05/12/2010(Wed)
それから6話
休憩を終えた二人はホテルを出ると、車に乗り込んだ。
本当は二人とも帰りたくはなかった。出来る事ならば、このまま遠く誰にも邪魔されない世界まで行って二人きりで過ごしたいくらいだった。
名残惜しさを引きずりながら、運転中はずっと指を絡め合っていた。
少しでも一緒に長く居たいと思う時程、ゆっくり運転している筈なのにあっという間に目的地へと付いてしまうものだ。
見慣れた高架が見えてくると弘夢の心は一層切なさが沸いてくる。
(もう、着いちゃう・・)
マンション脇のスペースに車を停める。
「・・着いたぞ。ここでいいか?」
「うん。ありがと。」
どちらともなく見詰め合うと、引き寄せられるようにして唇を吸い合った。
「また明日会おう、弘夢」
淳平は唇を啄ばみながら明日への約束をねだる。
「はぁ・・あ、明日は・・まだ予定とか分からなくて・・」
クチュッと舌が絡む。
「なら、分かったら連絡・・公衆電話とかからでもいいからくれよ。すぐ迎えに行くから」
さっきまで散々愛し合って、もう性器の中には何も残ってはいないのに再び熱が帯びてくる。
「ん・・分かった。」
車の中でしばらく、終わらないのではないかと思う程の時間キスをしてから弘夢は車を降り、淳平の車が見えなくなるまで見送ってからマンション玄関口に入って行った。
(ああ・・淳平。夢みたいだ。)
エレベータの中で思い出す先程までの激しい情事で顔が紅潮する。
3階で止まったエレベータから降り、家のドアに鍵を差し込んで回すとそれ以上回らない鍵の感触に冷や汗が出た。
(まさか・・)
そっとドアを開けると、玄関に黒い大きな高級の革靴が見えた。
(あっ!)
すると中からバスタオルを腰に巻き、髪から水滴を滴らせている男が缶ビールを片手に出てきた。
「やぁ。随分と遅くまで残業してたね。お邪魔してるよ」
「木戸さん・・」
弘夢の表情は重く暗いものへと変わっていった。
「来てたんですね。」
弘夢は口元に愛想笑いを浮かべて目を合わせず、洗面所へ行く。
木戸慶介は大病院の院長の息子で病院の経営をしていた。木戸の手腕は言わずともしれた凄腕で有名だった。顔も広く、経済界やら政治の方にも強いコネを持っている。
「弘夢。今までどこにいた?」
洗面所の鏡に映る木戸の端整な顔が反射して見える。
「残業・・してました。」
視線を水道の水へ落とし、なるべく平静さを保つように水の冷たい温度で体温を心臓を鎮める。
木戸がゆっくりと後に近づいてくる。
心臓がバクバクと緊張で小刻みに震える。
「何の、残業?」
木戸の手が後から顎に伸びる。
心臓が痛い程速く鳴り、水道の水音がやけにうるさく聞こえる。
「え、ええ・・と、書類がうまく纏まらなくて・・それで・・」
「へぇ・・書類がねぇ・・」
木戸のもう片方の手の指が衿を少し下げて項の一点に突き刺さった。
「ここにキスマーク付けながら書類整理してたんだね。弘夢は」
「・・ッ!」
弘夢は顔から血の気が引いた。
あまりにも夢中でキスマークを付けられていた事すら気付かなかった。
恐る恐る鏡に顔を向けると、瞳に氷河のような冷たさを湛え、うすら笑う木戸がいた。木戸は鏡越しに目を逸らさず後から水道をキュッと閉めた。
弘夢はゴクリと生唾を飲み、カラカラに渇いていく喉を潤そうとした。
「弘夢。嘘はいけないよ。おいで。もう一度よく教えてあげる。」
優しく手を引かれ、ベッドへ組み敷かれる。
「お前の主人は誰だ?」
「・・・木戸さん・・です。」
木戸はアタッシュケースから黒く太い紐のようなものを出してきた。
「弘夢。口だけの約束はいけないよ。」
木戸はそう言って黒くしなるものを弘夢の胸元にビシッと振り下ろした。
<<前へ 次へ>>
★「それから」は「すれ違った後に(全10話)」の続編です。
黒く太い紐・・ビシッって音で
何かって直ぐお分かりですよね~ww
ここからSMチックになっていきます。
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本当は二人とも帰りたくはなかった。出来る事ならば、このまま遠く誰にも邪魔されない世界まで行って二人きりで過ごしたいくらいだった。
名残惜しさを引きずりながら、運転中はずっと指を絡め合っていた。
少しでも一緒に長く居たいと思う時程、ゆっくり運転している筈なのにあっという間に目的地へと付いてしまうものだ。
見慣れた高架が見えてくると弘夢の心は一層切なさが沸いてくる。
(もう、着いちゃう・・)
マンション脇のスペースに車を停める。
「・・着いたぞ。ここでいいか?」
「うん。ありがと。」
どちらともなく見詰め合うと、引き寄せられるようにして唇を吸い合った。
「また明日会おう、弘夢」
淳平は唇を啄ばみながら明日への約束をねだる。
「はぁ・・あ、明日は・・まだ予定とか分からなくて・・」
クチュッと舌が絡む。
「なら、分かったら連絡・・公衆電話とかからでもいいからくれよ。すぐ迎えに行くから」
さっきまで散々愛し合って、もう性器の中には何も残ってはいないのに再び熱が帯びてくる。
「ん・・分かった。」
車の中でしばらく、終わらないのではないかと思う程の時間キスをしてから弘夢は車を降り、淳平の車が見えなくなるまで見送ってからマンション玄関口に入って行った。
(ああ・・淳平。夢みたいだ。)
エレベータの中で思い出す先程までの激しい情事で顔が紅潮する。
3階で止まったエレベータから降り、家のドアに鍵を差し込んで回すとそれ以上回らない鍵の感触に冷や汗が出た。
(まさか・・)
そっとドアを開けると、玄関に黒い大きな高級の革靴が見えた。
(あっ!)
すると中からバスタオルを腰に巻き、髪から水滴を滴らせている男が缶ビールを片手に出てきた。
「やぁ。随分と遅くまで残業してたね。お邪魔してるよ」
「木戸さん・・」
弘夢の表情は重く暗いものへと変わっていった。
「来てたんですね。」
弘夢は口元に愛想笑いを浮かべて目を合わせず、洗面所へ行く。
木戸慶介は大病院の院長の息子で病院の経営をしていた。木戸の手腕は言わずともしれた凄腕で有名だった。顔も広く、経済界やら政治の方にも強いコネを持っている。
「弘夢。今までどこにいた?」
洗面所の鏡に映る木戸の端整な顔が反射して見える。
「残業・・してました。」
視線を水道の水へ落とし、なるべく平静さを保つように水の冷たい温度で体温を心臓を鎮める。
木戸がゆっくりと後に近づいてくる。
心臓がバクバクと緊張で小刻みに震える。
「何の、残業?」
木戸の手が後から顎に伸びる。
心臓が痛い程速く鳴り、水道の水音がやけにうるさく聞こえる。
「え、ええ・・と、書類がうまく纏まらなくて・・それで・・」
「へぇ・・書類がねぇ・・」
木戸のもう片方の手の指が衿を少し下げて項の一点に突き刺さった。
「ここにキスマーク付けながら書類整理してたんだね。弘夢は」
「・・ッ!」
弘夢は顔から血の気が引いた。
あまりにも夢中でキスマークを付けられていた事すら気付かなかった。
恐る恐る鏡に顔を向けると、瞳に氷河のような冷たさを湛え、うすら笑う木戸がいた。木戸は鏡越しに目を逸らさず後から水道をキュッと閉めた。
弘夢はゴクリと生唾を飲み、カラカラに渇いていく喉を潤そうとした。
「弘夢。嘘はいけないよ。おいで。もう一度よく教えてあげる。」
優しく手を引かれ、ベッドへ組み敷かれる。
「お前の主人は誰だ?」
「・・・木戸さん・・です。」
木戸はアタッシュケースから黒く太い紐のようなものを出してきた。
「弘夢。口だけの約束はいけないよ。」
木戸はそう言って黒くしなるものを弘夢の胸元にビシッと振り下ろした。
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★「それから」は「すれ違った後に(全10話)」の続編です。
黒く太い紐・・ビシッって音で
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コメント
連コメありがとうございますッ めちゃんこ嬉しいです!!
> 一気読みしちゃいました!!
きゃ~嬉しい~O(≧▽≦)O ワーイ♪
> 二人が結ばれて超満足~!!と思っていたらドSな新キャラ登場!!どうなっちゃうんですかね!!
早急に結ばれてしまいましたww
もうちょっと引っ張れば良かったかな~と思ったんですが、何せ続き書きますと言ってお待たせしていたので前章で引っ張ったからここは一気に!と(笑)
Sキャラは・・ふふふ。アオさまの得意な(爆)分野へ参ります♪
でもシリアスなので遊び心が入れられなくてちょっと残念です(ちょちょ切れ涙)
> わー!!読んでてひとりで盛り上がっちゃいましたよ!!
盛り上がって頂けて光栄です!!
> やっぱ長年の想いでやっと結ばれたっていうのは燃えて燃えまくりですね!!!
はい!!燃えました!!挿しました!!出しましたー!!(←やめれッ)
> あー!私も男になって男を犯したかった←
> って読んでて思わず思っちゃいました(笑)
わ~い!仲間がいました(笑)嬉しい~!思考回路が似てます(大笑)
書いてる最中は攻め目線!!
コメントありがとうございました
二人が結ばれて超満足~!!と思っていたらドSな新キャラ登場!!どうなっちゃうんですかね!!
わー!!読んでてひとりで盛り上がっちゃいましたよ!!
やっぱ長年の想いでやっと結ばれたっていうのは燃えて燃えまくりですね!!!
あー!私も男になって男を犯したかった←
って読んでて思わず思っちゃいました(笑)
コメント