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それから28話

 週末、以外と少ない荷物を抱えて俺は沢村の家に再び来ていた。
 前にも来ていた事があったので、そんなに違和感は無かった。
「お邪魔・・します」
「先輩っ、そんなかしこまらないで自分の家だと思って下さいって言ってるでしょ?」
「あ、ああ。悪いな・・」
 沢村は本当に気を使わせない奴だ。
 何でここまで俺に良くしてくれるんだ?

 俺は荷物をベッドルームに置いて、何やら忙しそうに動く沢村を見ながら、手持ちぶさたで突っ立っていた。
 何か、手伝うか。
 っつても俺には何も出来る事はないな。邪魔しない事が一番か・・。
 再び沢村のベッドルームへ戻って、何となく部屋をウロつく。
 こ綺麗に片づけられた部屋だ。前は酔っていてあまりじっくり部屋なんて見なかった。
 寒色系で統一された部屋はセンスが良かった。
 色々な文学書が本棚に並んでいる。本を読むのが好きなんだろうか。
 花の図鑑もある。結構大きくて本格的だ。
 ズッシリとしたそれを手に取ってペラペラとめくってみる。

 花の図鑑なんて小学生の時以来見た。
 その時ふとページをめくる手が止まった。
 タンポポのページだった。綿毛の写真が目に止まった。
 
 ふふ・・ふふふ・・
 自然と笑みがこぼれた。
 本当、あいつ、コレそっくりだな。

「先輩?何見てるんですか?」
 ドアが開いていたのか、音も無く後ろから沢村が部屋に入って来た。
「え?あ、悪い勝手に・・何となく花の図鑑見てて・・え?」
 一瞬、勝手に本なんて漁って悪かったかな、と本を戻そうとすると、突然沢村が先輩と後輩というには近すぎる距離まで来た。
 頭一つ低い沢村は自然と上目遣いになるように、クリッとした目を見開いて俺をじっと見てきた。
 
 何・・だ?
 沢村はふっと手を俺の頬に寄せてきた。
 どういう意味だかが全く理解できない俺は固まった。
「先輩、笑ってた」
「え・・あ、ああ。」
「笑えたんですね」
 沢村が静かに嬉しそうな笑顔を向けてきた。
 何だかその笑顔で心が暖まるようだった。

 そうか、俺の事を心配してそれで・・
 何だかグッと胸が詰まるようだ。
 沢村の手が頬から離れていった。
「ところで一体何を見て笑っていたんです?」
「ん・・コレ」
 俺は図鑑のタンポポのページを開いて見せた。

「たんぽぽ?・・何がおかしかったんですか?」
「これがな」
 俺は綿毛の写真を指した。
「お前にソックリでつい笑ってたみたいだ」
 すると沢村が「えぇー、何ですかソレー」と言って不服そうにほっぺたを膨らました。
 その様子が妙に可愛い。
「僕はもっとジャニーズの誰々に似ているとかがいいですっ。というか人間じゃないですし、ソレ」
 とか言ってプリプリと図鑑を本棚にしまう。
 その時俺の目の下でふわふわ揺れた柔らかそうな髪が、やっぱりタンポポの綿毛みたいで笑顔になった。

 俺はついその髪に指を入れてみた。
 猫っ毛で柔らかい。癖があってピョンピョンと跳ねる感じが可愛らしい。
 俺は無意識にクシャッと沢村の髪を指に絡ませると、沢村はビックリした顔で振り向く。

「な、なんですっ」
「あ、ごめん、やっぱ綿毛みたいで気持ちよさそうだからつい触ってた」
 そう言うと急に顔を赤らめて顔を俯かせて黙ってしまった。
 ああ、ちょっと慣れ慣れしかったかな。
「悪い」
 謝った俺の方にふと急いで上げた沢村の少し困った顔が、妙に色っぽくてドキッとした。
「あ、違うんです。何だか、気持ちよくて・・恥ずかしくなっちゃって・・」
「気持ちいいって・・髪を触られるのがか?」
「はい・・何か、すごく安心するというか、幸せな気持ちになります」

 イヤがってた訳じゃなさそうだ。良かった。
「先輩」
「ん?」
「もう少しだけ、触ってもらえますか」
 これだけ良くしてくれる沢村にこんな事で喜んで貰えるならいくらでも髪を撫でてやれる。
 俺はもう半歩沢村に近づいて肩に手を置く。
 そしてもう片手でスッと後頭部から指を入れ込むと、沢村がビクッと反応して俺の胸元に顔を付けてきた。

 もしかして、少し感じてるのかな・・。
 俺は敢えて何も言わず、続けて髪を指に絡ませてやる。
 ぴっとりとくっつく人肌の温もりが心地よかった。
 俺はいつのまにか沢村を抱きしめていた。



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★「それから」はすれ違った後に(全10話)の続編です。 

ああ・・淳平(>_<)
沢村と何イイ感じになってるんだ!

 
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それから27話

☆18禁です。ほんの一部暴力的な表現あり。苦手な方は閲覧にご注意下さい。


 淳平とマンションの下で別れてから、弘夢はこれで良かったのだと諦めていた。
 自分は一生木戸の人形になる事で淳平を守り通せる、それでいいと思った。
 淳平も言っていた通り、どうやっても諦められない、それは弘夢にとっても同じだったから。
 身体も心も手に入らないのなら、その人を思う自分の心だけそっと大切にしまっていればいい。
 幻のような思い出だけで生きていける。そう思っていたのに、自分がまさかこれほど弱いとは思わなかった。

 傷ついた心は木戸の優しい温もりで癒されていた。
 でも欲しいのは癒しなんかじゃない。傷だ。
 どうせなら以前のお仕置きのようにめちゃくちゃに身体を傷付けて欲しかった。
 自分が淳平に付けた心の傷と同じくらいの痛みを、自分の身体にも傷付けて欲しかった。
 なのに・・。

「木戸・・さんっ・・どうし・・て・・はぁ」
「何がだ」
「ど・・して・・そんなに優しく・・するん・・ですかっ」
 木戸が優しく愛撫する。そっと咲きかけの花の蕾を愛でるように弘夢の乳首を口に含み、舌先でチロチロと刺激する。
 弘夢は出そうになる声を両手で押さえて喉の奥に留まらせる。
 木戸の大きな手が弘夢の玉袋を優しく揉みしだくと、鼻から押さえこんでいた甘ったるい吐息が漏れ出す。
 木戸は痛みなど微塵も与えず、ただゆるゆると気持ちよくさせられるだけだった。
 耐えられない仕打ちだ。

「もっと・・前みたいに酷くして下さい!」
 弘夢が涙目で懇願する。
 欲しいのはそんな優しい眼差しなんかじゃない。いつものような冷たく絶対的な服従を与えるようなあの鋭い眼が欲しいんだ。
 木戸がそっと弘夢の頬の手を当てる。
 欲しいのはそんな温かみのある腕じゃない。前みたいに肘まで肛門に突っ込む狂気の沙汰だ。
 俺を壊して血まみれにすればいい。小便をかけて汚せばいい。
 きっとそんな淳平の心の痛みはそんなものじゃ体現など出来やしないのだから。

「断る」
 痛みを欲しがる弘夢の目を木戸は理解した筈だった。
その上で響く声が弘夢を底のない沼地に蹴落とした。
「どう・・してっ」
 いつもなら喜んでやるくせに。
 そうか。こうやって俺を苦しめてるんだ。優しくする事が今の俺にとって一番の苦痛だと分かって。
 そう考えると、身体に痛みを与えて逃げようとする自分が浅ましく思えてきた。
 やっぱり木戸さんは俺の一番の苦しめ方を分かってる。
 弘夢がその苦痛を受け入れようと力を抜いた時だった。

「お前が・・アイツの前で俺を選んでくれたから・・」
 木戸は目を瞑って弘夢の手の甲にキスをした。

―え・・何・・

「好きだ。好きだよ、弘夢。そのうち心も、笑顔も、俺に全てをくれ」
 弘夢は耳を疑った。
「え・・何言って・・」
「本気だ。俺はお前を愛している」
 思いがけない木戸の言葉に困惑した。
だが、今までされた数々の非道の意味も少し見方を変えると木戸の歪んだ愛情に繋がる。

―冗談、だろ・・

 弘夢の揺れる瞳を見据えた切れ長の鋭い目がドキリとさせる。
 木戸の端整な顔がゆっくりと近づき、弘夢の唇は塞がれると、今までと違うキスの味がした。
 甘ったるい蕩けそうな、濃厚なキスで、初めて木戸を怖いと感じずに気持ちいいと思えた。
「弘夢・・俺だけを見ろ。俺の事だけ好きになれ」

(木戸さん・・を?)
 
 木戸を恋人として考えるなどありえない事だった。
 だが、初めてみるその非道な男の真剣な表情にただ固まる事しか出来ないでいた。
 その日は、初めて道具も一切使わず、我慢もさせられず好きなだけ感じさせられ、好きなだけ射精もさせられ、普通に身体を繋げた。


* * *


 淳平は、病欠という事で残りの有給を使いながら何とか体調を整えていった。
 沢村はあれから毎日足繁く淳平の家に通ってはご飯を作りに来て、多めに作って次の朝にも食べられるように用意をしていった。
 大分普通に近い生活に戻ってくると、淳平の精神状態も落ち着いてきた。

 あのまま死んでも別に構わないと思った。
 自分の全てだった人がどうしても手に入らないのならば、生きている意味がないと感じた。
 だが、今こうして生きて、目の前にセカセカとこんな自分を心配して動いてくれる人を見ると、感謝とも、嬉しいとも違う、妙な気分になった。
 嫌では決してない。だが、何故この生きていても無意味な自分に対してここまで動いてくれるのか、不思議な気持ちが大きかった。

 弘夢はどうしているだろうか。あの木戸とかいう奴にあんな酷いめに遭わされても尚、あいつを選ぶのか。
 納得いかない。それとも、俺があいつを理解していなかっただけか。
 
 ある日、沢村がいつものように夕飯を作りに寄った時に提案をしてきた。
「先輩、うちにしばらく来ませんか。その方が僕も何かと都合がいいですし、この家はあと引き払うだけでしょう?ここにいるよりいいと思います」
 確かにこの家にはもう用はない。
 ただ、一人でいると、一度ここに来た弘夢の残像を思い出してしまうのも事実だった。
 それに縋ってここから離れられないでいるのも、沢村には分かっていたようだ。




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★「それから」はすれ違った後に(全10話)の続編です。 

久しぶりに「それから」が始まって初っ端から暴力表現あり!?とビビらせて
ごめんなさい(;´Д`A ```ぬるいですが、18禁にしました^^;
てか、もうこれから15禁はない気がします(笑)
そして時枝が出せなくてごめんなさい(>_<)昨日オフホワイトまで出したのに・・m(_;)m
何それ?って方はこちら→オフホワイトの謎
あと、昨日「すれ違った後に」と「それから」シリーズに拍手下さった方々ありがとうございます!!


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それから26話

 インターホンを押しても誰も出ない。新聞もポストに溜まっている。
 だが留守かと思うには無用心に二階の窓が開いているし、庭の方のドアも鍵が掛けられている様子はない。
 不審に思い、玄関の扉に手を掛けるとカチャリと簡単に開いた。
 中には淳平の脱いだ後の靴が置いてある。
 逸る心臓の音を抑えて二階へ勝手に上がった。
 隙間の開いている部屋のドアを見つけてそっと扉を押し開いた。
 
「ッ・・・・!!」
 そこにはゲッソリと痩せこけた淳平がベッドに下半身を丸出しにして横たわっていた。
 手には何やら写真を持ったまま目を瞑り、寝ているのか、それとも・・。

「先輩ッ!岩波先輩ッ!」
 携帯にかけても家の電話にかけても誰も出なかった。
 週末前は会社を有給を使って休んでいたが、週末明けは無断欠勤だったので沢村は上司からも様子を見に行くようにと言われて来た。
「先輩ッしっかりして下さい!先輩ッ」
 体温は暖かいし、心臓も動いているから死んでいる訳ではなさそうだ。
 軽く揺すってベッドに布団に手を掛けた時に、バリバリとノリが固まったような感触に手が触れた。

(これ・・は・・)

紛れもない淳平の射精した後のものだった。何もかもどうでも良くなったのだろう。拭きもせず、本能にだけ従って愛おしい相手だけを想ってそのまま朽ちていく、そんな事を望んでいたのだろうか。
 その時、一瞬目を薄く開いた淳平が何かを言った。
「・・ろむ・・か?」
 誰かと間違えているようだ。
「違います、僕は沢村です、先輩!今何か飲み物を持って来ますから!」
 急いで立ち上がろうとした時、淳平がスッと手を上に少し上げた。
「ひ・・ろむ・・ひろ・・む・・」
 沢村はその手を思わず取ってしまった。
その枯れ切って見えない筈の涙が沢村には流れて見えた気がしたのだ。
手を取った瞬間、淳平が少し驚くように目を見開いて嬉しそうに微笑んだ。
きっと自分をその愛おしい相手だとまだ勘違いしているんだろう。
沢村はそっと強張る淳平を抱きしめていた。


目を開けると真っ白い空間があった。
横を見るとその空間は立体的に捉えられ、自分が白い部屋に居る事が認識できた。
白い壁と思ったのは、白い天井だったようだ。

「気が付きましたか、先輩」
聞き覚えのある声の方へ顔を向けると、優し気で気の強そうな可愛い顔が少し怒った風な表情で自分を見ていた。
夢の中で一瞬弘夢が来てくれたように見えたのは、沢村だったようだ。何故かこの綿毛のような髪の毛の感じが一瞬弘夢に似ていた気がした。
弘夢は少しクセっ毛だけだというのに。握られた手の感触は、別の奴のものだったのだ。

「あ・・俺・・」
「病院です。今点滴が終わった所です。先輩、脱水症状だったんですよ。」
 沢村が怒りの篭った声を静かに響かせた。
「そう・・か。悪かった・・迷惑かけて」
 ふと手にしていた筈のものが無い感覚に周りをキョロキョロと見渡す。

「これですか・・?」
 沢村の手には弘夢との写真が握られていた。
「先輩、この人でしょう?弘夢って人」
「・・ああ」

 写真の中の弘夢をせめて、まだ掌の中に収めていたいという気持ちで手を伸ばすと、それを静に沢村に制された。
「先輩、これは暫く僕が預かります。でないと、先輩はこのまま壊れてしまう。僕がどれだけ心配したか分かってますか?会社でも皆心配してたんですよ?」

「返して・・くれないか・・」
「先輩!」
「返してくれよ!俺の弘夢をッ!!」
「先輩ッ!」
 沢村が暴れる淳平の頭を抱えて胸に抱きしめた。

「う・・うぅ・・う・・」
 淳平は自分よりも一回りも小さい沢村の胸の中で嗚咽を漏らし、涙で沢村のスーツを濡らした。
「僕が側に・・良くなるまで暫く側にいますから・・」
 その言葉で、淳平の両手が沢村の腰に回ってぎゅっと抱きしめられた。
 沢村は途端にドキンと不穏な心臓の音がなったが、自分のそれに気付かない振りをして淳平を抱きしめ返した。



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★「それから」はすれ違った後に(全10話)の続編です。 

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それから25話

☆18禁です

 淳平はフラフラとした足取りでコンビにから弁当を購入してきた。
 玄関の扉を開けて入るが、特に鍵を掛ける事も無く、ガチャリとドアを開けて自然と閉まるドアを無視してガランとしたリビングへ向かう。
 今はただ、明美の為にこの家の処理をする為に動いているだけだった。
 明美ときちんと縁が切れたら・・どうするだろうか。
 まだ漠然と見えてこないその先の事に頭がついて行かない。

 冷たい弁当を口に運ぶが、味もよく分からなかった。
 昔弘夢がこの家に来て、一緒に食卓を囲った事を思い出す。
 久しぶりに会ったあの時の顔が脳裏に浮かんで胸が痛い。

 この胸に今何本の針が打ち込まれているだろうか。
 きっともう形が無くなってドロドロの液体にでもなっているのではないだろうか。
 悲しみと空しさと憎しみに汚染された黒色の液体は体内を駆け巡り、涙腺を破壊して黒い涙が溢れてくるようだった。

 弁当を置いて、書斎に入ると引き出しの中から写真を取り出した。
 あの、中学の修学旅行で撮ったものだ。
 この部屋でこの写真を弘夢に見せて、そこからまた終わりに向かって始まっていったのだ。
  写真を見ながらベッドに横になった。

 もう、無意識に近い状態でベルトを外し、ボクサーパンツの中からペニスを出すと一心不乱に扱きだした。
 いつもやっていた事の習慣からなのか、現実逃避なのか。とにかく淳平はその無垢で幼くも色気のある表情の写真の中にいる弘夢へ気持ちをぶつけていた。
 クチュクチュと音を立てながら不規則なリズムで速度を変えて腕を上下させる。
 震えるように吐息を吐き出し、脳内で弘夢の動きをリピートさせては射精感を高めていく。

『淳平・・ゴム、取って!中に・・出してッ』

『欲しい・・淳平の精子。ちょうだい、中に・・あッ』

 セックスをしていた時の弘夢の姿を思い描くと、淳平のペニスがいっそう硬さを増した。
「ふ・・・っ・・んッ・・んッ」
 時折息を詰めるようにして扱く速度を上げては快感を追い立てる。

『はい、淳平っ、これタオル』

『淳平っ、あっついね。汗、凄いよ?』

 中学、高校の時の弘夢を思い出す。淳平と違ってスポーツに関連する部活はしなかった弘夢はいつも淳平の活躍を日陰から汗を掻きながら見ていた。
 試合や練習が終わるとタオルを持ってきたり、水を持って来たり。その時見る汗ばんだ白い肌と眩しい笑顔にどれだけ日射病のようにクラクラしただろうか。

「ふッ・・んんぁあっ・・ああっ・・」
 ペニスが熱を持って膨張してくると、淳平の腰が浮いてきた。
 まるで空中にあるはずのない何かに突き入れるように腰を動かすと、性器は不思議と気持ちよさが増すように感じる。
 幼く純粋で触れ合う前の弘夢と、熟成して淳平を虜にした艶かし過ぎる弘夢を交互に織り交ぜる。

『い・・あああんっ!イクぅぅぅッんん、じゅんぺぇぇぇ!!』

 弘夢のイク顔を最後に浮かべて同時に「うッ・・くッ」と息を止めて射精し、トロッとした半透明の液体をベッドに飛ばした。
 ティッシュで拭く事も、手で受け止める事もなく、そのまま液体はベッドに飛ばされたままだった。
 気付くと、いつからか涙が流れていたようだ。頬を伝って高い鼻筋を越えた涙は枕に染みを作っていた。

(俺は、泣きながらしてたのか・・?)

 きっと感情の糸がこんがらがってコントロールが効いていないのだろう。
 下半身が弘夢を欲して、心が悲しみを感じて、脳で卑猥なイメージをして、写真に写る弘夢に瞳が反応して涙が出た。
もうめちゃくちゃだ。
 それから淳平は、疲れればそのまま寝、起きれば写真を見、勃てば出しっぱなしの性器を扱いて射精するという事を続けた。
 日は、傾き落ちて、そして昇ことを繰り返していった。




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それから24話

淳平は次の日、有給を取った。そしてその次の日も。
もう帰宅してから水しか飲んでいない。食べ物は受け付けない。
ボーッとテレビも電気も点けず、ただペットボトルの水をベッドの下に座って飲む。
この間のシーンややり取りが延々と脳内でリピートされていた。

 何もやる気が起きない。
 その時ガチャリとドアが開いた。
「淳平・・何してんのよ、あなた。」
 まるで生気を失ってる虚ろな目をした淳平を、腐ってカビの生えた食べ物でも見つけたように見る明美が立っていた。

「実家から帰って来て見れば・・あなた、一体最近どうしちゃったの?!何があったのよ?!」
「・・・い」
「え?何?」
 掠れる声を聞き取ろうと明美が近くに寄る。
「うるさい、と言ったんだよ」
 思ってもみなかった酷い言葉に明美の顔がキツく変わる。

「ちょっと!うるさいって何よッ!何なの、一体!?もう嫌よ・・」
 明美が涙を流して顔を覆った。
「笑えよ、明美」
 意味不明の言葉に気味の悪さすら感じた明美が怯えた目を向ける。

「は・・?何言ってるの・・?」
「笑えって言ったんだ。お前の笑い顔が弘夢に似てるんだよ。だから結婚したんだ。あいつに会いたいんだよ。だから・・笑えよ」
 明美は1,2歩下がる。

「ふっ・・ははっ・・弘夢さんに・・似てる?何言ってるの?それで結婚って・・何・・」
「愛してた・・ずっと。学生の時から・・あいつしか愛してない・・今だって・・」
「ね、ねぇ・・あなた。弘夢さん、お、男よ?」
 淳平はふっと笑みを作って無精ひげの生えた顔を向けた。

「あぁ、ちゃんとこの間セックスもしてきたから十分わかってるよ」
 明美の顔が引き攣った。
「セックスって・・!男同士で出来るわけないじゃない!!何言って・・」
「男にはお前も好きなコレを相手のケツに突っ込むんだよ。弘夢のケツ、最高に気持ち良かったぜ?お前の100倍くらい。」
 淳平がニヤリと笑って自分の股間をグイと掴んで見せた。

「ひっ・・・!」
 明美が引き攣った声で口を押さえた。
「なぁ、笑えよ、明美・・」
 明美は半分壊れているような淳平に恐ろしさを感じて小刻みに震えてきた。
「お・・お、お願い・・もう別れて・・離婚して・・」
 涙を流しながらそう言い残してバタバタと家を出て行く明美の音を聞いていた。



(ごめんな、明美・・ちゃんとお別れが出来なくて・・)

 淳平にはもうこれ以上明美と一緒にいる事が出来なかった。
 一緒にいる意味が無ければそれは負担意外の何者でもなかったからだ。
 ただ、今の状態では気の利く別れ方を演出出来る余裕も体力も無かった。
 嫌われて明美の方から離れて行かせるので精一杯だった。

 淳平は離婚したら家を明け渡し、アパートで一人暮らしをしようと考えていた。
 今までは金持ちの明美の両親の援助もあって随分といい暮らしが出来ていたが、一人になってからは大分落差も激しくなるだろうと思ったが、それは逆に今の淳平には居心地のいいものになりそうだった。



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★「それから」はすれ違った後に(全10話)の続編です。 

3000Hitからそう日にちも経っていないのにもう、4000・・
本当に嬉しいです、ありがとうございましたm(_)m


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それから23話

「弘夢!!」
 その淳平の声に反応した筈の弘夢はビクッとしただけで振り向く事はなかった。
 その事だけで淳平の心が悲痛で叫んだ。
「弘夢!」

「何だお前は」
 一気に現実に引き戻すような低く通る声を木戸が発した。
「お前こそ何だ」
 淳平も負けじと比較的冷静に木戸の顔を見る。
 自分よりも少し背が高く、社会的に地位の上にあり、その自信が漲る木戸の雰囲気に押されまいと目を逸らさずに睨み付けた。
「私か?私は弘夢の恋人だが?」
 その木戸の言葉に淳平は血の気が引いた。弘夢は尚も黙ったまま俯いて淳平の顔を見ようとしない。

「弘夢・・本当なのか?言ってた飼われてる奴って、こいつなのか?恋人って・・」
「君もしつこい男だね。飼うなんて失礼な。ちょっとした弘夢の好きなプレイをしたら、こいつそれが気に入って君にそんな風に言っただけだよ?私は弘夢の恋人だ」
 勝ち誇ったように薄く笑う木戸よりも、弘夢から目を逸らせないでいた。
淳平は弘夢の反応、様子、出方を見逃すまいと必死だった。
「ひろ・・」

「そうだよ。木戸さんは僕の恋人だよ。」
 初めて弘夢が言葉を発した。それも、聞きたくない言葉を。
「そういう事だからもう弘夢に付きまとうのは止めてもらいたい。」

(お願いだ、淳平・・帰って・・これ以上木戸さんを刺激しないで!)

 弘夢は必死の思いで、兎に角どうしたら淳平をこの場から離れさせられるか頭に考えを巡らせていた。
「弘夢・・戻ってこいよ・・好きで・・仕方ないんだ・・どうやったら諦められるんだよ・・」
 俯いた淳平の言葉に涙が出て思わず崩れ落ちそうになる膝を必死に唇を噛み締めて堪える。
 小刻みに震える肩を木戸がギュッと強く抱いた。

「淳平くん、だったか?この前私の弘夢にちょっかい出してくれたね。可哀想に弘夢、そのお陰で私のお仕置きを受けたんだよ?ほら、ここ。」
 そう言えば前弘夢に別れを言い渡された時、お仕置きされたと言っていた事を思い出した。
 淳平が目尻を赤くした顔を上げて木戸を見ると、木戸が肘より少し下の腕部分を指差していた。

「ここ。この辺まで弘夢の中に突っ込んで君の精子を掻き出す羽目になった。」
大事な自分だけの弘夢に何をしたって?
 一瞬にして身体中の血が沸騰して蒸発した感じがした。
淳平がキレて木戸に殴り掛かってきた。
「このッ・・!!!」

 それを見た弘夢が咄嗟に木戸の前に立って淳平を阻止する。
「どけ、弘夢!!何で庇うんだよ、そんな奴!」
 弘夢は大きく息を吸うと、淳平に背を向けて木戸の首に手を掛けて顔を寄せ、唇を吸った。

「なっ・・ひろ・・む・・」
 弘夢は必死に木戸に舌を絡ませ、ピチャピチャとわざと大きく唾液の絡む音を立てる。
 淳平は何が目の前で起こっているか受け入れるのに時間が掛かった。
 そして一旦唇を離した弘夢は顔を淳平に向ける。
「分かった?お仕置きは当然の事だったから別にいいの。俺は木戸さんのものだから。」
 弘夢は木戸の胸元に顔を埋める。

「そういう事だ。それに調教された弘夢を満足させられるのは、私以外いない。」
 木戸が胸元にいる弘夢をくるりとゆっくり淳平の方へ向ける。
「知ってたか?淳平くん・・弘夢はケツを酷く叩くだけでイける事を」
 そう言って木戸がベロリと弘夢の首元から頬にかけて舌をいやらしく這わせた。
 弘夢は顔がカァッと熱くなり、耳から首元まで桃色に染めた。
 その事が、淳平にそれが真実である事を酷くリアルに伝えた。
 そして淳平は肩を抱かれてマンションへ入って行く二人の後姿をボーっと涙でぼやける視界で見送っていた。

 木戸は合鍵で先に玄関を開けて靴を脱ぐ。その後に続くように俯いた弘夢が入ってきてパタリとドアを閉めた。
「何を泣いている、弘夢」
 いつの間にか止めどなく流れる涙がポタリポタリと玄関に雨のように降っていた。
「泣いて・・ません」
 震える声で意味の無い誤魔化しと強がりを言う。

 木戸がそっと近づいて弘夢顎を持ち上げる。
 切れ長の美しい瞳で覗かれてハッとした。その初めて見る木戸のあまりに哀しみの色が付いた瞳に困惑するように弘夢も木戸の瞳の中を覗き込む。
 そして木戸にそっと触れるようにキスをされた。
 傷を癒すような優しいキスだった。まるで真綿ようにふわりとして気持ちが良かった。
 木戸の大きな手が優しく弘夢の後頭部に触れると、何故か安心感が沸く。
 ギュッと抱かれながら唇を啄ばまれ、今までのいやらしくネットリとしたものとは違う舌の絡ませ方に、弘夢も自然と自分からも舌を絡ませていく。

 まるで木戸ではないようだった。強いて、そして敢えて言うならば愛情がたっぷりと感じられるキスと抱擁だった。
 愛おし気な眼差しと悲し気な瞳、そして可愛いよと言っているような頬を撫でる手。
 弘夢に全ての痛みや辛さを与えている元凶のその人によってそれらを癒されている不思議な感覚。
 理解する余地もないまま、ただ今は木戸に与えられた痛みを木戸によって癒されるがままになっていた。

「弘夢・・弘夢・・」
 耳元で低く甘い木戸の声が響く。
「お前は私のものだよ・・」

(愛しているよ・・弘夢)

 頬にも瞼にもキスをされてその優しい感触に目を瞑る。
「私だけを見ていればいい・・」

(愛してるんだ・・)

 木戸がグッと弘夢の身体を持ち上げ、空中で靴を脱がせると玄関にカタカタッと弘夢の靴が落ちる音が響いた。
 木戸はそのまま弘夢を抱えてベッドルームへと入って行った。


―淳平。ねぇ、淳平?お前はまだ下で涙を浮かべているの・・?まだ、そこに居るの・・?





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★「それから」はすれ違った後に(全10話)の続編です。 

昨日はチャット会に初めて参加させて頂きました^^
とても楽しかったです。最高17人という目の回るような回転でビックリでしたw
え☆りんさんという方は30時間というチャット記録を叩きだしておられましたw
最後の方での変態発言暴走に笑って付き合って下さった方々もありがとうございました^^;

そして!本日87拍手頂いてしまいました・・しかも過去記事から・・
最高数です。本当にありがとうございます!!
出来る事ならそれぞれの方に時枝に菓子折りを持って行かせたいところでございますm(_)m

このキスと愛とハグが皆さまに届きますように!

KISSESSSSSSS & HUGGGGGGGGGGGGGGS

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それから22話

☆18禁です

「んんっ・・んんッ」
 木戸とも淳平のとも違う、ただの秘書の男から受けるキスは意外にも優しくて驚いた。
 丹念に労わるように。
 どちらかと言えば木戸や淳平のような厚みのある舌ではなく、薄くて柔らかい蕩けそうな気持ちのいいキスだった。
 こんな感情のなさそうな男がこんなにも優しいキスをするなんて思いもしなかった。
 いつの間にか気が抜けて、感じてしまっていた。
「んんっ・・はぁ・・あん・・んん」
「おいおい。何感じて楽しんでんだ、弘夢。そんなに時枝とのキスがいいのか?時枝はどうなんだ?」

 時枝が口を離すと絡みついていた弘夢の舌から唾液の糸が引いた。
「意外にも気持ちが良いですね、弘夢さまの舌」
 無表情な顔で見つめられて弘夢は困惑する。
「ははっそうか。そうは見えない顔だがな」
「それはすみません」

「じゃあ口で弘夢のこれ、可愛がってやってくれるか」
 木戸が弘夢の性器をピンと指で弾く。
「や・・止めてくださ・・」
「分かりました。ですが、少し急ぎますが宜しいでしょうか」
「構わない」
 弘夢を無視して時枝が床に膝を付くと、再びバランスを崩しそうになり咄嗟に腕を後に回して腕を木戸の首にかけた。

 ヌルリと時枝の口内の感触が亀頭に伝わって腰がビクついた。

(なんて優しく舐めるんだ・・この人・・)

 優しくも的確にポイントを吸い付いてくる。
 気持ちが良くて腰を動かしたくても中に浮いていては動けない。木戸も容赦なく空中でペニスを突き入れてくる。
 前も後も同時に気持ちが良くて気がおかしくなりそうだ。
 その時耳元で木戸のくぐもった声が聞こえた。
「ふっ・・くっ・・止めろ、時枝っ」
「すみません、少々急いでいるもので」
 時枝は弘夢の性器を口に含みながら、その細くしなやかな手で木戸の双袋を揉みつつ、前立腺に外部から刺激を送っていた。

「ああッ、くそッ・・出すぞ弘夢!覚えてろ、時枝!ふッ・・うッ」
 時枝の目の高さで木戸の熱い肉棒がグチュグチュッと強く打ち込まれ液体が内部に放たれる。
「あああんッ・・ああーッ時枝さんっ、口離してっ、出ちゃうっ・・ああッ!」
 時枝が口を離した途端弘夢の精子がビュッと少し顔に掛かった。
「あ・・ああ・・ごめな・・さ・・」
 木戸にズルズルとベッドに降ろされると、流石に時枝に怒られると思い謝って顔を拭こうとすると時枝がそっと弘夢の手を制した。

「構いません。」
 そう言って唇に付いた弘夢の精液をぺロリと舐めた。
「・・っ!」
 これには弘夢も木戸も目を見開いた。
 時枝は平然として弘夢に顔を近づけると薄く表情を和らげた。笑顔とは言いがたいが薄い笑顔に近い。
「君はこんな味するんだね」
 その初めて見る時枝の魅惑的な表情に弘夢はドキリとした。
 だが、すぐに時枝に自分の精液を舐められた事に顔が真っ赤に染まって散らばった服をかき集める。

「お前、結構エロいな時枝。今度ヤってもいいか?」
 木戸が裸体のまま腕を組み、いやらしい目で時枝の顔を舐めるように見る。
「断ります。」
「何だ、ケチだな。」
 木戸が時枝の項に指を這わせる。
「あなたには弘夢さまがいるでしょう」
「ただのセックスならいいだろ」
 その時一瞬だが時枝の表情がほんの少し、歪んだように見えた。
「断ります。さ、帰りますので支度して下さい。」
 そう言ってドアへ向かう時枝はもう普段の愛想の無い綺麗な顔に戻っていた。


 淳平の体調と相反して仕事は順調に進んでいた。
 大きな取引先の新規が取れた事で、随分と会社でも評価が上がった。
 だが淳平の心が満たされることは無かった。

 弘夢からもう会いたくないと言われてからも時間を見つけては帰宅途中に会社の前で待って出てくる姿を見る事もあれば、弘夢の住むマンションの窓から漏れる光だけを見に夜中車を走らせる事もあった。
 諦める事など出来るだろうか。
 弘夢といたいが為に好きでもない女と付き合い、もっと確実に一緒に居てもらいたいが為に弘夢にほんの少し笑い顔が似てるだけの女と結婚までした。
 淳平にとっては全てが弘夢の為、弘夢が全てだった。それは今もそうだ。
 
 誰かに飼われている?飼われてるって何だ?
 ならどうしてあんなに心から抱き合えた?あの時はお互いに心から求め合っていた。
 少し冷静に考えて思い返せばそんな事くらい分かる筈だった。
 そう思えてきてからは鼓動が速くなり、直ぐにでも直接もう一度問いただしてみるしかないと心馳せた。

「先輩、今夜また飲みにでも行きませんか?店が嫌なら僕の家でもいいですし」
 沢村が可愛い笑顔で誘ってきた。
 一度一緒に飲んだ時から何度か一緒に軽く飲みに行く事もあった。
 話せば話すほど無邪気で屈託のない沢村の雰囲気に安らぐ事で、弘夢の言葉から目を逸らしていた部分があった。

「悪い。今日はちょっと用があって行けないからまた今度な」
 その少し目的を見つけたような目の光を沢村が目敏く見つけた。
「先輩、その振った弘夢さんて人にまた会いに行くつもりですか?」
 図星を指されて苦笑する。
「俺、そんなに顔に出てるか」
「はい。戦場に行くみたいな顔してますから」
「そうか。確かに戦いに挑むような気持ちだからな」
 ふふ、と軽く笑って鞄を持つと、沢村が淳平の腕を掴んだ。

「僕、もうその弘夢って人の所に行かない方がいいと思います」
 淳平は沢村の真剣な顔に少し驚いたが、そっと手を離してやる。
「俺、やっぱり納得行かないんだ。あいつがあんな事するような奴とは思えない。きっと何か理由があると思うんだ」
「先輩に、あんな酷い事を言った人ですよ?!理由があったとしても、会いたくないなんて普通言いませんよ!」
 沢村が大きな瞳を潤ませて見上げる。
 淳平はそんな沢村のふわふわの頭にポンと手を乗せて笑みを返した。
「ありがとうな、俺の事を想ってくれて。でも、確かめないと、前に進めないから。」
 そう言って出て行こうとする後姿に向かって沢村が叫んだ。
「先輩ッ・・もし、泣きたくなるような事になってもっ・・僕が居ます!一緒に飲み、付き合いますから安心して下さい!」
 その言葉に少し顔を後に向けた淳平はふわりと笑って事務所を出た。

 弘夢のマンションの前に着いて、上を見上げると弘夢の部屋にはまだ明かりが付いていない。
 もう直ぐ22時を回るところだ。

(残業か?)

 それともその恋人のような奴と食事でもしているのだろうか。そう考えるだけで窒息しそうだった。
 だが、何とか確かめるという決意で自分に救いの光をちらつかせる。
 車で待機してから30分経った頃に、凄い高級車がマンションの前に止まった。
 そこから弘夢の姿が出てきた時には心臓が一気に跳ね上がった。
 弘夢の後に続いて長身の端整な顔した、いかにもエリートという雰囲気を醸し出した男が弘夢の腰に手を当ててマンションの入り口へ向かう所が見えて、淳平は無意識に車から飛び出していた。




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こんにちは^^実はフルペンエームが桔梗.Dというエロエロ大魔神でございます。
そんな魔人ですが、今まで記事を仙人モードで 一気に書き溜めては予約し、果てる・・
という事をしてきましたが、ちょいとモード時間が短くなってきてしまったので、
交互UPさせて頂きます事をお赦し下さいm(_)mペコリ
「あぁ・・うちのクソ雑用に余裕があればUPどんどんさせますんで Σヽ(゚∀゚;)サンジくん!?


<追記>
何と初のBL小説ランク23位に一瞬食い込みました!!
本当に応援して下さる方々、ありがとうございますm(_)m
読んで下さるだけでもありがたいのに(ノД`)・゜・
(お陰さまで只今チーターより早く暴走できております^^)
拍手も毎日本当に嬉しいです!
24日など過去記事から68拍手頂けて泣きました・・
ウ・・・━━(。-ω-)ウワ━(。・ω・)ァァ━・゚・(。>ω<)・゚・━━ン!!!
本当にどうもありがとうございます!!これからも頑張ります!


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それから21話

☆18禁です

 京都に着くと随分と遅くなっていた。

(懐かしい・・)

 あの頃の情景が思い出される。
 淳平と無邪気に笑い合えていた頃。片思いだと思ってひたすら一緒にいる事が幸せでいつも盗み見ていた頃。そっと内緒でキスした事。
 涙が出そうだった。
 自分から手放した事に後悔は無いかと聞かれれば、それ以前に勇気を出して告白をすれば良かったという後悔が浮かび上がる。
 すれ違ってばかりだ。
 だが愛する人を傷付けさせない事が自分には出来る。その為なら幾らでも汚れてやるし、幾らでも傷付けられても構わない。
 ただ、淳平を傷付ける言葉を投げかけた事だけが、今もずっと、ずっと痛くて仕方が無い。
 あの時の淳平の見開いた目が忘れられない。
 淳平に熱く抱かれて、互いに唇を貪っていた感覚が忘れられない。
 逢いたい・・。

「満足したか?」
 後から木戸が話しかけてきた。
 木戸の低く通る声が弘夢を現実へと引き戻す。
「はい。」
 きっと夢物語だったんだ。きっとこの場所からすれ違って行ったんだ。
(もっと朝、早起きしてれば淳平と目を見てキスが出来たのにな・・)
 そんな事をふと思って笑みが零れた。

「あなたにとっても始まりの場所ですね」
 時枝がそっと木戸の横で呟いた。
 その言葉に木戸が薄く冷淡な笑みを浮かべる。
「弘夢は手放さない。絶対にだ。」
 時枝は軽く溜息をついてヘリの用意をすると言い残して消えた。


京都にある一流のホテルのスィートルームでロマンチックな夜景に不釣合いな鋭い音が響いていた。
「あああッんんッ、あああッ」
 ビシッ、ビシッと空を切る音に続いて弘夢の白い肌を赤く腫れさせる鞭の鋭い音と一緒に、弘夢の仕込まれた性癖による喘ぎが甲高く反響する。
「イきそうなのか?弘夢。ならどうして欲しいかちゃんと言いなさい」
 鞭の動きを止めて後の棒部分で弘夢の後孔をグリグリと刺激する。
「あ・・あぁ・・も・・っと・・叩いてくださ・・おねがい・・します」
「いい子だ。どこを叩いたらイくんだ?」
 端整な顔に意地の悪い笑みが浮かんでいる。その完全なるサディストの笑みは妖艶で艶めいて不覚にもドキリとさせられる。
 木戸の調教は見事だったが、弘夢にも元々マゾヒストの気があったに違いなかった。でなければここまで身体が痛みを快楽として感知する筈もない。
 だがその調教も身体のみの事だった。弘夢の心はいつまで経っても濃霧に包まれている。

 あの時木戸が見た弘夢のふわっと咲くはずのない花が花開いたような笑顔は今尚求め続けていても手に入らないものだった。
(まるで3000年に一度しか咲かないと言われている優曇華だな)
 
「さぁ、早く言わないと叩いてあげないよ。どこを叩かれてイきたいんだ?」
 弘夢は涙目で顔を後に向けて腰を突き上げた。
「お・・お尻を叩いて下さい・・」
「いやらしい身体になったな、弘夢・・」
「やぁ・・あ・・ああ、早・・くっ」
 弘夢の性器は射精間近を控えてタラタラと透明の液体をベッドに垂らして糸を引いている。
 ビシリ、ビシリと激しく臀部に鞭を容赦なく打ちつけられていたが、木戸は鞭を放り投げると弘夢の腰を掴み、自分の熱を持った肉棒を孔に突き刺した。
「ひぁ・・ああああッんんッ!イっちゃうっ・・木戸さ、イっちゃう!」

(淳平―!!)

 互いに我慢は限界に近かったのか、同時に精液が爆ぜた。

 トントンと事務的なノック音がした。
「木戸さま、時枝です。そろそろお戻りになる支度を・・」
 ドアをガチャリと開けた時枝は、まだ繋がっている二人の姿と、汗で艶めく素晴らしい筋肉美の裸体で息を荒くする木戸に一瞬言葉を途切れさせたが、再び何事も無かったように続けた。
「そろそろ支度をして下さい。お時間です。」
 木戸はそんな時枝に視線を向けるとニヤリと口角を上げた。

「まぁ、あと5分待ってくれよ」
「では5分後にお迎えに参ります」
 時枝が部屋を出ようと踵を返した時だった。
「時枝。こっちに来い。」
 その言葉に小さく溜息をついた時枝がベッドの真横に立つ。
「そこで見て待ってろ」
 そう言って挿したままのペニスを再び抜き差しすると直ぐにその硬さを取り戻した。
 既に敏感になり切っている弘夢の内部は強い快感が全身を襲う。
 だが、真横に立ってジッと見る時枝に困惑と羞恥が織り交ざる。

「やっ・・いやです、木戸さん!止めてっ・・恥ずかし・・ですっ・・あああッ」
「じゃあ何ヒクつかしてんだよ、中」
「や・・やぁっ・・いやあぁ・・」
 涙を流して心とは反対のうねる下半身に恨みの気持ちさえ沸いてくる。
 木戸は時枝の方を見ながら弘夢を激しく突くが、当の時枝はやはり眉一つ動かさない。
 機嫌を損ねた木戸は弘夢の膝裏に腕を入れ、後から身体を持ち上げると、秘部が丸見えの状態になる。ベッドを降りて時枝の前に立ちながら下から肉棒を突き刺す様を見せつける。
 弘夢はもう羞恥どころでは無かった。涙を流して止めるように懇願するが、それはただ木戸を煽る行為の一つに過ぎなかった。

 捕まる場所が無くバランスを崩しそうになった弘夢に更に追い討ちをかける。
「弘夢、時枝にしがみ付け」
 言われて抵抗するよりも先にバランスを崩しかけ、目の前の無表情で壁に寄りかかる時枝の首にしがみ付いた。
「ご、ごめんな・・さい・・ああんっ・・ああっ」

「いえ。構いません。」
 時枝は鋭い目線を弘夢を通り越して腰を振って愉悦に浸る木戸へ向けていた。
 その挑戦的な目つきに更に喧嘩でも売るように木戸が命令する。
「時枝、お前暇そうだな。弘夢にキスでもしてやれ」
「ちょっ・・木戸さんっ、何言って・・」
「分かりました。失礼します」
顔を掴まれてその無表情だが美しい時枝の顔が近づいて唇を塞がれた。



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★「それから」はすれ違った後に(全10話)の続編です。 

時枝!!Σ(゚д゚;)
というか、このストーリー始まってからずーっとほぼRなんですが;
えー・・まだ続きますm(_;)m

 
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それから20話

☆18禁です

「よく似合ってる」
 木戸が弘夢の後に立ち、鏡越しに着替え終えた弘夢を見て満足気に笑う。
 質の良いデザイナーズの細身で綺麗なジーンズにカジュアルだがシックなTシャツに綺麗な紺色のジャケットで、元々細くスタイルの良い弘夢はまるでモデルのようだ。
 後から細い灰色の長めのストールを木戸が巻いてやると、弘夢を背中に手を回して店を出た。

「あの店員、今頃お前の事を想像して抜いてるぞ」
 木戸が横目で意地悪そうに笑う。
「そ、そんな事ある筈ないです。大体初対面ですし、あの人ノンケだと思うし・・」
 木戸がズズッと身体をずらして弘夢に近づいて顎を取った。
「お前は分かっていない。ノンケだろうが何だろうがそそるんだよ。その顔と身体が。特に俺色に仕立て上げられたその身体は、以前よりもずっといやらしい身体になった。」
「あっ・・ふ・・」
 木戸がいやらしく弘夢の首筋に舌を這わせる。
「や・・っ・・ん」
「あいつもお前にこうしたくて、想像して自分でヤってんだよ。可哀想だから俺が代わりに味わってやるんだよ」
 仕立てられた洋服はすぐさま木戸によって丁寧に脱がされていく。
 一応車の窓は黒塗りで外からは見えないが中からは外が綺麗に見える。本当に見えてないのか不安になるほどなので、弘夢はいつも車の中で施される羞恥の数々に耐え難いものを感じていた。

「弘夢、時枝にちゃんと見せてやれ」
 そう言って運転している時枝に向かって腰を突き出すように指示される。
 おずおずと腰を突き出し、顔は木戸に向けている。
「見えるか、時枝?」
「ええ。よく見えますよ。」
 バックミラーから時枝の鋭い切れ長の瞳が弘夢の後孔に向けられると、弘夢は目を瞑りたくなったが、木戸にそれを阻止される。

「弘夢、自分でそこをそのまま解すんだ。このローションやるから」
 そのローションには強い媚薬物質が含まれていて京都に着く間位の持続性はあるものだった。
 それを使われた自分がどうなるか位、弘夢も分かっていたが命令を受けたからには従うしかない。
 脳内が痺れるようないい香りが社内に充満した。匂いを嗅ぐだけでもおかしな気分になる。
 ローションをたっぷりと塗った自分の指を後孔へ入れる。

「弘夢、時枝の方を振り向きながらやってみろ」
 泣きそうな顔をバックミラーに映る時枝に向ける。クチュクチュと卑猥な音を出しながら自分で自然と気持ちのいい場所を探ってしまう。
「ふ・・っん・・あ・・んん」
 その様子を涼しげな眼でチラリチラリと時枝が見る。
 薬が効いてきて、弘夢の指もだんだんと激しく中を掻き回すようになっていく。
「やあっ・・木戸さ・・ああっん」
 後を向きながらだとやりずらく、思わず木戸の方を向くと木戸が弘夢に舌を絡めてきた。その感触が気持ちよく、弘夢はもう片手で自分の性器を扱き出す。木戸は両手でキュッと弘夢の乳首を抓ってやると、一際甲高い声が車内に響いた。

「ひゃっ・・ああんっ・・ああっ、あんっ」
 木戸は自分のズボンを脱ぎ、弘夢を時枝の方を向きながら自分の上に座るよう指示した。
「自分から時枝に見せるようにして入れなさい」
「は・・い・・」
 ゆっくりと木戸の大きく熱い肉棒を入れ込んでいくと、中の疼きが一層激しくなる。

 薬が効いている弘夢は自分で腰の動きを止める事が出来ない。
 恥ずかしくて死にそうなのに、木戸の上で上下前後に狂ったように動き時枝の目を見ながら叫んでしまう。
 木戸が後から指を弘夢の舌へ絡ませると、弘夢はそれに自然と味わうように絡んでいってしまう。
「い・・や・・見ないでっ・・とき・・えださっ・・ああっ!」
 時枝はそれでも眉一つ動かす事なく見てくる。
「やっ・・やっ・・イっちゃううっ!」
 弘夢は自分で腰を思い切り振りながら両手で自分の性器を激しく上下に扱くとビクンと身体を震わせて、白い粘液を手の中に放った。

 弘夢はそれからも木戸に散々車内で突かれ、暫くぐったりと眠ってしまっていた。
「木戸さま。私に散々見せ付けたいが為にわざわざ車で運転させたんですね。」
「ふふ。いいだろう?どうやったらお前の表情が変わるか見てみたかったんだがな。」
「はぁ・・ヘリならすぐ着きますものを・・」
「まぁ、偶にはいいじゃないか」
 木戸はしっとりと汗ばんだ裸体で眠る弘夢にジャケットを掛けてやった。
 そっと弘夢の柔らかい髪の毛に指を入れ込み、頬に優しくキスを落とした。
 弘夢は見たこともない木戸の優しい眼差しを知らぬ間に受け、それをミラー越しに時枝が鋭い眼差しで見ていた。



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★「それから」はすれ違った後に(全10話)の続編です。 

カープレイですか・・;というか、木戸が普通だぞ?!(最後だけ;)
「それから」がひたすらR街道を突き進む・・。いいのだろうか(-ω-)。
と、言いながら街道まだ道のりが長いです;
そしてですね、タイトルの「20話」部分で20と書いた後、無意識に
「20禁」と書いてたようで、自分で発見して噴出しましたwwどんだけ?!
(投稿前に気付いて良かった=3)


 
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それから19話

☆15禁です

「着きました。服を着て下さい。」
 後部座席では、既に先走りで濡れた弘夢の黒いビキニが太ももの付け根まで下ろされて大きく立ったペニスはピクピクと刺激を待っている状態になっていた。わざとこの到着のタイミングを見計らったかのようにこの状態にした木戸は薄く笑いながら先に車を降りると、真っ赤な顔して歩きずらそうにして車を出る弘夢の手を取った。

(こんな状態じゃあ・・勃ってるのがバレちゃうよ・・)

 美しいシンプルなゴシック調の建物は、そこがまさか洋服屋だとは思えない程の雰囲気だ。
 会員制なので一般の人は中に入れない。高級洋服店だ。中には会員様ようのカフェもあり、ただでティーとお菓子のサービスを受けられる。
 初めて来た時には弘夢はその世界の違いに驚き、カチカチに緊張したが木戸がそれを楽しむように見ていた。
 それから何度か木戸に連れられて来た事のある弘夢はここ最近で漸く足を踏み入れる事に少しずつ慣れてきたところだ。ここでいつも木戸は弘夢に洋服を見立てて買ってくれている。

 前に一度こんな高い洋服を買って貰っては悪いと遠慮した事があった。
「俺の持ち物をデコレートして何か不都合でも?」
 そう言われて、木戸が別に自分を想って買ってくれていると言うよりも、自分が持ち歩くものが見窄らしいのが嫌だっただけかと木戸のやる事にお礼も言うのも違うと思い、それからは黙って従った。
 
 勃ったままの状態で中に引き入れられ、用意された試着室へと運ばれる。
 歩くたびに立ち上がった亀頭の先に、ビキニの滑らかな生地に擦られてあまりの気持ちよさに腰がうねりそうになる。早く元の状態に戻さなくてはいけないというのに、まるで逆効果だった。

 一部屋まるごとの試着室へ運ばれると、黒縁のメガネを掛けた神経質で真面目そうな店員が弘夢の洋服を脱がしにかかった。
「腕をお上げになって下さい、弘夢さま。」
「あ、あのっ、自分でやりますから一人で大丈夫です!」
「何を仰います。木戸さまからサービスはきちんと行うように再度ご指示されていますので。さ!」

(木戸さん、わざとだ・・)

 恥ずかしさで嫌がりながらも諦めて、先ずはゆっくりと上半身を脱がせてもらう。目の前には大きな鏡があり、その鏡越しに時枝が壁に背をつき、腕組をして涼しい顔で弘夢を見ていた。
 露になった上半身には無数の蚯蚓腫れした傷が赤く線を引いて、身体中にキスマークが散りばめられていた。
 店員はハッと息を呑んだが、見ないフリをして淡々と事を進める。
 当の木戸はティーカップを片手に時枝に馴れ馴れしく腕を時枝の肩に掛けながら何やら話しかけながら口角を上げている。
「さ、では下の方も失礼致しますね」
 
 容赦なくズボンを脱がされた弘夢はあまりの恥ずかしさに目を瞑った。
 まさか際どい細さのビキニを履いているとは思わなかった店員はその下着だけでもビックリして目を見開いたが、更にそこから少しはみ出る弘夢の硬く立ち上がった性器を見て手が止まり、そこに目が釘付けになった。

 顔を上げると、弘夢が恥ずかしそうに真っ赤な顔をして目を瞑っているのが見えた。その羞恥心を耐える綺麗な顔と滾る性器の様子、そして弘夢の艶かしく美しい裸体がノンケの店員をもそそる。
 その店員の様子をニタニタと見ながらお茶を飲む木戸と、相変わらず無表情でその様子を時枝が見ていた。
 いつの間にか店員も頬を染め、不謹慎にも股間に硬さを感じる事にショックを受けながらも平静さを保ちつつ、素早く弘夢の着替えをさせていった。
 時折敏感な場所に布が強く擦れる度に漏れる弘夢の小さな吐息が、店員の鼓動を速めた。

「お、終わりました。では失礼致します!」
 赤い顔した店員は足早に部屋を去った。
 店員は急いでトイレに駆け込むと、自分のベルトをガチャガチャと外し、先走りでベットリ濡れた自分の性器を取り出して握ると勢いよく上下に扱き出した。

 先程目の前で見た青年の恥ずかしがる色っぽい表情と、裸体、赤くツンと尖った乳首。
 そんな光景を思い出しながらグチュグチュと勢いよく卑猥な水を含んだ摩擦音をトイレ内に響かせる。
 男の身体や表情を見て何故こんなにも自分が興奮したのかも分からない状態で、ひたすら弘夢の細部や小さく漏れた吐息を脳内でリピートし、果ては自分が淫乱な行為を弘夢に行う事まで想像すると、白く透明な粘液が思い切り壁に飛び散った。



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★「それから」はすれ違った後に(全10話)の続編です。 
 
店員さん・・w
こういう店員さん、好きv(いるかッ)


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それから18話

☆15禁です

弘夢の表情が昨日よりも今日、今日よりも明日と薄く褪せていった。愛想笑い程度なら偶に見せていた弘夢も、あの言葉を淳平に投げた時からどんな種類の笑顔も出せなくなっていた。

蒼白に近い白い顔は黒々とした艶っぽい瞳を更に惹き立てていた。弘夢の意思とは逆に、哀しみの色を宿した弘夢の目を見た者は、感心を持たずにはいられない程妖艶な色香を放っていた。
淳平の知っていた学生の頃の顔立ちと、大人になってからのものは随分と雰囲気が変わった。
様々な男たちとの情事による慣れと、その間もずっと唯一人だけの想い人を想う一途な気持ちが相まって、奇しくも自然と無意識に妖しいベールを身に纏っているようだった。
抱いても抱いても、いくら強制的に命令しても弘夢の瞳はいつも別の誰かを見ている。いくら身体を汚したところで、ただ一点の純粋な光は汚れを寄せ付けない。それは近づく男にとってこの上ない支配欲を煽るゲームと化すものだった。

 一睡もしていない弘夢は木戸の腕の中で人形のようになっていた。気付けばもう既に日が昇り、朝日がカーテンから漏れている。
「弘夢・・顔をあげて。」
 優しく長い指でそっと顎を上にあげられると、冷たい唇が押し当てられた。木戸の舌は味わうように弘夢の口内を丹念に犯していった。
 気持ちとは裏腹に、反射的に悲しくも慣れ親しんでしまったその感触に身体が反応する。
「んん・・ふ・・」
「可愛い声だ」
 泣く余裕も与えず、淳平に別れを告げた日の夜には木戸が部屋へ泊まりに来た。
 いっそ人形になってしまおう。淳平が好きだという気持ちは、自分だけの誰にも知られない心の宝箱に閉まって、人形になってしまえば楽になれる。

「昨日はよく言えたな。弘夢。ご褒美に今日はどこかへ連れて行ってやろう。どこがいい?」
 思った通り、木戸は何らかの方法で弘夢を監視していた。やはり淳平を拒絶して正解だった。木戸ならそれ位やって当然だと踏んでいた。この巨大な敵の範疇からは逃れられない。
 ちっぽけな自分に出来る事は、怒らせないように言う事を聞く人形になるという事だけだ。
「どこでも・・いいです。」
「何だ、海とか山とか、色々あるだろう。近くの島でもいいぞ?」
 木戸の唇がそっと頬から首筋へ降りていく。

(行きたい場所・・)

 そう思った時、脳裏に浮かんだのは京都だった。中学時代に修学旅行で行った京都。初めて淳平にキスした思い出の場所。
「京都に・・行きたいです」
 木戸は弘夢の鎖骨に這わせていた舌を一瞬止めると、スーッと首を通り唇まで移動させて、弘夢の下唇を舐めながら弘夢の瞳を覗いた。
(まだ、あの男との過去の影を追うか。弘夢。それとも過去との別れのつもりか。)

「いいだろう。」
 そういうと適当に服を着て家を出た。外に出ると、待機してあった高級車に乗り込み都内へと向かった。

「慶介さま、行き先はシェーナー・プラーツで宜しいので?」
 運転する秘書のような人、時枝(ときえだ)が落ち着いた声でバックミラー越しに木戸に話しかけた。
「ああ。頼む。」
 この時枝は、実のところ秘書なのかどうかも怪しい人物だった。木戸と知り合った時から既にずっと身の回りの世話からプライベートの世話までしていて、木戸の命令は殆どこの時枝を通して行われていた。冷たい表情は常に冷静沈着で、木戸の命令は絶対だとその忠実っぷりから伺える。

「あ・・んんっ・・ふ・・やっ」
 突然木戸が弘夢の乳首をYシャツの上から引っ掻き出した。夕べもさんざん苛められて今尚赤く敏感に腫れるそこは布が擦れても感じる程だ。
 広い車だが車内に変わりはない。その狭く閉ざされた空間に卑猥な喘ぎ声が響く。

「やっ・・時枝さんが・・いる・・あ・・んっ」
 容赦なく横から木戸の大きな手は弘夢のペニスを弄りまわす。
「時枝がいるから?恥ずかしいのか?別にこれくらいいつもしてるだろう、時枝の前でも。」
「やぁ・・あ・・んっ」
 時枝は表情一つ変えずバックミラーでちらりと木戸と視線を合わせて、再び前方を見て運転をする。

「私なら構いませんので、お気になさらず。」
「だってよ?弘夢。」
「ああっ・・あ・・ああ」
 こうして時枝の運転する車で身体を弄られる痴態を晒すのは幾度目になるだろうか。それでもいつも時枝は表情を変える事はなかったし、弘夢の羞恥心も消える事は無かった。
 時枝は今までの木戸との関係を全て把握していた。
それでも時折バックミラー越しに向けられる一瞬のその視線が痛く、恥ずかしく、耐え難く感じた。



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★「それから」はすれ違った後に(全10話)の続編です。 
 
Σ時枝!!

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それから17話

 ベロベロに酔った淳平の大きな身体を汗が出るほど頑張って沢村の自宅アパートへ担ぎ込んだ。
「もうっ・・先輩、重すぎです・・」
玄関に入ると気が抜けたのか、力まで一緒に抜けて淳平をズルズルと下まで落としてしまった。

「わあっ、ちょっと先輩っ!玄関で寝ないで下さいよ!」
「んん・・」
 ズルズルと引きずるようにして居間まで来ると、ポタリと汗の雫が垂れた。

 取り敢えず淳平をベッドに寝かせ、沢村は思わぬ重労働でべた付いた身体をサッパリさせようとシャワーを浴びた。
「明日が休日で本当助かったぁ」
 偶々平日の中に一つだけあった休日が冗談抜きで有難かった。
 いつものパジャマに着替え、寝室のベッドを覗くと、そこには会社の先輩である淳平の大きな身体が死んだように眠っていて、きちんと呼吸をしているのかすら分からない程静かな寝息を立てていた。

(先輩がうちで寝ている・・何か妙だ。)

 そんな事を考えながらも取り敢えず苦しそうなネクタイを淳平の首元から抜いてやる。上着も何とか脱がせ、シワにならないようにきちんとハンガーに掛けた。
 さすがにズボンまで勝手に脱がす訳にはいかないと思い、そのまま布団を掛けて寝かせた。 

(きっと色々辛いんだろうな・・)

 沢村はそっと音を立てずにドアを閉めて部屋を出た。


 カチャカチャと食器のぶつかり合う音と、慣れない部屋の匂いに淳平の意識がだんだんと目覚めてくる。
 起きると喉が異常にカラカラで声もろくに出せない状態だった。
 自分のいる見知らぬ部屋にいる疑問よりも、先ずは水を飲まないと死んでしまいそうで、本能が台所まで淳平を真っ直ぐ動かした。

「あ、先輩起きたんですか?はい、お水。喉渇いてるでしょ。夕べ全然起きなかったみたいだし。」
 砂漠のど真ん中に何日も放って置かれてカラカラに干からびて死ぬ間際に天から天使が舞い降りて水を差し出してきたように感じた。
 当にそんな感じだった。一気にコップの水を空にすると、それも分かっていたように直ぐに別のコップに並々と注いである水を手渡されて、至れり尽くせりだった。

 淳平の欲求が手に取るように分かっているかのように、次々と世話を焼く後輩に感動すら覚えた。
「先輩、新しい使ってない下着と大きいTシャツ、それに歯ブラシも用意してあるのでシャワーでも浴びて来て下さい。その間に朝ごはん用意しておきますから。」
「あ、ああ。悪い。そうさせてもらうよ。」
 熱いシャワーを浴びると、沈殿していたドロドロとしたものが中からも綺麗に流されていくような感じだった。

(気持ちいい・・)

 熱いお湯にこんな癒しの効果があったとは、初体験だった。そして、淳平は昨日よりも大分気分が楽になっていた。
 風呂を出ると、リラックスした身体は自然に空腹を感じた。
「先輩、ご飯できてます。食べましょう!」

 美味しそうな洋食が綺麗にテーブルに並べてあった。食欲のそそるスクランブルエッグの香りとシナモンの香りが香しいフレンチトーストを見てお腹がグーグー鳴る。その他、焼き野菜に挽きソーセージ、その横にクレープが薄く切って入ったコンソメスープ、そしてイチゴにヨーグルトが掛かっていてその上に黄金色のハチミツがとろりと掛かっているデザート付きだ。

「美味い!これ、本当にお前が全部作ったのか?」
「もちろんですよ。俺、和食は苦手ですけど、洋食は得意なんです!」
 久しぶりにちゃんとしたものを食べた気がした。お世辞ではなく、本当に美味しくてぺロリと全てを平らげてしまった。
「ごちそうさま。本当に美味かった。」
「そう言って頂けて作った甲斐がありましたよ」
 嬉しそうに笑った沢村の顔は、その時初めてきちんと沢村という人物の顔を見たかのように感じた。
 改めて見る沢村という後輩の顔は、意外にも可愛らしくて驚いた。近くにこんなにいい奴が自分の後輩として居たという事に改めて感謝の気持ちと嬉しさが込みあがった。

「沢村、昨日は色々とありがとな。」
「いえ。先輩には入社した時からいつもお世話になっていましたし、俺で良ければ力になります。」
 弘夢とはまた違った魅力のある男だった。弘夢よりも幼い感じで、純粋そうな眼差しが芯に強さを持っているようにも感じられる。

―弘夢は・・自分でメシを作るのだろうか。その飼い主とやらと、こうして毎日食卓に一緒に居たのだろうか。
 淳平は今更ながら弘夢の事を知っているようで、離れていた間の事は何も知らない事に空虚感を覚えた。自分の知らない間、それを共有してきた相手がいる。その相手の方がいいと、はっきり言われた。

淳平の心が再び暗く光の届かない深海へ沈んで行った。



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それから16話

 淳平は真っ青な顔して出社していた。
 足元もおぼつかずに、目の焦点も合っていない。一日中ボーッとしているようだが、その表情だけは他人が見ても例えようの無い苦痛が空気感染しそうな程の惨憺たる表情に見えた。
 淳平の周りには絶え間なく透明な針が降り注いでいた。

「先輩!先輩!」
 ふいに呼びかけられて振り向くと、そこには後輩の沢村が自分を心配そうに覗き込んでいた。
「先輩、大丈夫ですか?顔色が悪いし、凄く具合が悪そうですよ?」
「ああ・・。何でもないんだ。すまない・・」
 昨日からずっと吐き気が止まらない。弘夢の顔を思い出す度に、息が出来なくなる。
 昨日はあの後、どうやって帰って来たかよく分からなかった。
 いつの間にか朝になって、出社していた。寝てはいなかった。ただ、ベッドの下でずっとアラームが鳴り響くまで座っていた。

 瞬きは・・していたのだろうか?

 明美とは元々別々の部屋で寝ているし、最近はあまり会話もした記憶がない。
 明美は家にまだいるのだろうか。
 食事はたまに作り置きしてあるものがあれば、暖めて食べたし、無ければコンビニで買って食べていた。
 今はそんな事はどうでも良かった。

「先輩、今日はもう帰った方がいいですって。俺、何なら送って行きますから!」
「いや、いいんだ。帰るんだったらここでキツくても仕事していた方がずっと楽だ。」
 今は一人になりたくない。
「なら、今日帰りに少し飲んで行きますか?俺おごりますから」
 それは今の淳平にとって願ってもないありがたい話だった。
「いや、俺が奢るから少し付き合ってくれ。」
「わかりました。では帰りにデスクに寄りますから。」
「ああ、悪いな。」

 淳平は沢村が迎えに来るまで仕事に没我した。
 それでも時折思い出す、抱き合った時の弘夢を思い出しては胸元を掻き毟るようにネクタイを掴み、昨日の弘夢の言葉を思い出してはトイレに駆け込んで嘔吐した。
 そんな事を朝から繰り返してグッタリと椅子にもたれかかっていると、横から沢村が迎えに来た。
 そこで漸く夜になっていた事に気付いた。

「先輩、今日飲みに行って本当に大丈夫なんですか?」
「ああ。大丈夫だ。飲みに行かないとダメになりそうだ。」
 心配そうに小柄な沢村が少し垂れ目でクリッとした可愛い目で気遣いながらも、二人は行きつけの飲み屋へ入って行った。

 普段酒はあまり飲まない淳平だが、酒には強い方だった。しかし体調の優れない淳平は空きっ腹に次から次へとアルコールを流し込むと、あっという間にキリリとした目を色っぽくトロンとさせた。
「先輩・・本当、どうしたんですか?俺で良ければ話、聞きますよ?」
「ん・・サンキューな。沢村。俺の事よりお前、彼女いないのか?」
「いや~ここのところ随分ご無沙汰ですねぇ。2年前に別れたきりです。」
 グイと中ジョッキの生ビールを飲み干した沢村が、店員に自分と淳平の分を頼む。

「何で別れたんだ・・?」
 淳平は壁際に寄りかかるようにして伏し目がちにし、本当に見ているのか分からない視線をテーブルの上のつまみに走らせていた。
「んー・・要するに相手には、本命が居たんですよね。それなのに、俺バカだから騙されてたっていうか。はは。今となってはもう終わった事なんで、どうでもいい事ですけど。」
 その沢村の言葉に淳平の顔が上がった。

「騙されてたのか?それで、お前はどうやって立ち直ったんだ?」
「まぁ・・時間は掛かりましたよ、そりゃあ。凄く傷付いて、もう立ち直れないと思ったけど、時間が癒してくれるんですよね。最初は実感ないですけど。確実に今日よりも明日、感じなくても癒えていってるんです。」
 その言葉に希望にも似た光が見えた気がした。この苦しみから救い出されるというのか、そんな錯覚さえ起こる。

「先輩、もしかして振られたんですか?」
 恐る恐る上目遣いで沢村が問いかけてくる。
「あ、ああ。いや、分からないんだ。というか、信じられなくて。受け入れられないんだ。あいつがそんな事、するような奴とは思えない。でも・・」
 拒否された事は事実だった。あの無慈悲で残酷な言葉が発せられた事も事実だった。
 それが、どうしようもなく今の淳平には辛かった。
 飼い主がいるだの、身体の相性がそいつとの方がいいだのと言われたが、その辺はまだ信じられないでいた。受け入れるスペースが無いと言った方が妥当だろう。

「先輩ッ!今日はとことん付き合いますから!安心して飲んで下さい!」
 元気のいい沢村のふわふわとした髪がたんぽぽの綿毛を連想させて、ほんの少しだけ、淳平の口元に笑みが灯った。



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それから15話

 あれから何日経ってもやはり弘夢から連絡が来ない。もう4日も経っている。
 イライラする気持ちは不安へと変わっていった。

(おかしい。仕事が忙しいといっても、連絡をする時間くらい取れるだろう。)

 自分は何か気に障った事でもしたのだろうか。抱き方が激しくて辛い思いをさせてしまっただろうか。色々な不安要素が脳裏に浮かぶ。

 だが、自分に抱かれていた時の弘夢は、むしろ更に激しくとねだるようだった。
 考えても辿り着かない不安の原因は、ただ考えを一人で悶々と巡らせるには耐えがたかった。
 その不安は弘夢と気持ちも身体も繋がった分、より強く心を締め付けた。

 次の日に、再び早めの営業を終えるとその足で弘夢の勤め先へ出向いた。
ロビーでしばらく待っていると2,3人のサラリーマンと一緒に弘夢も出てきた。
 引き攣るような笑顔で同僚に接する弘夢の顔色はあまり良くなかった。

具合でも悪かったというのだろうか。なら、尚更何故自分に連絡をして来なかったのだ。自分が家庭を持っている事に気兼ねをしているのだろうか。

立ち上がって弘夢の方へ一歩足を進めた瞬間、弘夢は淳平の姿を見つけて顔を一層青ざめさせた。その奇妙で思いがけない反応に、淳平は暗黒の不安の渦に飲み込まれそうになった。
焦って駆け寄ろうとすると、弘夢が一足先に裏手へ走って行く。

 何故逃げる?・・何故?・・・・・何故だ!

突然走り出した弘夢に驚く周りの会社員は、その後を追う淳平の姿に徒ならぬ気配と疑念を持ってざわついた。

カツカツとやけに響く靴の音だけが大きく二人の鼓膜に響いた。

(来ないで淳平!来たら、俺は―!)

 未だ運動能力は衰えない淳平に弘夢の腕はすぐさま掴まれた。
「あっ・・!」
「おい!弘夢!何で逃げるんだよ!何でだ?!」
 息を乱さず畳み掛ける淳平に対して、ハァハァと苦しそうに喘ぐ弘夢は、走っただけの苦しさではない顔の歪みを作っていた。

(俺だって、会いたかったよ、淳平・・)

「なぁ、具合が悪くて連絡出来なかったのか?」

(そんな優しい顔で覗き込むな・・)

「言ってくれればいつだってお前の所に行ったんだぞ?」

(淳平・・)

 涙が溢れそうになるのをグッと爪を掌に食い込ませて堪える。
「なぁ、弘夢。俺、ホテルで何か痛いことでもしちまったか?怒ってるのか?そしたら謝るし、もう二度とそんな事しない。だから・・」

「違うよ、淳平。あの時はついあんな事しちゃったけど、何かやっぱり思っていた感じと違ったんだ。」
 淳平は、弘夢の言っている意味が分からなかった。いや、そもそも今この言葉を発している人が本当に弘夢なのかが分からなかった。

「え・・え、何言ってるんだよ。だってお前だってあんなに俺を求めて・・」
「あの時は懐かしくて盛り上げる為にせがんだんだよ。確かに淳平の事は好きだったけど、一度ヤっちゃうと満足しちゃってね。ごめん。」
 奇声を発しそうになる弘夢の脳裏に木戸の笑みが浮かぶ。
「弘夢・・俺、お前の事がずっと好きだったんだ。この間お前を抱いて、もっともっとお前を好きになった。もっとお前を満足させられるように努力もする。だから、今からでもチャンスをくれないか?」

(淳平・・そんなの・・俺だってそうだ。前よりももっと好きになったよ、俺だって・・)

 これだけ酷い事を告げても、更にチャンスをくれとまで言ってくる淳平の気持ちが、木戸に傷付けられた心も身体も癒してくれるようだった。
 優しくて、暖かくて愛おしくて仕方のない唯一の人。自分はわざとその人を傷付け、遠ざける事でしか守れない悔しさと苦しさに、何もかも放り出してしまいたくなる。
 だが、裏社会で名を馳せている木戸に目を付けられたら最後、骨まで残らないか、その存在は突然消えるか、死ぬまでの地獄を見る事になり兼ねない。
 


―命と一生の人生に替えても淳平、お前だけは守り抜きたい。
 その為ならば、お前に塞いでもらった心の傷口に再び思い切り杭を打ってやる。―



「ごめん、淳平。諦めて。俺、実はずっとある人に飼われててさ、やっぱりその人の身体が一番いいんだ。それに、お前との事がバレてお仕置きされちゃってさ。だからもう、お前とは会いたくないんだよ。」





―愛してるよ、淳平



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それから14話

★20禁です。(20禁続きですみません--;)排泄シーンありですので、苦手な方の閲覧は十分ご注意下さい!


 木戸は臀部の筋肉を盛り上げながら弘夢の上で腰を降っていた。弘夢の足を自分の腕にかけ、ゆらゆらと動く弘夢の力ない膝下は時折走る後孔の入り口の痛みにビクッと反応した。
 自分の上で恍惚状態の木戸の表情を見ると幾分か気持ちが楽になった。
 麻痺した感覚は執拗に前立腺辺りを木戸の亀頭カリ首辺りで擦られて、快楽が増してくる。
 痛みに耐える表情の弘夢もだんだんと息を上げ、声を漏らし、自分からも腰を少しずつ揺らすようになっていった。
 もっと快楽を大きくさせて痛みを忘れたい。そんな気持ちで懸命に抜き差しされる入り口部分からは時折ポタリポタリと血が垂れた。

 その音は木戸のサディスティックな心を煽るものだった。更にストロークを早め、強く腰を打ちつけながら上から弘夢の唇を塞ぎ、舌を絡めて外へ引きずり出した。
「んああんっ・・木戸さぁんっ・・きもちっ・・いぃ」
 激しく動かされる旅に胸に付いたままのクリップが鎖の重みで上下に揺れて再び快感を与える。 木戸は鎖を歯で挟み上へ引っ張りあげた。
「あああんっ・・や・・ああっ・・ああっ!」
 ギラつく視線は容赦せず、クン、クンと鎖を引っ張ると、弘夢の内部がキュキュッと閉まり木戸のペニスを締め付ける。
「木戸・・さ・・イっちゃ・・そう・・ですっ・・ああん」
 弘夢の内部が大きくヒクつき始め、その快感は木戸も我慢出来ないものへと変わっていった。
「出すぞ、弘夢」
 もう少しでオルガズムが来るという時に、木戸は自分のペニスをズルリと引き抜くと、弘夢の口にそれを突っ込んだ。

「飲め」
 ビュルビュルと勢いよく口内へ出される木戸の精液は大量で、終わったかと思うとビクンと動いてはまた少し射精した。自分の血液の混ざった鉄味の精液が喉を通っていく。
 弘夢はそれを懸命に言われるがまま飲み干すが、下半身の疼きが駆け上がってきて涙が零れる。
 木戸は弘夢の口内からペニスを引き抜くと、再びそれを後孔へ突っ込んだ。
「ひぃ・・やぁああっ!」

 射精直後とは思えない硬さのペニスは弘夢を最後まで導くように激しく突いた。
「あああんっ、あああんっ、イクイクっ、ああーッ」
 あまりの快楽に木戸にしがみ付いて悶え叫ぶ弘夢の耳元で木戸が囁いた。
「ちゃんと洗浄してやるよ」
 突然内部に熱い液体がジョロジョロと注ぎ込まれると、その熱と刺激で思わず絶頂に達してしまった。脳内で火花が散っているようだった。激しい痙攣でベッドの上を跳ねる弘夢の身体を、木戸が上から抱きしめて押さえ込む。

 まだ注ぎ込まれる熱い液体を木戸の尿だと認識できた時に漸く焦りと抵抗感が生まれた。
「や・・木戸さん、止めてッ」
 小刻みに困惑と痙攣で震える力のない手で木戸をどけようと試みるが、それは無意味なものだった。
「可愛いな、弘夢。俺の小便でイったのか?」
自分の直腸内を尿で犯され、あろう事かその刺激によって中でイかされてしまった侮辱に弘夢の羞恥心は限界を越え、自尊心が崩れ落ちた。

「どう・・してっ」
 涙が勢いよく瞳から溢れた。
 木戸がペニスを漸く引き抜くと、入り口から大量に熱い液体がダラダラと流れ出てきた。
「残った他の男の残留を流したんだよ。これで少しはキレイになっただろう」
 満足気に微笑む冷淡な表情は悲しみと愉悦に満ちていた。絶望に落ちていく弘夢の意識はそこで離れていった。

 その後は意識が無いまま木戸が病院できちんと手当と洗浄を行ってくれた。
 目が覚めると病院で、家に帰るとまるで何も無かったかのようにベッドも既に綺麗になっていた。

―もうその男とは会うなよ?分かるな、弘夢。

 弘夢は部屋で呆然と立ち尽くしていた。
木戸の艶を含んだ声が頭の中でこだまする。
 会えば自分がどうなるか、次は自分だけではなく淳平に何をするか分からない。
 
 どうして一緒に居られないのか。気持ちがすれ違っていても、あの中学の頃に一緒に笑いあって、ときめいていた時期があまりにも眩し過ぎて、人工的に作られた記憶じゃないかとすら思えてくる。
 淳平を見なければきっと夢か思い込みの日々だと納得できるのに。
 唯一それが事実だった事を証明するのは、今も尚、ただ一人手に入れたくても手に入らないその人の姿だった。



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★「それから」はすれ違った後に(全10話)の続編です。 

*17~20日の間また出張なので帰ってきたらコメントの返信など
させて頂きますm(_)m すみません!
記事は予約投稿でUPさせていきます。


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