04/21/2010(Wed)
万華鏡-江戸に咲く-27
「ごめ・・俺だけイっちゃ・・て・・」
「ん?何謝ってんだ。俺ぁ満足してるしよ。」
夜はがっかりしてしまっただろうか。いつも美月が付き合ってきた男たちに抱いていた気持ちのように、夜も内心では溜息をついているのではないか。
美月は急に申し訳なさと不安に駆られた。
「夜っ・・その・・・していいよっ」
夜は横になり美月の頬に触れる。ゆっくりと頭を引き寄せられるとそっとキスをされた。
「あ・・あの、口付けじゃなくて・・身体を繋げてもいいよって事・・なんだけど・・」
「ん・・。美月がその気になったら嫌でもするから。」
「じゃ・・じゃあせめて口でする。手でもいいからイカせたい・・」
「いいから」
夜は話している美月をグイッと抱き寄せた。
夜には美月の心情が分かるかのように、美月にも夜ががっかりなどしてなく、無理に言葉で慰めてなどいない事が伝わって心から安堵した。
大きな腕に抱き寄せられて、引き締まった胸元に顔を埋めると全身に幸福感が満ちてくる。抱き合っていると身体が一つになってくるようだ。抱き合って初めて夜という男の本質に触れる事が出来た気がした。
―こんなにも惹かれていたなんて。
「今日はもう遅いから送っていくよ。じゃねぇと先生が迎えに来ちまうからな。」
夜は行灯を持って外に出ると暗い夜道を2人で歩いた。
美月はこそばゆいような恥ずかしさで、今までのように簡単に乱暴な軽口が叩けないでいた。だが夜の方は気にもしていないようで、普通にぽつぽつと話をする。これと言って話すことが無ければ二人で無言のまま歩いたが、それも苦に感じなかった。
静かな夜道にジャリジャリと響く二人の足音と虫の音が心地よかった。
「送ってくれてありがとう。今日は・・その綺麗なものを見せてくれて、本当に感動したし・・あと・・さっきは、ごめん・・」
夜が目の前に立ち、美月の顎を長い人差し指でクイッと持ち上げると柔らかな口付けをした。
「俺は、美月から口付けをしてもらってすごい嬉しかった。おまけに舐めてもらってすげぇ気持ちよくなれた上に、美月を満足させてあげられたんだ。十分だ。わかったな?これ以上謝ったら今度は俺が後から謝るような事するからな。」
そう言って悪戯っぽく笑った夜を見て、美月は胸がキュンとなった。
(俺・・あの時、本当にしてもいいって思ったんだ。夜・・)
「じゃ、またな。」
そう言って帰ろうとする夜の胸元を思わず掴んでしまった。
「ん・・どうした?」
(何掴んでんだ・・俺。 でも・・あとほんのちょっとだけ一緒にいたい。最後にもう一度キスしたい)
頬を染めて困ったような、気付けよ、とでも言うような怒ったような顔をして夜の顔を見上げる。
「お前なぁ・・そんな顔されたら、帰したくなくなるだろうが・・」
美月は壁際に押し付けられると、さっきの続きのような甘く激しいキスをされた。
行灯の光がゆらゆらと2人の重なった陰を道端に映し出す。
「これ以上すると、俺多分ここで押し倒しそうだから・・」
そう言って最後に軽くチュッとキスをすると、背を向けたまま口角を上げた横顔を後ろの美月に向けて片手を上げて去って行った。
(はぁ・・・格好いい・・)
甘い雰囲気を引きずったまま抱月の家へ入ると、抱月は本を読みながら美月を待っていた。
「お帰り。無事で良かった。ちゃんと送ってきてもらったか?」
「あ、遅くなってすみません。ちゃんとそこまで送ってもらいました。」
夜の事を思い出してポッとなる。
「嫌がる事はされなかったか?」
「はい・・嫌な事は・・されませんでした。・・あ、ホタルを蚊帳に入れて見せてもらいましたっ。あんまり綺麗でびっくりしちゃいました!」
美月は思わず健全な部分のみを強調するように話す。
「そうか。あいつも懐かしい事をするもんだな。昔は皆親子で夏の風物として楽しんだものだ。」
「へぇ。そうなんだ。」
抱月は美月の顔つきが少し変わったのに気付いた。それまでに無かった色の煌きが瞳の奥に光ったのを見逃さなかった。そしてたった数時間で全身から迸る甘い色香に包まれた美月は更に美しく見えた。
抱月の胸の奥に嫉妬の黒い渦が体を支配していった。
(お前、本当は夜と何をしてきた?)
抱月は愛おしい美月の顎を掴んで上に向かせると、氷のような視線を直接注ぎ込むようにして目を合わせた。
「・・先生?」
(何でそんな蕩けるような顔をしているんだ?何でそんな甘ったるい香りを漂わせているんだ?)
美月は見た事のない抱月の少し苦しそうだが、怒りにも似たその尋常ではない雰囲気に一瞬身震いした。
<<前へ 次へ>>
すみません、ヤりませんでしたwいいのかなぁ。夜、格好つけて
そして美月、ウットリして乙女モードっすw
けど。先生が・・先生がぁーッ
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「ん?何謝ってんだ。俺ぁ満足してるしよ。」
夜はがっかりしてしまっただろうか。いつも美月が付き合ってきた男たちに抱いていた気持ちのように、夜も内心では溜息をついているのではないか。
美月は急に申し訳なさと不安に駆られた。
「夜っ・・その・・・していいよっ」
夜は横になり美月の頬に触れる。ゆっくりと頭を引き寄せられるとそっとキスをされた。
「あ・・あの、口付けじゃなくて・・身体を繋げてもいいよって事・・なんだけど・・」
「ん・・。美月がその気になったら嫌でもするから。」
「じゃ・・じゃあせめて口でする。手でもいいからイカせたい・・」
「いいから」
夜は話している美月をグイッと抱き寄せた。
夜には美月の心情が分かるかのように、美月にも夜ががっかりなどしてなく、無理に言葉で慰めてなどいない事が伝わって心から安堵した。
大きな腕に抱き寄せられて、引き締まった胸元に顔を埋めると全身に幸福感が満ちてくる。抱き合っていると身体が一つになってくるようだ。抱き合って初めて夜という男の本質に触れる事が出来た気がした。
―こんなにも惹かれていたなんて。
「今日はもう遅いから送っていくよ。じゃねぇと先生が迎えに来ちまうからな。」
夜は行灯を持って外に出ると暗い夜道を2人で歩いた。
美月はこそばゆいような恥ずかしさで、今までのように簡単に乱暴な軽口が叩けないでいた。だが夜の方は気にもしていないようで、普通にぽつぽつと話をする。これと言って話すことが無ければ二人で無言のまま歩いたが、それも苦に感じなかった。
静かな夜道にジャリジャリと響く二人の足音と虫の音が心地よかった。
「送ってくれてありがとう。今日は・・その綺麗なものを見せてくれて、本当に感動したし・・あと・・さっきは、ごめん・・」
夜が目の前に立ち、美月の顎を長い人差し指でクイッと持ち上げると柔らかな口付けをした。
「俺は、美月から口付けをしてもらってすごい嬉しかった。おまけに舐めてもらってすげぇ気持ちよくなれた上に、美月を満足させてあげられたんだ。十分だ。わかったな?これ以上謝ったら今度は俺が後から謝るような事するからな。」
そう言って悪戯っぽく笑った夜を見て、美月は胸がキュンとなった。
(俺・・あの時、本当にしてもいいって思ったんだ。夜・・)
「じゃ、またな。」
そう言って帰ろうとする夜の胸元を思わず掴んでしまった。
「ん・・どうした?」
(何掴んでんだ・・俺。 でも・・あとほんのちょっとだけ一緒にいたい。最後にもう一度キスしたい)
頬を染めて困ったような、気付けよ、とでも言うような怒ったような顔をして夜の顔を見上げる。
「お前なぁ・・そんな顔されたら、帰したくなくなるだろうが・・」
美月は壁際に押し付けられると、さっきの続きのような甘く激しいキスをされた。
行灯の光がゆらゆらと2人の重なった陰を道端に映し出す。
「これ以上すると、俺多分ここで押し倒しそうだから・・」
そう言って最後に軽くチュッとキスをすると、背を向けたまま口角を上げた横顔を後ろの美月に向けて片手を上げて去って行った。
(はぁ・・・格好いい・・)
甘い雰囲気を引きずったまま抱月の家へ入ると、抱月は本を読みながら美月を待っていた。
「お帰り。無事で良かった。ちゃんと送ってきてもらったか?」
「あ、遅くなってすみません。ちゃんとそこまで送ってもらいました。」
夜の事を思い出してポッとなる。
「嫌がる事はされなかったか?」
「はい・・嫌な事は・・されませんでした。・・あ、ホタルを蚊帳に入れて見せてもらいましたっ。あんまり綺麗でびっくりしちゃいました!」
美月は思わず健全な部分のみを強調するように話す。
「そうか。あいつも懐かしい事をするもんだな。昔は皆親子で夏の風物として楽しんだものだ。」
「へぇ。そうなんだ。」
抱月は美月の顔つきが少し変わったのに気付いた。それまでに無かった色の煌きが瞳の奥に光ったのを見逃さなかった。そしてたった数時間で全身から迸る甘い色香に包まれた美月は更に美しく見えた。
抱月の胸の奥に嫉妬の黒い渦が体を支配していった。
(お前、本当は夜と何をしてきた?)
抱月は愛おしい美月の顎を掴んで上に向かせると、氷のような視線を直接注ぎ込むようにして目を合わせた。
「・・先生?」
(何でそんな蕩けるような顔をしているんだ?何でそんな甘ったるい香りを漂わせているんだ?)
美月は見た事のない抱月の少し苦しそうだが、怒りにも似たその尋常ではない雰囲気に一瞬身震いした。
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そして美月、ウットリして乙女モードっすw
けど。先生が・・先生がぁーッ
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