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悪魔と野犬ノ仔 41話

*グロ、残酷なシーンの苦手な方は閲覧をご遠慮願いますようお願い致します。一気に駆け抜ける為少々長いシーンとなっております。




 要は自分の内側に巣食うドロドロとしたものが穴という穴から出て身体を覆っていくような感覚に襲われていた。

 床が硬くて冷たい。

 要が目を開けるとモノクロの映像が見えた。
 身体中が痛いのはどこかにぶつけたからなのか、横たわる自分の身体をくの字に曲げると小さな膝が見えた。どう見ても二十一歳の膝ではない。精々五、六歳位だ。
 混沌とした記憶の中はとても生々しい悪夢のようで、現実と夢との区別がつかない。

 要は病院先で点滴を受けていたが目は覚めていなかった。
 心配そうに駆けつけた両親と精神的に限界のきていた水無月も一緒に病院で治療を受けている状態だった。
 要の倒れた後、周りで騒ぎを目撃していた人が警察に電話を掛けていた為すぐに駆けつけた警察によって事態は収拾がついたが、母犬と蹴られた子犬は既に死亡しており、怪我を負った女性も救急車で一緒に運ばれた。そして女性に怪我をさせた親犬は保健所に連れて行かれ、母犬と蹴られた子犬は廃棄処分された。
 この騒ぎがきっかけで周りにいる野犬は危険だという事で一掃するという話しになった。
 暴れていた男は薬物を使用しており、元々正気ではなかったようだった。興奮状態の男は訳が分からなかったのか、駆けつけた警察にも鉄の棒を振り回し大分警察と揉み合ったようだったが、そのまま逮捕されたとの事だった。その間、警察官の話しによると水無月は、母犬の肉片やら残骸を懸命に集め、要の所へ戻ると全てを守るように抱き締めてジッとしていたという事だった。
 今は鎮静剤を打ち、要の隣のベッドでよく眠っている水無月だったが、瞑られた瞳からは時折涙が流れていた。



――手が自由に動かない。

 モノクロの世界に未だ囚われたままの要は自分が縛られている事に気付いた。
 冷たいと感じていた床は荒れた木だった。冷たく感じるのは恐らく冬だったからだろう。小さな窓と、木で出来た椅子と机。そして机の上には注射器やら何やら色々とぞんざいに置かれていた。
 要がもがきながら辺りを伺っていると、ガチャガチャと鍵の明く音がした。
 途端に悍しい恐怖感と焦燥感で冷や汗が噴き出た。

――早く逃げなきゃ。

 中に入って来た男は四十代前半位の草臥れた感じの男だった。不健康に頬や手足は痩せていたが、内臓脂肪がギッシリ詰まっているような腹だけは不自然に出ていた。
 男はギシギシと木の床を踏みしめながら近づいて来ると要の前にしゃがみ込み、真顔だった顔の男は瞬時に笑顔に変わった。
 ぞっとする笑みだった。
 弱者が一切逆らえないのを知っていてこれから力を行使する事を思って自然と出る類の笑みだ。
 真っ赤な目の中に真っ黒な瞳は弓なりに曲がり、笑った口の中も井戸の底の様に真っ暗だった。
「本当にかわいいねぇ……かわいいよぉ」
 男はそういうと茶色い舌をヌルリと出して要の顔中を舐め回した。
 地中から出て来た虫が顔中を這いずり回る様な感触に、要は吐き気を催したが口がガムテープで塞がれていた為にグッと堪えるしか出来なかった。嫌がって顔を背けていると、男の舌が要の眼球に入ってきた。
 思わず顔を背けると、途端に頭部にブチブチッと音がなって激痛が走った。要は声にならない叫び声を鼻から漏らして顔を上げると、男の口からは要の黒い髪の毛が大量に垂れ下がっていた。
 男はそれをクチャクチャと咀嚼すると、「おいしいぃぃぃなぁあぁアァ」と素っ頓狂な声を上げて飲み込んだ。
 要は本能で、自分が殺されるよりも恐ろしい事が起こるのを察知すると、目の前が照明を落としたようにどんどんと暗くなってきた。ブラックアウト寸前だった。
 そんな要の前で男はガチャガチャとベルトを外し、そんなに大きくもない汚らしく滑った性器を取り出した。
 当時は恐らくこれから何が起こるのか分からない恐怖だっただろうが、過去を辿っている要には容易に想像が出来た。

――嫌だ……嫌だ……!!

 声を出したくてもうまく出ない。
 覚めたいのに覚める事の出来ない夢の中の苦しみは想像以上で、奥歯がガチガチと震えで鳴った。それと同時に、その恐怖の中で要は異常なまでの男に対する殺意を抱いていた。

――コイツをこの世から抹殺しないとイケナイ。

「そんな怖い顔してもかわいいよぉ……ハァハァ……あれ……お前、入って来たのか?」
 気付くと要の足下に大きな野良犬がいた。開いていたドアから勝手に入って来てしまったようだった。
「コイツねぇ、たまたま餌やったらここに来るようになっちゃったんだよねぇ」

――力を……コイツを殺る力を貸してくれ……。

 犬に頼んだ所で通じない事は百も承知だったが、要は必死に心の中で叫んだ。
 勿論当の野良犬はただクンクンと要の足の匂いを嗅いでウロウロしているだけだった。

 だが、悪夢はそこから始まった。

「アアア……僕ちゃん……そのかわいいオメメで見ててよお」

――……。

 男は汚い性器を出したまま歩くとドアをパタリと閉めた。そして「おいでおいでぇ」と犬を優しく呼び寄せると、尻尾を振って近づく犬を捕まえ、机にあった紙性のガムテープで犬の口を開かないように巻き付け、身体をそのまま押さえつけた。
 男は暴れる犬を後ろから抑えつけながら、性器をギンギンに勃起させていた。
 そして目の前で起こった事は、無意識に今も要の心奥深くに傷を負わせるものだった。

 声にならない奇声を発しながら要は手首を傷付けながらも思い切り手を縛っていたものを引き千切った。丁度紙性で出来たガムテープだったのが幸いして千切る事が出来た為、手が自由になった。
 自由になった要に驚いたのと、男が射精寸前にきていたタイミングが重なって、男の身動きが取れない一瞬を狙い要は椅子を持ち上げた。

「アアアアアアアアアアアアアアーッ」

 要は持ち上げた椅子を迷いなく、寧ろ使命感を持って男に振り下ろした。膝をついて低い姿勢で犬を犯していた男は丁度頭に椅子が直撃し、叫び声を上げて倒れた。
 要の切れ長の瞳はまん丸く鷹の様に見開き、細い腕は眠ってた全ての筋肉が稼働しているのか軽々と椅子を片手で持ち上げる事が出来た。
「やめっ……やめてっ……もうしない……もうしないからぁ」
 脳ミソを揺らされた男は嘔吐しながら命乞いをしていたが、要は男を足で仰向けにひっくり返し股間目掛けて椅子を振り下ろした。
 断末魔のような叫び声を上げた男は飛び出すのではないかという程眼球を見開き悶絶した。
 そして気絶している犬をそのまま、これ以上意識が戻って苦しまないように、抱き締めながら要自ら犬の命を経った。

――ごめん……ごめん……。


――ボクがお前の苦しみを持っていくから……。


 要は立ち上がると机の上に置いてあった何本かの注射を手に取った。中にはまだ液体が入っている。
「それはっ……うぅ……やめッ」
 要はゆっくりとその注射をゆっくりと全て男に打った。




――どうか、死にたい程の苦しみを……永遠に。






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なんか、最早BLはどこへ(笑)
皆さま大丈夫でしたでしょうか。。
これ書いてる最中、反動で次は絶対明るい萌え中心のラブコメ書いてやる!!って精神状態がバランスを保とうとなりました(笑)
最初もっとグロシーンが事細かく描写されてたんですが、読み返したらただのホラーじゃん!
ジャンル間違えた!(>□<)と、割愛した結果がこうなりました(笑)
しかも執筆中気分を刷り込ませる為に、昔フランスだったかな?で発売されたけど余りに暗くて聞いた人たちの自殺が後を絶たなくて絶版になったという曲を聞きながら書いてたもんだから暫く
|||||( _ _)||||| ←こんな感じでした(笑)

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悪魔と野犬ノ仔 40話

「ミナ……あれ、母親か」
 水無月は小さくコクっと頷くと汗がポタリと顎から落ちた。
 母犬は随分年を取って弱ってきているにも関わらずその怒りの迫力はもう一匹の若い犬よりも壮絶だった。
「あれは母親の子か?」
「違う、あっちの犬のだよ……どうしよう……」
 水無月は「お母さんッ、お母さんッ」と母犬に向かって叫んだ。
「なんだ……あのガキ……頭おかしいのか」
 男はジリジリと下がり荷物を片づけていた途中だったのか、空けっぱなしにしてある車のトランクへ近づこうとしていた。だがその動きを見逃さない母犬は同じようにジリジリと男に近づく。
 母親たちは完全に怒りで理性を失っており、要たちが動いても誰かが怪我をするだろう事は分かっていた為下手に動きが取れない。要は正直、水無月さえ怪我をしなければ他の女性たちがどうなろうとどうでも良かった。
「くそ……ッ」
 要はいっそ自分が飛び出して犬を押さえれば少しの怪我程度で済むかもしれないと覚悟を決めた時だった。
 神経をすり減らした男がとうとう女性に向かってその怒りをぶつけた。
「テメェッ……てめェがそれ持ってるからいけねぇんだろうがああッ! 早く落とせよォォオ!」
 女性の方を振り向いた男の顔は酷く汗で濡れていて、叫ぶ口からは唾液が異常に飛び出ていた。また男の足を見ると恐怖でというよりは何か別の症状が原因のような震えでガタついていた。
 その男の形相と叫び声に、思わず女性は「ひぃぃッ」と叫んで子犬を親犬の方へ投げつけた。

(あの女ッ……!)

 要は子犬を投げた女性に親犬たちと同じ目で睨んだ。
「キャンキャンッ」
 砂利に投げ飛ばされた子犬は身体を強く打って痛みを訴える声を上げた。すると親犬は更に歯を剥き出し完全に殺意を持って相手を狙いだした。
「テメェもだよォォッ!」
 もう一人の方を向かって叫んだ男の目は更に充血で真っ赤になっており息も荒く、正気さが見えなかった。男は女性を罵倒しながらついに車の方へ走り出した。
 もう一人の女性も男の狂った様に恐怖して思わず足下に子犬を落とした。
 すると、女性の横を通り過ぎる男が落ちた子犬を白目を剥いたような顔で「アアアッ」と叫びながら思い切り親犬たちとは違う方向へ蹴り飛ばした。
 水無月の顔は一瞬で真っ青に血の気が引き、要も男が一体何をしたのか理解が出来なかった。
 中に浮いた子犬は叫び声すら上げなかった。
 とても高く浮いた茶色い子犬の身体は暗い空に浮いた。そしてその小さな四肢はピクピクと痙攣しているのが見えた。
 水無月がザッと地面を蹴って子犬の落ちる場所へ駆ける。要は怒りで手が痺れ、頭の中でピン、ピン、とピアノ線を弾く様な音が聞こえだした。要は自分の中に仕舞いこんでいた何かが飛び出しそうになって口元を押さえた。
 ほんの数秒だった。だが要にはその間何も聞こえず、何も見えなかった。
 気が付いた時には親犬が子犬を投げた方の女性に覆い被さり腕を噛み千切ろうとしていた。
 もう一人の女性は腰が抜け、失禁しながらも自分だけは遠くへ逃げようと地べたを這っていた。
 そして母犬は真っ直ぐ車の所で背を向けている男に向かってその怒りを全て牙に宿わせ大きな口を開けていた。
 だが男が振り向いた時、男の手にはテントを張る為に使うような鉄の棒が握られていた。
 そしてその棒は振り向くと同時に母犬の身体に鈍い音を立ててめり込んだ。
「ギャウンンッ」
 母犬は悲痛の叫び声を上げて倒れ込んだ。その声にもう一匹の犬は驚いて女性から離れ、男の方に警戒態勢を取った。
 凶器を手にした男は勝ち誇ったようにとても残酷な顔をして母犬に近づいた。そして相手の命が自分の掌にある事に快感でも感じるように真っ赤な目をした男は笑って再び鉄の棒を振り上げて母犬に振り下ろした。
 凶器を振り下ろす男の姿と倒れた犬の姿を見た要は、金縛りにでもあったように身体が動かなくなった。
 男が何度も何度も棒を振り下ろす。時々枝でも折れる様な音が聞こえるのは骨の折れる音だろう、母犬は無残に肉片を散らせていった。
 遠くから叫び声を上げながら走って来る水無月が見えた。

(この男の顔を……俺は知っている……赤い目だった……口が歪んでいて……笑っていた……)

 要の身体はガタガタと震え、硬直したように硬く動けなくなった要はその場に倒れた。
「要兄ちゃんッ?!」
 男にやめてくれと叫ぶ水無月の声が遠ざかる。そのもっと遠くからパトカーの音が近づいて来ていた。
 要は両腕を抱きしめたまま無意識に涙と涎を垂れ流していた。
 最後に聞こえたのは泣き叫ぶ水無月の悲痛な声だった。




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悪魔と野犬ノ仔 39話

 結婚でも認められたような気分の要は今までに感じた事のない照れ臭さと幻のような透明な安心感を得た。
 自分が水無月を幸せにするなんていう事は到底思えなかった。ただこうして水無月を見えない鎖で柔らかく縛りつけておきたかった。
 本当は水無月がいないだけで生きたまま死んでいく人生に思える程、要は自身の人生は味気のないものだと自覚していた。そんな人生でも別に良かったが水無月に夢ができた今、輝く彼に近づく害虫の存在は一切許せなかった。

 水無月は沢山の袋を手に持つと得意気に外へでて東京から買ってきたお土産を近所に配っていた。
 玄関を開けると秋口だというのにまだ残暑の名残が空中を漂っていた。
「ミナ。久々に散歩でも行くか」
「うんっ!」
 日が傾き始めた夕方、少し涼しくなった時を見計らって要たちは餌を持って出掛けた。
 もしまだ犬たちに会えたらという期待を込めて餌を少し多めに用意した。水無月はとても嬉しそうに片手に餌を持ち、もう片手で要の腕に自分の腕を絡ませた。
 少し見ないうちに道路は整備されており、野原だった場所に着くとキャンプ地として若者で賑わっていた。
 要たちの住む村とは反対側の道は道路整備が進んだようで、遠くからでも簡単にこの場所に来られる様になった。
 キャンプ内に入ろうとすると入り口で入場料を取られそうだったので、要たちは一旦山に入って目立たない場所から侵入した。
 まだ整備されていない山は自然のままだったので険しくて普通の人は入ろうとは思わないが、要たちにとっては庭みたいだったのでいとも簡単に侵入出来た。
 段々と薄暗くなってくると、キャンプ地にはオレンジ色のランタンや焚火のような炎が灯されて人間たちの蠢く黒い影を躍らせていた。
 大学生たちが多いのか、まだ大人のような学生のような狭間の雰囲気の若者たちが多い。
 だが中にはどう見ても真っ当な職業ではないような出で立ちの男が数人の若い女性を引きつれてバーベキューをしている姿もあった。
「何だあれは」
「お肉?」
 水無月はどうやら食べ物しか見ていないようだ。
「俺たちも今度……来てみるか?」
 水無月はパッと顔を上げると「いいの?」と嬉しそうに笑った。外で肉を焼く行為の意味は分からなかったが楽しそうで興味は湧いていたようだ。
 暫く敷地内をグルグルと歩いていると、村とは反対の駐車場のある方にまで来てしまった。
「結構歩いたな……帰るか」
「うん……いなかったね」
 二人はもう一度山を通って犬を探しながら帰ろうかと話している時だった。
「キャアアーッ!!」
 高いカナキリ声が駐車場の方から聞こえて要と水無月は振り向いた。
 続け様に違う音色の悲鳴が幾つも聞こえてくると、それに混じって男の低い叫び声と罵倒するような言葉が聞こえて来た。
「何だ?」
 要は急いで騒ぎの場所へ走ると、水無月もそれに続いて地面を蹴って走り出した。
 現場に着いてみると、先程いた変わった身なりの男と数名の女性たちが騒いでいた。
 皆足下で唸り声を上げる二匹の大きな野犬に恐怖していた。怒り狂う野犬の矛先を見ると二人の女性が小さな子犬を抱いているのが見えた。それに応戦する男が持っていたトングのようなものを振り回していた。
「おいッ」
 男たちの近くに着いた要がドスの効いた声を上げると涙を流した女性たちと男が振り向き、そして犬たちも要を見た。
「何してんだお前ッ。早くその子犬を離せッ。親が子犬取られて怒ってんのが分かんねェのかよッ」
 女性たちは青い顔をして子犬を見た。
「え……だって、別に取った訳じゃ……そこに居たから拾って……そしたら大きい犬が出て来て……っ」
「うるせェッ! んなもん、親犬に分かるかよッ!」
 要の言葉に男の表情が変わった。
「そうだ、お前ら……早くそれ捨てろ……」
 女性が腰を下ろして子犬を下ろそう動いた時、同時に野犬が更に大きな唸り声を上げて牙を剥き出して一瞬走り出しそうな動きを見せた。
「ひッ……!」
 動けなくなった女性はどうすればいいか分からずグズグズと泣きだした。

「おかあ……さん?」

 水無月が要の少し後ろの方でそう呟いた。
 要は血の気が引いた。




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悪魔と野犬ノ仔 38話

 何とか休みを合わせて二人は田舎に帰った。田舎に帰る前に拓水に電話をした要は一度拓水の所へ会いに行きたいと電話を掛けたが、「会いたくない」と完結に拒絶されてしまった。
 まだ心の傷を引きずっている拓水と和解するには時間が必要なようだった。仕方なく要たちは母親たちの元へ帰る事にした。
 懐かしい匂いに水無月ははしゃいで浮足立つようにして歩いていた。
 目が休まるような深緑と青空のコントラストが日々募った不安の霧を晴らしてくれるようだった。
 案の定家に帰ると嬉しそうに迎えてくれた母親と父親が色々と世話を焼いてくれた。
 夕飯も終わり、雰囲気の良い時を見計らって要は口を開いた。
「ちょっと、聞いて欲しいんだけどさ」
「何?」
 洗いものをする母親が笑顔で答え、野球中継を見ながら耳だけこちらに注意を向けていた。水無月は要の隣に移動し、ぴったりと要の身体に寄り添った。その様子を父親が目で追っていた。
「俺、水無月が好きなんだ」
「僕もっ……要兄ちゃんが好きっ」
 両親にとっては仲が良い兄弟の悪ふざけにしか見えなかったのだろう。
「はいはい。そりゃあ昔からアンタたちは仲良かったの母さんたち知ってるからね」
 父親は違和感にでも感づいたのか、要を見上げる水無月の表情を見ていた。
「悪い……恋人って意味でこれから一緒にいる事にしたからさ……認識だけしておいて欲しいと思って」
 水無月は初めて自分を好きだと言い、恋人だと言葉にした要に少し驚き嬉しさが込み上げてきた。
 今までジャーと流れていた水道水の音が止まった。
「え? 何? 恋人? ……何言ってるの要」
 母親が前掛けで手を拭きながら要たちの側に近づいた。
 父親の方も姿勢を正して「どういう事だ」と表情を険しくする。
「悪い……俺たちはもう、多分ずっと前から恋人以上の関係で……これからは伴侶としてずっと一緒にいるつもりなんだ」
「兄ちゃん……」
 てっきり物凄い勢いで怒って反対されると予想していた要だったが、母親は俯いたまま何かを考え込んでいた。
 父親も何も言わず、ただ複雑な表情で要と水無月を見つめていた。
「ねぇアナタ……やっぱりまともに育つ訳がなかったのよ……やっぱり私たちの育て方が……ッ」
「よしなさい」
「だってッ! ……やっぱり病院に通ってッ」
「やめなさいッ」
 両親がどうして急に喧嘩をし出したのか分からなかったが、突然出た病院という言葉が引っ掛かった。
「病院って何」
 要がそう聞くと両親は黙った。
「二人が……お互いに必要な存在で……それで幸せならいいじゃないか……」
 父親がそう母親に言った。母親はダイニングテーブルに座ると、顔を覆いながらもゆっくりと二、三度頷きながら「そうね……そうね……」と呟いた。
「なぁ病院ってなんの事だよ」
「いや、別に何でも無い。お前は昔少し変わった病気だったから心配しただけだよ」
 既に普段の表情に戻った父親がそう言い、水無月の所へ近づいた。水無月が要の手をギュッと握った。
「ミナちゃん。要を大切にしてくれるかい?」
「……うん。するよ、ずっと」
 父親は優しい笑顔で水無月の頭を撫でた。
「要は?ミナちゃんをずっと大切出来るか?」
「ああ。するよ……なんか、牧師みたいだな、父さん」
 父親はやはり優しい笑顔で要の頭を撫でた。要は少しだけ照れくさかった。
「お父さん、昔は牧師だったから」
 落ち着きを取り戻した母親は少し笑顔を作りながらそう言った。
「そうなんだ? 知らなかった」
 ずっとサラリーマンだと思っていた父親が昔牧師だったとは要は思いもよらなかった。




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悪魔と野犬ノ仔 37話

 尚哉が帰って来たのはそれから一週間後だった。
 水無月は謝らなかった。
 要は水無月と家を出る事を尚哉に伝えた。尚哉は何か言いたそうだったが、その場では納得してくれた。
 要は、水無月を先に家に戻る様に伝えると尚哉に近づいた。
「尚哉、ありがとうな。気持ちも。ごめんな」
「なんだよ……いきなり……優しくなってさ……」
「多分お前以外だったら一緒には住めなかったと思うよ」
「……うそつき」
 尚哉は涙を浮かべて下を向いた。要は誰といても一人だった事は分かっていた。きっと誰と住んでもそれは変わらずだった事も分かっていた。それでも優しい嘘を言ってくれた事は尚哉の真剣な気持ちが伝わったからだ。
 家を出て行く時、尚哉は飲み屋に居た。見たくなかったからだ。
 尚哉はこうなって余計に自分が要を予想していた以上に好きだった事に気付いて、傷を癒す様に浴びる程酒を飲んだ。だが、自分たち人間と住んでいる次元が違うかのような二人の異様な関係に入る隙がないのも分かった。
「ますたー、誰か紹介して。超格好いい人ね」
 尚哉は顔見知りのマスターに絡んだ。
「アンタならいくらでも捕まえられるでしょうが! 私なんて見てみなさいよッ。贅沢よッ」
 マスターは悩ましげに濃くなってきたヒゲを悲しげに撫でた。

 要たちは今までよりもずっと小さく狭いアパートを借りた。
 要はアルバイトをしながら大学に通い、水無月も勉強をしながらショップで懸命に実務訓練を重ねる毎日だった。それはまるで昭和の時代のように穏やかで慎ましく、贅沢な生活ではなかったが幸せだった。
 だが、水無月を側に置いて要の欲望が大人しくしていられる訳もなく、それは水無月も同様だった。
 まして、水無月の通うショップには水無月が要以外で唯一格好いいと思う男性がいた。要は募る独占欲で首輪を付けてしまいたくなった。
 快楽に弱い水無月に、要からもっと離れられなくなる程身体を繋げたいと思う度に要は自分の原因不明の症状を恨んだ。
 要と水無月が一緒に住み始めて暫く経った時だった。
「ミナ」
「なに?」
「母さんたちに……言いに行こうか」
「僕たちのこと?」
「そう」
「いいの?」
「いつまでも隠していても仕方ないしな……あと、拓水にも会いに行こうかと思ってる」
「僕も拓水兄ちゃんに会いたいっ」
 水無月は嬉しそうに要の背中に抱きついた。
「お前、犬くさい」
「うんっ。今日も犬いっぱい触ったよっ。皆すごい怖がってたから大丈夫だって言ってきた!」
「そうか。偉いな」
「兄ちゃん……」
 水無月が要の首筋に舌を這わせた。
 随分長い間身体を重ねていない水無月は要の匂いを嗅ぐだけで直ぐにスイッチが入るようになっていた。いくら他の方法で生理欲求を果たしていていても満たされない部分は互いにある。
 要は実家に帰ったついでにやはり病院へ行こうと漸く腹を括った。




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悪魔と野犬ノ仔 36話

 落ち着いてきた水無月はゆっくりと歯を要の腕から抜くと、ドクドクと大量の血液が溢れ出て来て床を赤く染めた。
 水無月は何故か口内に溢れる鉄の味を舐め、飲み込んだ。鉄の味は唇にも付いていて、それを舌でグルリと舐め取った。視線の先には怯えきった尚哉がいた。そして段々と安心する暖かい掌が自分を撫でている感覚を感じ、落ち着きを取り戻してきた。
「ミナ。ミナ……」
 要に顔をそっと上に向けられて目が合った。とても優しく、愛おしげに見つめる要を見て水無月の胸の奥がギュッと苦しくなった。
 そして要の指が水無月の顎を上に上げると、そっと熱い舌先が水無月の唇を舐めた。
 要の舌先が綺麗な朱色に染まり、それは水無月の舌に絡まってきた。鉄の液体を二人で味わうように互いに唾液を送り合いながらする口付けは異常なまでに互いを興奮させた。
「か……要……何して……血が……ねぇ……」
 尚哉は大量に血液を流しながら血に染まった弟の唇をまるで食べるように吸う要と、恍惚とした表情で舌を絡ませる弟の光景に戦慄した。
 自分の存在が全く二人のいる世界と違う事を肌で感じた尚哉は怒りが込み上げてきた。
「ねぇッ……血が凄いよッ!!」
 尚哉が大声を出すと、水無月の唇を甘噛みしていた要がゆっくり唇を離して尚哉の方を向いた。
 振り向いた要はまるで吸血鬼が食事を邪魔されたような危険で妖艶な顔をしていた。
「ねぇ……何してんの……ミナちゃんは弟だろ?」
「別に……本当の弟じゃねーし……本当の弟でも同じ事になってるけど」
「え……本当の弟じゃないの? ……ていうか、その子……どうしちゃったわけ……」
 尚哉は動くようになった足で身体を動かすと、少しずつソファの向こう側へ移動しながら喋った。
「コイツは、野犬に育てられたから……半分犬なんだ……俺の、可愛いイヌなんだ」
「……は?」
 尚哉は、要がまたふざけてそういうプレイのような発言をしたのかとも思ったが、先程の冗談とは言えない水無月を見て疑いの言葉は出せなかった。
「昔ニュースで少し騒がれたけど見なかったか」
 そう言われればそんなニュースもあった気がした。
 尚哉は少しずつだが事情が掴めてきたのか、冷静さが戻ってきた。そして立ち上がると救急箱を取り要の近くに置いた。本当は手当てをしたかったが、目を大きく見開いたまま瞬きもせずに動く自分を見る水無月に近づけなかった。
 憎い相手を睨む人間のとは違い、少しでもおかしな動きを見逃さないように視野を広げ、動体視力をフルに活用する為に瞳孔が開いているのが異様な恐怖をかき立てる。
 そんな警戒態勢の水無月を優しく包み込む要に、尚哉は少し理解に苦しんだ。
 要が何故かとても嬉しそうだったからだ。
 今日はこの二人と一緒にいる気になれない尚哉はその足で部屋へ行くと軽く荷物を持ってそのまま家から出て行った。

 要は救急箱を取ると包帯をきつめにギュッと腕に巻き、血を止める処置をした。
 そんな要を見て水無月はボタボタと涙を落とし、「兄ちゃん……痛いの……ごめんなさい……」と謝った。
「いいよ」
「ごめんな……さいっ……っ」
 理性の戻った水無月は一番大切な人を傷付けた事でとても大きなショックを受けていた。
 要は傷の手当てを終えると再び水無月を懐へ抱き寄せた。
「お前がこんなに怒るなんて思わなかった……嬉しかったんだ……俺もきっとお前が他の奴とそういう事してるの見たら殺すだろうし、お前も殺すつもりだっただろ、さっき」
「だって……凄くイヤだった……尚哉くんと恋人なの?」
「違うよ」
「じゃあ僕と恋人になってよ」
「お前、飼い犬が飼い主と恋人になりたいって言うのか?」
 要は楽しそうに意地の悪い事を言って水無月の頬を摘まんだ。
「イヌは恋人になれないの?」
 水無月がそっと要の頬を摘まみ返す。
「さあ……でも……」
 要は水無月の胸に顔を埋めた。
「もしお前を抱けなかったとしても、お前は俺をずっと好きでいてくれるのか?」
「兄ちゃん、やっぱり頭痛くなるの? 僕と……そういう事すると……」
「……うん」
「病院はイヤなの?」
「……うん」
 いつも突っ張って意地の悪い子供が急に弱みを見せたような態度に、水無月は要が急に可愛く思えて要の頭をギュウと抱き締めた。
「大丈夫だよ。僕は最初から兄ちゃんしか見てないから」




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悪魔と野犬ノ仔 35話

 要は強く尚哉の頭を掴むと乱暴に肉棒を口の中に出し入れした。
「んっ……んんっ」
 尚哉は苦しげだが恍惚とした表情で要を見つめながら唾液を溢れさせた。
 要も尚哉も久々の行為に夢中だった。そしてテレビをつけっぱなしにしていたのがいけなかった。
「にいちゃん……?」
 要がソファに座りながら振り返ると、そこには呆然と立ち尽くす水無月がいた。
 要は何も言葉を発さず水無月を見ながら荒い息を整えた。
 尚哉はゆっくりと見せつける様に要の肉棒を口からヌルリと出して唾液を口端から垂らした。
「なに……なんで尚哉くんが兄ちゃんの……」
 水無月は手を口元に持っていき不安を露わにした。
「ミナ。お前友達と飯は」
 要は何事も無かったようにそう聞くとだらしなく濡れたままの下半身の身なりを整えた。
「あ……ぼく……お金足りなくて……また今度って」
 水無月はゆっくりと要たちのいるソファに近づいた。そしてまだ要の足下に座っている尚哉を上から不思議なものでも見るような目で見下ろした。
「ミナちゃん、ごめん。僕お兄さんの事好きなんだ」
 尚哉は要の足に手を絡ませた。
「僕も好き」
 水無月の不安気な表情は少し苛立つような顔つきに変わった。
「そうだよね。だって自分のお兄さんだからね。でも恋人にはなれないんだよ?」
「恋人……」
「そう」
「尚哉くんは兄ちゃんの恋人なの?」
「んー……恋人になりたい候補者ってところかな」
「本気で言ってんのかお前」
 尚哉の言葉に要は無表情の目を向けた。
「本気だよ。好きだよ要……この際ミナちゃんにも認めて貰いたい」
 尚哉は要の太股に口付けをした。
 すると獣のような低い唸り声が地を這うように尚哉の鼓膜に届き、得体の知れない恐怖感に身を硬くした。
「え……なに……」
 音の方を見ると四つん這いになって歯を剥き出しにしている水無月がいた。それは狂犬のように目を大きく見開き、低い唸り声と共にジッと尚哉の目を見ていた。
 少しでも動けば途端に襲い掛かってきそうで、尚哉はその場で動けなくなった。
「ミナ」
 空気を切るような鋭い要の声が響いた。
 それでも唸り声は止まず、水無月の開いた瞳孔は未だ尚哉の視線を離さなかった。
「ミナ」
 もう一度要が声を発したと同時に、「か、かなめっ」と尚哉が要にすり寄った。
 すると唸り声は叫び声に変わり、爪を立てた水無月が尚哉に飛びかかった。
「ウワァァアアーッ」
 恐怖で叫び声を上げながら体勢を崩した尚哉を喰い千切ろうと襲った水無月だったが、その歯が食い込んだのは要の腕だった。
 我を無くした水無月は噛みついて流れ出した血の味に更に興奮を増してグッと顎に力を入れた。その歯は柔らかな人の腕の肉にグリグリ入り込んで筋肉の間にまで入り込んだ。
「い……いやあ……なに……何だよ……コイツ……ッ」
 恐怖で涙を流しながら腰が抜けて逃げられない尚哉は手足をバタつかせた。
 要はボタボタと血を流しながら、歯を食い込ませたままの水無月をグッと自分の胸に引き寄せた。
「ミナ……大丈夫。落ち着け」
 要は耳元で優しく優しく囁き、そして引きつってしまっている頬を舐めた。そしてゆっくり逆立ってしまった髪を撫で、頭にキスをした。




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悪魔と野犬ノ仔 34話

 要の頭痛には特徴が出てきた。要自身が水無月を攻めようとすると酷く痛みが増す事が多かった。勿論、酷い時は水無月に触れただけでも表れる事もあった。その為、二人は恐る恐る触れる事が日常になりつつあった。
 水無月や尚哉は要に強く病院に行くように勧めていたが、要はこんなおかしな症状を言ったところで精神科へ回されるだけだと思い、ずっと病院を拒否していた。
 そうこうしているうちに、水無月がスクールに通いながら実務経験の一環として働かせて貰えるお店が見つかった。
「すごく優しい先生でね、きちんと僕の話を最後まで聞いてくれたの。生い立ちからちゃんと話したんだよ? でもがんばりなさいって」
 水無月は少し興奮気味だったがとても誇らしげに要に報告した。
「その先生は幾つの人なんだ」
「三十五歳くらいだって」
「家庭は?」
「バツ一だって。格好いいのに」
「へぇ。お前の好みだって訳か」
 要は皮肉に微笑んだ。
「好みっていうか、僕の好みは兄ちゃんだけど先生は普通に格好いいなって思ったよ?」
 水無月はまだ微妙に気を遣うという事ができない。正直だから嘘がない分信用出来るが、正直が辛い時もある。
 目標に向かって頑張る水無月が生き生きとしていて、要は時折眩し過ぎて影に隠れてしまいたくなった。
 スクールに通いだした水無月は友達も増え、要に連絡を取っては友達とご飯を食べてきてもいいかと聞いてくるようになった。まるで要の子供のようだ。
 複雑な気持ちのまま、水無月に置いていかれる不安も麻痺してきて、意味の分からない悪夢と幻覚に怯えて疲労が溜まってきていた。
「あれ? ミナちゃんは?」
 尚哉が外出先から帰宅してきた。
 尚哉は今はAV業界から抜けカフェの店員として働いていた。
 見た目は可愛いので尚哉のファンになるお客さんが増えたらしいのだが、尚哉はイケメンにしか興味がない為鬱陶しいとボヤいていた。
「ミナは友達とご飯食べて帰るんだと」
 要はそう言ってタバコを吹かした。
「あら。寂しそうね、要」
「別に。心配なだけだ……世間慣れしてないからアイツは」
「ふぅん。俺は……嬉しいけどね?」
 尚哉は要の後ろに回りギュッと抱きついた。要は何も言わずそのままタバコを吸う。
「ねぇ……してよ……久し振りにさ……俺、要に抱かれたいよ」
 要は考えた。

(コイツ相手だとあの現象はない気がする……ヤってもアレは出てこないか?)

 要は尚哉の腕を引き、両手で尚哉の顔を掴むとゆっくり自分の下半身まで下ろした。
 尚哉は既に蕩けるような目で要を見上げながら要の肉棒を取り出して舌先で味わいだした。
 頭痛は起こらない。




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ヾ(:´Д`●)ノアワワワヾ(●´Д`;)ノ

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悪魔と野犬ノ仔 33話

 水無月は上に乗るように要に跨り、その透明な穴に自分の肉棒をゆっくりと入れ込んだ。
「あ……あぁ……すごい、コレ……ぬるぬるっ」
「いいよ、ミナ。腰を動かしてごらん」
 要の愛おしそうに自分を見つめる目を見ると水無月の肉棒は更に熱を持って腫れた。
 水無月はとても恥ずかしかったが、下半身の想像以上の気持ち良さが動きを加速していった。
「ほら。これ、透明だからお前のが出たり入ったりするのがよく見える」
「やだぁ……っ」
 水無月は要の腰の両脇に腕を固定させ、まるで要を攻めるように動いた。
「ハァっ……ハァっ……すごい、気持ちいいっ」
「俺がお前にヤられてるみたいだな、これ。……良い眺めだ」
 透明の筒の内部は人工的に確実に男性器の気持ちいい場所を刺激するような構造になっている。筒を強く握ればギュッと締まって刺激は更に強くなる。そんな力加減で要にコントロールされて、水無月の羞恥心は消えた。
「は……ッ……あんッ……アッ……アアッ」
「ミナ、もう少し声押さえろ。尚哉に気付かれる」
「こえっ……でちゃうぅ」
 水無月は切な気な表情で首をゆっくりと左右に振った。
 要の喉仏が上下する。
 水無月の卑猥にしなる腰を、要は撫でながら手でもその動きを感じ取っていた。
「お前が女とヤるとそういう顔になんのかな」
「そんな……の…した事な……ぃっ」
「ああ……したらお前をもう外へは出さないよ」
 要が優しくキスをする。冗談など一つも言っていない要の鋭く優しい目に水無月は歓喜で鳥肌が立つ。
「兄ちゃんっ……兄ちゃんもっ」
 水無月は要の肉棒を必死に取り出すとそれを自分の入っている同じ筒の穴へ捻じ込んだ。
「お前すげぇ事すんな」
 要は可笑しそうに笑いながらも水無月の余裕のなさに興奮した。
 筒は二つの硬い肉棒で一杯になった。赤く腫れた肉棒は互いにヌルヌルと擦れ、外側の凸凹とした筒の形状で更に気持ちが良い。
 要は水無月の腰の動きに合わせて自分も腰を動かした。要は外れないようにギュッと片手で筒を掴み、もう片手で水無月の尻を強く掴んだ。
「あっあっ……かなめぇっ」
 初めて名前で呼ばれた要は妙な興奮で更に肉棒を硬く大きくさせた。
「いいぜ、ミナ……俺を犯してるつもりで名前で呼べよ」
 要はゆっくりと尻を掴んでいた手を移動させ、水無月の蕾へ指を侵入させた。
「あああんッ……そんな事したらっ……ぼくっ……!」
「ほら……もっと腰振って俺をヤれよ」
 要は囁くような声と、しっとりとした誘う女の様な色気で水無月を煽り、そして蕾の中を軽く引っ掻いた。
「か……かなめ……っ……要ぇ……!」
 水無月の可愛い顔に雄の表情が加わり、要の両肩を強く押さえて腰を動かし始めた。
 二人の肉棒は高速で擦れ合い、荒い息遣いがグチャグチャという卑猥な音と共に部屋に響き渡る。
「イ……イクよ……要……ハァっん」
 要は気持ち良さそうな目で水無月を見ながら舌を出してきた。
「あっ……あっ……可愛いっ……要……ッ」
 水無月は要の顔を両手で引き寄せると、その差し出された舌を夢中で絡め取り、水無月に舌を犯されながら要は射精し、水無月もそんな要を見て同時に射精した。




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新リバ体験☆(笑)

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悪魔と野犬ノ仔 32話

 要の近寄りがたい冷たい瞳を見つめながらその手を取り、水無月は自分がとても悪い事をしている事を自覚していた。そしてそれに酷く興奮していた。
 水無月は履いていたハーフパンツを少し降ろすと、ツルツルとした生地のボクサーパンツを曝け出した。
 くっきりと硬く立ち上がった水無月の下半身の形が浮き出ているそこに、力強く要の手を擦りつける。
 要は面白いものでも観察するように、叱る事も窘める事もなくジッと見ていた。
 水無月はゆっくりと腰を上下に動かし、時折我慢出来ず急きたてられるように腰を速く動かしてその興奮を伝えた。
「濡れてきてるぞ、ミナ……ほらここ。染みになってきてる」
 要は濡れて色が濃くなっている場所に人差し指で円を描く様に触れた。濡れたその場所はヌルヌルと滑って、指先を離すと透明の糸が伸びた。
「やっ、やぁんっ」
 水無月の敏感なそこはパンツの上から触れられただけで腰がビクついた。
「お兄ちゃんの舐めたい」
 水無月は唇を艶々と光らせながら要の股間に顔を埋めた。
「ミナ……」
 要は猫ッ毛のような柔らかい水無月の髪の間に全ての指を入れ込み、腰を浮かせた。
 要の肉棒は水無月が思っていた以上に膨れ上がり、布越しにでもその熱が伝わってきた。
 水無月はその肉棒を取り出すと、懸命に口の中へ入れ込もうとした。すると突然要がまた頭を片手で押さえながら痛そうに呻きだした。
「ってぇ……何だってんだ……クソッ……」
「大丈夫? また痛いの?」
「いや、この間よりはまだいい……大丈夫だ」
 要が落ち着くまでの少しの間、水無月は要の手や膝をペロペロ舐めてみたり、心配そうに要を見つめながら顎を要の腕に乗せてみたりしていた。
 要はその間もゆっくりと水無月の背中や腰を撫でていた。
 そのうち痛みが引いたのか、要の手は段々水無月の臀部をいやらしく揉み始めた。
「あ……んっ」
「いやらしい声だな」
 水無月は煽る様に尻たぶを揉んでくる要の掌に思わず腰をうねらせる。
 要を欲しくてたまらないのを分かっている癖に、要は水無月が腰をうねらせる度に意地悪く後ろの蕾を爪で軽く引っ掻いてきた。
「あんっ……あんっ……も……っとぉ」
「お前の腰、エロいな……ほら。こうやって握っててやるから、ヤッてるみたいに腰振ってみろ」
 水無月は四つん這いにされると、その体勢で要に肉棒を掴まれた。要は思い出したように引き出しからローションを取り出すと、それをたっぷり手に取り再び水無月の肉棒を握った。
 水無月はローションの冷たさに「ひゃっ」と腰が引けたが、それでも命令されるがままに腰を動かしてみると、した事のない行為の筈なのに本能で腰が前後に動きだした。
 水無月の肉棒が要の筒となっている手に出し入れされる度にクチュクチュといやらしい音が部屋に響いた。
 要の指の凹凸部分が水無月の気持ちいい部分に当たって腰の動きは更に激しくなる。
 何とかもっと強く擦り付けたくて腰を動かしてみるが、勢い余って肉棒が要の手からはみ出してしまう。
「ちょっと待ってろ」
 要はそういうと先程の引き出しから何やら透明の柔らかい筒のような物を取り出してきた。
「何? それ」
 軽く息が上がった水無月は頬を紅潮させながら続きを始めたくて目が潤んでいる。
「俺の手よりもずっと気持ちいいぞ。ほら。ローションも一杯中に入れてやるから……この中に突っ込んでみろ……こうして持っててやるから」
 要はベッドに背を凭れながら自分の下半身辺りで透明のオナホールを固定した。




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オナホぷれいヽ(〃v〃)ノ ワチョーイ☆・゚:*
そして飛び飛びの不定期ですみません、
次回明後日のUPになります><
土曜で何とかチャージ出来ればと思っております(´Д`A;)

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