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妄想列車 12話

 嘘にも聞こえるし、本当にも聞こえる。アクマめ。
 ヌルヌルと動くリツカの舌に、俺の下半身は一々反応してしまう。
 その時ガチャリとトイレに誰かが入って来る音がした。
 俺はリツカから離れようとすると、大きな手が後頭部と首を強く抑えてきて逃げられない。
 リツカはいやらしく音を立てない様に激しく舌を絡めつけてくる。
「っ……! んっ」
 こんなキスは初めてで、俺は無意識に鼻から声を出してしまった。
 リツカはサディスティックな笑みを浮かべて、俺のワイシャツの第二ボタンと第三ボタンだけを外した。
「やっ……人がっ」
 ヒソヒソ声でリツカに窘めるが、リツカは「それで?」と言うような顔でじっと見てくるだけだった。
 スルリと入って来たリツカの長い親指が俺の敏感な乳首をクニャリと潰した。
「あっ」
 俺の声に気付いたのか、外にいる人の動く音が止まって様子を窺う様にこちらへ足音が聞こえた。
 リツカが自分の大きく勃ち上がったものを目の前に出す。
 いや、待て。今ここで個室の中を窺っている人がいる時に何しようとしているんだ。
 リツカの目が嬉々としているのを見て俺は犯されると思った。
「ゴホンッ」
 思わず咳払いをすると、近づいていた足音はそそくさと出ていった。
「んだよ。面白くなってたのに」
「面白くないっ! バレたらどうするんだよっ」
「いいじゃんか。別に」
 ダメだ、コイツ。怖いもの知らずだ。でも何より怖いのは、そんなリツカに攻められたらきっとどんな状況でも感じずにはいられない自分だ。
「なぁ、二人でもう抜け出さないか?」
「え……一応挨拶した方がいいよ」
 我慢の出来なくなったリツカは気だるい目をして俺を誘って来た。俺だって我慢出来ない。色々な不安もあったからか、直ぐにリツカが欲しかった。
 席に戻った俺達は、いつの間にか清水先輩に色仕掛けをしている健と、ちょっと嬉しそうな清水先輩に、「シンの気分が悪いから俺が先に送るな」とリツカが伝えて抜け出した。
 俺はその時少し優越感を感じた。そんな事で本当小さい奴だ、俺は。でもどうしたってこのどこか掴みどころのない、魅力的な男を独り占めしたい。過去の奴らも、今の奴らからも全部奪い取ってやりたい。気持ちはその位強いのに、そんな事出来る程自分に魅力もなければこれといった能力もない事は分かっている。だから、心の端っこで“仕方ない”って常に思っている自分がいるんだ。

 リツカに連れて来られたのは以前のマンションではなかった。親が金持ちだからと言って都内にもマンションが幾つかあると言う。
 つくづく分からない男だ。
 それにしてもこのマンションもでかい。新宿にこれだけのマンションを持っているってどれだけ金持ってるんだ?
 幾つか部屋がある中で、開いたドアから見えた機械を見て驚いた。
 あんなマニアックなデスクトップ持ってるって、かなりのPCオタクとか? 
 俺が部屋の前で立ち止まっていると、リツカがいきなり俺のネクタイを引っ張って廊下を歩きだした。
「おいっ、俺は犬じゃないぞ!」
 怒る俺をクスッと艶っぽい笑みだけを返してくる。それでもネクタイをグイッと引かれれば、途端に従順な気持ちになるのは、やはり俺が犬だからだろうか。
 俺の主人は俺をベッドに乱暴に押し倒すと、ネクタイでゆっくりと首を縛ってリードを付けてくれた。




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o(U・ω・)⊃ワンッ

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妄想列車 11話

 リツカに色々聞かないと胸が苦しくて破裂しそうだ。
 リツカの隣にいる可愛らしい男がさっきしようとしていた事は、疑いもなくキスだろう。
 要するに二股……って事か。いや、そもそも俺は好きだとは言ったがリツカには言われた事はない。
 二人は付き合っているのだろうか。
 チラリと目線をやるとリツカの隣の男がわざとらしくリツカにぴったりとくっついた。
「おい、もうちょっとそっちに行け、健」
「え~っ。いいじゃん別にっ」
「あ、コイツは俺と同僚の篠原健って言います」
 リツカが自己紹介も兼ねて健という男の紹介をした。清水先輩は愛想のいい受け答えをする。
「初めまして。すみません、何だか飛び入り参加しちゃって! 俺は清水で、コイツはシンです……って言ってもお知り合いなんですよね? どちらの会社にお勤めなんですか?」
「あぁ、俺達はLTPデータに勤めています」
 リツカの言葉に俺は顔を上げた。そういえば会社なんて初めて聞いた。俺はリツカの何に興味を持っていたのだろうか。
 ふとリツカと目が合ってしまった。リツカはとても優しい顔をして微笑んできたので、俺の不機嫌はサラサラと風にでも吹かれて飛んでいきそうになった。
 そういう顔、どうせ隣の奴にだって見せてるくせに。
「おまたせ致しましたぁ」
 運ばれてきたビールやつまみに少しだけ雰囲気を和まされ、俺達は他愛のない話を続けた。
「ねぇ、シンさんってリツカとどこで知り合ったの?」
 まだ学生のような顔をした健が俺に聞いて来た。俺は途端に箸が止まり、サッと顔が赤らんだ。
「……へぇ。普通の出会いじゃなかったって事……」
 健がリツカを不貞腐れた顔で睨んだ。
 俺は健が睨んだって事事態に気分が一気に落ち込んだ。だって、既にそういう関係じゃないとしない行動だからだ。
「まぁ、いいやっ。そういえば清水さんたち、会社どこでしたっけ?」
「あぁ。俺達はSTSの子会社のFPテックって所で働いてるんだ」
 清水先輩は如何にも本当の事をごく当たり前に言っているような顔をしていたが、立派に嘘をついていた。厳密には、社外秘だから仕方のない事だ。
 一番機密情報に関わっている俺達は、働いている部署や内容すら言えない事になっている。
「へぇ。じゃあ結構機械強いんだ? しかもSTSって言ったら今世界でもトップクラスのテクノロジー技術持ってるよね? あれ凄いんでしょ?」
「健……。しゃべり過ぎ」
 急に楽しそうにペラペラ話し出す健にリツカが一喝入れると、健は言う事を聞いて少し大人しくなった。よく調教されているもんだ。
 何だか身体が熱くなってきた。ほろ酔い程度だといつもこうだ。隣のリツカに触れたくてウズウズする。
 マズイな……。トイレにでも行って顔洗って来よう。そしたら、もう帰ろう。
 俺は席をたってふらつきながらトイレに入った。取り敢えず顔を洗ってブルーのハンカチで顔を拭いていると、リツカが入って来た。
「リツカっ」
 今は二人きりは気まずい。どうにか上手い会話でもしてサラッと出て行って、リツカのいない隙に先に帰ってしまおう。
 俺が頭をフル回転にさせながら苦笑いをした時だった。
 リツカはドアをバタン、と乱暴に閉めると、俺の方に勢いよく近づいてきた。そしてそれに驚いている間に、リツカは俺の腕を強く引いて一番奥の個室へ連れ込んだ。
「ちょっ……何をっ……あっ…んんっ」
 リツカは乱暴に俺の顔を掴むと息も出来ない程に口内を犯してきた。
「やめっ……んっ……止めろよッ」
 我慢の限界にきた俺はリツカを突き飛ばした。
「俺っ、見てたんだからっ。お前に電話したのに、お前、違う電話取って違う奴と話してた……あいつ、恋人なんだろ!?」
 くそ……。何で涙なんかが出てくるんだ。
「そうか。悪かった。俺、会社用と私用と幾つか持ってるからさ。気付かなくてごめん。そんで、健は恋人じゃないよ」
 リツカの長い指が俺の涙に触れる。でも俺はふいっと顔を横に向けて拒否した。
「でも……関係はあったんでしょ」
「……うん。あったよ」
 じわっと涙が溢れてスルリと滑らかな頬に落ちた。
「シン。今すぐ抱きたい」
「はァ?」
 突拍子もない言葉に素っ頓狂な声が出た。
「嫉妬した泣き顔が可愛くて仕方がないんだ」
「嫉妬なんてっ……してねーよっっ」
「もっと怒れよ。俺と健が何回くらい寝たか聞きたい?」
「聞きたい訳ないだろッ……もういいッ! 帰るッ」
 想像しただけで息が出来ないかと思う程苦しくなった。それなのになんでそんな酷い事を言うんだ。
 出て行こうとする俺を、リツカは後ろから強く抱きしめてきた。
「ごめん、シン。……お前が相手だと、俺、おかしいんだ。すごく意地悪したくなる。こんなに可愛いって思ってるのに。でも同じ位お前の泣く顔が最高に可愛いからかな」
 リツカはずるい。そういう甘い声で、優し過ぎる声を俺の脳にすり込ませて俺の身体を痺れさせるんだ。
「俺と……あいつ、どっちが……」
「お前だよ」
 俺の子供っぽい質問が終わる前に、リツカはそう答えて優しく俺の唇を塞いだ。




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妄想列車 10話

 俺の自宅、というよりもねぐらは一か所だけじゃない。東京と地方にも幾つか用意されている。
 シンと過ごす部屋は比較的プライベートを過ごすのに使うマンションだ。
「Hey, why don’t we stay together tonight?」
 アンネが大きな胸を見せつける様に迫って来る。要するにアンネは今夜俺と一緒にいないか、つまりは寝ないかって誘って来ている。
 俺はカタカタとパソコンを操作しつつそれを一瞥して「悪い。ちょっとここのところ忙しくて予約が一杯なんだ」と断った。
 そう言えばここ最近はめっきり女よりも男を抱いている気がする。
「リツカ。都庁の方からバンで霞が関の方まで電波のサーチして来い」
「はい」
 ボスの命令で俺はひっつくアンネを剥がして外へ出た。むっとする湿気で直ぐに汗がじわりと服を湿らせる。
 一通り黒塗りのバンの中では四方八方から何台ものパソコンに囲まれる。それらを操作して霞が関の方まで移動した。
 夜まで捜査をして、一度ボスに定期報告を入れると「よし。今日はもうそのまま上がっていいぞ。あとは頼んだ」と言われてそのままバンを出た。
 ずっと車の中で座っていたので腰が痛い。グンと背伸びをすると、少し小腹が空いたのに気付く。
 シンはまだ仕事だろうな……。何か食って帰るか。
 俺は適当に広い道路脇を歩いていた。少し歩いていると何となくポケットが揺れている気がして取り出した。
 案の定着信があった。画面には「健」と表示されていた。
 多分街に設置した小型監視カメラで俺の姿を見ているのだろう。しょうがない奴だな、と俺は薄く笑って電話に出た。
「もしもし」
「あっ、リツカ? 僕だけど、終わったんならご飯一緒に食べない?」
「別にいいけど、お前今どこ」
「ピルクにいるよ。そこから歩いて十分くらいでしょ? このままナビしようか」
「あのアメリカンバーかよ。お前そんな場所でPC開いて見てんのか?」
 公共の場でそんなものを発見されたら大変だ。
「大丈夫だよっ。そんなに心配なら早く来てよっ」
 俺は本気で焦りながら急ぎ足でピルクに向かった。

「シンッ、おい知り合いか?」
 いきなり先輩に肩を掴まれて俺は驚いた。驚いていても目は離れていくリツカを追っていた。
「えぇ……まぁ」
 ダメだ。気になる……。
「先輩、俺やっぱりちょっと声かけてきますっ」
「え?! あ、じゃあ俺も行くよ! ていうか、皆で飲めばいいじゃん!」
 良い事を思いついたというようなはりきり顔の清水先輩に、断る時間もなくとにかくリツカの後を追った。
 電話の相手は誰なんだ。何であんな顔したんだよ。あの携帯、いつものじゃないのか?
 一歩一歩踏み出す毎に不安で足が重くなっていく気がした。
 リツカはそんなに距離を行かない場所で、レトロな感じの地下にあるバーに入っていった。
 
「リツカっ、こっち」
 嬉しそうに笑って手を振る健は昔あった時からあまり変わっていない様に思える程童顔で可愛かった。
 そそくさとパソコンを鞄にしまった健はソファに横並びになれる席を取っていたらしい。俺が座ると早速腕を絡ませてキスをしてきた。
「はいはい。分かったから。とりあえずビールでも飲ませてくれよ。喉乾いたんだ」
「うんっ。おにーさん、ビール二つねっ。ねぇ、リツカぁ、顔もっとよく見せてよー」
 メニューを見る俺の顔を容赦なく横に向けられる。首が痛い。
 うっとりとした顔で俺を見つめる健は薄茶色の髪が少しウェーブしていて本当に小動物みたいだ。
 健が俺のスーツを掴んでキスを迫った時だった。
「リツカ」
 聞いた事のある透明感のある声は震えていた。
 テーブルの前に立っていたのはシンだった。
「偶然……見かけたんだ。……で、あの、この先輩と皆で飲もうかって話になって入ってみたんだっ。でも、あの、ゴメンっ」
 俺はシンの泣きそうな顔を見て初めて“胸が痛い”という感覚を味わった。
 俺が中腰まで立ち上がってシンに言葉をかけようとした時、シンの後ろにいた先輩という奴がシンの腰に手を当てて「どうすか? 一緒に飲みません?!」とやけに馴れ馴れしく相席してきた。
 計算なのか天然なのか分からないこの先輩とかいう男のあっけらかんとした態度が気に入らない。やたらとシンの身体に触っているのも勘に触る。
 俺は目の前のシンが明らかに涙を我慢している顔を見て胸をギュッと掴まれた感覚になる。この顔をさせているのは俺だと思うだけで、今直ぐ抱き締めて違う泣き顔にさせたくなった。
 そんな俺の気持ちを余所に、清水という男はシンのサラサラした髪をクシャクシャと撫でて「どうした? 具合でも悪いのか?」と顔を近づけた。




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(`・д´・ ;)ゴクリ

本日沢山の拍手をありがとうございました!
600以上頂いて失神しそうになりました…くらっ ‥…(o_ _)o パタッ
皆さまいつも拍手ありがとうございます!!
拍手はやはりとても嬉しいものですね+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
励みに頑張ります☆

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妄想列車 9話

 今朝も俺はシンと電車の中で他愛のないゲームをしてきた。
 俺達は互いに電車の中では他人のふりをする。きっとその方が燃えるからだ。俺もそういうのは好きな方だが、シンの奴もかなり好きみたいだ。まさかここまで俺に懐いてくれるとは思ってなかった。俺としてはその方が勿論嬉しい。
 最初は久し振りのラッシュを数日連続して味わっていて、いい加減ウンザリしてきた頃だった。
 窓の方で押しつぶされそうになっていたアイツを見てすぐに近づいた。
 理由はパッと見が可愛かったからだ。
 間近で見上げてきたアイツの顔を見て正直ドキッとした。
 確かに男ウケのする綺麗な顔立ちの奴だが、理由はそれだけじゃなかった。数え切れない程色んな奴らと遊んできた俺だが、鳥肌が立ったのはアイツが初めてだった。
 普通に小奇麗な奴なら五万といる。だがアイツ程、俺の身体のコントロールが効かなくなる程の色気を持った奴はそういない。
 俺はあの濡れたような垂れ気味の目に惹き込まれた。あの黒目がちな瞳から涙が出るところはさぞかし興奮するのだろう――なんてエロい妄想をしながら助けていた。
 あろうことか、シンは俺をじっと熱っぽい目で見て、そして頬を赤らめてきた。そして間近でふっくらと薄く色づく唇を見てたら我慢なんて出来る筈も無かった。
 だから俺は押されたのをいい事にキスをした。
 俺がキスをしても逃げなかったものだからつい調子に乗って唇を動かしてみた。するとシンも同じように動かして、挙句吸いついて来た。あの時はその場で犯してやろうかと思った程可愛かった。
 電車の中で十分楽しんだ俺は、駅に着くと心の中で可愛いアイツにお別れを言って仕事に向かった。

 新宿の都庁の近くにある、杉本ビルの地下五階。その日はそこで仕事だった。
 オフィスというには薄暗い中で煌々と蛍光灯が灯る青白い部屋に、健が可愛い笑顔を向けてきた。
「リツカっ。おはよ」
「おはよう、健」
 健は朝の挨拶と言って俺に軽くキスをする。
 健は昔日本で仕事をしに戻って来た時に知り合った奴だった。
「新しく仲間になった川野健くん。十八歳」
 そうボスに紹介された。
「は? 十八歳? 十五、六にしか見えないんだけど……本当に大丈夫か?」
 俺が正直な感想を言うと、童顔で小動物のような健は途端に色っぽい笑みを浮かべて俺の指先を掴んできた。
「俺、見た目は童顔だけど夜はスゴイよ」
 健が俺を堂々と誘うとボスは呆れた顔をして話を続けた。
「まぁ、健くんは若いけどいわゆる天才ハッカーだ。と言っても俺達の組織は天才の集まりなんだがな」
 もちろん俺は健と寝た。健は積極的に奉仕してくれたが、結局俺の攻めにあっけなく昇天した。
 それから俺は健には気に入られてしまい、付き合ってくれと言われ続けてるが俺はのらりくらりと流している。
 どうせ一か所に留まる事はない。いつ掴まってもおかしくない中で生きていくのに、一人と幸せにめでたく暮らして死ぬなんて有り得ないんだ。
 健は恐らくそういうのも分かっていて、追いかける楽しみを知った青い青年というところだろう。きっと刺激を求めているのだ。別に悪い気はしない。可愛くて甘えん坊で、そして同じ目的を持っている同志だ。

 俺が2年前に日本支社からスイスに行った時も、健は「また会ったらセックスしようね」とサラリと別れた。そして今回日本に戻って来ると、一足先に健が帰国していた。
 他にもアンネやマイケルなど関係を何度か持った面々が揃っている。確かに中にはノーマルの奴も真面目な奴もいる。だが、いつどんな事が起こるか分からない毎日で、異常なまでの緊張と興奮で性的興奮が増すのはきっと本能なのだろう。
 戦争の時に自分の子孫を残そうと子供が増える現象と似ている。だから組織メンバーはそういう事に関して自由になったらしい。
 俺達の組織――それは十年前に一斉に死刑になったワールドリークスの後継者たちだ。彼らの暴露した機密情報は、中国南部を混乱に陥れた。中国だけではない。内戦や宗教紛争の絶えない地域でもその公開された情報で一時期国民の動きが止まった。
 戦争をしている事事態が、国同士の“都合の良いビジネス”による演出であるとする、まさにアル・ゴアの示唆していた“不都合な真実”だった。
 俺達は悪戯に人々を混乱させたいが為に情報公開をしている訳ではない。先人たちは公開の仕方を間違えただけだ。もう少し国民たちを上手く誘導する事を行っていれば、国民をただただ刃を向ける獣にさせる事にはならなかったかもしれない。
 矛先の向きを変えるだけで、攻撃をするしか能のない“国民”という生き物にはしたくない。人間として進化したならば、知性を使って解決していきたいと願っているだけだ。
 国のトップを次々と襲う事件は各国で起こり、国自体の崩壊が予察された時、世界は提携してワールドリークスを、悪戯にでたらめを露呈して新たな戦争の火種を引き起こし、果ては自分たちに都合の悪い首相を国民に暗殺させた世界的犯罪者集団、情報操作テロリストとして祭り上げた。
 メディアは国に命令されるままに、“悪”と診断されたワールドリークスを連日特集し、国民を再び洗脳して鎮めていった。
 極めつけだったのは、国民の暴動によって暗殺された幾つかの国の政府役人や市長たちの事件に対して名目上刑は何年か課せたが、そのどれもが数年で出て来られる年数のみという始末だった。この事が、国民を上手い事信用させるに成功する事となった。




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*この物語はフィクションであり、実在する人物、団体、国、事件には一切関係ありません。

今回はリツカ視点でした(´Д`A;)
何とリツカは天才ハッカーの一員だった!

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妄想列車 8話

 俺は毎朝の通勤が楽しみになった。というのもリツカと通勤時間の重なる時は、あらかじめ決めてある車両で一緒になるからだ。
 だが俺達は言葉を交わす事はない。リツカとそっと人目を盗んで唇を付けてみたり痴漢の真似事をするだけだ。そうしてリツカは艶っぽい笑みを口元に浮かべて先に降りて行く。
「上原さん、何か……しっとりしてますね」
 同僚の女の子が俺を見て頬を赤らめた。

(俺、そんなにエロい顔でもしてたかな?)

 俺は無意識にはにかんだ笑みを浮かべた。それを見た女子社員がときめいたのは俺だけが知らない事だ。

「あれ……」
 少し席の離れた所で清水先輩の声が聞こえた。
「あ……普通だ。気のせいかな」
 この間俺が騒いだせいで全てのPCを調べたばかりだ。セキュリティも問題ないし誰かに侵入された形跡も無かった。
 だが一応気になって先輩の所に行くと、先輩曰く立ち上げの際一瞬カーソルの点滅が遅かったように見えたらしい。
 俺達のPCは普通のものと違う。特殊なもので立ちあげの際黒い背景のプログラム画面が出る。そこのカーソルの点滅の事を言っていた。
 ここのところの幾つかの気になる点の事があって俺と清水先輩は部長から霞ヶ関に行けと言われた。俺達は二人で政府の情報機関に赴いて一通り向こうの情報システムを調べる事となった。

 久々に来る各省庁の揃うこの場所は、やはりお堅い感じの人たちがとても多い。
 俺たちはあまり関係のない外務省の中に入った。世間には知られていない機密情報局がある事は一部の人しか知らない。
 俺と清水先輩は会社から貰った通行証を守衛の人に見せて門の中へ入った。
 入り口では受け付けの人とのやりとりを終えた後、荷物検査とスキャニングを行ってやっと中へ入れる。
 中に入ると、意外と庶民的な内装に最初は驚く。俺は何回か来ていたのでどのエレベータに乗れば場所に辿り着くかが分かった。
 段々と地下へ続く廊下を進むとまた守衛がいる。通行証を見せると「ご苦労様です、どうぞ」と中年だが引き締まった身体の守衛に敬礼された。ここにいる守衛はきちんと防衛庁から派遣されているらしい。
 中に入ると更にエレベーターで地下へと進んだ。空調のせいか冷やりとした空気が汗を冷やしていく。青い色の強い蛍光灯が更に身体を冷やす様に感じた。
 最後のドアが開くと、中には膨大な量の大型コンピューターが置かれていた。そこにある幾つかの部屋では少人数がここでも機密情報を守っている。
「お疲れ様です。STSの清水です」
 清水先輩が慣れたように挨拶を交わし、俺達は色々と調べ始めた。膨大な量がある為、一週間はここに顔を出さないといけない。
 俺達はひたすら手分けして黙々と作業に当たった。

 今日のところは何もなく夜七時になって切り上げた。会社に連絡するとそのまま直帰していいとの連絡を受けて、大喜びした清水先輩は早速俺を強制的に飲みに誘った。
 リツカはまだ仕事をしてるのだろうか。メールでもしてみようかと思った時、清水先輩が強引に俺の肩を抱いて進み出した。
 その時だった。あまりにリツカに会いたかったせいなのか、広い道路の反対側にリツカにとてもよく似た人を見かけて立ち止まった。
「あれっ……」
「どうした? 知り合いでもいたか?」
 清水先輩も一緒になって止まり、俺の目線の先にいる人を探す。
 リツカに似てる。遠目から見ても姿形や髪型が似ているのが分かった。だが眼鏡を掛けていた。俺はリツカの視力なんて知らない。もしかしたらコンタクトだったのかもしれない。
 リツカの職場は新宿じゃなかったのだろうか。仕事の関係でここまで来たのだろうか。だとしたらこんな偶然は運命としか思えない。
 俺はドキドキしながら携帯を取り出し急いで電話をかけた。俺がここにいると知ったらリツカはどんな顔をするだろう。驚いた顔が見たい。
 電話の鳴る音が聞こえる。だがリツカは気がつかないのか、そのまま道を歩き続けていた。
 俺は清水先輩を無視してリツカを追った。

(もうっ、早く気付けよっ)

 その時、リツカの足が止まって漸く携帯を取り出したのが見えた。俺は笑みを堪えながらそれを見ていた。
 リツカは携帯を見て少し笑みを浮かべる。そして通話ボタンを押して唇が「もしもし」と言ったのも見えた。
 だが俺の耳に聞こえていたのは未だに鳴り続けるプルルルという音だけだった。




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どういう事だ…(; ・`д・´)

*この作品はフィクションです。実在の人物、場所、団体、事件などにはいっさい関係ありません。

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妄想列車 7話

「ああぁっ…大きっ……いやぁっ」
 男同士で繋がる事に興奮する。俺は随分な背徳興奮者なようだ。
 思ったより痛みがないのは、きっとリツカが時間を掛けて解してくれたお陰と、あとはきっとこの異常なまでの興奮のせいだ。
 ズンッとリツカのものが奥まで入ると、入り口辺りがヒリヒリする。なのに奥はヒクついて全身がゾクゾクした。俺は真新しいシーツをギュッと掴んで皺を作る。
「うっ……んんっ……」
 リツカの腰が少しずつ揺れて大きなペニスがスライドし始めた。
「すごい気持ちいい、シン」
 グッチャグッチャとわざと音を大きく立てて俺に聞かせる。
 リツカはそうやって俺が恥ずかしがる顔が見たいんだ。だってとても楽しそうな目で俺を隈なく見ている。
「お前、これ好きになるよ」
「やだぁっ」
 俺が恥ずかしがりながらリツカに突かれて前後に揺れていると、時々意地悪くバチッと激しく腰を叩きつけてくる。
「んああッ……だめぇっ」
 リツカは俺の事をよく分かっている。名前しか知らないくせに、だ。俺が思い切り嫌がる事を楽しんでいるのも知っている。
 今、気付いた。俺は激しく嫌がりたいんだ。そしてそういう俺を容赦なく突いて欲しいんだ。
 後ろを向いてリツカを呼ぶ。
「リツカぁ……リツ……っ……んあぁんっ」
 リツカは俺に覆いかぶさって来てくれた。後ろから腫れたままの俺の乳首を摘まんで引っ張りながら腰をうねらせる。
 さっきからリツカは集中的に俺の内部の一番感じる部分を突いてくる。もうおかしくなりそうだ。
 俺を犯してるリツカの顔が見たくて一生懸命後ろを向くと、リツカが舌舐めずりしたのが見えた。
 どこまで俺を悩殺すれば気が済むんだ。電車で見たあの好青年はとんだ羊の皮を被った大型肉食獣だった。
 あの時きちんと纏められていた少し長めの黒髪は、今腰の動きで乱れて頬や色っぽい目に掛っている。
「シン。お前はどうやって出されたい?」
 俺は既に我慢出来ずに自分のペニスをめちゃくちゃに扱いていた。
「コラ……そんなに扱いちゃダメだ」
 リツカが俺の肩を噛んだ。
「はぁぁんっ……噛んじゃだめっ…イっちゃうぅ」
 ダメだと分かっていても手が止まらない。だがリツカは無表情のまま俺の身体をひっくり返し、俺の手を纏め上げてしまった。
「あっ! やっ……離してっ……イクのぉっ」
「ダメだよ。先ず俺にどうやってイッて欲しいか言ってからだよ」
「分かんなっ…いっ……イクっ、イクぅっ」
 どうしたのか分からない。触ってないのに突かれる度に爆ぜそうになる。
 そう。そうやって止まらないでもっと突いて欲しい。もう少しで出ちゃいそうだから。気持ちも一緒に喉奥から出てしまいそうなんだ。
 リツカが俺の足首を掴んで大きく足を広げる。俺の腰が上に上がって挿されている様子がよく見えた。
「シン……ホラ。見えるか? 俺とセックスしてるところ。今からお前の中に出すから。よく見てろ」
 そう言われた瞬間だった。俺の身体がベッドの上を大きく跳ねた。
「きゃあんっ」
 ボタボタッと熱い液体がお腹や胸元、首筋や顔に掛っていく。ペニスで中を擦られる度に俺の尿道は中から押し出される精子の摩擦で気持ち良さが何度も襲ってくる。
 もっと何度も出したい。出す度に身振いする程の快感を感じるんだ。
 俺は頭の上ら辺にあった大きな枕を掴んで暴発する自分の下半身を自由にした。
「……っ! やば……可愛すぎ……」
 俺の痴態が良かったのか、リツカは乳首に掛かった俺の白い液体を舐めながらラストスパートをかけてきた。
 痛い程突き刺されていた。
「あああっ…すごっ……まだっ出るぅッ」
 その度に俺の中からもう空っぽと思っていた精子が少しずつ飛び出して俺の顔に掛る。
 リツカの舌が俺の乳首を吸い上げて、掛った精子を舐め取っていく。
 俺の中でリツカのペニスが膨張したのが分かった。
 俺の尻にリツカの大きなタマがバチバチ当たって、そして俺の上で悩ましげに顔に歪め、上半身を反らした。
 リツカの腰がビクン、ビクン、と痙攣していた。その震動が体内に伝わってくる。
「あ……あ……リツカ……すき……だ」
 俺は感動にも似た充足感が溢れて自然と告白していた。
 上半身と首を反らしていたリツカが俺の中に出し切った後、ゆっくりと顔を戻して俺を見た。
 そして上から強く唇を塞がれ、きつく抱きしめられた。俺は何だか泣きそうに切なくなった。
 俺は繋がったまま、リツカの腰に足を絡ませ、腕を首に回した。リツカも俺の髪を掴んでグチャグチャに乱しながら暫く舌を絡め合った。




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一人称でのエッチシーンは初でした(;´Д`A ```
主観的な感じシンの気持ちも入れながらが新鮮でした。

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妄想列車 6話

 ズボンを脱がされ、ダークグレーの小さめのピッタリとしたボクサーパンツの中にスルリと手を入れられて上半身が跳ねた。
「あっ…待って! 俺まだシャワー浴びてないっ」
「いいから。最初は味見くらいさせろよ……」
 リツカの舌が身体中を這う。ゾクゾクし過ぎて恥ずかしいぐらい乳首もアソコも立ち上がった。
 この気持ち良さは尋常じゃない。リツカは一体どれだけ経験してきたんだろうか。そう考えると嫉妬心で苦しくなった。
「シンはやっぱりエロい味がする」
「なにそれ……」
 上から見下ろすリツカのシュッと引き締まった顔に、黒くて真っ直ぐな髪が掛ってるのが格好よかった。
「じゃあ、シャワー室行こうか。色々準備しないとだから。俺が教えてやるよ」
 準備……。俺も学生時代とか友達同士で興味本位でゲイの事を調べた事があった。その時は衝撃だった。
 いくら穴だからってアナルを使ってセックスの真似事をするなんてと思った記憶がある。
 でも、それに若干興奮したのも事実だった。だから俺はあんな所が性感帯だなんて信じられなくて自分で弄ってみたんだ。
 今では一人エッチする時は自分で触ったり指を入れてみたりしている。俺の唯一の秘密だ。
 俺はリツカに連れられて手渡された直腸洗浄液で暫くトイレの中で葛藤した。
「どう?」
「もう空っぽ……。何もないよ……疲れた……」
 俺がゲッソリとした顔でそう言って風呂場に入っていくと、先に湯船に浸かっていたリツカが可笑しそうに笑った。
 リツカのそういう笑顔を見たのはこれが初めてでドキッとする。
「おいで。お湯で中を洗ってあげるから」
 人に自分の一番恥ずかしい所を弄られたり見られたりする事が、恥ずかしいのに興奮した。
 ゆっくりとお腹の中にぬるいお湯が入って来てはそれを出す。恥ずかしくて死にそうだ。
 真っ赤になってるだろう俺を見てリツカは「可愛過ぎて今にも犯してしまいたい」と言った。
 確実に俺の鼓膜は犯された。

「綺麗になったよ。じゃあ、バスタブにおいで。トロトロの入れてあるから中でゆっくり解そう」
 俺は王子にでもなった気分だった。至れり尽くせりだ。素敵な執事に手とり足とりされるがまま。
 俺はトロリとした透明のお湯に足を入れて「うわ、何これ! 気持ちいいっ」と声を上げた。
 リツカは笑みを浮かべて俺を向き合わせで太股の上に座らせた。
 電車の中の時のように間近で見るリツカは、お湯に濡れた髪で更に色気を増している。
 ヌルヌルしたお湯が絡まったリツカの大きな手が俺の脇腹から胸にかけて触れていく。
「あっ……ん」
 俺はさっきから立ちっぱなしだ。
 リツカは俺の肌を堪能するように時間をかけて全身を撫でまわした。どうやら俺の肌をいたく気に入ったらしい。
「シンのここ、最高だよ」
 リツカの目線には俺のぷっくりと立ち上がった乳首がある。自分で見ても今までで一番いやらしい色と腫れ具合だ。
 赤みのあるピンクの乳首は硬くシコっているというよりも水膨れした皮膚に近い。ちょっと力を入れて潰したらぷちっと潰れて水でも出て来そうだ。それだけプルプルな感じだった。
 リツカはそれが堪らないのか容赦なく唇で俺の乳首を潰しにかかった。
「ああんっ……やぁんっ……」
 気持ち良くてリツカの大きく立ち上がったものに自分のを擦り合わせていると、後ろに長い指がヌルリと入って来た。
「あっ、あっ、やっ……」
「お前、本当に初めて?」
 反応の良過ぎる俺にリツカが聞いて来た。
「う……ん。でも……そこ、気持ちいいから、たまに自分で触ったりもしてるよ」
「へぇ……もう、ここが気持ちいいの知ってんだ? シンは悪い子だったんだね」
「ちがっ……ちがうよっ……あっ」
 リツカの指がどんどん中に入って来る。俺は少し腰を浮かしてリツカの肩に手を掛けた。
「他の人はここに入れた事ないの?」
「いっ…入れてないよっ……んんっ」
 ゆっくり入って入り口を回す様にして筋肉を解される。そしてゆっくりと引いていく。何度と繰り返されるうちに下半身の内側が堪らなく疼いてきた。
 ハァハァと息を荒げながらリツカの首にしがみ付き唇に吸いつく。
 指もだんだんと二本、三本と増やされていった。
「シン……抱いていいか」
「うん……いいよ」
 俺達はシャワーを済まして、真新しいバスローブを羽織って冷えた寝室へ入った。シャワーに行く前にリツカが冷房で冷やしていてくれたようだ。
 リツカの唇に媚薬でも塗ってあったのだろうか、色々と我慢が限界にきていた。
 俺はベッドに四つん這いで這うと、バスローブを託し上げてリツカの方を見た。
 リツカは弾けたように俺の尻にローションを垂らして大きく太いペニスをゆっくり挿し込んできた。




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誘うシンちゃん…。
寝台特急、発射します。←色々間違ってる

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妄想列車 5話

「んっ……んんっ」
 強引で身勝手な唇が俺の身体を蕩けさせていく。
 このセックスでもしてるようなキスが堪らないんだ。もっともっと、強く、痺れるくらいにして欲しい。
「え……あれって男同士じゃない?」
「マジっ」
 ヒソヒソと聞こえてくる声が耳に届くと、急に恥ずかしくなって唇から男の胸元に逃げ込んだ。
 男は俺の耳たぶを甘噛みしながら「駅、どこ?」と聞いて来た。
「次の次……」
 俺は震える程早い心臓を胸の上から隠しながら男のネクタイを少しだけ掴んでいた。
 光沢のあるダークグレイに細いシルバーのストライプが斜めに入っている。そんなネクタイも俺好みだ。
 次の駅に着くと、男は「降りて」と俺を無理矢理引っ張って下ろしてしまった。
 今のが最終だった事も、一つ早い駅で降りた事ももうどうでもよかった。男が俺をどうにかしようと連れ出した事に興奮していた。
 ホームにどっと人が出て来て、そして皆がふらふらと階段を上るのを見ながら俺達は立っていた。
 そして俺達だけになると、男が後ろから抱きしめてきて心臓が張り裂けそうになった。
「名前」
「え……」
「名前、何ていうの」
 男の艶のある声が耳たぶに触れて思わず吐息が漏れる。
「んっ……上原……森。森って書いてシンって読む……貴方は?」
「森って書いてシン……俺、その名前好き」
 親に大感謝だ。
「俺はリツカ。叶野リツカ」

(リツカ……)

「俺も……その名前好き」
 やっと一つ“名前”が分かっただけでこんなにも嬉しい。
 駅員が見回りに来たので、俺達は駅を出た。
 リツカはその魅力的な目で“来いよ”と言っていた。だから黙ってリツカの止めたタクシーに乗った。
 着いた先は立派な高層マンションの前だった。
「え……ここに住んでるの?」
 リツカは何も言わずただ色っぽく口角を上げただけだった。その表情がどんな答えよりも何だか“リツカっぽかった”。
 俺だって結構いいデザイナーズマンションに頑張って住んでいるが、これはレベルが違う。
 一体何の仕事をしてる人なのか。年はいくつなのか。聞きたい事が山程ある。
 エレベーターで十七階まで直行して、部屋へお邪魔した。
 玄関で靴を脱ぐと、リツカは途端に俺の腕を強く引いて寝室へと連れこまれた。
「ちょっ、待ってっ……あっ」
 上手くバランスを崩されて、俺は大きなキングサイズのベッドへと押し倒された。
 明かりは消えたままだったが、窓から差し込む無数の街明かりで部屋は明るい。
 リツカの体重が心地よく俺を不自由にする。
「あっ……ん……リツ…カ……」
「シン……。可愛い。お前のせいで俺、止まらない」
 リツカはそう言って俺のスーツとワイシャツを器用に脱がしていった。こんなにあっという間にスーツを脱がす事が出来るという事は、もしかしたら男と関係のあった人なのかもしれない。それか、ゲイか。でも今は何でもいい。もうリツカの事しか考えられない。
 リツカの舌先が鎖骨を這い、そこから俺の乳首に触れた。途端に自分でも驚く程高い声が出た。
「はんっ」
 リツカは執拗に俺の乳首を舌先と指先で摘まみ遊ぶ。
 俺は元々男でも珍しい程乳首が感じる。
 だから一人でする時だって自分で沢山乳首を苛めるのが好きだった。女と付き合った時は乳首を攻めるような子はいなかった。だから人にされるのはほぼ初めてと言っても過言ではない。
 想像以上の自分の感じように、俺は恥ずかしくて身を捩った。
「リツカっ……も……だめっ…オレっ……そこっ……ああんっ」
 声が止まらない。
「すっげぇエロい……シン……」




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妄想列車 4話

 猛暑の中を歩いて会社の中に着くと、冷えている筈なのにどっと出る汗が暫く止めどなく流れている。
 俺の会社は情報セキュリティ専門の会社でとても大きい。主にウェブやPCなどについてのセキュリティを専門としている。その優秀な機密機能と信頼性に、公にはされていないが行政の情報部のセキュリティも請け負っている。
 俺はそこの最も大事な部分を担う仕事についていた。
 やりがいはある。だがそんなに忙しい仕事でもないのも事実だった。
 元々PCが好きでPC関係の仕事がしたかったというだけだったのが、今では専門業に就いている。
 この日の朝も、いつもと同じようにPCの小さなボタンをカチっと押して立ち上げた。
 鞄からゴソゴソと書類を机に出していたので、あまりPCを気にする事もなかった。
 だが、視界に映った一瞬のバグとも取れるちらつきに、俺の動きは止まった。
 血の気がサッと落ちると同時に鞄を床に投げ、キーボードを乱暴に引き寄せて急いでレジストリ・キーを調べた。
 ざっと見て見覚えのないプログラムは見当たらない。
 それはそうだ。この会社のプログラムに入ろうという者はそうそういない。というか、出来ない。
 だが、だからこそ、少しの異常も全ての疑うべき対象になる。
 俺は全てを隈なく調べつくしてから、一応上司に報告した。万が一何かあれば国の機密すら漏れる恐れがある。ここのセキュリティを突破してしまえばきっと容易に抜き取られるだろう。
 取り敢えずは何事もなく、冷や汗をかいた午前中はあっという間に過ぎ、そのせいで押したスケジュールは俺の帰りを終電近くまで追いやった。

 帰りの電車に間に合って走り込むと、朝の様な込みあった状況に今日が金曜日だった事を思い出させた。
 彼女でもいればこのままホテルにでも泊まる事でも出来ただろう。考えても寂しさと虚しさで早く帰ってビールでも飲みたい気分になった。
 皆酒を飲んでいるらしく、朝とは打って変って饒舌だ。大きな声で喋る人と立ちながら半分寝ている人と半々くらいだ。
 ふと窓に視線をやっと時だった。
 ドクン、と心臓が重く鳴るのが聞こえた。
 涼しい顔をして窓の外を見るその顔は、誰もが釘付けになるような顔立ちのあの男だった。
 
(ど……どうしよう……)

 俺は話しかけたかった。
 別に知り合いでも何でもないが、キスまでした相手だ。しかも男で。
 微妙過ぎる関係が、どう接触していいか非情に俺を悩ませていた。
 とにかく近づきたい。話しかけたらどういう反応されるだろうか。というか、俺を覚えてるのか? 何て言えばいいんだ?
 グルグル考えながらも、背の高い草木を分ける様にして男に近づいて行った。
 男は俺になど気付かずに、じっと外を眺めていた。
 とうとう男の後ろまで移動できた。俺の心臓はピアノの発表会の前くらいドキドキしていた。

(何て言えば……何て……)

 俺は懸命に話かける言葉は探していた。そして目線を男の背中から、窓に映る整った顔へ流した時、窓越しに男と目が合った。
 俺は一瞬息が止まった。
 熱い汗が背中からどっと湧き出る。

(俺を……見てる……覚えてるのか? どうしよう。今話かけるべきか? どうしよう……っ!)

 パニックになって声を出そうと半開きになった俺に向かって、窓越しの男は色っぽく口端を上げた。
 俺はそれを見た瞬間に、膝から崩れ落ちそうになった。
 熱っぽい視線で俺の足腰を溶かしたに違いない。
 バランスを崩した俺を、男はしっかりと俺の腰に手を当てて抱きとめてくれた。
 男の首元に顔を埋めて必死に話かけようとするが、何が言いたい訳でもなかった。言いたい事は別にない。だから言葉が見つからない。
 ただもう一度キスがしたかった。
 ガヤガヤと大きな声で話す人々の中で、俺は必死に男と話すきっかけを作ろうと声を出した。
「あっ……あのっ」
 あの日の時のように、間近で一瞬見つめ合う。そして男の視線が俺の唇に落ちたのが分かった。周りの音が消える。
 そして男は強引に俺の顎をグッと持ち上げて唇を塞いだ。




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妄想列車 3話

 指先が異常に敏感に男の指紋のざらつきを感じてゾクリとする。
 新宿に着くと、男の指がするりと抜けて離れた。
 俺は思わず振り返ると、男は振り返りもせずにサッサと車両を降りて行ってしまった。

(なんだよ……)

 あんなに蜜月の時間を過ごしたというのに、このあっさり感は何だ。
 ちょっと傷ついている自分に驚くが、それほど忘れられない体験をこの短い時間にしたという事だ。
 俺は品川まで行かないといけないから降りて立ち話なんてしてる訳にもいかないし、かと言って相手があんな何事もなかったような態度でいるなら尚更声など掛けられない。
 これがプライドってやつだろう。

 何事も無かったように会社に着くと、早速自分のデスクについて立ちっ放しだった足を癒した。
「上原さん、走って来たんですか? 顔赤いですよ」
 女子社員が人懐こい笑顔を向けながらそう言ってきた。この笑顔は俺に気でもあるんじゃないかと思うのは自意識過剰だろうか。
 だが今俺が欲しいのはこの子の笑顔じゃない。あの男の指先や唇の感触だ。
 俺の身体はあの男の残した生生しい感触で火照ったままだった。

 帰りの電車に乗り、新宿で人が乗って来ると、やはり今朝の男がいないか目を左右に素早く動かしてしまっていた。
 期待は虚しく、今朝の男の姿はなかった。
 それから二、三日朝と夜に男の姿を意識して探して乗っていたが、会う事はなかった。
 俺の中で、あの時の出来ごとは徐々にネタに残る妖しい不思議な体験となりつつあった。
 金曜の夜に、いつも飲みに誘ってくる清水先輩が例の如く飲みに誘って来たので安い居酒屋に入った。
 暑さのせいもあったが、やけにビールが美味くてほろ酔い加減になってきた。
「だからよぉ、水穂ちゃんは一番社内で可愛いんだよぉ。ちきしょー、一回ヤらせてくんないかなぁ」
 先輩は飢えた獣のような怪しい目つきでそう嘆いた。先輩も俺と同じ位彼女がいない身だ。
 俺はただ口を滑らせて、ついあの事を話してしまった。
「先輩、実は俺、この間朝の満員電車の中でチューしちゃったんです」
「あ!? 誰と?」
「知らない奴とです」
「何やってんだよ、お前っ! あははは! いいなぁ。どんな女? 可愛かったの?」
「いえ。格好いい男の人でした」
「へぇ……」と普通に返事をしてビールを一口飲んだ先輩が、重そうなジョッキをガタッと机に置いてもう一度俺を見た。
「え、え、格好いい……オト……」
「はい。格好いい男の人でした」
 俺は確実に伝える為に自分からハッキリと言って聞かせた。
「えぇっ、マジかよ! 何? いきなりされたとか?」
「まぁ……流れ、でしょうか」
「うっわ最悪だな。ホモの痴漢じゃん」
 清水先輩はすっきりとした一重の目をしかめて気の毒そうに俺を見た。
「でも、正直良かったですけどね」
 俺はちょっとムキになって開き直った。何故そんな風に言ったのかも自分では分からない。きっと俺は酔っているんだろう。
「は……お前、もしかしてこっちの人?」
 清水先輩が急に気遣うような目つきで、そっと声のトーンを落として「オカマ」のシグナルである、手を口元に持っていって作って見せた。
 全く気遣いになっていない。
「いえ、俺はノーマルですよ。……でも、何でか分からないんですが、あの時のはとても良かったんです」
 俺は急に寂しくなった。確実にあの男を求めていた。
 アルコールが入って余計に感情が湧きでてきたのかもしれない。
「ま、まぁ……男だったら……お前が相手ならキスぐらいはいける気はするけど」
「え?」
 清水先輩は急に異性を品定めする時のような目つきをして見てきた。この居心地の悪さ、女性はいつも感じているのだろうか。そう思ったらこれから女性をそういう目で見るのはやめようと思った。
「なーんて言うのかなぁ。お前って男なんだけど、こう、時々ふと色っぽい表情するんだよ。どっちかっていうと可愛い顔じゃん?」
 確かに俺はどちらかというと年上にもてる事の方が多い。
「先輩、俺の事そういう風に見てたんですか」
「えっ、いや! 俺は別にホモではないぞ!? でも、男相手じゃないとダメだとしたら、という仮定の話だ!」
「へぇ~」と俺は意地の悪い目つきで先輩を見ると、先輩はふざけて怒りながら俺の首に腕をかけてきた。
「そんな事言うとケツ揉むぞッ」
 そう言って勢いで先輩は俺の尻をギュッと掴んだ。
「あんっ」
 俺はふざけて感じたフリをした。尻なんて今まで掴まれた事はなかった。だが、一瞬、ふざけながらもゾクッと感じた事に驚いた。出した喘ぎ声は半分わざと、そして半分本当だった。
 清水先輩は俺の出した声に本気でドキリとしたような表情を見せたので、俺は少し焦って「冗談ですよ?!」と弁明した。
 もし、あの男に掴まれたら、俺はどの位感じるのかな。
 そう思っただけで風邪でも引いた様に頭がぼうっと虚ろになった。




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妄想列車 1話

 俺は後ろからドーンという衝撃と共に、玉突き事故のように勢いよく後ろから電車に押し込まれた。
 鮨詰めとはよく言ったものだ。見事な表現としか言いようがない。
 巨人から見たら、きっと蟻んこのような我々人間が小さな鉄の箱の中に我も我もとギチギチに入っていくように見えるのだろう。
 そう考えただけで気持ちが悪くなる。
 本来言葉すら交わす事のない赤の他人同士が恋人さながらに密着するのには笑える。

(あっつ……)

 真夏だというのに明らかに送風としか思えない生ぬるい風が一定のリズムで脳天をやわやわと撫でていく。
 マナーモードにし忘れた俺の携帯がけたたましいメール着信音を響かせて慌ててポケットからもぞもぞと取り出す。

『森(しん)ちゃん、おは! 今日飲みに行こうよ~! 決定~! じゃまた会社で☆』

 森という字を書いてシンと読ませるこの名前で今まで沢山のあだ名を授かった。でも別に嫌だと思った事はなく、寧ろ案外気に入った名前だった。
 朝っぱらから酒の話をよくするなぁと半分呆れる。こういうメールをするのはいつも面倒を見てくれる仲の良い清水先輩だ。
 俺はそそくさと携帯をマナーモードに直してポケットに仕舞い込んだ。
 前後左右の人たちの背中や腕から、じとっとした汗が滲み出るのが分かる。
 自分の額からダラダラと熱い汗が流れてスーツにポタポタ落ちる音が聞こえた。
 せめて社会に貢献する俺たちサラリーマンに、電車という戦場をキンキンに冷えたオアシスに変えてくれても罰は当たらないと思う。
 このストレスのせいで仕事に支障が出たら生産性が悪くなるんじゃないだろうか。きっとここにいる皆もそう思っているに違いない。何故なら皆同じようにしかめっ面をしているからだ。
 電車がガタンと不穏な音を立ててほんの少しカーブした。それだけで蟻んこの俺達は大移動する。他人に体重を預けるといつもこうだ。
 窓側や吊革の場所は危険地帯だ。全員の体重がこの身に襲ってくる。だからいつも中央に位置しようと踏ん張っていた。だが今回は随分と流されて、辿り着いた場所は地獄一丁目、お日様が良く見える窓際だった。

(そこはっ……そこだけは嫌だぁぁあっ)

 俺の心の叫びは虚しく、俺よりも体格のいいオバサンの出っ張ったお尻に追い込まれてしまった。
 何故かスピンまで掛けられて太陽光で十分に熱せられたドアに背中向けになってしまった。こんなに太陽熱を蓄積するなら、いっそ車両の外側にソーラーパネルを設置してそのエネルギーで是非ともクーラーを稼働させて欲しい。 

(げぇぇッ! 来るなぁッ、やめろぉぉーッ)

 大勢の暑苦しい顔と向き合いになって懸命に圧し掛かる体重に抵抗する。
 腕の筋肉が乳酸を大量に蓄積してくる。痺れがきて、ついに腕が完全にドアに付いてしまった。
 途端に人の肩が俺の腕をドアにロックする。
 完全に身動きが取れない。これで次に大きく右に傾いたら、きっと俺は肋骨が折れて死ぬと思う。
 そう思った矢先だった。意地の悪い電車は思い切り右へとカーブをした。
 カタカタカタと人の小刻みに動く靴の音を序章に、スーツの波が襲って来て俺は大きく息を吸い込んだ。
 でないと肺を潰されて息が出来なくなると思ったからだ。
 覚悟を決めた瞬間、少し斜め前に居たサラリーマンらしき男が器用に揺れに合わせて俺の前に入って来た。
「え……」
 男は少し腰を突きだすようにして、そして俺の顔を挟むようにしてドアに手をかけて突っ張った。
 お陰で俺は潰されなくて済んだが代わりに男が全員の体重を一気に引き受けていた。
 男は俺よりも少し背が高いくらいだが腰を曲げているせいで丁度俺と目線が一緒だった。
 男に守って貰うのは何だか自分が情けなく感じた。大体、何でこの男はわざわざ俺の前に来たのか。たまたま動いて辿り着いたのか。
 とにかくこの場は助かったが、俺は男のコメカミを流れる汗を見て、段々と申し訳なくなってきた。
「くっ……」
 それまで下向きに耐えていた男だったが、電車の大きな揺れに一気押し潰されてしまった。

(ちょっ……と……まじかよ……)

 潰された男はぴったりと真正面から俺とくっついた。男の黒髪が俺の頬に当たる。仄かにシャンプーの良い匂いがして、無意識にクンクン嗅いでしまった。俺好みのマリーン系の香りだったからだ。
 男は何とかドアに肘を立てて俺との間にスペースを作ろうとしていた。
 俺は逆に気を使って気が気じゃない。もうそれ以上無理しなくていいと言ってやりたい。
 横にいた太ったサラリーマンが体勢を整えようと肘を突き出した。それまで顔を横にしていた男がそれを避けようとふいに顔を真正面に向けた。
 顔がぼやける手前、ハッキリと間近で見える距離が、初対面だった。




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珍しく一人称で書きました ∑(°ロ°*)
なかなか更新出来ずスミマセン;

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