05/24/2010(Mon)
それから18話
☆15禁です
弘夢の表情が昨日よりも今日、今日よりも明日と薄く褪せていった。愛想笑い程度なら偶に見せていた弘夢も、あの言葉を淳平に投げた時からどんな種類の笑顔も出せなくなっていた。
蒼白に近い白い顔は黒々とした艶っぽい瞳を更に惹き立てていた。弘夢の意思とは逆に、哀しみの色を宿した弘夢の目を見た者は、感心を持たずにはいられない程妖艶な色香を放っていた。
淳平の知っていた学生の頃の顔立ちと、大人になってからのものは随分と雰囲気が変わった。
様々な男たちとの情事による慣れと、その間もずっと唯一人だけの想い人を想う一途な気持ちが相まって、奇しくも自然と無意識に妖しいベールを身に纏っているようだった。
抱いても抱いても、いくら強制的に命令しても弘夢の瞳はいつも別の誰かを見ている。いくら身体を汚したところで、ただ一点の純粋な光は汚れを寄せ付けない。それは近づく男にとってこの上ない支配欲を煽るゲームと化すものだった。
一睡もしていない弘夢は木戸の腕の中で人形のようになっていた。気付けばもう既に日が昇り、朝日がカーテンから漏れている。
「弘夢・・顔をあげて。」
優しく長い指でそっと顎を上にあげられると、冷たい唇が押し当てられた。木戸の舌は味わうように弘夢の口内を丹念に犯していった。
気持ちとは裏腹に、反射的に悲しくも慣れ親しんでしまったその感触に身体が反応する。
「んん・・ふ・・」
「可愛い声だ」
泣く余裕も与えず、淳平に別れを告げた日の夜には木戸が部屋へ泊まりに来た。
いっそ人形になってしまおう。淳平が好きだという気持ちは、自分だけの誰にも知られない心の宝箱に閉まって、人形になってしまえば楽になれる。
「昨日はよく言えたな。弘夢。ご褒美に今日はどこかへ連れて行ってやろう。どこがいい?」
思った通り、木戸は何らかの方法で弘夢を監視していた。やはり淳平を拒絶して正解だった。木戸ならそれ位やって当然だと踏んでいた。この巨大な敵の範疇からは逃れられない。
ちっぽけな自分に出来る事は、怒らせないように言う事を聞く人形になるという事だけだ。
「どこでも・・いいです。」
「何だ、海とか山とか、色々あるだろう。近くの島でもいいぞ?」
木戸の唇がそっと頬から首筋へ降りていく。
(行きたい場所・・)
そう思った時、脳裏に浮かんだのは京都だった。中学時代に修学旅行で行った京都。初めて淳平にキスした思い出の場所。
「京都に・・行きたいです」
木戸は弘夢の鎖骨に這わせていた舌を一瞬止めると、スーッと首を通り唇まで移動させて、弘夢の下唇を舐めながら弘夢の瞳を覗いた。
(まだ、あの男との過去の影を追うか。弘夢。それとも過去との別れのつもりか。)
「いいだろう。」
そういうと適当に服を着て家を出た。外に出ると、待機してあった高級車に乗り込み都内へと向かった。
「慶介さま、行き先はシェーナー・プラーツで宜しいので?」
運転する秘書のような人、時枝(ときえだ)が落ち着いた声でバックミラー越しに木戸に話しかけた。
「ああ。頼む。」
この時枝は、実のところ秘書なのかどうかも怪しい人物だった。木戸と知り合った時から既にずっと身の回りの世話からプライベートの世話までしていて、木戸の命令は殆どこの時枝を通して行われていた。冷たい表情は常に冷静沈着で、木戸の命令は絶対だとその忠実っぷりから伺える。
「あ・・んんっ・・ふ・・やっ」
突然木戸が弘夢の乳首をYシャツの上から引っ掻き出した。夕べもさんざん苛められて今尚赤く敏感に腫れるそこは布が擦れても感じる程だ。
広い車だが車内に変わりはない。その狭く閉ざされた空間に卑猥な喘ぎ声が響く。
「やっ・・時枝さんが・・いる・・あ・・んっ」
容赦なく横から木戸の大きな手は弘夢のペニスを弄りまわす。
「時枝がいるから?恥ずかしいのか?別にこれくらいいつもしてるだろう、時枝の前でも。」
「やぁ・・あ・・んっ」
時枝は表情一つ変えずバックミラーでちらりと木戸と視線を合わせて、再び前方を見て運転をする。
「私なら構いませんので、お気になさらず。」
「だってよ?弘夢。」
「ああっ・・あ・・ああ」
こうして時枝の運転する車で身体を弄られる痴態を晒すのは幾度目になるだろうか。それでもいつも時枝は表情を変える事はなかったし、弘夢の羞恥心も消える事は無かった。
時枝は今までの木戸との関係を全て把握していた。
それでも時折バックミラー越しに向けられる一瞬のその視線が痛く、恥ずかしく、耐え難く感じた。
<<前へ 次へ>>
★「それから」は「すれ違った後に(全10話)」の続編です。
Σ時枝!!
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弘夢の表情が昨日よりも今日、今日よりも明日と薄く褪せていった。愛想笑い程度なら偶に見せていた弘夢も、あの言葉を淳平に投げた時からどんな種類の笑顔も出せなくなっていた。
蒼白に近い白い顔は黒々とした艶っぽい瞳を更に惹き立てていた。弘夢の意思とは逆に、哀しみの色を宿した弘夢の目を見た者は、感心を持たずにはいられない程妖艶な色香を放っていた。
淳平の知っていた学生の頃の顔立ちと、大人になってからのものは随分と雰囲気が変わった。
様々な男たちとの情事による慣れと、その間もずっと唯一人だけの想い人を想う一途な気持ちが相まって、奇しくも自然と無意識に妖しいベールを身に纏っているようだった。
抱いても抱いても、いくら強制的に命令しても弘夢の瞳はいつも別の誰かを見ている。いくら身体を汚したところで、ただ一点の純粋な光は汚れを寄せ付けない。それは近づく男にとってこの上ない支配欲を煽るゲームと化すものだった。
一睡もしていない弘夢は木戸の腕の中で人形のようになっていた。気付けばもう既に日が昇り、朝日がカーテンから漏れている。
「弘夢・・顔をあげて。」
優しく長い指でそっと顎を上にあげられると、冷たい唇が押し当てられた。木戸の舌は味わうように弘夢の口内を丹念に犯していった。
気持ちとは裏腹に、反射的に悲しくも慣れ親しんでしまったその感触に身体が反応する。
「んん・・ふ・・」
「可愛い声だ」
泣く余裕も与えず、淳平に別れを告げた日の夜には木戸が部屋へ泊まりに来た。
いっそ人形になってしまおう。淳平が好きだという気持ちは、自分だけの誰にも知られない心の宝箱に閉まって、人形になってしまえば楽になれる。
「昨日はよく言えたな。弘夢。ご褒美に今日はどこかへ連れて行ってやろう。どこがいい?」
思った通り、木戸は何らかの方法で弘夢を監視していた。やはり淳平を拒絶して正解だった。木戸ならそれ位やって当然だと踏んでいた。この巨大な敵の範疇からは逃れられない。
ちっぽけな自分に出来る事は、怒らせないように言う事を聞く人形になるという事だけだ。
「どこでも・・いいです。」
「何だ、海とか山とか、色々あるだろう。近くの島でもいいぞ?」
木戸の唇がそっと頬から首筋へ降りていく。
(行きたい場所・・)
そう思った時、脳裏に浮かんだのは京都だった。中学時代に修学旅行で行った京都。初めて淳平にキスした思い出の場所。
「京都に・・行きたいです」
木戸は弘夢の鎖骨に這わせていた舌を一瞬止めると、スーッと首を通り唇まで移動させて、弘夢の下唇を舐めながら弘夢の瞳を覗いた。
(まだ、あの男との過去の影を追うか。弘夢。それとも過去との別れのつもりか。)
「いいだろう。」
そういうと適当に服を着て家を出た。外に出ると、待機してあった高級車に乗り込み都内へと向かった。
「慶介さま、行き先はシェーナー・プラーツで宜しいので?」
運転する秘書のような人、時枝(ときえだ)が落ち着いた声でバックミラー越しに木戸に話しかけた。
「ああ。頼む。」
この時枝は、実のところ秘書なのかどうかも怪しい人物だった。木戸と知り合った時から既にずっと身の回りの世話からプライベートの世話までしていて、木戸の命令は殆どこの時枝を通して行われていた。冷たい表情は常に冷静沈着で、木戸の命令は絶対だとその忠実っぷりから伺える。
「あ・・んんっ・・ふ・・やっ」
突然木戸が弘夢の乳首をYシャツの上から引っ掻き出した。夕べもさんざん苛められて今尚赤く敏感に腫れるそこは布が擦れても感じる程だ。
広い車だが車内に変わりはない。その狭く閉ざされた空間に卑猥な喘ぎ声が響く。
「やっ・・時枝さんが・・いる・・あ・・んっ」
容赦なく横から木戸の大きな手は弘夢のペニスを弄りまわす。
「時枝がいるから?恥ずかしいのか?別にこれくらいいつもしてるだろう、時枝の前でも。」
「やぁ・・あ・・んっ」
時枝は表情一つ変えずバックミラーでちらりと木戸と視線を合わせて、再び前方を見て運転をする。
「私なら構いませんので、お気になさらず。」
「だってよ?弘夢。」
「ああっ・・あ・・ああ」
こうして時枝の運転する車で身体を弄られる痴態を晒すのは幾度目になるだろうか。それでもいつも時枝は表情を変える事はなかったし、弘夢の羞恥心も消える事は無かった。
時枝は今までの木戸との関係を全て把握していた。
それでも時折バックミラー越しに向けられる一瞬のその視線が痛く、恥ずかしく、耐え難く感じた。
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★「それから」は「すれ違った後に(全10話)」の続編です。
Σ時枝!!
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コメント
> また魅力的な新キャラ登場ですね!!!
> ひとくせありそうです^m^
はい♪こんな無口で無表情なキャラ結構好きで・・ふふ。
アオヒツジさまに魅力的だと言って頂けて光栄です!
> 木戸さんも‥‥本当に弘夢ちゃんに執着なんですねー
はいw病的な愛です。ある意味あの暴力男の笹島と同じです^^;
歪んでるんですね(-ω-)
> ‥‥愛ゆえの~ってヤツに萌えてきました!!
萌えて頂けたと!!おお・・やるなぁ、木戸!
> ドS鬼畜の木戸さんもいいけど、ちょっと普通っぽい会話してる木戸さんに‥‥萌え!!
確かにあんな感じの鬼畜野郎なので普通に会話してるだけで何だか良いイメージ?!
ずるいぞ、木戸!笑
> 弘夢ちゃんじゃないけど、普段厳しいからちょっと優しいこと言われると、デレ~っとしちゃいます!!
> 木戸さんの魅力危険だ!!
なんと 笑。木戸に危険な魅力があるとは!でも確かにツンデレはきますね^^;
(弘夢!惚れるなよ!?)笑
コメントどうもありがとうございました
ひとくせありそうです^m^
木戸さんも‥‥本当に弘夢ちゃんに執着なんですねー
‥‥愛ゆえの~ってヤツに萌えてきました!!
ドS鬼畜の木戸さんもいいけど、ちょっと普通っぽい会話してる木戸さんに‥‥萌え!!
弘夢ちゃんじゃないけど、普段厳しいからちょっと優しいこと言われると、デレ~っとしちゃいます!!
木戸さんの魅力危険だ!!
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