2ntブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--:-- | スポンサー広告 | edit | page top↑

万華鏡-江戸に咲く-36

☆一部暴力的な描写があります。ご注意下さい。苦手な方は飛ばして下さい!

「俺と雪之丞はずっと幼馴染で違う村で育った。俺はいつも天使のように笑うあいつが大好きだった。昔から身体が弱くて、物心ついた時からあいつが好きで、俺が守ってやらなきゃと思ってた。あいつの両親にも俺は頼りにされて・・。でも俺たちが七つの時村が山賊に襲われたんだ。
 偶々あいつの弟の喜助も入れて三人で離れた場所で遊んでいたから助かったんだが、皆殺しにあってさ。そんで、俺が二人を連れて寺に助けを求めたんだ。そこで俺たちは三年程世話になったんだが・・。雪之丞は、あの形だろ?昔から可愛いくて、寺の坊主たちに色々悪戯されてたんだ。でも他に行く宛もないし、あいつもしばらく誰にも言わず我慢してたんだ。けど、ある日入ったばかりの若い僧侶に目を付けられて無理やり入れられちまったんだよ。」

 美月はハッと振り向いた。
「え・・だってまだ幼い・・」
「ああ、そうだ。しかも慣れてない僧侶だったから解しもせず女のそこと一緒とでも思ってるのか、練り木も油も使わず無理やりだ。それを・・俺の目の前でヤりやがったんだよ。」
 美月はその悔しさと怒りで震える夜を見る事しか出来ずにいた。
「俺は一緒に寝ていたはずのあいつがいないから不安になって探したんだ。そしたら本堂から凄い叫び声が聞こえてきて。駆けつけたら側で見てたもう一人の若い僧侶に羽交い絞めにされて動けなかった。あの時程自分が子供の身体だった事を恨んだ事はなかった。目の前で何度も激痛に気を失っては血だらけのそこにデカイ性器をぶち込むあの坊主の薄ら笑ってる顔が・・今でも偶に夢に出てくる。」

 夜は思い出したように床をドンッと殴る。
「だが、さすがにやり過ぎという事で他の和尚に窘められ一応手当ては受けてその後、雪之丞も良くなっていった。喜助には具合が悪いとだけ伝えてあったから今でもアイツは、何があったかなんて知らない。俺は・・アイツの両親にも守ってやってくれとお願いされていたのに・・それなのに、守ってやれなかった。だからこれからはずっと・・守ると約束したんだ。」

 夜は店の外を行き交う人に目を向ける。
「俺はいつも雪之丞の様子を見に行っている。それに、夜は茶屋の子供たちに少しでも力になりたくて通っているんだ。もちろん、客としてじゃねぇ。やり方を教えてんだ。」
「やり方?」
 美月は訝しげに夜を見る。
「ああ。知ってるか?あいつら、客の相手を一人前に勤められるようになる為に、来る日も来る日も後の穴に油塗りたくって、張り型の小さいのから慣らしてってだんだんと大きな張り型を毎日毎日、痛いだけで気持ちもよくねぇのに突っ込んでんだ。」
 美月は胸がギュッと掴まれるような感覚になった。
「でも仕方ねぇんだ。あいつらは役者になる為、一座の顧客を取る為にも必要な事なんだよ。だから、少しでも気持ちよくなれるように教えてんだ。ヤりはしねぇよ。大体俺のなんか入らねぇ。」
 不謹慎にも美月はドキッとして目線を夜の股間に落としてしまった。確かにあの大きさは少年には入らないだろう。思い出さないようにしてもチラチラと脳裏にあの時の場景が浮かんでしまい、赤くなる顔を逸らす。

「でも、いつも結構雪之丞さんに差し入れしてるけどこの店の売り上げだけじゃ、キツイんじゃないのか?」
 ふと浮かんだ疑問を投げかける。
「ああ。もちろんそれだけじゃ無理だ。だから偶に金持ちの奥方の相手をして稼いでる。特に大奥なんかにいる奴らはそっと使いを寄越してきて呼ばれたりするから、それで行くんだ。あいつらは男に飢えてるから物凄い羽振りもいいし、高価な贈り物もくれる。ま、大体は質屋に持ってって金に替えて雪之丞の薬代に当てちまうがな。」
 
(そこまで・・・)

 話を聞けば聞くほど、自信と希望が削ぎ落とされていく。夜が高級コールガール紛いの事をしていた事はショックな筈なのに、全ては雪之丞の為にしているという夜の気持ちがの方が、美月の四肢を麻痺させ、芽吹いたばかりの恋心を深海へ沈めていった。

―敵わない

 美月は二人の長く深い歴史を聞かされて敵わないと思った。自分など、入る余地は最初からどこにも無かったのだ。違う時代にひょっこり現れてちょっと手を出されたからと言って好きになり、図に乗っていたのだ。だが、それにしては好きになり過ぎたなと少し口元が緩む。

「そうか。わかったよ、夜がどれだけ雪之丞さんを想ってるか。前に雪之丞さんの所で、凄く優しくて不器用な家族みたいな親友がいるって聞かされてたけど、それは夜の事だったんだな。」
 今思い返せば、いつも同じような時間に同じ方向から帰ってくる夜の姿や、最初に見た高そうな煙管箱、袖口から零れた白米の粒と雪之丞の家にあった白米の山にも関連が付いた。
「雪之丞さん、綺麗だもんね。ははっ。俺なんか敵わないや」
 ふいに笑いが込み上げてきた。自棄な発言をしたように思えたが、正直にそう思ってしまった事が尚の事悲しく感じる。



<<前へ     次へ>>
 


いつもポチありがとうございます!!
とても励みになってますO(≧∀≦)O

にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ
にほんブログ村
  
03:38 | 万華鏡-江戸に咲く- | comments (0) | trackbacks (0) | edit | page top↑
恋のぼり3話 | top | GW(ノд-。)クスン

コメント

コメント

管理者にだけ表示を許可する

trackbacks

この記事のトラックバックURL:
http://kikyo318d.blog.2nt.com/tb.php/73-818819c0
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)