04/23/2010(Fri)
「すれ違った後で」第7話-淳平
こちらの画像はぱぱいあ日記(仮)】のさとうかずみさんからお借りしました♪
現在更新中です☆⇒【続山月記】 & 【恋の呪文にご注意】
―真夜中の星―
それからは俺を気遣ってか、弘夢は少し距離を置くようになった。
それは、俺にとっても少し有難い事だったんだ。お前の側にいたら、あの女がお前に触れたんだという想像をして何をしでかすか分からなかったから。
そしてお前はその後、その女を彼女だと俺に会わせてきた。俺はやっぱりな、という想いで笑顔を作り「よろしく」とその女に言った。
弘夢には「よかったな」とお世辞を言ったんだが、あの時俺は普通の顔が出来ていたんだろうか。
俺は付き合っていた女とは別れて、また別の女と付き合った。そんな事が繰り返されたが、そんなのは弘夢とこれからも今まで通りに一緒にいられるカムフラージュにさえなれればどうでも良かった。
実際、しばらくするとまたお前と元通りに仲良くなっていった。
でも俺は、暴走しそうになる自分の気持を殺して押さえつけて日々を過ごした。
お前は相変わらず俺と違って、一人の女とずっと付き合っているようだった。だから、俺もこれから先ずっととっかえひっかえするのであれば、いっそ一人に決めてしまった方が楽な上にお前も安心して俺の側に居てくれるんじゃないか。そう、思ったんだ。
その頃丁度、学部の違う女と付き合っていたんだがその子がとても気立てが良く、家庭的で温かみがある子だった。気の利いたところや、笑い方がほんの少し弘夢に似ていたから、その子に決めた。
俺は酷い奴だ。皆に嘘をついている。弘夢にも、その子にも、俺自身にも。
苦しくて時々上手く息が出来なかった。それでも弘夢の顔を見る時は、酸素が吸えた時のように生き返った。
そして俺は卒業する時にお前に伝えたんだ。
「俺、結婚する」
お前は驚きからか、しばらくボーっとした顔をしてた。けど、そのうちボロボロと大粒の涙を流し出した。
「結婚して、嫁はいるけど俺にとってお前も同じかそれ以上大切な親友だ」
お前は何だかぐらぐらと揺れて倒れ込んできたので、思わず抱きとめてしまった。
華奢な身体だった。俺よりも頭一つ低い背のお前を初めてしっかりと抱きしめた。狂わしい程愛おしい。
胸元でしきりに掻き消えるようなか細い声で、「オメデトウ、オメデトウ」と泣いていた。
そんなに泣いて喜ばれると、胸が痛い。オメデトウと言われる度に胸に突き立てられるナイフの痛みを幾度も幾度も受けていた。
俺は耳元で「ありがとう」と何度も弘夢の「オメデトウ」が消えるまで言った。そんな中、俺は弘夢を抱きしめていられるその時間を永遠にしたいと願っていた。
だがお前は就職をすると完全に俺の前から姿を消した。
忙しいのか、それともやっぱり迷惑だったのか。あんなに泣いて喜んでいたお前は殆ど連絡をくれなかった。
俺はどうしたらいいか分からなくなった。俺から連絡をしていいものなのか、待った方がいいのか。嫌われたくなかった。お前にとって、俺は一体何だったんだろうか。
―逢いたい・・逢いたいよ弘夢・・
<<前へ 次へ>>
*BL小説ランキング、1クリック10Ptの投票です。
投票して下さると喜びます。
こやつ↑↑がクリック対象ブツです。
携帯からはこちら⇒BL小説ブログランキング
★拍手コメへのお返事は拍手を頂いたページのコメント欄に致します。
現在更新中です☆⇒【続山月記】 & 【恋の呪文にご注意】
―真夜中の星―
それからは俺を気遣ってか、弘夢は少し距離を置くようになった。
それは、俺にとっても少し有難い事だったんだ。お前の側にいたら、あの女がお前に触れたんだという想像をして何をしでかすか分からなかったから。
そしてお前はその後、その女を彼女だと俺に会わせてきた。俺はやっぱりな、という想いで笑顔を作り「よろしく」とその女に言った。
弘夢には「よかったな」とお世辞を言ったんだが、あの時俺は普通の顔が出来ていたんだろうか。
俺は付き合っていた女とは別れて、また別の女と付き合った。そんな事が繰り返されたが、そんなのは弘夢とこれからも今まで通りに一緒にいられるカムフラージュにさえなれればどうでも良かった。
実際、しばらくするとまたお前と元通りに仲良くなっていった。
でも俺は、暴走しそうになる自分の気持を殺して押さえつけて日々を過ごした。
お前は相変わらず俺と違って、一人の女とずっと付き合っているようだった。だから、俺もこれから先ずっととっかえひっかえするのであれば、いっそ一人に決めてしまった方が楽な上にお前も安心して俺の側に居てくれるんじゃないか。そう、思ったんだ。
その頃丁度、学部の違う女と付き合っていたんだがその子がとても気立てが良く、家庭的で温かみがある子だった。気の利いたところや、笑い方がほんの少し弘夢に似ていたから、その子に決めた。
俺は酷い奴だ。皆に嘘をついている。弘夢にも、その子にも、俺自身にも。
苦しくて時々上手く息が出来なかった。それでも弘夢の顔を見る時は、酸素が吸えた時のように生き返った。
そして俺は卒業する時にお前に伝えたんだ。
「俺、結婚する」
お前は驚きからか、しばらくボーっとした顔をしてた。けど、そのうちボロボロと大粒の涙を流し出した。
「結婚して、嫁はいるけど俺にとってお前も同じかそれ以上大切な親友だ」
お前は何だかぐらぐらと揺れて倒れ込んできたので、思わず抱きとめてしまった。
華奢な身体だった。俺よりも頭一つ低い背のお前を初めてしっかりと抱きしめた。狂わしい程愛おしい。
胸元でしきりに掻き消えるようなか細い声で、「オメデトウ、オメデトウ」と泣いていた。
そんなに泣いて喜ばれると、胸が痛い。オメデトウと言われる度に胸に突き立てられるナイフの痛みを幾度も幾度も受けていた。
俺は耳元で「ありがとう」と何度も弘夢の「オメデトウ」が消えるまで言った。そんな中、俺は弘夢を抱きしめていられるその時間を永遠にしたいと願っていた。
だがお前は就職をすると完全に俺の前から姿を消した。
忙しいのか、それともやっぱり迷惑だったのか。あんなに泣いて喜んでいたお前は殆ど連絡をくれなかった。
俺はどうしたらいいか分からなくなった。俺から連絡をしていいものなのか、待った方がいいのか。嫌われたくなかった。お前にとって、俺は一体何だったんだろうか。
―逢いたい・・逢いたいよ弘夢・・
<<前へ 次へ>>
*BL小説ランキング、1クリック10Ptの投票です。
投票して下さると喜びます。
こやつ↑↑がクリック対象ブツです。
携帯からはこちら⇒BL小説ブログランキング
★拍手コメへのお返事は拍手を頂いたページのコメント欄に致します。
| ホーム |
コメント
> ブログで「壁紙」のところの画像は、クリックすると大きな画像が表示されるので、それをダウンロードして利用すると、もっと大きな画像が貼り付けられますよ~
なるほど、やはり大きく貼れるのでつね・・。だ・・だうんろーど・・。
ちょっとやってみまつ。出来なかったら・・お聞きしにお邪魔しまつ。すみませんm(_)m
アドバイス&コメありがとうございました
こんにちは^^
> 例えば目の前にいる相手が、どう思っているんだろう…、そう思うと、不安で切なくて堪らなくて、でも、もちろん問いただすなんてことは当然できなくて…、そういう局面は現実でも男女を問わず、ありますよね。
はい。ありますよね(ノд-。)クスン Σ(゚д゚;) 一体何を思い出して!?
聞いても優しく嘘を言われると・・切ないすT.T
> そして、つい悲劇的な方向へ考えてしまいがちです。
はい!!悲観的バンザーイ!!マイナス思考バンザーイ!!
暴走すみませんコメントありがとうございました
ブログで「壁紙」のところの画像は、クリックすると大きな画像が表示されるので、それをダウンロードして利用すると、もっと大きな画像が貼り付けられますよ~
一度、試してみてくださいね。
例えば目の前にいる相手が、どう思っているんだろう…、そう思うと、不安で切なくて堪らなくて、でも、もちろん問いただすなんてことは当然できなくて…、そういう局面は現実でも男女を問わず、ありますよね。
そして、つい悲劇的な方向へ考えてしまいがちです。
コメント