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万華鏡-江戸に咲く-43

「あ、夜七、あそこにお団子があるから行こうよ!」
「あ!僕も行くよお兄ちゃんっ」
 夜の袖を引っ張って歩く雪之丞の後に喜助が慌てて付いて行く。3人の後姿を見ると本当に親子のようだ。
 深い溜息が自然と出てしまった。
「美月ちゃん、綺麗な浴衣だねぇ。先生もいい趣味してやがる」
「ああ、ありがと。でも夜の買ってあげた雪之丞さんの浴衣もすっっごく綺麗ですよね」
(ああ、俺って本当、嫌味な奴だ・・でもつい言っちまうんだよな)
「確かにありゃあ綺麗だよなぁ。でも本当は美月ちゃんにも何か買ってあげるつもりだったらしいぜ?お雪ちゃんと歩いてた時に千李堂の浴衣に目を輝かせてたのを見たら、つい買っちまったんだと。お雪ちゃん、あまりいい浴衣持ってなくてお祭りにもあまり行った事なかったみたいだったし。」
(そう・・だったんだ)
 一応美月にも何かあげようと思ってくれた事、というよりも美月の事を少しでも雪之丞と同じ位気にかけてくれていた事の事実が知れた事が、美月の気持ちを浮上させた。
(へへ。嬉しいや)

「どうだい美月ちゃんも一杯?前に貰った酒のお礼だ。飲みなぃ」
「うん、じゃあ少しだけ。」
 夜たちの帰りを待っている間、出店のものをつまみに熊と酒を飲みながら猿楽の催し物の一人相撲や、太刀まわり、カラクリ人形などを見て楽しんだ。

「おい、そろそろ放花砲やるってよ。山の高台まで移動するぞ」
 夜たちが戻って迎えにきた。
「らに・・花火の事?うっく・・」
 足がふらふらする。久々に飲んだ酒が結構効いたようだ。
「おい、熊!俺たちがいない間美月に酒飲ましたな?!」
「いいじゃねぇか!美月ちゃんだって飲むって自分から飲んでたしよ」
「そうらよ、夜のば~か。エロ野郎」
「兄さん、えろ、って何?」 
 喜助がそっと雪之丞に質問する。
「何でも助平の事らしいよ」
 ヒソヒソと聞こえるその会話に夜は眉間にシワを寄せると美月の手首を引っ張り胸元に寄せた。
「後で覚えてろよ・・」
「いっ・・」
 酔って敏感になった耳元でそんな挑発的な言葉を低い声で耳に流されて、それだけで身体が熱くなっていく。
(何か・・されるの?)
 おかしな期待をしてしまう自分の淫らさにブンブンと頭を振る。


 それから少し後に、美月は夜におぶられていた。酔って普段から隠されていた淫らな部分の雰囲気が流れ出て、まわりの男共の欲に満ちた視線を集め歩いている上に、酔ってふらふらしているのでちょっと目を離した隙に肩や腰に手を掛けられ、どこかへ連れて行かれてしまいそうになっていた。
「ん・・」
 がっしりとして暖かい背中の上で、気持ちのいい振動にウトウトとしてしまっていたようだ。
「起きたか?もう花火始まってるぞ」
「え!ごめん、俺・・わぁ・・」
 未だ酔いの回る頭で目を開けると久しぶりに見た花火が少し下に見えた。
「あれ?皆は?」
 周りを見渡すと熊たちが見当たらない。人も疎らにいるだけだ。
「ああ、もっと良く見える下の方へ移動した。お前は寝てたし、ここで見張りだ。」
「あ・・ごめん。」

(雪之丞さんと一緒に見たかった・・よね)

「もう平気だから行っていいよ。俺はまだ酒が残ってるからふらついて迷惑だし、ここでいい」
「あ?何言ってんだ。お前一人に出来るかよ。こんなエロい雰囲気垂れ流しやがって。」
 夜もすっかり現代語を使いこなせるようになってきたようだ。
「いいの?雪之丞さんと見たいんじゃないのか?花火」
 ついそんな事を聞いてしまう。
「俺は、お前とも見たいから。」
 素直に嬉しかった。酔ったせいなのか、こんな一言で涙腺が少し緩んでしまう。
「夜、さっきは浴衣の事で嫌味な事言ってごめんな。ヤキモチ妬いてたんだ。」
 酒の力は怖い。素直な気持ちがどんどん言葉で出てくる。
 夜は少し驚いたような、照れたような表情になる。
「いや、俺も悪かった。お前にも何か買ってやろうとしたんだが、今回はあいつに浴衣を買ってやりたくてな。最近凄く身体も調子がいいから、祭りにも行ける事だし。だから今度は必ずお前にも何か買ってやるから。」
 
 何故だろう。嬉しい筈なのに、とても悲しい気分だった。
だがそれよりもさっきから身体が火照って暑い。ただでさえ夏の蒸し暑さで苦しいのに酒に酔って顔が蒸されているように赤いのが分かる。

(あつ・・ちょっと飲みすぎたかも)

「ふぅ・・」
 堪らず美月が浴衣の前を引っ張り胸元を広げて風を取り込もうとした。
 潤んだ瞳にはパラパラと空中で舞い散る花火の光が万華鏡の瞳に反射していた。

 夜は美月の方へ顔を向けると、トロンとした目で桃色に染めた頬に汗ばんで濡れ気味の髪が張り付いていた。
 胸元は少し肌蹴て鎖骨から肩にかけてのラインが見えている。無防備に開いた前は鳩尾辺りまで見えて、美月が少し動く度に乳首が見え隠れする。
 夜はゴクリと生唾を飲んだ。




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私がおねだりをしてRinkさまに美月と夜のイラストを描いてもらっちゃいました~!!
もう、鼻血ものです!!
そしてちょっと15Rという事ですが、これは必見です!!すこし次回予告が入っています♪

宜しいでしょうか??

いきます!!

じゃん!!
Rinkさん作

こちらの美月と夜のイラストはこちら→【時の過ぎ行くまま】
Rinkさまの別館に飾られております。
版権はRinkさまにありますので、無断コピー及び無断転載はご遠慮下さいますようお願い致します。

Rinkさまのブログへはこちらから♪→Rink’s Cafe

もう本当、綺麗です!!エロ綺麗!!
Rinkさま、ありがとうございました~!!


 

酔ってしまった美月は夜の欲を
刺激してますw
わざとでは無いようです。今回はw
私は昔酔うとよく店にある七味と話をしてたそうで、
目がトロンとなると友人に「はい」と七味を置かれていました。
皆さまは酔うとどうなりますか?


乱れます!!
という方はこちら

    
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01:11 | 万華鏡-江戸に咲く- | comments (2) | trackbacks (0) | edit | page top↑
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コメント

Re: NoTitle
usamomoさま

> v-398>夜はゴクリと生唾を飲んだ。
> 私も思わず飲んじゃったよ~v-10
一緒に生唾を飲んで頂いてありがとうございます!!ww

> いいですね~♪ホントこのお話気に入っちゃって、
> 更新されるのを楽しみにしてるんですよねv-398二人の恋模様がとっても気になるし、なんかこのグラグラ、フラフラと恋の醍醐味を読んでるみたいで・・楽しみにしてます♪

そう言って頂けて、本当に嬉しいです!!
グラグラでフラフラで申し訳ないですが、楽しみと言って頂けただけで私はもう・・
パワーアップです!!!すずめちゃーん!
おばさん、頑張るからねー!(←何故すずめちゃんにアピール?)
少しでも擬似恋愛感覚が伝えられて一緒に楽しめる作品が作れるように頑張ります!!
いつも読んで下さってありがとうございますT▽T

コメントありがとうございましたe-415
桔梗さん | 2010/05/10 23:09 | URL [編集] | page top↑
NoTitle
v-398>夜はゴクリと生唾を飲んだ。
私も思わず飲んじゃったよ~v-10

いいですね~♪ホントこのお話気に入っちゃって、
更新されるのを楽しみにしてるんですよねv-398二人の恋模様がとっても気になるし、なんかこのグラグラ、フラフラと恋の醍醐味を読んでるみたいで・・楽しみにしてます♪
usamomoさん | 2010/05/10 21:42 | URL [編集] | page top↑

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