06/09/2010(Wed)
「媚薬の雨水」第2話
BL観潮楼<初夏企画:「雨にまつわる」お題参加。 参加者さまの作品一覧
3人の出会いはこちらから→恋のぼり第一話(全7話)
「媚薬の雨水」第2話
「兄さま! 雨音! 何やってるんですっ!?」
俊平が顔を赤らめて驚きの表情で駆け寄ってきた。
(嫌だっ……俊平さまに見られた!)
雨音は急いで肌蹴た着物を掻き寄せた。
龍ノ助がゆっくりと俊平に向き直り、俊平と目線を合わせる。
「俊平。聞いて欲しい事がある。」
「何です?」
俊平の目線は尚も顔を赤らめて俯く雨音へと注がれている。
「俊平、すまないが、私が恋人として愛しているのは雨音なんだ。お前の気持ちには答えられない。」
龍ノ助の言葉に雨音がハッと顔を上げる。
「兄さま……確かに僕は昔兄さまの事をお慕い申してました。ですが、今僕が好きなのは、雨音です!」
「なっ……!」
龍ノ助がたじろいだ。
(え!? 俊平さまが……僕を?!)
雨音はあれだけ憎まれて苛められていた相手が自分を好きだという事実に信じられないでいる。
色々と二人しか知らない大変な事もあって仲良くはなった。それは雨音にとって最高に嬉しい事だった。
だが、俊平の龍ノ助への想いを知っていただけに、仲良くなってからの邪魔するような俊平の行動は、全て龍ノ助への妬きもちだと思っていたのだ。
まさかそれが自分への恋情からで、自分に妬いていたとは思いもしなかった。
「僕は…兄さまの事も好きだけど…雨音への想いはもっと強くなって…雨音を見ると苦しいし、身体も熱くなる。幾度も雨音の寝姿を見に来ては一人でそっと自分を慰めたりも……」
「俊平! 悪いが、諦めてくれ。」
ピシリと張りのある龍ノ助の声が響いた。
シンとなった部屋にクレッシェンドのように外の雨の音だけがどんどん大きな音で聞こえてくる。
ポタポタと屋根から落ちる雨粒の音が雨音の耳には不協和音に聞こえていた。
雨音がふと俊平の方に顔を向けると、その俊平の表情に胸がズキンと痛んだ。
ボロボロと大粒の涙が頬を伝って畳みへ落ちていた。
ポタポタと垂れるその低い雫の音程は、外の雨音でかき消されて聞こえない。
「うっ…くっ……う…っ」
俊平の表情が苦悶に揺れる。
「いや…だっ…僕は……アマネが…好きで…仕方ない…んだっ」
ダダを捏ねるように腕で涙を拭きながら俊平が縋るように雨音を見る。
雨音はギュっと胸の中を捕まれたように感じる。
「俊平……雨音だけは……譲れない」
優しく低い声で揺るがない意思が込められた龍ノ助の言葉に俊平はギュッと目を瞑り、嗚咽を漏らした。
「うっ……いやだ…よっ……嫌だーッ」
「俊平さまっ……!」
俊平は勢いよく部屋を飛び出し、傘も持たずに外へ飛び出して行った。
「ど、どうしましょう、俊平さまが……」
「大丈夫だ。恐らく道場の方へ行ったのだろう。後で迎えに行くから安心しろ」
以前の出来事が思い出される。
もしまた俊平にあんな事があってしまったらと考え、あの時の恐怖や痛みが蘇ってカタカタと震えてきた。
「大丈夫。もう、あんな目には絶対に合わせない」
龍ノ助がギュッと抱きしめてくる。
「え……え……?」
雨音はサーッと頭から血の気が引いてきた。
「知っているんだ。お前たちが隠して来た事。あの時治療した医師に教えてもらったから」
雨音の顔が真っ青になり、隠していた事や、されてしまった事などが一番知られたくない人に知られてしまった事実にパニックの状態になりかけた。
「あ……あ……ああ……」
唇が震える。
言い訳も謝りの言葉も違う気がしてグチャグチャの感情と恐ろしさだけが募る。
龍ノ助がそっと冷たくなった雨音の美しい顔を両手で包む。
「大丈夫だ。嫌いになってなどないし、お前は汚れてなどいない。隠していたのも俊平に責任感を感じさせない為だろう。それに、何よりあいつの俺への想いを考慮していたからだろう? 全部分かっているから」
龍ノ助はふわりと陽だまりのような暖かい笑みを浮かべた。
「あ……お……お兄さま……」
急激に襲った冷気がお日様の光で徐々に暖められるようだった。
「好きだよ、雨音。お前の初めては、俺になる」
雨音の身体は沸騰したように熱が沸きあがってきた。
そして、さっきまで五月蝿い程の雨の音は白黒の無音の映画のように何も聞こえなくなっていた。
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「媚薬の雨水」第2話
「兄さま! 雨音! 何やってるんですっ!?」
俊平が顔を赤らめて驚きの表情で駆け寄ってきた。
(嫌だっ……俊平さまに見られた!)
雨音は急いで肌蹴た着物を掻き寄せた。
龍ノ助がゆっくりと俊平に向き直り、俊平と目線を合わせる。
「俊平。聞いて欲しい事がある。」
「何です?」
俊平の目線は尚も顔を赤らめて俯く雨音へと注がれている。
「俊平、すまないが、私が恋人として愛しているのは雨音なんだ。お前の気持ちには答えられない。」
龍ノ助の言葉に雨音がハッと顔を上げる。
「兄さま……確かに僕は昔兄さまの事をお慕い申してました。ですが、今僕が好きなのは、雨音です!」
「なっ……!」
龍ノ助がたじろいだ。
(え!? 俊平さまが……僕を?!)
雨音はあれだけ憎まれて苛められていた相手が自分を好きだという事実に信じられないでいる。
色々と二人しか知らない大変な事もあって仲良くはなった。それは雨音にとって最高に嬉しい事だった。
だが、俊平の龍ノ助への想いを知っていただけに、仲良くなってからの邪魔するような俊平の行動は、全て龍ノ助への妬きもちだと思っていたのだ。
まさかそれが自分への恋情からで、自分に妬いていたとは思いもしなかった。
「僕は…兄さまの事も好きだけど…雨音への想いはもっと強くなって…雨音を見ると苦しいし、身体も熱くなる。幾度も雨音の寝姿を見に来ては一人でそっと自分を慰めたりも……」
「俊平! 悪いが、諦めてくれ。」
ピシリと張りのある龍ノ助の声が響いた。
シンとなった部屋にクレッシェンドのように外の雨の音だけがどんどん大きな音で聞こえてくる。
ポタポタと屋根から落ちる雨粒の音が雨音の耳には不協和音に聞こえていた。
雨音がふと俊平の方に顔を向けると、その俊平の表情に胸がズキンと痛んだ。
ボロボロと大粒の涙が頬を伝って畳みへ落ちていた。
ポタポタと垂れるその低い雫の音程は、外の雨音でかき消されて聞こえない。
「うっ…くっ……う…っ」
俊平の表情が苦悶に揺れる。
「いや…だっ…僕は……アマネが…好きで…仕方ない…んだっ」
ダダを捏ねるように腕で涙を拭きながら俊平が縋るように雨音を見る。
雨音はギュっと胸の中を捕まれたように感じる。
「俊平……雨音だけは……譲れない」
優しく低い声で揺るがない意思が込められた龍ノ助の言葉に俊平はギュッと目を瞑り、嗚咽を漏らした。
「うっ……いやだ…よっ……嫌だーッ」
「俊平さまっ……!」
俊平は勢いよく部屋を飛び出し、傘も持たずに外へ飛び出して行った。
「ど、どうしましょう、俊平さまが……」
「大丈夫だ。恐らく道場の方へ行ったのだろう。後で迎えに行くから安心しろ」
以前の出来事が思い出される。
もしまた俊平にあんな事があってしまったらと考え、あの時の恐怖や痛みが蘇ってカタカタと震えてきた。
「大丈夫。もう、あんな目には絶対に合わせない」
龍ノ助がギュッと抱きしめてくる。
「え……え……?」
雨音はサーッと頭から血の気が引いてきた。
「知っているんだ。お前たちが隠して来た事。あの時治療した医師に教えてもらったから」
雨音の顔が真っ青になり、隠していた事や、されてしまった事などが一番知られたくない人に知られてしまった事実にパニックの状態になりかけた。
「あ……あ……ああ……」
唇が震える。
言い訳も謝りの言葉も違う気がしてグチャグチャの感情と恐ろしさだけが募る。
龍ノ助がそっと冷たくなった雨音の美しい顔を両手で包む。
「大丈夫だ。嫌いになってなどないし、お前は汚れてなどいない。隠していたのも俊平に責任感を感じさせない為だろう。それに、何よりあいつの俺への想いを考慮していたからだろう? 全部分かっているから」
龍ノ助はふわりと陽だまりのような暖かい笑みを浮かべた。
「あ……お……お兄さま……」
急激に襲った冷気がお日様の光で徐々に暖められるようだった。
「好きだよ、雨音。お前の初めては、俺になる」
雨音の身体は沸騰したように熱が沸きあがってきた。
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コメント
ありがとうございます!!!
> 雨音を見出だしたのは龍ノ助さんだからね。
そうでした。龍ノ助は最初から雨音に目を付け、
気に入って両親まで説得したのでした。
激惚れですね(笑)
> 俊平さんの気持ちもわかるけど、少し遅かった。
俊平、確かにちょっと遅かったですね~!
最初「やだぁ・・」とか言ってなければ
少しはいい関係にもなれてたかもしれないのに^^;
> でも兄弟仲良く、まだまだ先はありそうだ!
はい!兄弟同士の仲睦まじい様子はまだあります♪
コメントどうもありがとうございました
俊平さんの気持ちもわかるけど、少し遅かった。
でも兄弟仲良く、まだまだ先はありそうだ!
> とことん甘く優しく思いやりのある龍ノ助さんと、素直でやんちゃで等身大な感じの俊平くん。
> どちらも魅力ある子で迷っちゃう~~オイ(;´0`)ツ))□`)アゥ
そんな迷ってもらえるなんて~//▽//
幸せっヽ(゚∀゚)ノパッ
> 龍ノ助さんは全てを分かった上でここまで愛してきたんですね(*´д`)
> 雨音くんは受け入れるのか…。
龍ノ助は意外にも懐も☆☆☆も大きな男でsy・・手裏剣 (ノ ̄д ̄)ノ===卍◇ ̄;)ノ グハッ!!
雨音は受け入れるのでしょうか・・( ̄  ̄)………( ̄ー ̄)ニヤ
> 所々で登場する雨の音の表記が、雨音の分かる雨音くんの心を上手く表現していて素敵です(*´ェ`*)ポッ
そこ褒めて頂けて嬉しいです!ちょっと真面目な文!ww
絶対音感の持ち主の雨音なら、きっとこういう風に感じるんだろうな、とか思って書きました^^
真面目な部分を褒められると恥ずかし~~~(///ω///)テレテレ♪
エロを褒められると嬉しいのにwwwどっちも嬉しいです!!
> お?次話は桔梗ちんの真骨頂を拝見できるのか!?( ̄ー ̄)ニヤリッ
真骨頂!!バンバンヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
イかせて頂きます!!(*._.)シコシコ♪ アッ(*゚▽゚).。*・゚*・゚ ドピュッ ヾ(- -;)
コメントどうもありがとうございました
> 鯉のぼり、読んでなかったので急いで読んで追いつきました(ハァハァ)
Σ ゚ロ゚≡( ノ)ノ エェェ!?
わざわざありがとうございました!!!
めちゃめちゃ嬉しいです~(ノД`)・゜・
(*´ェ`*)っ旦~お茶どうぞ
> 復習は完璧なので、もうどんなエロでもドンと来い!(エロかい・笑)
復習!!バンバンヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
エロの試験勉強ですかいっ!!びゃははは (≧ω≦)b
> 雨音ちゃんは純粋でいい子ですね、こういう子って可愛くて可愛くて
> おばちゃん、Sの血が騒いじゃうわよ(笑)
あわわ・・ゆうかさまのSの血を騒がせてしまった((((;´・ω・`)))ガクガクブルブル
ん?でも雨音もちょっと嬉しそうなのは何故?
> 私も無理矢理、企画参加してみましたが先行き不安・・・
お~っゆうかさまも参加!!ナンパされてしまったやつですね!?
楽しみです^^
> 雨でこれなんだから、鯉のぼりなんてお題絶対に書けません。
> 桔梗様は凄いなァ・・・
全っっ然凄くないです(キッパリ)
元々他の方々のを読むのを楽しみにしてましたところを、恐れ多くも誘って下さって
恐る恐る書いてみたという・・
なので、チキって私にしてはエロが少ないという希少稀な作品でございます(笑)
エロが少ないからって痛い描写を書いたりして、テンパり放題ですし!
きっとゆうかさまが書いたら切ない感じの胸キュンストーリーが出来たのではないでしょうか!
雨のお話楽しみにしてます^^
コメントどうもありがとうございました
> のセリフに萌えました!!
マジですか!!O(≧▽≦)O ワーイ♪
ビシリと言いました、龍ノ助のやつ。
独占欲の強い奴めっ・・だがしかーし!!ニヒッ
> この兄弟いいなぁー!!
義込みの兄弟ですが、いいと言って貰えて燃えて来ましたぁーー!!
ビバッ☆ブラザーズ!!
レット・ゼム・ふぁっ・・ぅわたァ!!o(メ`□´)○()o×)/あべしっ!!
> たじろいだアニキもいいよー!!
あはは!たじろぎアニキ良かったすか!
よ~し、次は狼狽アニキじゃ~!
> でも俊平くーん!!
> 素直で可愛いです!!
> 応援したくなっちゃいますねー!!
素直に雨音をオカズにしてた事言いましたからね(笑)
良く言えました^^(笑)
自慰報告は大切ですからね♪「ホウ・レン・ソウ」「報告・連絡・相談」(大笑)
可愛いと言って頂けて嬉しいです!
アオヒツジさまの応援が入ったので、俊平に動きが入ります!!
おっとその前動かなくてはいけない二人もいました♪
コメントどうもありがとうございました
> まぁ、俊平ちゃんたら、なんて素直なんでしょうw
> 雨音さんの寝姿見て、チョメチョメなんて~
はいww
Σ何故そこを素直にかミングアウト?!っていうww
> えっぐえっぐと泣く俊平ちゃん、かわゆいですーー!!
昔はあんなに強気で雨音をいぢめてたくせに・・ww
どうも苛めたくなっちゃいます、俊平を^^;
> あ~でも、切ないですねぇ…。
切ないですかッ!?あ、ありがとうございます!
こんなエロ小説に切ないなんて勿体無いお言葉(ノД`)・゜・
> でも龍之助さまは、お兄様は全てをわかって雨音さんを愛してるのですね。
そうなのです。
龍ノ助はなかなか懐も☆☆☆もデカイやつでして・・パンチ!(`´)===○☆(。_゚☆θ-(`´)キック!
> 次はRかしらww ドキドキ
(`・ω・´)ノ ァィ!
ちょっと入って来ます♪ニヒッ
コメントどうもありがとうございました
どちらも魅力ある子で迷っちゃう~~オイ(;´0`)ツ))□`)アゥ
龍ノ助さんは全てを分かった上でここまで愛してきたんですね(*´д`)
雨音くんは受け入れるのか…。
所々で登場する雨の音の表記が、雨音の分かる雨音くんの心を上手く表現していて素敵です(*´ェ`*)ポッ
お?次話は桔梗ちんの真骨頂を拝見できるのか!?( ̄ー ̄)ニヤリッ
復習は完璧なので、もうどんなエロでもドンと来い!(エロかい・笑)
雨音ちゃんは純粋でいい子ですね、こういう子って可愛くて可愛くて
おばちゃん、Sの血が騒いじゃうわよ(笑)
私も無理矢理、企画参加してみましたが先行き不安・・・
雨でこれなんだから、鯉のぼりなんてお題絶対に書けません。
桔梗様は凄いなァ・・・
この兄弟いいなぁー!!
たじろいだアニキもいいよー!!
でも俊平くーん!!
素直で可愛いです!!
応援したくなっちゃいますねー!!
雨音さんの寝姿見て、チョメチョメなんて~
えっぐえっぐと泣く俊平ちゃん、かわゆいですーー!!
あ~でも、切ないですねぇ…。
でも龍之助さまは、お兄様は全てをわかって雨音さんを愛してるのですね。
次はRかしらww ドキドキ
コメント