる。
まだ十五歳である龍ノ助は、整った顔立ちに加え、元々落ち着いているので大人っぽくは見えるがやはり、ほんの少し幼さが見え隠れする。大人になったらきっとすれ違う人が振り向くような容姿になるに違いない。
龍ノ助の手が雨音の顎に触れた。途端に頭が真っ白になる。日の光を浴びればきっと顔が売れたトマトのように真っ赤になっているに違いない。
ゆっくりと近づく龍ノ助に耐え切れずギュッと目を瞑る。
「お前、ここどうしたんだ?擦り剥いてるじゃないか」
「え・・え・・?」
龍ノ助はさっき負った傷を見ていたのだ。一瞬で心臓が湖の底に沈殿していく。
「あ・・ああ。それですか。さっき転んだ所をまたぶつけてしまって。」
「可哀想に。血が出ている。」
「いえ、大した事はないので。」
グイと顎を上に向けられると、傷口をぺロリと龍ノ助に舐められた。
一瞬何をされたのか理解できなかった。見開いた目でジッと龍ノ助を見ていると、再びゆっくりと傷口に舌を這わされた。
「ッ!龍・・ノ助さまッ!何を・・!」
龍ノ助は黙ったまま舌をゆっくりと耳元へ、そして首筋から鎖骨の方へと移動させた。
「あっ・・おやめくださ・・い・・龍ノ・・助さまっ・・あっ」
いけないと分かっているのに身体は素直に反応してしまう。ゾクゾクと気持ちのいい昂ぶりが身体の表面を駆け抜ける。思わず龍ノ助の肩をギュっと掴んでしまった。
すると龍ノ助の舌先はゆっくりと顎へ移動し、雨音に視線を合わせるとそのまま唇を舐めた。舌はそのままヌルリと雨音の口内へ侵入し怯える雨音の舌に絡ませると巧みに唾液を流し込んでくる。
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コメント
こんばんは♪
> 日中ずっと遊び呆けてました(笑)
そちらはGWですもんねー!いいなん
> 食べられちゃった~~!!そしてさらに龍之介さんにも喰べるられる?
(o ̄∀ ̄)ノ”ぁぃ パクッと
> とっても楽しみです!!
ありがとうございます楽しみだなんて言って下さって・・
頑張りますッ
> 鯉のぼり…私はどこに入れよう(汗)
びゃははは (≧ω≦)b
由花さまの処では鯉という名の精子が今教授によって昇り詰められているではないですか!!
でも鯉(本物)がどういう風に絡んでくるか楽しみです♪
コメントありがとうございました
> 蔵の中、それだけでロマンチックですね。時代かかって、うっとりする情景です。
蔵の中は異次元空間でつ。むふふ
うっとりして頂いてありがとうございます♪
あの、薄暗くて少しカビっぽい匂いに、ひんやりとした感じ。
ラブスポットじゃーッ うおーッ (x_x) ☆\( ̄ ̄*)バシッ 落ち着け
コメントありがとうございました
食べられちゃった~~!!そしてさらに龍之介さんにも喰べるられる?
とっても楽しみです!!
鯉のぼり…私はどこに入れよう(汗)
蔵の中、それだけでロマンチックですね。時代かかって、うっとりする情景です。
コメント