09/26/2010(Sun)
3万Hitキリリク「相部屋のメリットデメリット」2話
「全く冗談じゃねぇ! 真! 何であんなホモ野郎と部屋交換したんだよ!?」
大学の食堂で悠馬に無理矢理部屋を代わられたという真と一緒に昼食を取りながら、美海は怒りをぶつけていた。
か細くて、ちょっとつつけばポキリと折れてしまうのではないかと思う程の、小枝のような少年の真は、その可愛い子ヒツジのような目を潤ませた。
「ご、ごめんね、美海くん……ごめんね?」
まるで弱いモノ苛めでもしている気分になった美海は怒りを収めて、紙パックのミルクティーを飲みほした。
「いいよ、もう。たださぁ、あいつの男癖、どうにかなんないのかなぁ。寝られないよ」
子ヒツジの真が驚いて美海を見た。
「そ、そんなに凄いの!?」
「ん? あぁ。凄ぇよ。男同士でヤってんだぜ? マジでありえなくね? 一体どこに入れる場所があるんだよって聞いたらケツだって……。マジであり得ない。いくら穴場でも」
美海の独り言にウケた真が楽しそうにケタケタと笑うが、少しすると何だか頬を染めて呟いた。
「でも、羨ましいな。僕もその……ゲイだから……」
――女子大と交換留学、考えようかな。
美海はかける言葉も見つからずに、小学校で叩きこまれた紙パックを畳む儀式を無意識に行っていた。
美海は地方から出て来て大学へ通っていた為、大学の寮に住んでいた。大体が二人一組の相部屋だ。
どういう訳か、この大学、特に寮にはゲイが多い気がした。聞くところによると、今流行っている腐男子というものがゲイの目覚めと抵抗を薄くしているようだ。
美海は健全なノーマル男子の田舎から出てきた男だった。勿論BLなどという言葉も知らなかった。
だから最初は相部屋の相手の真が感じの良い子で良かったと思っていると、次の日には危険な香りのイケメンが相方になっていて、困惑しているうちに急に馴れ馴れしくされて驚いた。
「悪いね。今日から部屋の相手、俺になったから。よろしくね」
「あ、ああ。よろしく」
挨拶までは普通だった。
「君さ、美海くんでしょ? 綺麗だよね? 出身どこ?」
怒涛の質問の答えを探しているうちに悠馬が美海のベッドに座り、その距離が異常に近い事に気付いた美海は焦った。
「ちょっ、ちょっと近いですって、顔」
「うん。だってキスしようとしてるから……ダメ?」
「は? ダメですよね? 普通……」
美海と悠馬は顔を五センチ程空けた距離で話した。この時、近くで見れば見る程整った顔のパーツがはっきりと見えて、寧ろ関心したのを美海は覚えている。
「ん―、いいじゃん!」
一々口説くのが面倒になったのか、グッと抱き寄せて唇を奪おうとしてきた悠馬を美海は必死で拒絶した。
男相手なら面倒な部分を省いても構わないと思っているらしい。
「わーッ! 何すんだよ、この変態! やめっ……やめろーッ」
こうして戦いの日々の幕開けは始まった。一瞬掠ったような上唇の感覚は今でも思い出すのを封印している。
そしてふわりと香ったタバコの香りがやけに大人っぽい香りでドキリとした事も、封印していた。
美海には分かっていた。悠馬は見た目の良い奴を片っ端から喰っていくような奴だ。
先ずは男同士の行為をわざと見せつけて慣れさせて抵抗力を弱めるつもりなのだろう。
(逆効果だっつーの)
美海には男同士で何か楽しいのかが理解出来なかった。ましてや肛門を女性器に見立てて男性同士で性行為を行う虚しさと無理矢理感しかない。
あんな所に入れられて気持ちがイイ筈がない、そう思っていた。
「悠馬!」
呼ばれた方へ顔を向けた悠馬はそれが友人だと判断すると、顔を綻ばせた。
「よぉ。レポートやったか?」
「やったけど、超適当。お前、寝むそうだなぁ。昨日誰喰ったの? 今一緒の奴?」
「いんや、それはまだ。あの子、なかなかの暴れ馬ちゃんでね」
「へぇ。お前でも落せない奴いたんだ? あのめっちゃ綺麗な子だよな?」
「そうそう。一緒に寝てるだけで拷問だよ。お前、手出すなよ?」
「えー、ずりーよ。お前ばっか」
理工学部の悠馬たちは殆ど男しかいないゲイ天国と化していた。悠馬たちのような会話が廊下でされるのも日常茶飯事だ。
悠馬がこの学校に入学して寮に入り、好き放題していた頃に美海はやって来た。
少し遅れて寮に入って来る奴があまりに綺麗だと聞いて顔だけ見に行く事にした。
普段から散々モテている為、可愛い子は片っ端から喰って来た悠馬に、今更可愛いと思わせる程の相手はそういない。
期待せずに取り敢えず顔だけ確かめに行った悠馬は一瞬息をするのを忘れた。
例えば、アマチュアで優勝した作品を見て来て初めてプロの芸術的な作品を目にしたような、そんな衝撃だった。
サラサラと煌めくようなストレートの髪は丁度いいアッシュブラウンで、滑らかな陶器のような白い肌と、すらりとした長い手足、肉付きのいいお尻につい目が行った。
廊下を歩いて来る美海の顔はどこかの異世界の王子なんじゃないかと思う程だった。美海を見た瞬間、胸が震えた。
絶対に抱きたい、そう決心したのだった。
早速部屋を美海と一緒にし、ある程度雰囲気らしきものを作って迫ってみたが、こっぴどく拒否をされた。
美海は正真正銘のノーマルな男だったようで、落すには少し時間と手間が掛るが、それだけの価値はあると、地道に行く事にした。
だが、一切手を触れさせて貰えない悠馬の欲望は抑えきれず、相変わらず男遊びは絶えなかった。
ただでさえ性欲が強い悠馬に我慢は出来なかった。
わざと見せつけてヤキモチの一つでもしてはくれないかと淡い期待も掛けてみるがどうやら効果は今のところないらしい。
先ずは男相手でも抵抗を感じさせなくさせるのが第一関門のようだ。
<<前へ 次へ>>
女癖ならぬ男癖(笑)
散々な言われようです、悠馬。( -з) フン ←あ、いじけた…
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大学の食堂で悠馬に無理矢理部屋を代わられたという真と一緒に昼食を取りながら、美海は怒りをぶつけていた。
か細くて、ちょっとつつけばポキリと折れてしまうのではないかと思う程の、小枝のような少年の真は、その可愛い子ヒツジのような目を潤ませた。
「ご、ごめんね、美海くん……ごめんね?」
まるで弱いモノ苛めでもしている気分になった美海は怒りを収めて、紙パックのミルクティーを飲みほした。
「いいよ、もう。たださぁ、あいつの男癖、どうにかなんないのかなぁ。寝られないよ」
子ヒツジの真が驚いて美海を見た。
「そ、そんなに凄いの!?」
「ん? あぁ。凄ぇよ。男同士でヤってんだぜ? マジでありえなくね? 一体どこに入れる場所があるんだよって聞いたらケツだって……。マジであり得ない。いくら穴場でも」
美海の独り言にウケた真が楽しそうにケタケタと笑うが、少しすると何だか頬を染めて呟いた。
「でも、羨ましいな。僕もその……ゲイだから……」
――女子大と交換留学、考えようかな。
美海はかける言葉も見つからずに、小学校で叩きこまれた紙パックを畳む儀式を無意識に行っていた。
美海は地方から出て来て大学へ通っていた為、大学の寮に住んでいた。大体が二人一組の相部屋だ。
どういう訳か、この大学、特に寮にはゲイが多い気がした。聞くところによると、今流行っている腐男子というものがゲイの目覚めと抵抗を薄くしているようだ。
美海は健全なノーマル男子の田舎から出てきた男だった。勿論BLなどという言葉も知らなかった。
だから最初は相部屋の相手の真が感じの良い子で良かったと思っていると、次の日には危険な香りのイケメンが相方になっていて、困惑しているうちに急に馴れ馴れしくされて驚いた。
「悪いね。今日から部屋の相手、俺になったから。よろしくね」
「あ、ああ。よろしく」
挨拶までは普通だった。
「君さ、美海くんでしょ? 綺麗だよね? 出身どこ?」
怒涛の質問の答えを探しているうちに悠馬が美海のベッドに座り、その距離が異常に近い事に気付いた美海は焦った。
「ちょっ、ちょっと近いですって、顔」
「うん。だってキスしようとしてるから……ダメ?」
「は? ダメですよね? 普通……」
美海と悠馬は顔を五センチ程空けた距離で話した。この時、近くで見れば見る程整った顔のパーツがはっきりと見えて、寧ろ関心したのを美海は覚えている。
「ん―、いいじゃん!」
一々口説くのが面倒になったのか、グッと抱き寄せて唇を奪おうとしてきた悠馬を美海は必死で拒絶した。
男相手なら面倒な部分を省いても構わないと思っているらしい。
「わーッ! 何すんだよ、この変態! やめっ……やめろーッ」
こうして戦いの日々の幕開けは始まった。一瞬掠ったような上唇の感覚は今でも思い出すのを封印している。
そしてふわりと香ったタバコの香りがやけに大人っぽい香りでドキリとした事も、封印していた。
美海には分かっていた。悠馬は見た目の良い奴を片っ端から喰っていくような奴だ。
先ずは男同士の行為をわざと見せつけて慣れさせて抵抗力を弱めるつもりなのだろう。
(逆効果だっつーの)
美海には男同士で何か楽しいのかが理解出来なかった。ましてや肛門を女性器に見立てて男性同士で性行為を行う虚しさと無理矢理感しかない。
あんな所に入れられて気持ちがイイ筈がない、そう思っていた。
「悠馬!」
呼ばれた方へ顔を向けた悠馬はそれが友人だと判断すると、顔を綻ばせた。
「よぉ。レポートやったか?」
「やったけど、超適当。お前、寝むそうだなぁ。昨日誰喰ったの? 今一緒の奴?」
「いんや、それはまだ。あの子、なかなかの暴れ馬ちゃんでね」
「へぇ。お前でも落せない奴いたんだ? あのめっちゃ綺麗な子だよな?」
「そうそう。一緒に寝てるだけで拷問だよ。お前、手出すなよ?」
「えー、ずりーよ。お前ばっか」
理工学部の悠馬たちは殆ど男しかいないゲイ天国と化していた。悠馬たちのような会話が廊下でされるのも日常茶飯事だ。
悠馬がこの学校に入学して寮に入り、好き放題していた頃に美海はやって来た。
少し遅れて寮に入って来る奴があまりに綺麗だと聞いて顔だけ見に行く事にした。
普段から散々モテている為、可愛い子は片っ端から喰って来た悠馬に、今更可愛いと思わせる程の相手はそういない。
期待せずに取り敢えず顔だけ確かめに行った悠馬は一瞬息をするのを忘れた。
例えば、アマチュアで優勝した作品を見て来て初めてプロの芸術的な作品を目にしたような、そんな衝撃だった。
サラサラと煌めくようなストレートの髪は丁度いいアッシュブラウンで、滑らかな陶器のような白い肌と、すらりとした長い手足、肉付きのいいお尻につい目が行った。
廊下を歩いて来る美海の顔はどこかの異世界の王子なんじゃないかと思う程だった。美海を見た瞬間、胸が震えた。
絶対に抱きたい、そう決心したのだった。
早速部屋を美海と一緒にし、ある程度雰囲気らしきものを作って迫ってみたが、こっぴどく拒否をされた。
美海は正真正銘のノーマルな男だったようで、落すには少し時間と手間が掛るが、それだけの価値はあると、地道に行く事にした。
だが、一切手を触れさせて貰えない悠馬の欲望は抑えきれず、相変わらず男遊びは絶えなかった。
ただでさえ性欲が強い悠馬に我慢は出来なかった。
わざと見せつけてヤキモチの一つでもしてはくれないかと淡い期待も掛けてみるがどうやら効果は今のところないらしい。
先ずは男相手でも抵抗を感じさせなくさせるのが第一関門のようだ。
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コメント
あ!こんな所に落ちてました! (*・д・)σ『ゲイ寮へようこそ~』
> 美海にとって 未知なるゲイ世界。その世界の住人中の住人である悠馬くん。
> 狙ってますねぇ~ 隙あらば 喰うぞッて 雰囲気が バリバリ!
またとんでもない所へ来てしまったものです!(笑)
目を光らせて美海のおケツを狙う悠馬(笑)
どう対処するかです!
> これじゃぁ 美海の 気の休まる所が 無いよッ! さぁ この攻防戦は どちらに 勝敗が・・・
攻防戦の果てに待つ新しい世界の扉は開かれるのでしょうか~♪
確かに気の休まる時は…紙パック畳んでる時くらいでしょうか(笑)
> 桔梗.Dさま 真くんが 可愛いですぅ(*^0^*)...癒されキャラだよね~ へタレだけど...byebye☆
おお!本当ですか!
バンバンヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
確かにヘタレですね!ヘタレ癒し系!うちでは新しいかもです!
可愛いと思って下さって嬉しいです♪
コメントどうもありがとうございました
> それまた美味しそうな学部(寮)があるなぁ~へ( ̄ρ ̄へ))))) ウヘヘヘヘ ←
ゲイ天国のツアー行きたいよね(笑)
寮にも監視カメラ及び隠しカメラを設置して( ̄ー ̄)ニヤ...(犯罪です)
> 紙パックを畳む儀式ヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
> あったあった!www
> いつの間にかどんどん工作化していって、最後の方には飛び出る牛乳と闘いながら(爆)小さくした記憶があるなぁ(笑)
あれは、マインドコントロールに近いよね!?
畳まずにはいられないww
でも澪ちんのは凄過ぎる!!(笑)
どんだけ凝り症!?(笑)
> こっちの作品では悠馬くんが美海くんを落とす作戦第一弾w中なんだね☆
(`・ω・´)ノ ァィ
ごちゃ混ぜになって分かり難くない??
一応UPの時間をズラしてるけど、自分で寝る時布団の中でどっちの話を予約したか
頭が混乱してもう一度PC起動させたりしてるんだけど(笑)
> 二人とも十分に今までにないくらい意識しているような気もするけど( ´艸`)ムププ
> どう落とし落とされていくのか楽しみにしています♪
確かに意識してるよね♪
落とし落とされ…( ̄ー ̄)ニヤ...
大学生で覚える醍醐味と言えば…(・∀・)ニヤニヤ
コメントどうもありがとうございました
美海にとって 未知なるゲイ世界。その世界の住人中の住人である悠馬くん。
狙ってますねぇ~ 隙あらば 喰うぞッて 雰囲気が バリバリ!
これじゃぁ 美海の 気の休まる所が 無いよッ! さぁ この攻防戦は どちらに 勝敗が・・・
桔梗.Dさま 真くんが 可愛いですぅ(*^0^*)...癒されキャラだよね~ へタレだけど...byebye☆
それまた美味しそうな学部(寮)があるなぁ~へ( ̄ρ ̄へ))))) ウヘヘヘヘ ←
紙パックを畳む儀式ヾ(≧▽≦)ノギャハハ☆
あったあった!www
いつの間にかどんどん工作化していって、最後の方には飛び出る牛乳と闘いながら(爆)小さくした記憶があるなぁ(笑)
こっちの作品では悠馬くんが美海くんを落とす作戦第一弾w中なんだね☆
二人とも十分に今までにないくらい意識しているような気もするけど( ´艸`)ムププ
どう落とし落とされていくのか楽しみにしています♪
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