05/22/2010(Sat)
万華鏡-江戸に咲く-55
「このっ・・浮気モノ!!」
急に戸が開いたと思ったらそこから罵声を飛ばす喜助が現れた。
喜助の顔は怒りで紅潮し、息が荒くなっていた。
「喜助っ・・」
夜とのキスシーンを見られた雪之丞は恥ずかしさで顔が赤くなっていく。
「喜助違う、これは・・」
夜が言い訳を言おうとするが、興奮した喜助には届かない。
「夜兄さぁ、何なの?いい加減にしろよ。美月さん、どんな気持ちでいるか知ってんの?ああ、そう言えば知ってるって美月さん、言ってたっけ!知ってて兄さんとこういう事出来るんだ。」
喜助の拳がわなわなと震える。
「違うよ、喜助!聞きなさい!」
必死に話をしようとする雪之丞をギロリと鋭い視線を刺す。雪之丞は弟の見せる初めての男の顔と、憎悪を向けられた衝撃で言葉が詰まった。
「おい・・いい加減話くらい聞け、喜助。」
夜が低い声で諌めた。
「俺は、美月さんの事が好きだ。俺の方が美月さんの事、好きだ。いい加減で垂らしの夜兄なんかよりも俺の方がよっぽど美月さんを幸せにしてやれる!あんな美月さんの悲しい顔させない!」
「喜助・・お前も・・美月が好きだったのか?」
驚く二人に喜助はどうどうとした視線で言い放った。まだ幼さの残るその顔からは成長しかけた男のオーラが出ているようにも感じられる。
「嫌いだよ。二人とも。見損なった。」
それだけ言うと、家を飛び出して駆けて行ってしまった。
喜助は走った。流れる汗が目に入っても瞬きもせずに美月を探して走った。
抱月の家に向かおうと走っていた時、夜の店先で留守番をしている美月の姿が目に飛び込んできた。
「美月さん!!」
急に走ってきた喜助の姿に美月はびっくりした。
「え、喜助くん?!どうしたの、そんな慌てて・・雪之丞さんに何かあった?!」
直ぐに往診に行く体勢を整える姿を見た喜助は、整わない息のまま美月に抱きついた。
「え!え、え、どうしたの・・」
「今さっき家に帰ったら、夜兄と雪兄が抱き合って、口付けしてた。」
(え・・・)
美月は目の前が真っ白になった。
「夜兄、酷いよ。美月さんの気持ち知っててあんな事コソコソしてさ!」
(そうか・・答え、出たんだ。上手くいったんだね、夜たち・・)
美月の瞳に涙が溢れてくる。
「俺だったら美月さんの事泣かせない。今はまだガキだけど、すぐに大きくなるから!大きくなって、ちゃんと稼いで、一生困らせないし一生幸せにする!だから美月さん、俺とこの町を出よう!」
(そう・・なら、俺はもうここに居ても仕方が無い・・よな)
「ねぇ、美月さんてば!」
ボーっと外を見ながら上の空でそんな事を考える美月を見て、居た堪れなくなった喜助は美月にキスをした。
(俺を見てよ、美月さん!)
されるがままの状態で涙ばかりが流れ落ちた。
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急に戸が開いたと思ったらそこから罵声を飛ばす喜助が現れた。
喜助の顔は怒りで紅潮し、息が荒くなっていた。
「喜助っ・・」
夜とのキスシーンを見られた雪之丞は恥ずかしさで顔が赤くなっていく。
「喜助違う、これは・・」
夜が言い訳を言おうとするが、興奮した喜助には届かない。
「夜兄さぁ、何なの?いい加減にしろよ。美月さん、どんな気持ちでいるか知ってんの?ああ、そう言えば知ってるって美月さん、言ってたっけ!知ってて兄さんとこういう事出来るんだ。」
喜助の拳がわなわなと震える。
「違うよ、喜助!聞きなさい!」
必死に話をしようとする雪之丞をギロリと鋭い視線を刺す。雪之丞は弟の見せる初めての男の顔と、憎悪を向けられた衝撃で言葉が詰まった。
「おい・・いい加減話くらい聞け、喜助。」
夜が低い声で諌めた。
「俺は、美月さんの事が好きだ。俺の方が美月さんの事、好きだ。いい加減で垂らしの夜兄なんかよりも俺の方がよっぽど美月さんを幸せにしてやれる!あんな美月さんの悲しい顔させない!」
「喜助・・お前も・・美月が好きだったのか?」
驚く二人に喜助はどうどうとした視線で言い放った。まだ幼さの残るその顔からは成長しかけた男のオーラが出ているようにも感じられる。
「嫌いだよ。二人とも。見損なった。」
それだけ言うと、家を飛び出して駆けて行ってしまった。
喜助は走った。流れる汗が目に入っても瞬きもせずに美月を探して走った。
抱月の家に向かおうと走っていた時、夜の店先で留守番をしている美月の姿が目に飛び込んできた。
「美月さん!!」
急に走ってきた喜助の姿に美月はびっくりした。
「え、喜助くん?!どうしたの、そんな慌てて・・雪之丞さんに何かあった?!」
直ぐに往診に行く体勢を整える姿を見た喜助は、整わない息のまま美月に抱きついた。
「え!え、え、どうしたの・・」
「今さっき家に帰ったら、夜兄と雪兄が抱き合って、口付けしてた。」
(え・・・)
美月は目の前が真っ白になった。
「夜兄、酷いよ。美月さんの気持ち知っててあんな事コソコソしてさ!」
(そうか・・答え、出たんだ。上手くいったんだね、夜たち・・)
美月の瞳に涙が溢れてくる。
「俺だったら美月さんの事泣かせない。今はまだガキだけど、すぐに大きくなるから!大きくなって、ちゃんと稼いで、一生困らせないし一生幸せにする!だから美月さん、俺とこの町を出よう!」
(そう・・なら、俺はもうここに居ても仕方が無い・・よな)
「ねぇ、美月さんてば!」
ボーっと外を見ながら上の空でそんな事を考える美月を見て、居た堪れなくなった喜助は美月にキスをした。
(俺を見てよ、美月さん!)
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コメント
O(≧▽≦)O ワーイ♪ コメありがとうございます♪
> ありゃま。なんかまずいことに・・・
> 夜七さんの凶器活躍できず?(笑)
バンバンヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
凶器の活躍が何故か引っ張る形になってしまい、申し訳ないです 笑
> どうなっちゃうんでしょう・・・
 ̄ー ̄)ニヤリッ
コメントどうもありがとうございました
夜七さんの凶器活躍できず?(笑)
どうなっちゃうんでしょう・・・
コメント