05/14/2010(Fri)
それから8話
木戸と弘夢が出会ったのは丁度、淳平を忘れようとして色々な男と関係を持っていた時期だった。中でも取り分け弘夢に異常な執着を見せていた暴力男に酷く付きまとわれていた時期でもあった。
兎に角心の空虚感を無くそうという気持ちと、自虐的な精神状態にあった弘夢はよく発展場へ足を運んでは相手を見つけていた。
運悪く捕まった笹島という暴力男は、別に最初から暴力的だった訳ではなく、弘夢に独占欲を持ってからそう変わっていった。射精する際に叫ぶ見知らぬ男の名前や、行為中にいつも別の人物を想う気持ちが痛い程伝わってくる度に、自分を見て欲しい、自分を感じて欲しいという強い欲求から痛みを与えて気を引かせる方法と変わっていったのだ。
だが弘夢は既にその男にかなり束縛されて辟易していた上に、異常に性行為を求められ、その都度与えられる暴力に耐え切れなくなっていた。
笹島の執念は凄まじく、弘夢が自分から離れようものならば監禁する事くらい容易に予想できたその日は笹島といつもの発展場へくり出した。いつものようにイベントを楽しんだり野外での行為を楽しむ人たちも居た。
弘夢も一人でふらりと来ては知り合いや、その場で楽しむ事を目的とすることも多々あった。
だが、その日笹島は無理な命令をしてきたのだった。
「弘夢ぅ。ここで皆の前でシコれよ。」
「え・・・」
そこは野外で沢山の人が集まっていた。
「んでイク時はオレの名前呼べ。」
「や・・やだよッ、こんな人前で・・」
バシッ
顔を殴られた。
「お、お願いだよ。出来ないって」
否定すればする程腹を蹴られた。鳩尾を蹴られて息が出来ないでいると、後から来ていたシャツを無理やり脱がされていく。
「ゴホッ・・や・・やぁ・・」
こんな事をしていたら皆の前で犯されてしまう。そんな事よりも家に帰ってからからの笹島の不満をぶつけられる恐怖の方がよっぱど怖かった。
そんな事ならこのまま言う通りにするべきだろう。
その時だった。
「君、見ていて胸クソ悪いから消えてくれない?」
低く通る艶のある声が背後でした。
振り向いた弘夢の涙目でぼやける視界に入ってきた男は笹島の首根っこを掴むと軽々と放り投げてしまった。
「大丈夫?」
「は・・い。」
男は非常に端整な顔立ちをしていて、雰囲気や身なりからも上流の匂いを漂わせていた。
何故この様な似つかわしくない場所にいるのだろう、と不思議に思った。
「この野郎があッ!!」
「あッ危ない!」
後から襲ってきた笹島を見て弘夢が叫んだのと同時に、木戸が言った。
「取引をしよう」
その突拍子もない言葉と低くよく通る声が笹島を止めた。
「ああ?!何言ってんだこの野郎!殺すぞ、てめぇ!」
怒りでキレた状態の笹島は悪態を付くが、そんなものには微塵も動じない男が鋭くも艶のある目線を笹島に流す。
「君は笹島武史だね?34歳独身で未だ実家暮らし、堺港店のある土地一帯の地主で土地を貸していて、店舗からの金が入るので本人は特に働く必要なし。やりたい放題の人生でここまで来たが、現在はそこの見目麗しい桜井弘夢くんにご執心。でも弘夢くんを振り向かせたいが為に常日頃から暴力を絶やさないどうしようもない男だ。」
淡々と暴いていく自分の素性に笹島の血の気が引いていく。
「何で知ってんだよ、そんな事」
「調べてもらったからね。」
「何で調べてんだよッ!!お前誰だよ!!」
分からない恐怖と怒りで笹島の怒鳴り声が割れる。
「君、うるさいからさぁ、もう少し静に喋ってくれないかな?だから教養のない人は困る。知性のかけらも無い。これじゃあ弘夢くんだって嫌がるよねぇ?」
男は馬鹿にして笑いながら弘夢へ同意を求めるように話しかけてきた。
急に話題を振られてドギマギするが、男の背後で殺意で黒煙が立ち昇るのように見える位神経を逆撫でされて、今にも飛び掛りそうな笹島を一層煽るような事をサラリと言う男に、身体の芯が底冷えしていた。
(こ、殺されちゃうよ!)
「オラァァァアアッ!!」
笹島が白目を剥いて殴りかかってきた。手には拾った石が握られている。
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★「それから」は「すれ違った後に(全10話)」の続編です。
木戸との出会いの場面です。
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兎に角心の空虚感を無くそうという気持ちと、自虐的な精神状態にあった弘夢はよく発展場へ足を運んでは相手を見つけていた。
運悪く捕まった笹島という暴力男は、別に最初から暴力的だった訳ではなく、弘夢に独占欲を持ってからそう変わっていった。射精する際に叫ぶ見知らぬ男の名前や、行為中にいつも別の人物を想う気持ちが痛い程伝わってくる度に、自分を見て欲しい、自分を感じて欲しいという強い欲求から痛みを与えて気を引かせる方法と変わっていったのだ。
だが弘夢は既にその男にかなり束縛されて辟易していた上に、異常に性行為を求められ、その都度与えられる暴力に耐え切れなくなっていた。
笹島の執念は凄まじく、弘夢が自分から離れようものならば監禁する事くらい容易に予想できたその日は笹島といつもの発展場へくり出した。いつものようにイベントを楽しんだり野外での行為を楽しむ人たちも居た。
弘夢も一人でふらりと来ては知り合いや、その場で楽しむ事を目的とすることも多々あった。
だが、その日笹島は無理な命令をしてきたのだった。
「弘夢ぅ。ここで皆の前でシコれよ。」
「え・・・」
そこは野外で沢山の人が集まっていた。
「んでイク時はオレの名前呼べ。」
「や・・やだよッ、こんな人前で・・」
バシッ
顔を殴られた。
「お、お願いだよ。出来ないって」
否定すればする程腹を蹴られた。鳩尾を蹴られて息が出来ないでいると、後から来ていたシャツを無理やり脱がされていく。
「ゴホッ・・や・・やぁ・・」
こんな事をしていたら皆の前で犯されてしまう。そんな事よりも家に帰ってからからの笹島の不満をぶつけられる恐怖の方がよっぱど怖かった。
そんな事ならこのまま言う通りにするべきだろう。
その時だった。
「君、見ていて胸クソ悪いから消えてくれない?」
低く通る艶のある声が背後でした。
振り向いた弘夢の涙目でぼやける視界に入ってきた男は笹島の首根っこを掴むと軽々と放り投げてしまった。
「大丈夫?」
「は・・い。」
男は非常に端整な顔立ちをしていて、雰囲気や身なりからも上流の匂いを漂わせていた。
何故この様な似つかわしくない場所にいるのだろう、と不思議に思った。
「この野郎があッ!!」
「あッ危ない!」
後から襲ってきた笹島を見て弘夢が叫んだのと同時に、木戸が言った。
「取引をしよう」
その突拍子もない言葉と低くよく通る声が笹島を止めた。
「ああ?!何言ってんだこの野郎!殺すぞ、てめぇ!」
怒りでキレた状態の笹島は悪態を付くが、そんなものには微塵も動じない男が鋭くも艶のある目線を笹島に流す。
「君は笹島武史だね?34歳独身で未だ実家暮らし、堺港店のある土地一帯の地主で土地を貸していて、店舗からの金が入るので本人は特に働く必要なし。やりたい放題の人生でここまで来たが、現在はそこの見目麗しい桜井弘夢くんにご執心。でも弘夢くんを振り向かせたいが為に常日頃から暴力を絶やさないどうしようもない男だ。」
淡々と暴いていく自分の素性に笹島の血の気が引いていく。
「何で知ってんだよ、そんな事」
「調べてもらったからね。」
「何で調べてんだよッ!!お前誰だよ!!」
分からない恐怖と怒りで笹島の怒鳴り声が割れる。
「君、うるさいからさぁ、もう少し静に喋ってくれないかな?だから教養のない人は困る。知性のかけらも無い。これじゃあ弘夢くんだって嫌がるよねぇ?」
男は馬鹿にして笑いながら弘夢へ同意を求めるように話しかけてきた。
急に話題を振られてドギマギするが、男の背後で殺意で黒煙が立ち昇るのように見える位神経を逆撫でされて、今にも飛び掛りそうな笹島を一層煽るような事をサラリと言う男に、身体の芯が底冷えしていた。
(こ、殺されちゃうよ!)
「オラァァァアアッ!!」
笹島が白目を剥いて殴りかかってきた。手には拾った石が握られている。
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★「それから」は「すれ違った後に(全10話)」の続編です。
木戸との出会いの場面です。
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コメント
> 激しい過去ですね!!
ですね!弘夢っち意外と色んな事しちゃってます^^;
> 木戸さんはいったい何者だ!!(しかも超美形‥‥)
ふふふ。もうすぐ分かります ̄ー ̄)ニヤリッ
> 続きが気になります!!
わ~気になって頂けて嬉しいです//▽//てれっ☆
> しかし‥‥笹島は悪いヤツだ!!お仕置きだ!!
(-ω-ゞラジャ⌒☆
これからエライ目に・・ふふふ。
つい内容言ってしまいそうですwww
コメントどうもありがとうございました
木戸さんはいったい何者だ!!(しかも超美形‥‥)
続きが気になります!!
しかし‥‥笹島は悪いヤツだ!!お仕置きだ!!
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